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スウェットのロウ様

前回出さねー言っていたのに、早速過去作の登場人物出してます。誤字修正しています

放課後、彩香を迎えに保育園に行った時に園児や迎えに来ている保護者の人達の魔質がちょっとざわついているのに気が付いた。何かあったのかな…。


「麻里ねぇ~。」


「迎えに来たよ。」


この保育園は私も翔真も昔、通っていたので園長先生や他の先生とも顔見知りだ。今日は園長先生が事務室から顔を覗かせている。


私は走り寄って来た彩香に


「今日何かあった?」


と聞いてみた。彩香の魔質はクルンと動いた。何かあったね…。すると園長先生が事務室が出て来た。園長先生の魔質はちょっぴり疲れているみたいだ。


「今日ね、保護者の方とちょっとトラブルがあってね…大丈夫だとは思うけど帰り道は気を付けてね。」


なんだそれ?気を付けなきゃいけないことなのに、ぼやかされてもなぁ~と思いつつ彩香と手を繋いで外に出たら、顔見知りのママさん達がママチャリ置き場で立ち話をしていた。


ママさん達に頭を下げて通り過ぎようとしたら


「篠崎さん~。」


と呼び止められたので渋々、ママ友会議に参加することになった。私ってママ友枠?


「篠崎さんのお姉ちゃんも気を付けた方がいいわよ~ね?」


「そうそう、若いと狙われやすいかもだしね~。」


何だ?いきなりの発言に目を白黒していると、夢芽ちゃんママが親指でチョイチョイと園の入口で先生に頭を下げているママさんを指差した。あ…新田カンナちゃんのママだ。確かまだ21才の若いママさんだ。


「お昼すぎに、横内さんが乗り込んで来たのよ。」


乗り込んで?何やら物騒だ。横内さんは…康太君のママだけど、康太君も今はいないみたいだ。帰ったのかな?夢芽ちゃんママが私にズイッと顔を近付けてきた。


「横内さんが乗り込んで来てご自分の旦那さんと新田さんの奥さんが不倫してるって騒いだのよ!」


「ええっ!」


相関図がややこしいけど、つまりダブル不倫な訳だよね?ちょっと待てよ?カンナちゃんママは21才…康太君のお父さんは高齢出産だとかで確か…40代後半のおじさんじゃなかった?それは…。


「親子ほど年の離れた不倫ですね…。」


「ね~?」


私は康太君のパパを見たことは無いけれど、ママは見たことがある。結構神経質っぽい人だった。


「でもなんで保育園に来て騒ぐのかな~?」


と私が言うと穂乃花ちゃんママが「それはね~」と若干ふんぞり返って答えてくれた。


「園で騒いだ方が注目されるからよ~!つまり自分の旦那とカンナちゃんママの不貞を世の中にアピって吊るし上げたいのよ!」


「でも、騒いだら横内さんのママも一緒に吊るし上がっちゃいますね?」


と私が言うと夢芽ちゃんママも穂乃花ちゃんママも、若干しょんぼりした魔質になった。


「そ…そうだよね。自分も目立つよね。」


「怒り狂い過ぎて自分を見れてないのかもね…本当だね、自分も注目されてるね。」


私達は少しママ達と世間話をして帰路に着いた。新田カンナちゃんママとカンナちゃんは先生と何か話している。魔質を視るとそんなドロドロした魔質でもない。


実際のところ、不倫をしていても自分に罪悪感が無い人は魔質は負の方向に傾かない。悪い事をしていないのに、何故後ろめたい魔質にならなければならないの?という心境だろう。


カンナちゃんママの体には黒い魔質の陰りは見られない。


帰り道にスーパーに寄って彩香と晩御飯のおかずで色々と相談しながら買い物をしていく。これって女子ならではだよね?翔真や悠真なんか買い物については来てくれるけど「何が食べたい?」「何でもいい。」ばっかりだもん。その点うちの彩香や夏鈴は好き嫌いをズバーッと言ってくれるから献立を立てやすい。


一応先に家に帰っている、由佳ママと悠真と夏鈴にも晩御飯のリクエストは聞いている。


「あ~カイちゃん家、大分建ったね~。」


「あ~本当だね。基礎工事終わったみたいだね。」


うちのお隣の栃澤、篠崎邸の工事の進捗状況を確認しつつ、スーパーで買って来たスポーツドリンクを工事のお兄様方に差し入れて少しお話をしてから家に入った。


「そう言えば下島さん達の結婚来月だよね、ママもそろそろエステの予約入れなきゃだよね~。」


とリビングから声をかけると台所にいた由佳ママから、もう予約入れたのよ~と言うちょいと浮かれた返事が返ってきた。


うへへ、そうですか~そうですか~。


今晩は八宝菜と麻婆茄子だ。野菜を切っていると携帯電話がメッセージを受信した。海斗先輩だ。


『ザックから連絡だ。一度国王陛下と国王妃がお会いしたいとの事で、謁見の申し出があった。いいよな?』


えっええ…謁見?!……いいよな?じゃねーよ?!言い訳あるかっ!ちゃんとしたドレスとか持ってないよ!あ、この間のクリスマスの時にプレゼントで貰ったあのシフォンワンピースか?あれでどうだ?


『はい、大丈夫ですよ。』


文面には苛立ちやオラつきは反映されない…そこは有難い。


週末の土曜日、物凄い気合いを入れてシフォンワンピースを着て行った私は…少し古めのマンションの入口で戸惑っていた。だってマンションの入口で出迎えてくれたザックは紺色のスウェット着てるんだもん!もう一回言うよ?紺色の家着の定番っスウェット上下を着ているんだってばよぉぉぉ!


「ま…麻里香先輩はこの後どこかへお出かけですか?」


戸惑い気味の二次元スウェット様は私の隣に立つ、ジーンズにハーフコートのこれまた普通のお出かけ着の海斗先輩を、オロオロしながら見ている。


「あ~気にすんな。謁見と聞いてテンパってドレス着て来たんだ、触れないでやってくれ。」


うるせーぞ!あんたが一番触れてるんじゃねーか!どうするんだよ!私めちゃめちゃ浮いてるよ!


「着替えに帰ります…。」


「はぁ…早くしろよ。」


何が、はぁ…だよっ!この変態ワザとだろ?ふざけんなっ!


私は転移魔法で家に帰ると、速攻で着替えて再び先程のマンションに戻った。海斗先輩とザックの魔質を探りながら、階上に上り目的の部屋の前でインターホンを押した。


「は~い。」


ドアが開いて、背の高い綺麗なお姉さんが出て来た。ん?お姉さん?部屋を間違えたかな?首を捻っていると…。


「ああ、来た来た。」


と海斗先輩がお姉さんの後ろに立っていた。


「すみませんね~嫁が支度に手間取りまして~。」


ぉおい!あんたが謁見とか紛らわしい書き方するから、玉座の間とかで会うのかと思ったんだろうがぁ!


…という心の声は出さないようにニッコリと微笑むと


「遅くなりまして申し訳ございません。」


と淑女の礼をした。すると…


「ああ、私は違うのよ~。初めまして雪谷 美鈴です。葵さんと陛下はあっちで待ってるからね。」


と綺麗なお姉さんはそう言った。


あっち?首を捻りながら室内に入ると…渋めの赤色の髪のイケマッチョが、紺色の軍服を着て立っていたー!カッキー?!あんたなんで今いないのよぉ!軍服のマッチョがいるよー!


…と瞬時にミリタリーオタのクラスメイトの柿沼さんの事を思い出していた。


そのマッチョは渋い色気を発しながら背の高い綺麗なお姉さんの横に並んだ。


あっ!このお2人…互いの魔力が混じり合って、しっとりと落ち着いたこの雰囲気…恋人?ご夫婦かな?


めっちゃお似合いだね。美女とマッチョだ。


「はい、では異世界へはこちらから参ります。」


そう言ってザックが手で指示したのは………リビングに置かれた大きな冷蔵庫(暖簾のかかった)だった…。


「なにこれ?」


「冷蔵庫ですね。」


私はその冷蔵庫に押し込められた…。目を瞑って開ければあっと言う間に事務所みたいな場所に辿り着いていた。いきなり事務仕事をしているお兄様達と目が合う。


私達より先に移動していた美女とマッチョに事務所の横の応接室みたいな所に案内された。お茶を出してくれたお兄さん可愛い顔だな~。目が合うと微笑まれた。


そして先程から部下?に檄を飛ばしている……お局様、失礼……女性がどうやら皇后の葵様らしかった。


仕事中は怖そうな雰囲気をガンガン出していたけれど、応接室で待っていた私達の所にいらっしゃる頃には穏やかな微笑みを浮かべていた。皇后って軍服を着て仕事するんだ…。


異界の迷い子、日本人の葵様は素敵なマダムで、旦那様のナッシュルアン陛下は渋メンの格好いいおじ様だった。


ナッシュルアン陛下はモッテガタードに私と海斗先輩が訪問する際にはナジャガル皇国の特使という扱いにして、正式に訪問して欲しいということと、是非ともこの機会にモッテガタード国と交易を始めたいとのことで私達に仲介をお願いしたいと、結構な人数の視察団になりそうなので、準備まで少し時間が欲しい…とのお話をされた。


私は海斗先輩の顔を見た。海斗先輩は大きく頷いて私を見てから陛下を見た。


「私は構いません、寛大なるお配慮を頂きまして身に余る光栄であります。」


「はい、私も異存はありません。ナッシュルアン陛下の御心のままに…。」


私もそう言って頭を下げた。葵様はその話を終えた後に私に優しい眼差しを向けられた。


「やっと死に別れたお子さんに会えるわね。私も子供達と死に別れたと思ったら、気が狂いそうだもの…よく頑張りましたね。」


泣けた…。葵様の胸に飛び込んで泣いた。海斗先輩がここで飛び込むのは俺の胸だろ!と怒っていたけど、同じ母としてこの想いを共有出来る葵様と抱き合って泣いた。


だって先程から葵様とナッシュルアン陛下の周りに皇女殿下と皇子殿下2人が嬉しそうにへばりついているんだもの。こんな可愛い子達と死に別れていたらと考えたら、確かに狂いそうになるよね。


私達は冷蔵庫の中からこっちの世界に戻って来た。取り敢えず、戻ってすぐ皆で日本茶を啜った。


「でも何故、移動が冷蔵庫からなんでしょうか?」


私が海斗先輩に聞くと、海斗先輩はザックに聞き返していた。


「ザックは理由を知っているのか?」


聞かれたザックは赤髪のイケマッチョ(名前はジャックスさん)に視線を向けている。


「僕は…ジャックスさんは知ってる?」


更にザックに聞かれたジャックスさんは、あ~アレだなと言った。


「俺が聞いた限りではこの土地に転移してきてるって言ってたぜ?レイゾウコがなくなりゃ、そこの物入れとか洋服棚の中とかだろう?」


洋服棚?ク…クローゼットかな?確かにクローゼットの中とかの方が転移した時安全だけど、そこの物入れ…と称されたのは食器棚だけど、流石にそれはもっと狭くて無理じゃない?

隣のおねーさんとイケマッチョの話は別枠で書いてみたいです^^

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