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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の真実編
113/136

死瘴騎士団

 魔導暦2035年5月15日の錬曜日レィョルヤ、その日の世界は、穏やかな快晴だった、


 その、三日前の12日、ウェルド公国では、一つの事件が起きていた、


 公女ルナリィア・ウェルドと、魔導省飛翔騎士団所属、上級魔導士サーンディ・アーランドの二人が、行方不明となった事件、


 更に、最後に二人が訪れた、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの魔導科2年Cツェ組の生徒が8名、先生、1名、そして、取材していた公都の魔導新聞社アウル・ジェーラの記者が1名が行方不明になった、


 此は13日、学校から魔導省への捜査依頼により、判明し、


 翌、14日、魔導省より、百名近い捜査員が学校に来て捜査を開始したが、行方不明者の行方は分からず、



 翌翌日の15日、



 午後4時、


 後、少しの時間で、蒼からオレンジに天の色が変わる、はざまの時間、場所は、ウェルド公国、中央山脈アルマバマスターの東、ゴードバーレン大自然渓谷、



 渓谷中に豪音が響き渡り、



 ミシミシミシミシミシミシミシ!!



 更に、音は止まる事無く音量を増し、



 バキバキバキバキバキバキバキ

 


 天に暗黒の亀裂が走り、



 ボキバキボキバキボキバキバキ



 暗黒の亀裂は、更に巨大音を響かせながら、空洞となり、その空洞から色の無い、黒色の巨大な、蜘蛛、百足、油虫等の数万の虫が飛び出し、



 ウェルド公国を襲った。




 シュタインは、コーネルを暫く見た後、ため息を付いて、


「御主の主張も分かった、あの状況が続けば、確かに『魔神様グゥスォーレ』は、失われる事は間違い無い、その対処として、世界が背負う、其も分かった、」


 コーネルは、嬉しそうに、


「だろう、『頭の良い俺』が言うんだ、間違げぇーねぇよ、」



 ・・・



 百の魔眼(ヒャダルダー)ドルサラージ様、貴方は、何故、こんな低俗な男を生かしているんだ、何故、もっと我々の前に出て頂けないんだ、


 シュタインは、そう思っていた、


 事実に気付く前までは、



 彼は、ドルサラージの声を聞いた時、かって、自分が遥か昔、偉大なドルサラージの下で、使えていた事をうっすらと思い出し、


 死ぬ間際に、彼は、ドルサラージの眷属に成る道を選んだ、



 そして、彼は、コーネルに会った時、愕然とした、意識が二つ、其も、高貴な千の魔玩将(ティトゥサートゥ)を凌駕する意識の持ち主、



 コーネル・オリゴン



 が、存在する事に、



 普通だったら、とっくに、コーネルの意識は、ドルサラージに消され一つになってる筈だ、自分のように、


 しかし、彼は、ドルサラージの意識が覚醒しても、別の意識として存在している、デリカさえ、意識は統合して一つだ、


 何故、こんな事が起こったのか、



 彼は考えた、



 結論は、もしかして、魔導省が彼を抹殺しようとした、『しん』の才能に有るんじゃないか、と彼は思うよになった、


 もしかして、彼は、『第一次魔導大戦』の大戦犯、『しんの皇帝、ゲルト・サークル』に匹敵する、『しん』の才能の持ち主なんじゃないかと、


しんの皇帝、ゲルト・サークル』


 自分が産まれる五十年前、一万の人々を同時に操れたと言われる、超天才、彼を殺す為に、数百人の魔導省の上級魔導士が死んだと言われている、


 それ以降、『しん』の研究は禁止された、魔導の教育も国が徹底的に監視するようになった、


 幸いなのは、奴は、魔導の教育をろくに受けてない、だから、世界は救われた、嫌、奴は救われていた、


 そんな、危険な奴なら、魔導省が放っとく筈がない、


 事実、彼は、魔導省に殺されそうになった、そして幸いにも、覚醒した、ドルサラージ様に救われた、


 しかし、そんな都合良く、覚醒するのか?


 もしかして、ドルサラージ様が急遽、覚醒したのも、コーネルの『しん』の力ではないのか、


 シュタインは、そう思うよになった、


 そして、自分達、百の具魔(ヒャトルトゥ)を覚醒させたのも、彼の『しん』の力ではないのかと、


しん』については、研究が禁止されているから、分からない事が多い、ゲルトの研究も、大部分は危険なので、処分されたと聞いている、


 もしかして、自分の目の前にいる男は、


 千の魔玩将(ティトゥサートゥ)、ドルサラージ様の強大な魔導力を持ち、更に、魔導大戦犯ゲルトに匹敵する、『しん』の力を持つ、



 世界で、一番、危険な男ではないのかと、



 ドルサラージ様は、『遺跡の村』に執着し、『遺跡の村』と、『魔神様グゥスォーレ』が眠る地、『魔神様の寝床(グゥストゥオースード)』が繋がっているんじゃないかと推測なされた、


 その話を知ったコーネルは、その地に、魔導省に勝つ力が有ると睨んで、行きたがっていた、


 確かに、此の世界の『魔神様の吐息(グゥスォーレトゥハァ)』は薄すぎる、此では、ドルサラージ様が力を出せないのも分かる、


 しかし、千人の上級魔導士がいる、魔導省に追われているコーネルは、実際、厄介な存在だ、彼は、本気で、魔導省と戦争しようとしている、


 彼の、魔導省に対する憎しみは深い、


 何せ、『しん』が使えるってだけで、彼は、彼等に二度も殺されかけた、無理も無い、彼は、魔導省から見たら、排除対象、此は、彼等に取っては絶対だ、



 どっちも引かない、


 どっちも、生き残る為に、戦う、


 そう言う事だ、


 だから、コーネルは、此処に来た、


 あの、過酷な、12の試練を乗り越えて、


 そしてコーネルは、神の力を、『魔剣グゥスソー』を手に入れた。


 しかし、其だけで、果たして、魔導省に勝てるのか、


 此方は、三人、


 魔導省は、千人、


 そして、魔導省には、噂では、魔導皇、魔導聖帝まどうせいていクラスの化け物、


 魔導省飛翔騎士団、団長、



 ルーフェンス・ガイアード


 がいる、



「で、どうするんだ、仮に、戻ったとして、魔導省に追われるのは、変わらんぞ、其は、どうする気だ、」


 コーネルは、嬉しそうに、


「勿論、おりゃ、強くなったし、負けねぇから、カチコミ、掛けんのよ!」


 シュタインは、目を丸くして、


「カ、カチコミ?」


 コーネルは、何だ、あれってな顔で、


「あれ、そうか、堅気者カタギモンにゃ分かんねえか、戦争よ、魔導省と戦争するって言う、俺達の言葉、ね、」


 シュタインは、慌てて、


「戦争だと!三人でか、相手は千人の上級魔導士だぞ、儂も、デリカも武闘派じゃ無い、戦力にはならんぞ!」


 コーネルは、頷いて、


「うん、分かってる、シュゥじいは、俺の相談役と金儲け担当、デリカはガキだから、遊んでろってね、」


 デリカは、頬を膨らまして、


「ガキじゃないもん!!」


 コーネルは、笑いながら、大地の裂け目を指しながら、


「『頭の良い俺』が言うには、あれは不条理の裂け目なんだそうだ、分かるか、シュゥじい、」


 不条理の裂け目?


「其でな、その中には、不条理に、魔導省の奴等に殺された魔導士達が、沢山いて、俺の力なら、呼び出せるって言うんだ、」


 ドルサラージ様が、コーネルの力を、『しん』の力か?


「どう言う事だ?」


 コーネルは、首を振りながら、


「俺も分からん、まぁ、やってみっから、見てな、」


 そう言いながら、コーネルは、『魔剣グゥスソー』を裂け目に向けた瞬間、


 ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ


 沸き上がる『混沌虫カオスバグ』に混じって、此方に向かう影、その数、千人、


 彼等は、ボロボロのフード付きコートのフードを深く被り、そのフードの下の顔は、全て骸骨、


「あ、あれは!」


 コーネルは、平然とし、


「ありゃ、過去、魔導省に殺された、魔導士で、顔が無いのは、俺が奴等が誰だか知らないからだそうだ、でも、実力は、俺の眷属だから、上級魔導士を越えると、『頭の良い俺』が教えてくれた、」


 挿絵(By みてみん)


 シュタインは、驚愕し、


「こ、コイツらは、不死なのか?」


 コーネルは、左手で、頭を掻きながら、


「残念だけど、真理と法則の世界じゃ、法則が働くから、不死は無理なんだと、普通に死ぬそうだ、けど、死んだら、また、俺が此処に来ると、彼奴等あいつらを、死んだ数と同じ数だけ増やせるらしい、」


 死んでも、同じだけ増やせる!


 其は、不死と変わらないんじゃないのか?


 シュタインは、再び、ため息を付き、



「我々は、無敵と言う訳か、」


 コーネルは、嬉しそうに、


「そうだな、俺たちゃ、無敵だ、此だけ、揃ってりゃ、魔導省にカチコミ出来るぜ、」


 その時、死者の集団の中から、三人の白いフードを被った死者が、前に出て、


『カチコミトハ何ダ』


 コーネルは、三人を睨みながら、


「何だ、おめぇら、」


 左端の白いフードで、赤い眼孔の骸骨が、


『我ハ、スダルガ・レードン、』


「ん? 知ってか、シュゥじい、」


 シュタインは、頷きながら、


「あぁ、第一次魔導大戦の大戦犯ゲルトの右腕と呼ばれた男、」


「魔獣使いの天才、『魔獣王スダルガ』だ、」


 コーネルは、感心して、


「へぇ、そんなスゲェ奴も要るんだ、じゃ、オメェは?」


 真ん中の、眼孔が緑黒の骸骨が、


『私ハ、ボルド・ドーベンダ、』


「知ってか、シュゥじい、」


「奴は、人に禁断の『レン』を使い、巨人を錬成した、ゲルトの左腕、」


 シュタインは、言葉を切った後、


「『巨人創造主(ジャイアンメーカ)のボルド』、」


 コーネルは、左手を顎に当てて、


「へぇー、巨人か、良いね、良いね、で、お前は、」


 最後の右端の白いフードを被った、眼孔が蒼黒の骸骨が、


『バルド・レェーゲン、』


「知ってか?」


 三人目だから、コーネルも投げやりで、シュタインは、驚き、


「知ってるも、何も、大戦犯ゲルトの護衛で、もっとも魔導士を殺した男、殺した数は、百人はゆうに越えていると言われている、『暗殺者バルド』だ、」


 コーネルは、嬉しそうに、


「暗殺者!!そんなスゲェ奴までいんのか、良いね、良いね、本当に良いね、」


 左端の白い骸骨、スダルガがコーネルに、


『デハ、カチコミトハ?』


 コーネルは頷いて、


「魔導省と戦争する事だ、」


 その瞬間、


 ズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッズッ、


 千人の骸骨が、コーネルにひざまずき、


 骸骨達が叫ぶ、



 主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、主ヨ我ニ名ヲ、



 叫びは、『喪なわれし地平線(ロストホゥ)』に木霊し、



「そうだな、おめぇらは、魔導省に死を持たらす、者、魔導死だ!!!!」



 その瞬間、魔骸骨達は立ち上がり叫ぶ、



 魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!魔導死!



 次々に、骸骨達は叫び、


 

『魔獣王スダルガ』が右手を上げた瞬間、


 パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、パサッ、


 10匹の骸骨の飛竜が、不条理の裂け目から飛び出し、


巨人創造主(ジャイアンメーカ)のボルド』が、左手を上げた瞬間、


 ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン、ズドン


 10体の骸骨の巨人が、不条理の裂け目から這い上がって来た、



 その光景に気分が高揚し、興奮した、コーネルは、『魔剣グゥスソー』を高く掲げ、



「おめぇらは、魔導省を滅ぼす、魔導死の軍団、死瘴騎士団だあああ!!!」



 骸骨達は叫ぶ、



 死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、死瘴騎士団、



 その叫びは、『喪なわれし地平線(ロストホゥ)』に、何時までも、響き渡っていた。

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