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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
103/136

三回戦

 地区予選、二回戦を、我らの『星に愛されし民(スタラブルラディ)』は、1➖0で、勝利し、その瞬間、競技場は、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの生徒の大歓声に包まれた、


 俺は、その大歓声を聞いた時、あぁ、此こそが、仲間、学校、愛校心、と、胸が熱くなり、ちょっと感激した、


 競技場から、戻って来た、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』達も、興奮していて、


 皆、目を真っ赤にし、その興奮を、同じく、目を真っ赤にしている、メルティスト先生が、組とべー組の試合が始まるので、皆に、落ち着くように、注意し、


 皆は、落ち着いて、組とべー組の試合を観戦する事になった。


 

 べー組の対戦相手は、ベルトリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼべー組、同じべー組でも、ベルトリアは東部一の大都市ガルマーダ、生徒数も、バルセリアに比べて三倍、


 生徒数が多く、大都市ガルマーダだから裕福層も多く、高額な学校債が多く売れている、また、大都市ガルマーダの支援も充実しているから、施設も良いと、ジェミが教えてくれた。



 彼等は、相当練習しているし、たぶん、その実力は、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼ組と同じだとも、ジェミはつけ加え、


 組に匹敵すると言う、話しは、嘘では無かった、彼等は、強く、


 その試合は、確かに、凄かった。



 3人の攻撃者アタッカ狙撃手スナイパーが、新型の魔導防護服アウルプロセルを着用し、二人の守備者ディフェンダキィオが、旧型の魔導防護服アウルプロセル


 攻撃重視の、配置ポジションで、攻撃アタックに、絶対の自信が感じられ、


 事実、その攻撃は凄まじく、身体強化は、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの3年生より、上だった。



リキ』の攻撃アタックは、べー組の守備ガードを破壊し、ボイントは、軽く奪われ、


 唯一、対抗したのは、べー組のリーダ、トーネル、ただ一人だった。



 俺達は、気が付けば、全員で、トーネル達に、立ち上がって声援を送っていた、


 全校生徒が、彼等、べー組に声援を送り、


 そして、


 声援、むなしく、


 試合開始、20分、キィオが、3ポイントを取られ、



 べー組は、



 敗退し、



 競技場は、大きな拍手に包まれ、


 べー組は、退場した。


 

 べー組と、同時に、試合をしていた、組は、グランドリアのクラブチーム、『銀の魔狐』と言われるチームと対戦し、


 実力は、其ほどでも無かったので、試合は、15分で、相手のキィオから、3ポイントを取って、三回戦進出を、早く決めた後、べー組の試合を観戦していた、


 べー組の負けが決まった時、2年、総代のガルホールは、首を振って、競技場を後にした。



 時刻は、2時、大会委員会から、三回戦の対戦表が配られ、


 我ら、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の対戦相手は、ベルトリアのクラブチームで、去年の地区大会の出場チーム、東部地区の強豪、



『ベルトリアの嵐』


 トップエースは、



『豪風のカルザーネ』



 こと、


 カルザーネ・グラデュース


 彼の両腕にまとった『リキ』の魔導は、高校生パールバウゼレベルでは、防御ガード不可能と言われているらしい、


 と、ジェミが、俺に教えてくれた。



 皆は、オルを中心に、作戦を練り、俺も、メルティスト先生も、横で、彼等の話しを聞くだけで、


 最初に、ダンが、


「オル、私達は、どうしたら、良い、」


 と、オルに聞き、オルは、


「今までの戦い方を見ると、カルザーネが、強攻突破して、キィオから、3ポイントを取って勝つと言う、パターンが、彼等の特徴だ、」


 ダンが、考えながら、


「じゃ、防御中心に行くのか、オル、」


 オルは、首を振って、


「防御中心じゃ、勝てない、今回の戦いの勝敗は、たぶん、いかに先に、キィオから、3ポイントを取るかだ、全員が2ポイント失っても、ドーリが3ポイント取られて、退場になったとしてもだ、」


 全員が、驚き、ダンが、


「まるで、捨て身って感じなんだが、」


 オルは、頷いて、


「そうだ、ダン、私達は今まで、『星導術』の身体強化で、相手の攻撃アタックを、避ける事に専念してきた、だから、自分達の攻撃アタックが弱くなってた、」


 オルは、言葉を切り、一旦、息を吸った後、


「其が、私達の弱点だ!」





 成る程、


 俺は、オルの言葉に感心した、オルは、全員に、自分達の弱点を分かり易く説明し、どう対処するかを指示している、



 オルの説明が続く、


「今回は、ドーリを除く、全員が、相手の範囲エリアに入る、そして、私が早く、キィオを狙撃する、たぶん、防御ガードされて、私は、相手の攻撃者アタッカ狙撃手スナイパーに狙われる、」


 ジェミが、


「狙われたら、後ろに下がるの、オル、」


 オルは首を振って、


「いや、逃げない、私は、相手の守備者ディフェンダを狙って、相手を撹乱かくらんするから、ジェミ、エミ、は、私を守ってくれ、」


 ジェミも、エミも、頷き、エミは、


「そう言う事、オル、」


 オルは、再び頷いて、


「その間に、アンリ、ダン、早く、キィオから、3ポイントを奪うんだ、此は、時間との戦いだ、そして、ハル、」


 ハルは、頷いて、


「分かってるよ、オル、僕が、キィオとして、カルザーネを相手するんだろ、」


 オルも、頷いて、


「そうだ、ハル、そして、ハル、君が、カルザーネから、他の攻撃者アタッカから、先に3ポイント取られたら、私達の、・・・敗けだ、」


 オルは、そう、言葉を締めくくった。




「ハル、私達は、絶対、キィオから3ポイント、奪う、だから、」


 其処で、ダンは審判に呼ばれた為、彼は言葉を止め、僕から離れて、配置ポジションに移動した、


 僕は、配置ポジションに向かうダンの背中を見続けた後、



 ふぅ、



 やっばり、ため息が出た、


 僕には、分かる、その後に、ダンが言いたかった言葉が、何なのか、


 ハル、君を信じてる、ハル、君なら、出来る、ダンなら、僕にそう言う、


 出来るって、


 何を、



 どうしたら、



 出来るんだ?



 オルは、僕には作戦を言ってくれない、僕は、3人の攻撃者アタッカから、攻撃アタックされたら、どう対処すれば、良いんだ、


 その内の一人は、超高校生級の攻撃者アタッカ、僕の『リキ』の守備ガードを軽く破壊する存在、


 そんな奴等を、相手にして、3ポイントを取られるな、と言う、


 出来るのか?


 嫌、出来なければ、負ける、


 そう言う事だ、




 時間は、10分を過ぎた、ドーリを除いて、全員が上がっている、最初に仕掛けたのは、オル、此は、予定通り、


 二人の攻撃者アタッカが、オルの所へ向かう、


 そして、カルザーネと、もう一人が此方に向かった、たぶん、あれは、狙撃手スナイパーだ、


 狙撃手スナイパーは、ドーリを狙い、1ポイントを取り、速攻でカルザーネが2ポイントを取って、ドーリは退場となった、


 この時点で、時間は15分、まだ、キィオからポイントを奪っていない、アンリが、やっとキィオを追い詰めたところ



 カルザーネと、狙撃手スナイパーが、此方に向かった、


 僕は、息を調ととのえ、『星の力』を、瞳に、脚に集め、最後に右腕に集めた、


 僕は、決めた、



 まず、



 狙撃手スナイパーる、



 その瞬間、僕の見える世界が変わった、



 ズバッシュ!!!



 僕は、狙撃手スナイパーに向かって駆け出し、


 狙撃手スナイパーの驚愕した顔、彼は、ゆっくりと逃げようとしている、カルザーネは、直ぐに反応し、僕に近付こうとして、向きを変えた、


 流石、カルザーネだ、彼は、全身に『ライ』を使い、強制的に筋肉を刺激して、動かしている、


 あんな過酷に使って、彼の筋肉は持つのか?


 バシッ、バシッ、


 僕は、狙撃手スナイパーから、まず、2ポイントを取った、


 カルザーネの、鬼のような形相が、此方を見ている、


 ブチ、ブチ、ブチ、ブチ


 彼の筋肉が切れる音が聞こえ、



 えっ、



 彼のスピードが増し、僕に近付き、


 バシッ!


 更に、僕は狙撃手スナイパーから、1ポイントを取った時、



 グゥワァアアアアアアンンン!!



 カルザーネの、渦巻く『リキ』をまとった右腕が、僕に降り下ろされ、その、『リキ』の暴風だけで、僕は吹き飛ばされた。



 ダァガァアアアンン!!



 僕は、地面に打ち付けられ、



 ガァッ!!!



 衝撃が、体全体に伝わり、



 ゲッホッ!!!



 息が、息が、出来ない、


 僕は、『星の力』が、止まりそうになるのを、必死でこらえ、



 グゥワァアアアアアアンンン!!



 カルザーネの、左手の、暴風の2撃を避けた僕に、彼の暴風が、僕を襲い、僕は、空に打ち上げられた、


 不味い!!!


 落下する僕を、カルザーネは両腕を構えて、待ち構えている、


 此のままじゃ、負ける!!!


 僕は、『星の力』を耳に広げた、



 ウワァアアアアンン!!!



 膨大な、『星の力』が、右胸に流れ込み、右胸が破裂しそうだった、


 僕は、右胸を押さえながら、この、水中のような、世界の中で、体を動かせるようになった僕は、体を回転させながら、空中を蹴って、



 クルッ、クルッ、タァン!



 カルザーネから、距離を取った、



 えっ!


 カルザーネは、動いていた、


 この、僕の、ゆっくりと動く世界で、彼は、普通に動いて、僕に向かって来る!


 不味い、


 僕は、更に、彼と距離を取る、


 莫大な、『星の力』を消費し、最早、僕は、息をする事さえ、辛くなり始めていた、


 ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、


 カルザーネも、更に、速度を増して、此方に来る!


 彼の全身は、『ライ』で、膨れ上がり、筋肉が裂けて、真っ赤な状態が、僕の瞳に写り、


挿絵(By みてみん)


 その時、僕は理解した、


 此こそが、魔導格闘技アウルトゥオゥロセ


 此こそが、勝つと言う事の執念!



 僕は、決意した、



 ならば、僕も引かない、


 受けて立つ、


 僕は、息を調ととのえ、



 グゥワッ!!!



 全身に、『星の力』をめぐらし、僕の全身は、『星の力』で光り輝いた、


 僕の全ての『星の力』が、急激に消費され、持って、3秒、


 一歩、右腕に、全ての『リキ』を込めて、


 大きく、高速に、振り上げて、



 2秒!


 

 カルザーネの、『リキ』の暴風をまとった右腕が、僕に迫り、


 僕の豪速の、『星の力』の上に、圧縮された『リキ』が、


 

 1秒!!



 腕と腕が交差し、力と力が激突した瞬間、


 

 0秒!!!



 ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダンンンンンンンンンンンン!!!!!

 

 世界は、砕け、大地はえぐれ、閃光が走り、


 競技場は、豪音に包まれた、


 砂埃すなぼこりが舞い上がり、やがて、ゆっくりと視界が晴れ、


 時は、ゆっくりと戻り、僕の時間も、ゆっくりと戻った。


 僕は、


 僕は、まだ、立っている、


 そして、


 目の前に、カルザーネがいる、



 僕は、1ポイント、カルザーネも、1ポイント、



 彼は、笑っている、


 僕も、笑った、


「へぇ、やるじゃねぇか、ツェ組、」



 ピィイイイイイイイイイイイイ



 その時、審判の笛が、競技場に響き渡り、試合が終了し、


「ちぃっ、点、取られやがって、本当に、ダメだな、彼奴あいつら、」


 ふぅ、


 僕は、息を吐き出し、


 やっと、終った、そう思った、


 アンリが、『ベルトリアの嵐』のキィオから、3ポイントを奪い、試合は、僕達の勝ちで終った。


「まぁ、団体戦は、俺にとっちゃ、遊びだ、なぁ、確か、ハルチカ・コーデルだよな、お前、出んのか、個人戦、」


 僕は、首を振った、


「僕は、出ない、学校の代表じゃないから、」


 カルザーネは、驚いて、


「へぇ、俺の全力の一撃を喰らって、立っている奴が、代表じゃねぇのか、すげえなぁ、お前の学校とこ、」


 そう言って、カルザーネは、自分の範囲エリアに戻って行った。


『星の力』が、僕の『右星の扉(ライトスターホール)』に、流れ込んで、僕は、何とか、立ち続ける事が出来た、


 僕は、成長している、そう実感しながら、僕は、審判がいる境界線エリアラインに向かって歩き始めた、


 境界線エリアラインには、僕達の仲間と、カルザーネと『ベルトリアの嵐』の選手が向かい合って並んでいる、


 僕が並ぶと、審判が、僕達の勝ちを宣言し、お互いが、握手した瞬間、



 開場は、大きな拍手に包まれた、 



 良い試合だったと、競技場の全ての観覧者が、僕達を、相手チームを称賛していた、


 もし、僕が逃げ回っていたら、たぶん、僕達は楽に勝っていた、しかしこの拍手は起きなかった、そう思う、


 この拍手は、逃げず、真っ正面から、戦って、勝ったチーム、負けたチームへの、称賛、そう、僕は思う、


 競技場を離れても、チームの皆は、僕が、1ポイントを取られた事に、誰も、非難しなかった、


 皆は、僕に笑顔を向けて、


「勝ったね、」


「勝ったな、」


「やったな、」


「やったね、」 


「かっ、勝ちました、」


 そう、嬉しそうに言いながら、アンリだけは、無言だけど、師匠と、先生がいる観覧席に、僕達は向かった。




 観覧席には、師匠とメルティスト先生、リア、ブライさんが、僕達を暖かく迎えてくれた、


 そして、師匠は、僕に言った、


「強くなったな、ハル、」



 ・・・


 此れって、誉め言葉、だよね、


 師匠が、師匠が、僕を、誉めてくれたんだよね、


 僕に、才能が無い、そう、思っている、師匠が、僕を、誉めてくれた、



 僕は、



 僕は、



 その、師匠の一言で、



 泣きそうになった、


「良かったじゃない、ハル、スグル、貴方あなたの事、誉めてるのよ、ちょっと、偉そうだけどね、」


 エミも、嬉そうだ、


 師匠は、気まずそうに、


「おぃ、おぃ、エミちゃん、俺って、そんなに、ハルにきびしいか?」


 エミは、怒りながら、


「何、言ってんのよ、何時も、しかめっ面して、ずぅーっと、ハルの事、見てるくせして、」


 エミの言葉に、師匠は、また、悲しそうな、表情で、


「・・・そうか、済まない、」


 そう、言い、


 師匠は、それ以上、何も言わなかった。


 


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