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呪う人

グロと胸糞な話になっております。お読みの際ご注意下さい。

呪いの指輪の持ち主の山田 隆治と呪いを受けてしまった楢橋 咲綾の結婚式が行われる某有名ホテルにやって来た。


あの指輪を浄化した後、楢橋 咲綾からの津田川 美沙さんへの嫌がらせはピタリと止んだらしい、良かったよ。


そう言えば式場では目立たないように魔王ヴェルヘイム様は透過魔法で隠れている。逆にリューヘイム君とレオンヘイム君はまるで招待された風を装って優雅にロビーに座っている。


「麻里香もリュー達と座っていたらどうだ?」


「やめて下さい!あんなキラキラ1号と2号の側じゃ悪目立ちしてしまうでしょう!」


私も一応地味な服だとかえって目立つからとシフォンワンピースを着用している。私の後ろにはスーツ姿のロウ様と同じく元国王陛下がいる。こっちもこっちで目立っているか…座る方が目立たない?ここに居る方が目立つ?どっちもどっちだ…。


それにしても…あのちょいと離れたソファに1人、腰かけているのが津田川さんのお姉様に嫌がらせしている山田姉だよね?海斗先輩が調べた調書をもう一度確認する。添付している写真を見ても間違いない。


「あの山田さんのお姉様…お腹真っ黒ですね。」


「そうだな、確か山田 隆治の姉も津田川さんの姉に嫌がらせをしていると聞いているし、性根が腐っているのだろう。そうだよな、ザック?」


「そうですね。確かに魔核の痕跡が視えます。それに…。」


とザックが言いかけた時にスタッフの人が山田姉に声をかけた。


「ご親族の方はご挨拶がありますので、控えの間に…。」


ああ、あれかお嫁に行きます!とかかな~と吞気に思っていたら、促されて立ち上がった山田姉の魔質が恐ろしいほどうねり、そして黒い魔力を吐き出した。


目には見えないだろう…だがスタッフの人は何か山田姉に不穏な気配を感じたのだろうか?


「お姉様大丈夫ですか?」


と聞いた。ところが山田姉は突然走り出した。あっ!と思って飛び出そうとした私の目には驚きの光景があった。


私の後ろに立っていたはずのザックが、すでに()()()()()()()()()()()からだ。


「…っ!」


山田姉はザックを見て腰を低く屈めた。そして一瞬で消えた。


「!」


「逃げられたっリュー!」


「了解!」


リューヘイム君とレオンヘイム君、2人が一斉に控え室のある方向へ走って行った。走る彼らの姿が途中で見えなくなった…魔法だ!


「なっ…え?!」


スタッフの人はオロオロしている。私達は何食わぬ顔でその横を通り過ぎた。リューヘイム君達は当初の打ち合わせ通りに、新婦の所に行っているはずだ。そして私達の方は新郎の山田 隆治の方へと向かった。


暫く廊下で待っていると山田 隆治はご両親と共に山田家の控室から出て来た。


「姉さんどこ行ったんだろう?」


「式までには戻ってくるでしょう?」


「先に式場に行ってるじゃないか?」


山田 隆治はそう言ってご両親と話しながら廊下を歩いて行く。そこへ突然ザックが声を上げた。


「あ、リューどう?そう…こっちにも来ていない。魔質消えてるね…こりゃもしかすると…。」


「魔人化したのだろう。」


ザックが虚空に向かってリューヘイム君と会話?していたのだが、いつの間にかヴェルヘイム様が私達の後ろに立っていた。


「魔人…。」


ままま、魔人?!え…もっとあの魔物みたいなアメーバの大型みたいになるのだと思っていた。全然普通の人じゃない?!


呟いた海斗先輩にヴェルヘイム様は頷いてみせてから、ザックの肩に手を置いた。


「魔人相手だ、気を抜くな。捕縛を最優先に。」


ヴェルヘイム様は鋭い眼差しを私達に向けてきた。


「あの女性は魔人になった。気配も無い、魔力も感じない…首を落とさない限りは動き暴れる。」


「っ!」


「あれが魔人か?見た目普通の女性じゃないか…。」


海斗先輩が私の気持ちを代弁してくれた。海斗先輩の言葉にザックとヴェルヘイム様は頷いた。


「魔人は見た目は分からない。少し顔色が悪い普通の人に見える。だが、気配が無い。すでに体が人では無いので魔力が視えない。体温が無い…痛みも感情も無くなる…と聞いている。」


私達は静かに式場内のチャペルに移動して行く山田家の面子の後をゆっくりと付けて行く。


「次の角を曲がった所で透過魔法を使うぞ。」


「はいっ!」


ヴェルヘイム様はそう言って私達に透過魔法を使った。魔人は魔質や気配が感じられないから視覚に頼るしかない。歩きながらヴェルヘイム様に説明を受ける。怖い…そうだ、こんな時こそあの某黒い悪魔を殺虫出来るあの魔法…必死で頭の中であの某スプレーを思い浮かべる。


飛んで来たらぶっかけてやるっ!


チャペルスタッフの人に案内されて新郎やご家族、親戚らしき人がチャペルの中に入って行く。


「山田姉はいないな…。」


海斗先輩の声を聞きながら、目を左右に走らせる。


「楢橋 咲綾が来たぞ。」


皆が一斉に廊下の向こうを見た。綺麗な純白のウェディングドレスに身を包み…緊張しているのか表情の硬い花嫁がやって来た。ザックが花嫁の横に立って何かドレスの裾を触ってからこちらに戻って来た。


「彼女が狙われるかもしれませんしね。」


楢橋 咲綾を視た。なるほど…魔物理防御障壁が彼女と父親の周りに張られている。ザック…凄いね。花嫁がヴァージンロードを歩く準備で扉の前でお父様かな?とスタッフの人と話している。ドレスの裾をスタッフの人が直して…扉が開かれた。ちょうど私達も花嫁の後ろにいたので、スポットライトを浴びている。


何となく居心地が悪いがゆっくり進んでいく花嫁の後を皆で静かについていった。


「…おいっ!山田姉がいるぞ。」


「レオンッ、リュー!右側を!」


ザックがまた虚空に向かって叫んでいる。もしかしてザックは遠方に声を飛ばす魔法を使っているのかもしれない。


山田姉は何事も無かったかのように、親族席、お母様の横に座っている。しかし顔色は悪いし、目がギラギラしている。体の中が真っ黒だ…息を吐くたびに黒い煙?が吐き出されている。怖い…心の中で殺虫スプレーを構える。


流石に山田母がその状態の娘に気が付いたみたいで


「やだ…顔色悪いわね、気分悪いの?」


と山田姉に聞いている。山田姉は体を震わせた。楢橋 咲綾の前にザックとヴェルヘイム様が立ち塞がった。


「うわあぁぁ!」


叫び声を上げて、山田姉はすごい跳躍力を見せてチャペルの椅子を飛び越えると()()()()()()走って行った。


外?私も海斗先輩も固まっていたがザックが凄い勢いで走って行った。な、何?


私も海斗先輩も後を追いかけた。いや…厳密に言うと私は途中で走るのを諦めた。この後の状況は後で海斗先輩に教えてもらったことだ。


海斗先輩がザックの魔質を頼りに追いかけて行き着いた先は披露宴会場前のロビーだった。ザックが海斗先輩に


「…っ!いつも狙われていた女性はどの方ですかっ?!」


海斗先輩が指差したと同時に、正に弾丸みたいな速さでザックがロビーで談笑していた津田川 美沙さんの前に躍り出たらしい。


その瞬間、山田姉が廊下の向こう側から津田川 美沙さんに飛び掛かってきたそうだ。ザックは瞬時に障壁を張り、山田姉を障壁で弾き飛ばした。しかし山田姉は空中で一回転して着地をすると津田川 美沙さんに向き直りニタニタと笑いかけたらしい。


突然起こったこの事態に唖然としていた人々は、見えないザックは兎も角としても、ニタニタ笑う薄気味悪い山田姉を見て大混乱になり、絶叫と怒号が飛び交う事態になったとのことだった。


そしてその時に息を切らせて私が到着した…という訳だった。


な、何が起こっているの?


私はザックとヴェルヘイム様の障壁の有効範囲から外れてしまっているので透過が解けて人からは見えている。そういう意味でも海斗先輩も人から見えている。今はロビーに居た招待客の殆どの方々は逃げて遠くの方に固まっている。


しかし津田川 美沙さんとお知り合いらしき2名の女性、計3名は腰が抜けたようにロビーの絨毯の上に座り込んでいた。そしてその前にザックが居る…らしい。透過魔法で全く全然私には見えないけれど…。


「ナキート殿下…っ。」


「案ずるなっ今ザックが対峙しているはずだ。障壁を女性達の居る周辺に張っている。問題ない!」


「はい。」


私が海斗先輩の背後に近付いて行った時、私の背中を触る誰かの手の気配がして振り向いた。あ…!


「ヴェルヘイム様!」


ヴェルヘイム様も透過魔法を使って来てくれていたのか。ヴェルヘイム様は少し微笑まれた。


「あちらの両親達の方はリューとレオンに警護させている。まずはあの魔人を拘束する。魔人の拘束は初めてで少し心配だが…いつも問答無用に切り捨てていたから…通常の捕縛が効くのかな?」


ひえぇ?!そうなの?さ、流石にこの国じゃいきなり切り捨てるのはマズいと思うなっ!是非捕縛で!


ヴェルヘイム様は術の詠唱を始めた。あ、これが捕縛術ですね!


ヴェルヘイム様は透過魔法を使ってこれまた一瞬で山田姉の背後に回った。そして詠唱し終わった捕縛魔法を山田姉に向けて放った。


「…っぎゃあああ!」


山田姉に捕縛魔法は効いたようだ。魔人の雄叫び怖いよぉぉ…。


「よしっ…!」


海斗先輩の声に恐々顔を上げると、捕縛魔法で腰回りを縛られたみたいな山田姉が、ビクンビクンと絨毯の上でのたうち回っていた。


海斗先輩はすぐに動き出して津田川 美沙さんの方へ向かったので、私も海斗先輩の影に隠れつつ、ロビーを横切った。


「津田川さん、お怪我はありませんか?」


「あ…栃澤君。ええ…大丈夫よ。」


津田川 美沙さんと女性達はホッとしたような顔をされた。


「がああっ!」


「…!」


海斗先輩と私が近付いて来たからなのか、山田姉は急に吠えて威嚇してきた!


「ぎゃああ!」


私は無意識に例の某スプレーを山田姉に噴射していた。普通の人には見えないスプレーである。それでも思いっきり山田姉に噴射していた。


シュウウウウゥゥゥ……。


「…ぐ…が…。」


山田姉は……スプレーを浴びてさっきよりビクビクしていた。す…少しは効果があったみたいだ。


その時、新郎と新婦とご親戚一同が披露宴会場に騒動を聞きつけてやって来てしまった。


「ね、姉さん?!」


「何なのコレ?」


当たり前だが山田家は、ただ単に姉が絨毯の上にひっくり返っているとしか見えていないので、迂闊にも倒れた姉の方へ近づいてしまった。


「いけな…!」


海斗先輩が制する前に、山田姉が新郎の山田 隆治の喉元に噛みついた?!血飛沫が上がる!


「ぎゃっ!」


「わあああ!」


その後は式場のスタッフと男性招待客が山田姉を取り押さえて、怪我をした新郎は救急車で緊急搬送された。当然、警察に通報をされて泣き叫び暴れ連行される山田姉。これまた半狂乱になる山田母と父。大騒ぎのまま結婚式当日ではキャンセルも出来ないので取り敢えず、披露宴は急遽食事会形式で始められて、花婿は入院&花嫁は不在のまま披露宴はお開きになったそうだ。


因みに私達はもう手出しは出来ないので、そのまま海斗先輩のマンションに帰って来ていた。


結局、何故嫌がらせをしたのか理由が分からないままだったな…。


そう思っていたのだがその後、その理由はSNS上に残されていたことが発覚したのだ。姉のWEB日記が警察が没収したパソコンから発見されたのだ。


日記には、自身の弟への激しい愛。祖母から姉が貰ったはずの大切な指輪を弟が彼女に簡単にあげてしまった事。そんな女なんて死んでしまえばいい…。弟を返せっ!あの指輪に呪いの言葉かけた…等々。


ものすごい恨みと歪んだと愛情と喜々として嫌がらせを行う狂気に溢れた日記だったそうだ。海斗先輩は興味に駆られて秘密裏にその日記の内容を見てしまったそうだが


「見るんじゃなかった…心が歪みそうだ。」


と漏らしていた。魔人になってまでも恨む憎悪…。山田姉は弟を鋭利な刃物で刺した罪で逮捕され、今は警察病院の精神科に入院をしている。


注)スプレーを人に向けて噴射しないようにご注意下さいませ。本作はあくまでふぁんたじーです☆彡

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