背負いし星
其は、奇跡の瞬間だった、
流れ星
何万の星が、ハルに降り注ぎ、ハルの『右星の扉』が完全に開いた、瞬間でもあった。
星の輝きに包まれたハルは、荒れ狂う海原に静かに立ち、波は、ハルの回りのみ、静か、
瞳は、より、深きコールドブルーとなり、右手には完全に小太刀となった、『破星の剣』を握り締め、
ハルは静かに、
限りなく、静かに、
『殺レ、』
その瞬間、
ドッバアアアアアアアンンン!!
海面より、舞い上がるは、大水飛沫、
その中心には、光り輝く少女、
瞳が、薄く輝き、
紫の髪は、光りながら、靡、その光りは少女の全身を覆う、
その少女の名は、
アンリー・スウィート
ドゥーベの星を背負いし、孤狼の少女、
手にするは、双剣、
『星狼の双剣』
同じく、跳ね上がるは三つの黒き影、
対星の戦士用自動人形
アンリは、星輝く、満天の夜空に舞う、
その舞い、優雅にして、華麗、華麗にして、荘厳、
手にし、星狼の双剣が、星の波の如く、光り輝きながら、波打った瞬間、
三体の対星の戦士用自動人形の頚が胴体より離れ、
高く、高く、舞い上がる、
同時、同時刻、
ザッバァアアアアアアアンン!!!
海面より、大水飛沫と共に撃ち上げられし、三体の黒き影、
対星の戦士用自動人形
更に、水底より、光り輝く輝線が、追い討ちを掛けるが如く、星、光り輝く星界に向かって撃ち上げられ、
ズバッシュ!ズバッシュ!ズバッシュ!
星、輝き輝線は、三体の魚人を両断し、影は六となる、
その輝線を発した、本人が、
ゆっくりと、水面に浮かび上がり、その姿、
勇猛にして、果敢、果敢にして、剛毅、
金の髪は、星光る水滴を飛び散らせ、その瞳は、深い、エメラルドグリーンに輝き、その輝きが全身を覆いながら、
海面に立つ青年の名は、
ダンバード・グラスタ
ミザールの星を背負いし、才無き英雄、
右手に持つは、星界の地平に昇りし、繊月の秘剣、
『月下の秘細剣』
同時、同時刻、
その瞬間、
赤き髪が、燃えるように、靡き、彼女は、立ち上がる、赤き光りは、より、輝きを増しその赤き光りが輝きながら、星界に舞い上がった時、
彼女は、毅然と、顔を上げる、
その姿、幽玄にして、清楚、清楚にして、冷厳、
彼女の名は、
エミリア・ドルネッサ
レンテイの星を背負いし、真に強き少女、
星天に翳すは、短杖と成長した、時を制する、秘杖、
星時計盤、その名は、
『ウルテサイマー』
作りしは、静寂なりし世界、
存在するは、三体の、
対星の戦士用自動人形
その前に立は、右手を水平に構えし青年、
その構え姿、精悍にして知的、知的にして、壮観、
その右手は、ウォータブルーに輝き、その輝きは、彼の全身を包む、
彼の名は、
オルダス・ホールス
メラクの星を背負いし、策略の知将、
右目に、掛けしは、一回り大きな片眼鏡に成長した、星の秘宝、
『水星の片眼鏡』
シュゥッワアアアアアンンン!!!
右手より放たれた、碧き光りは、
バキバキバキバキバキバキ、
空虚を凍らせながら、
両刀使いの、魚人に向かい、
スパァーアアアアアアン!!!
光りが、魚人に到着した瞬間、
その光りと共に、魚人は、凍り、
パァキーーーーンンンン!!!
砕け散る!!!
同時、同時刻、
美しき、魔導の天才、
コーネリア・ロンディーヌ
彼女は、右手を水平にして、
右手に、膨大な『魔素』を集め、
変換するのは、『力』、
その力、巨大にして、暴虐、暴虐にして、壮烈、
ああ、此の、巨大な『力』を制するからこそ、
上級魔導士、
彼女は、右手を握り締める、
バァギャアアアアンン!!!
ゴッギャアアアアンン!!!
暴虐な『力』に、一瞬で潰されるは、二体の魚人形自動人形、
星天に舞い上がるは、九つの、魔石、
其を、受け止めるは、
右手を星天に向けて、高く掲げている若者、
その姿、優しく、聡明、聡明にして賢明、
その、若者の名は、
ジェミオ・バレットス
フェクダの星を背負いし、先賢の若者、
その右手には、光り輝く、星の秘宝の指輪、
その名は、
星の秘蔵庫
魔石は、空中で星の秘蔵庫に収納されて消える、
若者は、後ろの若者に、笑いながら、声を掛ける、
「ねぇ、ハル、どうする、此の、大きな、魔石、今の、君には、もう、要らないと思うんだけど、」
後ろの若者も、笑いながら、
「そうだね、今は、要らない、だけど、此の後、必要になるかも知れないし、一応、出来るだけ、集めてくれないか、ジェミ、」
その若者、光り輝く髪を、風で靡かせ、その瞳は、深きコールドブルー、
その姿、毅然、毅然にして、強靭、強靭にして、不撓不屈、
彼の名は、
ハルチカ・コーデル
六の星を率いる、運命の星、
アルカイドの星を背負いし、星に使命を託されし若者、
その右手に持つは、光り輝く小太刀、
その名は、
『破星の剣』
彼は、光る小太刀を、目指す、離島に向けながら、
「さぁ、行こう、皆!」
全員が、荒ぶる波の上を、並んで歩き始める、
中央に、ハルチカ、右にエミリア、コーネリア、ジェミオ、
左に、ダンバード、アンリ、オルダス、
彼等は、疾走する、ゴールの離島に向かって、
走りは、高く撃ち上げられる波を打ち砕きながら、彼等は激走する、
七つの星を背にし、
彼等は、走る、
俺は、彼等が完全に成長した事を、自分の目で確認した時、
ふぅ、
安堵のため息が出た、
ハッキリ言って、自分が戦うより、遥かに辛い、手は汗でビッショリと濡れてるし、
下からの、メルティスト先生の怒鳴り声も、だいぶ大人しくなった、後は、あの島に到着したら、今日の、放課後自主講座は終了、
そう、思ってたんだが、
此の、星の力の訓練所は、一筋縄では行かなかった、
彼等が、目的地の離島迄、後、百メータに達した時、水面が巨大に泡立った瞬間、
ドッバアアアアアアンンン!!!
体長が六メータを越える、巨大な水虎が水面より立ち上がった!
ちっ!
俺は、舌打ちをして、水面を、水虎を睨んだ、
此で、終わってくれたら、そう思っていたんだが、星の力の訓練所は、甘くねぇ、
第三局面迄、用意してやがる!
巨大な水虎の出現を見たローシィは、唖然として、メルティストに聞いた、
「あの子達、あんな危険な練習を、ずうっと続けてきたってこと!」
メルティストは、頷きながら、
「・・・此処までは、酷くなかったけど、確かに、ずうっと、過酷な状況は、変わらなかった、」
ローシィは不思議そうな、顔をして、
「しかし、何で、メル先生は、こんな、危険な放課後自主講座を、許しているんですか?」
メルティストは、えっ、と言う表情を、一瞬した後、暫く、考える、彼女は自分が声を出している事にも、気付かず、
「・・・確かに、私は、・・・許している・・・私は、・・・何故、此の放課後自主講座を中止、しないんだ、?」
彼女は、その時、ハッキリと、気付く、
「まさか!!!」
彼女は、天を、星天を、星界を見上げる、
驚愕した、顔で、
その時、エリンが写す、『星に愛されし民』の戦いは、新たなる局面に突入していた、
巨大な水虎の右前肢から、高速に降り下ろされる水爪、
ガッキイイイインンン!!!
ダンが、『月下の秘細剣』で受け止める、
彼は、その圧倒的な破壊力の有る、一撃を、水中に沈む事無く受け止め、
其と同時に、高く、高く舞い上がった、アンリが、高速に、優雅に、華麗に、横回転、縦回転、斜め前方横回転を連続し、その回転は目で終える限界を突破した瞬間、
スッパアアアアアアンン!!!
ダンが受け止めていた、右前肢を綺麗に切断した!!!
ズダァーーン!、ズダァーーン!
オルから、二発の弾音が、水面に木霊し、その軌跡は、空虚を凍らせながら、
パキパキパキパキパキパキパキ、
バァギャアアン!バァギャアアン!
氷弾は、高く舞い上がった、水虎の右前肢を凍らせ、更に、もう一つの氷弾は、切られた右前肢の切断面を凍らせた!!!
「サーディ、貴女から見て、彼等の実力は、どのくらいに見えるんだ、」
ルーナは、隣にいる、サーディ上級魔導士に聞いた、
「・・・そうですね、彼等が、あの未知の武器を使っている状態で、推測出来る範囲での答えと考えて、頂ければ、」
ルーナは、黙って聞いている、
「上級魔導士に匹敵するとは思います。」
ルーナは、更に、聞く、
「それ以上の存在としては、見えないと言う事か、」
サーディは、頷きながら、
「今の状況では、高校生レベルでは、凄いと思いますが、上級魔導士だと思います、その証拠に、上級魔導士のコーネリア嬢は、魔導術だけで彼等に付いて行ってますし、まだ、彼女は、上級魔導士としての本気を、出していないと思います、」
彼女は、一端、言葉を止めて、
「上級魔導士と、同等に、彼等は此の試練に対処している訳ですので、上級魔導士と同等だと言えます。」
ルーナは、エリンの特技、『写しの鏡』を見ながら、一言、
「そうか、」
そう言って、彼女は、天にいる、スグルを見た、
やはり、我々は、あの男に聞かなければ、分からないのか、
姉様が、世界を動かす財界、政界、学界の大物達が集う、『円卓の賢者』達が、恐れる、世界の終わりの予言、
その時、現れると言われる、『約束された子』、
世界を救える程の力を持つ、『約束された子』と、とは、
一体、どんな存在なんだ?
私は、此の一月、世界を回り、世界の賢者達、『円卓の賢者』達に会った、
彼等は、皆、同じ事を、同じ予言を私に伝えた、
私は、その予言を、最初に知らされた時、
『約束された子』は、彼の事だと思った、
しかし、彼は、学校作業員になり、七人の子供達を導き出した、
『約束された子』は、彼が導きし子供達なのか?
其とも、此は、偶然なのか、
いや、偶然じゃ無い、
彼に聞けば、分かる事だ、
彼に、
スッパアアアアアアンン!!!
アンリが、水虎の左前肢を切断し、
ギャァワアアアアアアア!!!
水虎が、悲鳴と雄叫びを上げ、狂い、叫び、暴れ回り、
水虎の凶暴さ、俊敏性が、跳ね上がり、その巨大な水牙で、アンリを、ダンを、オルを食い千切ろうと、大口を開けながら、飛び上がって、
バッシャアアアアン!!!
海中に、巨大な水飛沫を上げながら、潜り、
潜っては、海中より飛び掛かり、飛び掛かっては、潜りを繰り返し、
事態が、膠着するかに見えた時、
ダンは、この戦いを終わらせる決意をする、
英雄の星を背負いし、男が、一歩、前に出て、
巨大な虎顔が、彼に迫り、巨大に開いた口が、凶暴な水牙が、彼に迫った瞬間、
水面に、光りが走り、
波が、二つに別れ、
水虎の首が、その巨大な胴と離れた、瞬間、
やっと、この、『星の遺跡・海岸』の試練が終った、後は、彼等、『星に愛されし民』が、離島に到着したら、
俺は、彼等と一緒に、皆の居る、海岸に戻る、つもりだった、
だが、
打ち上がった、水虎の巨大な頭の瞳が光り、
えっ、
俺が、その頭を見た瞬間、
グワァアアアアッ!!!
ヤベェ!!!
俺は、ゴッソリと『星の力』を持っていかれ、
目の前が、急回転し、
俺は、意識を失うのを必死に堪えながら、
俺は、理解した、
俺の『星の力』を使って、『星の門』が開いた事を、
俺達が、強制的に、その『星の門』に放り込まれた事を、