新たなる扉
魔導暦2035年5月12日の火曜日に、第12回の放課後自主講座が開催され『星の遺跡・海岸』攻略が開始された、
そして、最後の試練、水虎の首を、ダンが跳ねた時、『星の遺跡』の、仕組みが発動し、俺達は、遺跡の終点で有る、
『喪なわれし地平線』に、飛ばされた。
其処は、俺が星に託された目的地の終点だった、
俺は、星より託された使命、『星に愛されし民』を『星の遺跡』の果てに連れて行くと言う、使命を達成した。
此処で、俺は、皆に俺の星の使命を話、此処が、俺の使命の終点で有る事を説明した、
後、残るのは、ハルの守護星が、ハルに語る、『星の中心』に行くと言う事だけで、此処から、魔導四輪車で二時間、の場所なので皆で、行ってみる事になった。
その二時間の場所と言うのも、此所は、『喪なわれし地平線』、距離、時間、全ての概念が喪われた世界、だから、其処に有ると、俺が皆に暗示を掛け、その暗示に、我々は、ただ、騙される、其が、此の世界の真実だ、
勿論、俺は、皆には此の話はして無い、下手に説明すると、全ての現実も嘘になり、俺達の存在事態が否定される、此所はとても危険な場所だ、
此は、以前、皆で此の場所に来た時、天皇星の大賢者が、俺に教えてくれた、その時の俺は、バカだったから、彼の言う事が分からなかった、
まぁ、彼は、俺がバカだったから、安全だと思って教えてくれたのかも、知れない、
だから、今なら分かる、此の場所が如何に、危険な場所で有るかを、
正直言って、俺は、直ぐにでも、宿舎に、バルセリア魔導高等学校に帰りたい、其が、本音だ、
だが、駄目だ、ハルの強力な守護星が、その先に行けと言っている、逃げる事は出来ない、其が、俺達の宿命、
其に、俺はもう1つ、皆に、此の場所について言って無い秘密が有る、
此の場所は二千年前、俺達、七人の星の使途が、幼き神、『魔神』を眠らせた地だ、
もし、俺が彼等に、『魔神』の話をしたら、彼等の目に『魔神』は現れ、神は現実の者となり、具現化する、
あれは、二千年前、
かって、世界に幼き神、『魔神』が降臨した時、世界は混沌と混乱に包まれ、人々は、こんな神等、望まなかったと、口々に喚き散らした、
当時の俺は、テメぇらが、かってに神を望んだくせに、自分達の理想じゃねぇってだけで、ガキの神を悪く言う奴等に対して、結構、腹を立てていた、
そんな、俺に対して、天皇星の大賢者は、笑いながら俺に、神とは、人とは、そう言う者だと教えてくれた、
此も、その時は、俺は、バカだったから、彼の言ってる意味が分からなかった、
だが、今なら分かる、神とは良い事も、悪い事も、等しく、世界にその奇跡を具現化する存在、だからこそ、神は姿を現してはいけない、
現れなければ、人は、良い部分だけ、神に感謝する、其で良い、
具現化も神格化も分からない、生まれたばかりの神に、神として、どうあるべきかを考えろと言うのは、無理な話だ、
だから、当時の『魔神』は、酷かった、神として、その眷属を造り、作っては壊し、世界を変えては、世界を壊し、
そんな、『魔神』が作った眷属や、世界を、俺達は軽蔑して、『魔神の玩具』と言った、
二千年前の、まだ、俺が若かった頃の話だ。
まぁ、俺は、『星の使徒』で、皆と違って、『魔神』を信じて無い、だから、こうやって、幾ら、『魔神』の事、考えても、奴は、俺の前に現れもしない、
ふぅ、
俺は、『忘却の大瀑布』を見ながら、ため息をついた。
「スグルさん、ちょっと良いですか、」
ん、
考え事して気付かなかった、ジェミか、
「どうした、ジェミ、リアと喧嘩でもしたのか?」
ジェミは、苦笑いをしながら、
「してませんよ、今、彼女は、シャワーしてます、」
俺は、また、ちょっとからかいたくて、
「おっ、じゃ、覗きの相談か!」
ジェミは、真っ赤な顔で、
「違います、スグルさんに、此を見て貰いたくて、」
そう言って、ジェミは左手を俺に見せた、
左手の人差し指には、右手の人差し指に填まっている指輪、『星の秘蔵庫』と対称的なデザインの指輪が填まっていた。
これは、
天皇星の大賢者のもう1つの『星具』
『星の秘門錠』!!!
・・・
そう言う事か、
ジェミ、お前は、やっぱ、彼の、
彼の、後継者、って、事か、
やっぱ、居ないんだな、
彼は、
此の世界の、
何処にも、
「スグルさん?」
「あっ、悪りぃ、何でも無い、で、ジェミ、其を、何処で?」
ジェミは、ちょっと、安心したのか、
「此は、『星の遺跡』の途中で、気付いたら、僕の指に填まってたんです。」
・・・
そうか、ジェミが成長したから
、指輪が現れたって事か、
確か、天皇星の大賢者が言ってたな、『星の秘門錠』は、『星の秘蔵庫』よりも、『星の力』を使うって、
ジェミが、指輪を使いこなせる位に、『星の力』を使いこなせるようになった、そう言う事か、
「ジェミ、その指輪は、『星の秘門錠』って言ってな、俺の『星の門』、まぁ、『何処でも扉』と同じ機能が有る、指輪だ、」
ジェミは、びっくりした後、嬉しそうに、
「すっ、スッゴいです、スグルさん、其で、其で、どう、どうやって使うんですか?」
ん、
どうやって使うんだ?
まぁ、適当に言ってみっか、
「俺の場合は、前に言ったように、自分が見たり、行った場所を思いながら、『星の門よ!開け!!』って感じで、『星の門』を開くんだけど、」
ジェミは、少し考えた後、
「『星の門よ!開け!!』」
と、言った瞬間、
指輪が光り、ジェミの左手に翠光の光りが集まり、其が、15センチ位の光り壁になって、その光りが落ち着くと、その中に見えるのは、俺の宿舎の前の森、
俺は、感心しながら、
「すっげぇな、まぁ、扉じゃねぇけど、窓だけど、此は立派な『星の門』だ、たぶん、もっと、成長すればもっと大きく開く事が出来んじゃねぇのかな、ジェミ、」
ジェミは、感激して、
「有難うございます、スグルさん、」
へぇ、ジェミが、俺に礼か、
・・・
「なぁ、ジェミ、ちょっと、お前に話しときたい、事が有る、」
俺は、ジェミに、ハルの星の真実を、その星と皆の星の関係を、話す事にした、
俺は、ジェミと俺を囲むように、『星隠し』を張り、
話を始めた、
此の場所の、危険性も含めて、
結局、俺はジェミに、俺の素性以外は、全て話した、此の情報をどう生かすかは、ジェミに託された、
此で、此の世界の俺の仕事は、終わった、その証拠に、星は、もう、何も語ってはいない、
「スグル、少し、休まなくて、大丈夫なのか、」
俺が、まだ、ぼうーっと、『忘却の大瀑布』を見ていると、今度は、ルーナちゃんが俺に、声を掛けて来た、
「ルーナさん、済まないなぁ、何か、関係無い事に、貴女達迄、巻き込んじゃって、」
ルーナちゃんは、俺の顔を、ジーっと見た後、
「謝るのは、私達だ、私達は、スグル、貴方に伝えて無い事が、有るんだ、」
?
俺に?
「俺に伝えて無い事、ですか、」
ルーナさんも、大瀑布を見ながら、
「私も、つい最近、知った事で、余りにも、途方も無い事だから、老人達の戯言だと思った、」
ルーナさんは、何を、俺に言おうとしてんだ?
「スグル、私達の世界では、各国の知恵者や、権力者が集う会議が有る、其を、『円卓の賢者』と言う、勿論、私の父も姉様も会員だ、」
「『円卓の賢者』ですか?」
ルーナは、話を続ける、
「私は、その会議に、姉様に言われて、姉様の代わりに出席した、そして、その席上で、彼等から、古来より、彼等に伝え続けられている、1つの予言を、教えられた、」
1つの予言?
ルーナは、一息置いた後、
「それは、『『約束された子』が現れた時、世界の終わりが始まる、』、そう言う、意味不明の内容だ、」
世界の終わり!
世界の終わりに現れる星、
破軍の星!!!
まさか、
「1つ、分かっている事は、『約束された子』は、喪われた星の力を使う、そう言われている、」
『星の力』!!!
「最初、私は、『約束された子』は、貴方の事だと思った、世界に、『魔人』も現れたし、」
魔人、
あぁ、
魔玩兵・ベルゴンゾーナ、彼奴はザコだ、
世界を、滅ぼす、奴等なら、
魔神の三大玩具、
その、直下の10人の超魔人、
千の魔玩将!!
破壊の魔玩、ドルガンギアス
魔炎の玩帝、ズリアドラージ
そんな、化け物級の魔人達が、此の世界に現れたら、確かに、世界は終わる、
世界の終わり、
彼等が、俺と同じく、戻って来る、
そう言う事か、
じゃ、星の中心にいるのは、
奴等か?
奴等とハルが、戦うのか?
嫌、俺も、一緒に戦う、
「どうした、スグル、顔色が良く無いぞ、」
ルーナが、心配している、
「あぁ、大丈夫だ、」
大丈夫だ、
今の俺なら、何とか、奴等と互角に、戦える筈だ、
「だが、君は、子供達に『星の力』を教え、導き始めた、もしかして、『約束された子』は、貴方が教えている彼等じゃないのか、そう思い、其を確かめる為に、私達は、今日、高校に来た、」
落ち着け、俺、
「其で、納得したのか、ルーナさん、」
ルーナさんは、暫く、俺を見た後、首を振りながら、
「分からない、スグルの神話のような話を聞いたら、もっと分からなくなった、」
「そうか、」
その後、ルーナも言葉を続けず、俺も、何も話さなかったから、暫く、ただ、二人で黙って、『忘却の大瀑布』を見続けていた。
「なぁ、スグル、話は、変わるんだけど、」
ん?
「スグル、・・・その、君は、・・・その、君の国に、・・・気になる娘が居たって、聞いたんだが、」
えっ!!!
話、変わりすぎ!
ルーナさんは、顔を赤くし、髪をいじりながら、
「そ、その娘は、どんな娘だ、スグル!」
えっ?
スグルの世界での、気になった娘、
「そ、そうだなぁ、職場で、良く見掛けた、ショートカットで、黒い髪、淡い紫の瞳の娘で、」
ルーナが、目を見開いて、驚いた顔で、
「ちょっと待て!!!スグル!!!」
その時、
「お話中、大変、申し訳ございませんが、スグル様、ルーナ様、そろそろ、出発の時間でございます、」
エリンさんが、俺達に、声を掛けて来た、
「あぁ、エリンさん、じゃ、出発しよう、で、ルーナさん、続きの話は、学校に戻ってからで、良いかな、」
ルーナは、俺の顔を見ながら、
「・・・済まない、スグル、そうだな、また、今度、話を聞かせてくれ、」
そう言って、ルーナも、魔導四輪車に向かって、歩き始めた。
3台の魔導四輪車、先頭の魔導四輪車には、運転手にエリンさん、乗るのは、俺に、ハル、エミ、ダン、オルにジェミの六人、
後ろの魔導四輪車には、運転手はアンリ、他はリア、ドーリ、ローシィ、ルーナ、サーディ、メルティスト先生、の七人、
最後尾は料理専用魔導四輪車、運転するのは、ブライ、
20時、3台の魔導四輪車は一列縦列で、『星の中心』に向かって、出発した。