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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
105/136

試合後日

 魔導暦2035年5月11日の闇曜日デェョルヤ、俺がこの世界に来て50日が経った、


 50日、50日の間に、色んな事があった、勿論、派手な戦いは、最初にルーナちゃんを襲った、『魔玩兵トゥルソゥ・ベルゴンゾーナ』とだけだ、そして、ルーナちゃんの乗る空飛ぶ戦艦を動かし、


 ルーナちゃん達と酒飲んで、騒いで、反省して、学校作業員ハウゼ・アルパになって、学校を綺麗にし、ローシィと知り合って、ケティと出合い、メルティスト先生と『星の遺跡』に行き、


 ハル達と、放課後自主講座フォールドコーゼ、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』を開催し、成り行きで、魔導格闘技アウルトゥオゥロセのコーチになり、飲んで、食って、打ち上げして、


 また、飲んで、食って、ブライが来て、飲んで、食って、打ち上げして、更に、壮行会して、東部地区魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセ、団体戦予選で、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』は準優勝して、地区大会に出場する事になった。



 今、本当に、此処、


 考えると、飲み食いばっかだが、



 俺の、この世界での50日は、別に、争いや闘争も無く、穏やかで、充実しているような気がする、


 願はくば、この日常が長く続く事を願うのだが、



 天界の『星々』は、俺に使命を託し、



 俺の未来は、未だ、不透明で見えていない、



 其でも、俺は、未来に向かって、進まなければ、ならない、



 其が、俺だから。



 ローシィは、公都の小さな魔導新聞社アウル・ジェーラの記者で、ひょんな事から、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の事を知り、東部地区魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセ、団体戦予選で、彼等の事を記事にする事になった、


 で、俺は、後日、ジェミから彼女が書いた記事を読ませて貰った、何でも、彼女の記事は有料で、ちょっと高いらしいんだけど、面白いんで、購入する読者が多いんだとか、ジェミも金払って買ってると、俺に言った。



 其は、6人の少年、少女達の苦難と努力の物語だった、生まれる前に、『魔の神』に、その才能を約束されていた、少年少女達は、神の気紛れで、その才能を封印されて産まれて来た、


 彼等は、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼに進学し、才能が封印されているので、ツェ組となり、苦難の学校生活を送る、


 一年が終わり、二年生になった彼等に転機が訪れた、其が、学園で行われた魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセ、その時、気紛れな我が『魔の神』は、彼等の封印を少し解き放った時、その力の無さを嘆き、苦しんでいた、ハルチカ・コーデル、ダンバード・グラスター他、ツェ組の面々に、奇跡が舞い降り、


 彼等は、輝かしい成績を納め、学校の地区大会の推薦枠に選らばれた。


 しかし、この事が、学校を揺るがす、大きな対立を生み出し、二年生は、地区予選で決着を付ける事になった、どちらが、真の学校の代表かを、


 そして、ツェ組の代表選手達の血の滲むような特訓と努力により、地区予選に再び、奇跡が舞い降りるのであった。



 ・・・



 はっきり、言って、感動した、


 涙が、出そうになった、



 其はまるで、読み手が、ハルにダン、オルに、才能を封印された者になったような、表現手法と、悩み、苦悩する若者達が、努力と信念で、封印の才能を開いた瞬間を、読み手の前に感動的に映し出す技法が重なり合い、


 最後、ツェ組の代表が強豪チームに勝った瞬間、その感動がピークに達して、


 本当に、泣きそうになった。


 

 上手い!


 ローシィは本当に上手く、書く!



 彼女は真実の中に、創作を巧みに混ぜ合わせながら、誰も傷付ける事無く、より、読み手に感動を与えるように真実を作り直している。


 彼女は、記者だ、確かに、取材した、内容をちゃんと伝えている、ただ、彼女はアレンジして伝えている、其れも、悪意、操作、誤解等を排除して、読み手が期待するアレンジをする、だから、彼女の記事は人気が有る、


 ジェミや、オルが、彼女のファン、だって事が分かった気がした。



 そして、この記事は学校全体に、大きな影響を与えた、直接購入して読んだ者、俺のように回し読みで読んだ者が大勢いて、読んだ者は読んでいない者に読むように勧め、


 やがて、ツェ組は『奇跡のC(ツェルラ・バウル)』と、呼ばれ、称賛されるようになった。


 噂では、あのプライドの高い、組の二年総代、ガルホール・スターゲスでさえ、『奇跡のC(ツェルラ・バウル)』と、ツェ組を讃えたと言われて、


 結局、学校の推薦枠は、『奇跡のC(ツェルラ・バウル)』こと、ツェ組に決まり、組は、地区予選枠で、地区大会に出場する事になった。


 そして、いつの間にか、彼等は二つ名で呼ばれるようになった、


 ダンバード・グラスタは、


 『豪閃ゴウセンのダン』


 アンリー・スウィートは、


 『連姫レンヒのアンリ』


 オルダス・ホールスは、


 『神激シンゲキのオル』


 ハルチカ・コーデルは、


 『奇跡バウルのハル』


 と、呼ばれ、


 ダン、オルは、一気に、学園中の女子に大人気になり、アンリちゃんは、学園中の、一部の男性と女子のファンが増えた。


 まぁ、ハルは、エミちゃんとの仲が有名だから、あまり変わらない、


 と、ジェミから聞いた。




 その日の昼、学校に奇跡バウルが起きた、あのケチなボーゲンが、デザートを、一品、付けたのだ!


 俺は、感極まって、


「こっ、こっ、此は何だ!!」


 つい、驚いてしまい、


 ボーゲンは、黙って、壁に貼ってある、貼り紙を指した、


 えっ、


 何?


 その貼り紙を読むと、3年生総代のフェルシェールさんの直筆で、地区予選の魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセで、組が優勝し、ツェ組が準優勝したので、


 全校生徒、先生に、人気店のデザート、『ポーゥルアーレ』のケーキ(ケール)を一品、提供すると書かれていた。


挿絵(By みてみん)


 その時は、意味が分からなかったから、へぇー、流石、金持、やる事がすっげーなぁと、デザートを美味しく頂いたのだが、


 此も後から、ジェミに聞いたんだが、


 3年生は、昨日の地区予選で、組とツェ組のどちらが、上位に勝ち上がるかを、賭けていたらしく、その賭けを勧めたのが、総代のフェルシェールさん、


 彼女は、2年生の地区大会の代表がツェ組だと言う事に、不満を持つ3年生の人達の前で、ツェ組には、その資格が有る、その証明として、地区予選でツェ組が組より上位に成らなかったら、全校生徒にデザートを奢ると、約束したらしい、


 此を切っ掛けに、3年生達は、地区予選の勝敗、順位の予想を賭けて盛り上がり、下級生は、そんな3年生に刺激されて、組、ツェ組どっちが強いか、話題になっていたんだとか、



 ・・・



 知らなかった、



 フェルシェールさんは、皆がツェ組の試合を見れば、絶体、ツェ組の評価が変わる、そう、思っていたらしく、その為に、皆に地区予選に興味を持って欲しかったらしい、


 フェルシェールさんの狙いは、当たり、学校中が地区予選に興味を持ち、其が、学長、先生達を動かし、皆で、地区予選が開催される、ベルトリアの競技場に行く事になった、


 そして、皆は、組の優勝とツェ組の不様な敗退を見ると思っていたんだけど、ツェ組の素晴らしい試合を見て、フェルシェールさんが言った事が正しかった事を知り、愛校心に火が着いて、


 あの、大声援になった。



 元々、フェルシェールさんは、ツェ組が勝っても、負けてもデザート、を奢るつもりで、前から、700個以上のデザートを発注していたらしく、


 学校の皆は、審判判定で、組が勝ったので、本当の勝敗は、地区大会に持ち越しと思っていた、


 だからこの、デザートのプレゼントは、フェルシェールさんの祝勝祝いと言う事になって、全校生徒が大喜びしたと、ジェミは、俺に教えてくれた。



 この、ジェミの説明に、俺は、一つ納得していない事があった、


 何故、フェルシェールは、俺達、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の事を、そんなに、知ってんだ、


 俺は、練習も、『星隠し(ダークスター)』で秘密にしてたし、誰にも、話して無い、皆が、言ったとしても、たぶん、誰も信じないと思ってた、


 彼女は、誰から、俺達の話しを聞いたんだ、


 何故、彼女は、そいつの話しを信じたんだ、そいつが、信頼出来る奴だから、信じたのか?


 そんな奴、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』にいたか?



 ・・・



 一人、いた、



 ジェミオ・バレットス、



 ジェミだ。



 ジェミは、学校の事に関して、いや、学校以外にも、色んな事を知っている、彼は、オルと違った意味で、頭が良い、


 そのジェミが、組とツェ組の対立を何とかしようとして、先輩のフェルシェールに情報を流した、


 勿論、ジェミは、前もって、フェルシェールと信頼出来る関係になっている事が前提だ、


 そして、フェルシェールが動いた、



 ・・・



 しかし、この件で、彼女には、何の特が有るんだ、700個のデザート代、一個、300RG(リージェン)として、21万RG(リージェン)


 金持の、彼女には、大した金額じゃ無いかも知れないけど、



 ・・・



 そうか、評価か、彼女は、3年生だ、進路は聞いて無いけど、少なくとも、この国では、進学、就職共に学長の推薦が大きく影響すると、エルさんが言ってた気がする、


 今回の件で、彼女は学校を一つにした功労者だ、学長が悪く書く訳けないし、凄く良く書くはずだ、


 ならば、彼女にとっては、21万RG(リージェン)は安い、


 そう言う事か、


 ジェミとフェルシェールは、情報を取引した、



 ならば、昨日の、リアが、ローシィに、突如、言った、あの空想は、


 偶然じゃ無く、ローシィが疑問に思うから、リアに、ああ言えとジェミが、前もって、言っていたとしたら、


 見事に、ジェミの策略に填まって、ローシィは、あの素晴らしい、記事を書いてしまった、


 そして、その記事のお陰で、組もツェ組も、仲直り、いや、それ以上に、関係は良くなった。



 俺達は、全て、ジェミの手の中で、動いていた事になる、



 此じゃ、まるで彼奴あいつは、


 天皇星の大賢者(ウラノスター)だ、



 俺は、天皇星の大賢者(ウラノスター)の事を思い出した、彼奴あいつも、こう言う、裏で動く事が好きだった、


 彼奴あいつは、魔族、『魔人の玩具(グゥストゥトォ)』共と、協力して、『魔神グゥス』を眠らせる事が出来ると言って、随分、動いていた、


 結局、失敗したんだが、


 まぁ、ジェミが、天皇星の大賢者(ウラノスター)ようだって言うのは買い被りだな、


 天皇星の大賢者(ウラノスター)は、俺の友達で、偉大な奴だった、間違っても、ジェミなんかじゃ無い、


 たぶん、ローシィの記事は偶然だし、フェルシェールの事も、多少は関係が有るかもだが、たぶん、そんなに、ジェミは深く考えて無い、


 彼奴あいつは、そう言う奴、



 そうなの!



「どうしたんです、スグルさん、」



 俺に、色々と教えてくれた、ジェミが、俺が、突然、不機嫌になったんで、心配して聞いてきた、


「ジェミ、スグルの一人、喜怒哀楽、気にしたら、切り無いと思うよ、」


 と、相変わらず、厳しいエミちゃん、



 今日は、一応、放課後自主講座フォールドコーゼは、休みなんだが、ハル、エミちゃんは、放課後、毎日、俺の所へ、来る、


 そのついでに、ジェミも来て、昨日は、大会だったから、『星の力』も結構、使ったし、じゃ、今日は、訓練を休みにするか、と言う事で、皆で、御茶しながら、先日、ローシィが持って来た、お菓子の残りを食べ、


 俺は、昨日、ベルトリアから、バルセリアに帰る、魔導汽車バーガンドーレの中で、ジェミに、ローシィの記事、買ったら読ませてくれと頼んだ、


 で、彼は、今、自分の魔導本アウル・バーデを、持って来て、ローシィの記事を、俺に読ませてくれた、訳で、


 そして、俺に、色々と学校の事を教えてくれた、そんな、親切で、良い奴なのに、何か、俺は、ジェミが気に入らん、


 本当に、子供っぽいってのは、分かってんだが、



 ・・・



 どうも、ジェミの性格が、



 天皇星の大賢者(ウラノスター)に似てるからか、

 

 俺は、釈然としない気持ちで、御茶を、ズズズとすすり、エミちゃんに、白い目で見られるのであった。


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