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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の真実編
109/136

喪われし地平線

「スグル、スグル」


 声が、聞こえる、


 あれは、聞いた事が有る、


「スグル!!!」


 ルーナ!!!


 俺は、気が付いて、飛び起きた、


「ルーナ!」



 はぁ、はぁ、はぁ、



 トラップが発動したのか?



 俺の右横には、心配している顔のルーナが、正面にハル、左横にジェミ、


「俺は、気を失ったのか?どのくらいだ?」


 ルーナが、首を振って、


「分からない、世界が一瞬で変わって、気付いたら、此所に全員が集まっていた、そしたら、スグル、貴方が空から落ちてきて、一体、何が起きたんだ?」


 俺が、空から、そうか、思い出した、


 俺は、ゴッソリと『星の力』を抜かれて、何者かが、その力を使って、強制的に、此の場所への『星の門(スターゲート)』を、開いた、


 此所は?


 俺は、回りを見渡した、


 荒野、大瀑布、星天に輝く、中心の星、



 ・・・



 俺は、



 此の景色を、



 見た事が有る、



 まさか、



 此所は、



喪なわれし地平線(ロストホゥ)』!!!


 挿絵(By みてみん)


 ハルが心配そうに、


「師匠、ジェミが直ぐに、師匠に魔石アウル・オーダをぶちまけて、そしたら、師匠が目を覚ましたんです!」


 ジェミが、


 俺は、ハルの横にいるジェミを見た、ジェミは変わらない表情で、


「スグルさんの倒れかた、前にハルが倒れたのと同じだったから、もしかしてと、思って、」


 俺は、納得して、


「そうか、ジェミ、有難な、」


 ジェミは、頷きながら、


「処で、スグルさん、その右手に持ってるのは、何なんですか?」


 えっ、右手?


 俺は、右手を見た、感覚が薄れていたのか、俺は、自分が、何か持っているのか気付かなかった、


 其は、スイッチの付いた、8面体の黄金の遺物、


 次の、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)キー


 其れも、スイッチで起動するようになってる。


 本来、次に行くべき『星の遺跡』のキーが、俺の手に有ると言う事は、まだ、俺は、『星』から託された使命を達成して無いって事か?



終点ゴール



 えっ、!!!



 その時、俺は気付いた、


 星天からの、小さな声を、



 聞こえる、


 星の声が、


 俺は、世界の中心で輝く星を見た、


 星は、ハッキリと語っている、



 此処が、『終点ゴール』だと、


 後は、世界の中心へ、行けと、



 俺の使命は、終ったのか?



 本当に、終ったのか?



 俺は、立ち上がって、ジェミに礼を言いながら、キーを、彼に渡した、


 ジェミは、えっ、てな顔して、


「スグルさん、此は?」


 俺は、ニヤッ、てな顔して、


「ああ、次の『星の遺跡』のキーだ、俺に、もう必要無い、」


 ジェミは、ビックリして、


「えっ、必要無いんですか?」


「あぁ、此処が、俺の『終点ゴール』だ、」


 ジェミに、次の『星の遺跡』のキーを渡した時、俺が元気だと、分かると、安心したのか、直ぐに、ルーナが、俺に向かって、


「スグル!!此は、一体、どう言う事だ、説明しくれ!!!」


 と、騒ぎ出した。



 ふぅ、



 俺は、一呼吸置いて、


 回りを見た、


 ローシィが、メルティスト先生が、ブライが、エリンさんが、此方を見ている、その後ろには、不安そうに、エミちゃんが、表情を変えないリアちゃん、アンリちゃん、そして、信頼してます、ってな顔した、ダンとオルが、


 更に、怖い顔のサーディさんと、心配そうに、ドーリが、



 そうだな、



 ハッキリと、ある程度は話す、時か、


 その前に、


「何か、食わしてくれ、ブライ、腹減って力が出ねぇ、」


 そう言うと、ブライは笑いながら、


「そうだな、スグル、飯にしよ、」


 エリンさんも、笑顔で、


「準備は、出来ておりますよ、スグル様、」



 えっ、準備?



 ジェミが、頷きながら、


「じゃ、出しますね、エリンさん、」


 そう言った瞬間、御馳走が、山盛りの巨大なテーブルが、



 ドォーーーンン!!!



「えっ?」


 ルーナちゃんが、目を丸くして驚いてる、


 可愛い、


 俺は、そんな可愛いルーナちゃんの肩を押しながら、


「大丈夫だよ、ルーナさん、此所は安全だ、ゆっくりと、食事をしながら、語ろう、」


 ローシィは、ちゃっかり、グラスと酒を持って、嬉しそうに、


「そうそう、殿下とスグルの馴れ初めも、聞きたいし、」


 ルーナちゃんは、真っ赤な顔して、



「ローシィ!」



 ルーナちゃんの護衛の、怖いサーディさんは、やれやれって感じで、此方、見てるし、


 まぁ、兎に角、打ち上げだ、



 此の、『喪なわれし地平線(ロストホゥ)』で、





 俺達は、水平線に大瀑布が見える世界で、打ち上げをした、


 此の、大瀑布は、『忘却の大瀑布』と呼ばれ、実際には存在しないと、天皇星の大賢者(ウラノスター)が俺に教えてくれた、


 生きとし生ける、万物霊長の思いが、大瀑布のイメージとして俺達の瞳に写るんだとか、


 だから、見る人によって、形も状況も変わる、美しく見えるのは、良い思い出に囲まれているからだ、汚く、汚れて見えるのは、不幸な人生を送ったからだ、と、


 二千年前の彼は、俺にそう冗談を言って、俺を慌てさせた、


 当時の俺は、此の景色が美しいと思わなかったからだ、



 だが、今なら、分かる、


 天皇星の大賢者(ウラノスター)が言いたかった事が、



 今の俺には、あの水平線の大瀑布が、とても、美しく見える、


 その美しい景色を見ながら、俺は、ブライが焼いた、鶏肉コゥを口に入れた、


 此の鶏肉コゥには、俺が育てた、『星に祝福されし果実(スタラブルタゥタァ)』から作ったソースがたっぷりと掛かっている、


 表面はカリカリ、中はジューシーで、抜群に旨く、ソースのお陰で、だいぶ、『星の力』が戻って来るのが、感じられる、


 良い、実に良い、流石、ブライだ、旨い!絶品だ!!



「じゃ、スグルは、ハル君が、その、『星に愛されし子供(スタラブルチャー)』って言う、存在で、そのお供の、皆が、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』だから、皆を、此処まで、連れて来たって、言いたいのか、」


 ルーナちゃんも、鶏肉コゥを頬張りながら、俺に、話し掛ける、


「正確には、リアちゃんは、違うんだけど、他の五人はそうだ、だから、星は、彼等に、『星具スタートゥ』を、渡した、」


 ルーナちゃんは、少し考えながら、無意識に、俺が育てた、パンの木実(デゥタ)をかじり、また、目を丸くして、


「うっ、旨い!」



 俺は、笑いながら、


「そうだろ、そうだろ、俺が育てたんだ、旨いだろ、」


 ルーナちゃんは、俺をまじまじと見た後、首を振りながら、


「此の世界の景色と言い、スグルの星の人々の話と言い、まるで、姉様や、妹が好きな神話の世界の話だ、」


 メルティスト先生は、俺が作った野菜を頬張りながら、


「パリパリ、殿下、魔導考古学的に、星の民も、星の国も、事実、パリパリです!」



 ・・・



 先生、食べるか、話すかの、どっちかに、しようね、ルーナちゃんも、笑ってるし、


「其で、スグル、此れから、どうする気だ、」


 俺は、自分の体の状態と、『星の力』の貯まり具合から、


「うーん、後、4、5時間位したら、たぶん、俺の宿舎の前に、『星の門(スターゲート)』、まぁ、『何処でも扉』って奴を開く事が出来る、その時、一旦、帰るか、其とも、」


 ルーナは、ちょっと、眉をひそめて、


「其ともとは?」


 俺は、魚を揚げて、ソースを絡めた、ムニエルって奴を口に入れて、


「あっ、此も、うめぇ、まぁ、此れから先は、ハルが決めた方が良いんじゃねえの、なぁ、ハル、星が何か、言ってんだろ、」


 ハルは、あまり、食べていない、心配そうに、俺の顔を見ている、


「師匠、・・・済みません、その、星が急げと、僕に、」


 ・・・


 やっぱ、そうか、


「あの、動かない、星の中心の下か?」


 ハルは、頷いて、


「はい!」


 さて、どうする、


 ・・・


「じゃ、こうしよう、取り敢えず、二時間、休憩する、その間、シャワーを浴びたり、仮眠する、で、その後、三台の魔導四輪車(モーグコルク)で、『星の中心』の下に向かって出発しよう、たぶん、二時間位で着く、」


 俺は、此処で、言葉を止め、


「もし、その場所が危険だったら、俺は、直ぐに、その場所から、『星の門(スターゲート)』を開いて逃げる、其だったら、星も納得するんじゃねぇの、ハル、」


 ハルは、嬉しそうに頷いて、


「はい、師匠、」


 メルティスト先生が、肉の固まりを口に入れながら、


「ぼんどぅに、ぎげん、モグモグ、だったら、ずぐに、逃げて、モグモグ、下さい!」



 ・・・



 先生、本当に食べるか、話すかの、どっちかに、しようね。



 ダンが、心配そうに、


「スグルさん、その、目的地って、二時間で着くんですか、」


 俺は、ハッキリと言った、


「あぁ、絶対に、二時間で着く、」



 此は、俺が、皆にした、暗示だ、此の、『喪なわれし地平線(ロストホゥ)』では、時間も、距離も意味を持たない、


 だから、喪われたと、言われている、時間は、二時間と思うと、本当に二時間が経ち、距離が其処まで、1メートルと言うと、1メートルになる、



 此所は、概念が喪われた世界、



 俺は、『星の中心』が、此処から時速40キロメートルで走る魔導四輪車(モーグコルク)で、二時間掛かると言った、だから、『星の中心』迄の距離は、我々にとっては、80キロメートル有る事になる、


 その位の距離が有れば、もし、其処に、ハルの星が敵対する相手が居たとしても、俺が何とか出来るし、たぶん、逃げる事も出来る、


 5分とか、10分じゃ駄目だ、5メータや10キロメートルでも近すぎる、


 その為、俺は、4時間の時間と、80キロメートルの距離を作った。

 


「えーと、今、18時だから、20時に出発、『星の中心』には、22時に着く、まぁ、学校に戻るのは、22時半になるけど、」


 俺は、メルティスト先生を見て、


「じゃ、戻ったら、先生、生徒を夜、遅くまで、引っ張りまわした、始末書、学長に宜しくお願いします。」


 メルティスト先生、食べようとした、野鳥コルゥコゥの味付け卵を、ポトリと落とし、


「バカ!スグル!!」



 うん、先生、絶好調、



「でも、此処に来るのに、何で、スグルの、その『星の力』って、奴が必要だったの、他は要らないんでしょ、」


 と、聞いてきたのは、酔って真っ赤な顔のローシィ、


 確かに、其は、俺も疑問に思っている、


 ・・・


 俺が考えるよりも、彼奴あいつ、リアちゃんとイチャイチャしてる奴に聞くか、


「なぁ、ジェミ、此に関しては、どう思う、」


 ジェミは、急に振られたので、慌てて、


「えっ、僕ですか、」


 俺は、頷いて、


「そう、俺は、ジェミ、お前の意見が聞きたい、」


 ジェミは、ため息を付きながら、


「そうですか、そうですね、うーん、少ない情報を整理すると、スグルさんが言うには、『星の遺跡』は、ある種の訓練所なんですよね、」


「そうだ、」


「で、その訓練所には、誰でもはいれるんですよね、」


「まぁ、『星の力』が使えればな、」


 ジェミが、いろいろと聞いてくる、


「でも、その訓練所で訓練しなくても良いくらいの、強い人が、その訓練所に来たとしたら、どうしますか、」


 俺は、簡単に、


「まぁ、出てって、他の・・・そう言う事か、」


 俺は、ジェミが何を言いたいのか、気付いた、


 俺達は、俺を基準に、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)から、追い出された、そう言う事か、


 もともと、『星の遺跡・海岸』は、そう言う仕組みだったとしたら、その強さの基準が、『星の力』を何れくらい、体に貯えられるかだとしたら、勿論、その量を基準に次の、『星の遺跡』の行先を決める、


 其で、俺が基準になって、最後の、『喪なわれし地平線(ロストホゥ)』に飛ばされた、


 勿論、対価として、『星の力』を支払う、とジェミは、言っている、



 成る程、其れなら、俺も、納得が行く、其に、『星の力』がスッカラカンに成ったのも、俺が、常時、ケティの為の、『星の門(スターゲート)』を開いているのと、皆の為に、『星隠し(ダークスター)』を張っていたからだ、



 俺は、その事を皆に説明した、


 やっぱ、ジェミは、ある意味で、頭が良い、ルーナちゃんも、ジェミに感心していた、



 あれで、性格が、



 ・・・



 性格が悪いのは、俺か、


 ジェミじゃねぇんだよな、


 分かってんだよ、俺だって、


 でも、ハルみたいに師匠、師匠って言わないし、頭、良いから、可愛げ無いし、



 似てんだよな、


 天皇星の大賢者(ウラノスター)に、

 



 結局、俺は、ハルの守護星と、皆の守護星についての話以外は、喋った、勿論、俺が、何者かは、話してはいない、


 俺の話は、もう、遥か東の島国の出身で充分だ、嘘じゃ無いし、本当の名前、コーリン・オーウェルって言ったって、また、皆、笑うだけで、誰も、信じないし、


 ただ、ルーナちゃんは、俺が、コーリンだって事を、信じてたみたいだ、


 何故だ、


 その話は、まぁ、彼女と二人になった時に聞けばすむ事だし、俺としては焦って聞く内容じゃない、


 問題は、ハルの守護星だ、世界の終わりに、出現する星、なんて、軽く話せる内容じゃねぇし、俺の勘違いだったら、只の、お騒がせ者だ、


 もう少し、ハッキリとしなくちゃ、他の奴等には、話すべきじゃ無い、と、俺は思った、


 だから、俺は、此の話をしなかったし、話題にもしなかった。



 こうして、最後に、『星の中心』の場所に行く、って、決まったので、皆、リラックスして、此の、打ち上げを、皆、楽しんで、



 終わった。

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