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騒ぐモノ達

誤字修正をしています

異世界人っていると思う?


鈴鹿 怜愛さんの質問にアタフタしている間に鈴鹿さんは、顔を引きつらせてしまうと、俯いてしまった。


「いきなり変な質問してゴメンね…。」


「いえ…あの、どうされましたか?」


私がそう聞くと鈴鹿さんは視線を彷徨わせた後


「麻里香ちゃんはアルクリーダさんから何か聞いている?えっと…出身地とか…。」


ああ~これどうやって答えればいいのだろうか?


すると…バァーーン!と突然リビングの扉が開いて、な…なんとアルクリーダ殿下が立っていた?!


「ひぃぇ?!」


思わず飛び上がってしまった私が見ている前で、アルクリーダ殿下は鈴鹿さんが座るソファの前で膝を突いた。鈴鹿さんも半分ソファから腰を浮かしかけて固まっている。


「レイア混乱させて済まなかったっ!実は……ここにいる我々は全員異世界人なのだっ!」


「アホかっ!勝手に暴露してんじゃねぇーよぉぉ!」


私はクリぼっちに激しく突っ込んだ。ザックの言った通りだった…クリぼっちは余計な一言を必ず言う男だった。


私の罵声にザックと海斗先輩が何事かとリビングを覗き込んでいる。レナードが慌てて現状を説明すると、海斗先輩は頭を抱えていた。


「あ…あの、アルクリーダ殿下?」


「うん?何か問題があるのか?」


「問題あるわっ!」


「マリ婆落ち着いて…。」


キョトンとするアルクリーダ殿下に怒鳴って…睨みつけているとレナードが背中をトントンと叩いてくれた。


取り敢えずトンデモない方向からのカミングアウトを受けて…海斗先輩が鈴鹿さんに私達の正体を明かした。鈴鹿さんは顔を強張らせて、何度も何度も頷いている。


「まずは見てもらった方がいいかな?魔法を見せてみようか?」


「えっ魔法っ!」


海斗先輩の言葉に鈴鹿さんが少し嬉しそうな声を上げた。分かるよ~〇クスペクト~ってな感じなんでしょう?


そして海斗先輩は術式を唱え始めた。え?おいっそれって…!


「きゃあああ!」


鈴鹿さんの体が宙に浮いた。私は素早く海斗先輩の背後に回ると、海斗先輩の背中に膝蹴りをぶつけた。


「こらぁ?!鈴鹿さんに魔法使って何やってんだっ!浮くなら自分で浮いてみろっ!」


ストンとソファに降ろされた鈴鹿さんはへなへなと深く座り込んでしまった。


「すみませんっ鈴鹿さんこの馬鹿がいきなり…。」


「ううん…こっちこそ叫んじゃってごめんなさい。びっくりしただけだから…。魔法凄いわね。」


と言いつつも鈴鹿さんの綺麗なネイルアートの指先が震えている。怖かったよね…本当にすみません。


「もうっ!もっと可愛らしい魔法があるでしょう?そうだ、これはどうですか?」


私は手から光の玉を出した。


「光魔法、つまりはライトとかランプの代わりです。」


「わっ~すごいね!」


ホラホラッ見ろよ?女子はこういうファンタジーな魔法で十分なんだよ?何だろうね?すぐに物体を動かしたり、派手な爆発をおこすような攻撃魔法を使いたがるのはね~中二病のせいか?


「兎に角、そう言う訳で一応アルクリーダ…殿下なのよね?アレでも…。一応シュテイントハラル神聖国って女神様の血が流れているあちらの世界で一番歴史のある由緒正しき血筋の国の王子様なのよ、アレでも。」


「麻里香先輩…いちいち殿下を下げなくても…。」


私はザックをキッと睨んだ。


「下げたくもなるでしょう?!ご自分だけを異世界人だと紹介するなら未だしも、私達の正体を真っ先にバラすなんて、鈴鹿さんにいきなり色々情報を押し付けてしまうでしょう?順番っ何事も順番がありますっ!秩序を守れない者はこの家には入れませんよっ!」


ザックとレナードが押し黙った。勿論海斗先輩も静かだ。


「麻里香ちゃん、大丈夫よ。確かにちょっと情報が多かったけど…大丈夫。」


鈴鹿さんはそう言って微笑んでくれた。そして部屋の隅でオロオロしていたアルクリーダ殿下を見て


「アルクリーダ…さんは不敬でしたね。殿下とお呼びしても?」


と言った鈴鹿さんの所へ、すっ飛んで来たアルクリーダ殿下は私を弾き飛ばして鈴鹿さんの隣に座った。ちょっと?!私そんな扱いぃ?私これでもモッテガタードの元国王妃で現国王陛下の王太后だよ?


床に打ち付けたお尻が地味に痛い…。


2人の世界を作り出し始めた、鈴鹿さんとアルクリーダ殿下を軽く睨んでから立ち上がって、リビングを出てキッチンに入った。皆も当然着いて来る。


「もうアレには触れるな。」


海斗先輩がアレ呼ばわりする2人はその内2人で解決するだろうと放置することにした。キッチンから廊下に出て各自の自室に向かおうとした時にレナードが、そーだ!と声を上げた。


「俺、暫くモッテガタード帰ってるよ~5日くらい皆、勉強で忙しいんでしょう?また来るから~。」


レナードはそう言って…私、海斗先輩、ザックを見回してニコニコしている。私はレナードに抱き付いた、というよりぶら下がっているみたいだが…なんとか抱き付いた!


「あんたぁなんて出来た子なのぉ~親の育て方が良かったのねぇぇ…親御さん、誰?…あらやだぁ?私の息子だったわ!」


「……もういいか?麻里香。」


「はい…すみません。海斗先輩、レナードを異世界に返してあげて下さい。」


私はレナードから離れると2歩後ろに下がって頭を下げた。ちょっとやってみたかったネタだった、見逃してくれ。


ザックもレナード何故か笑顔で私の頭を撫で回している。何だろうか?マリ婆可愛いとか言うのだろうか?


さて中間試験の勉強だ。その後は自分の誕生日と夏休み…そして、実はね海斗先輩さ、8月生まれなんだって。何で去年それを言わないんだよっ!て怒ったら去年は夏鈴の件で忙しかったと、本当にそうだったけど言い訳をしていた。


「今年はちゃんとお祝いしますからね?」


そう言うと顔を綻ばせていた。うん、え~と7月は夏鈴の誕生日で8月が海斗先輩と彩香で9月が真史お父さんと翔真、10月は無しで…12月に悠真と由佳ママ…えっと1月がばあちゃまと和真…。あれ?誰か抜けてる?


じいちゃまの11月だ。そうだ亮暢も誕生日だった……。


自分の手帳に誕生日の書き込みを入れながら6月の中間試験の日程も書き入れる。


今年も忙しいな~。


そして中間試験が始まった…初日、事件が起こった。


『戦慄!ポルターガイスト!の恐怖』後にこう名付けたのは親友の須藤 菜々だ。


数学の試験の最中、隣のクラスで悲鳴が上がったのだ。悲鳴を聞いた皆がざわついていたら、監督していた橋本先生が


「静かにしろー。何かあったら知らせがくるからそれまでは試験に集中だ。お前達に後退は無い!あるのは前進勝利のみだ!」


橋本先生また拳、突き上げてる…某世紀末漫画の名言かな?


隣のクラスでは廊下で人が出入りしている音はしていたけど、それ以上悲鳴があがったりすることは無かった。


そして、数学の試験が終わり…クラスメイトの笠松君がダッシュで隣のクラス行って聞き込みをして、急いで戻って来た。


「試験の途中で用具入れが浮かび上がったんだって?!」


「浮かび?」


「ええ?」


「浮かぶ…て空に?」


「ポルターガイスト!」


須藤 菜々の声がSクラスに響いた。


ポルターガイストとは…誰1人として手を触れていないのに、物体の移動、物を叩く音の発生、発光、発火などが繰り返し起こるとされる、通常では説明のつかない現象のことを言う……。つまりはだよ?


「あく…悪霊?!」


菜々が悲鳴(歓喜)を上げたけど、私は素早く否定した。


「何言ってんの、悪霊や幽霊の類は存在しないって海斗先輩が言っていたよっ?!」


「変態の言う事なんて信用出来ない。」


菜々…。


「変態なのに悪霊に物申せるの?」


萌ちゃん…。


「ポルターガイストかぁ…海斗先輩なら悪霊祓い出来るんじゃない?」


花音ちゃん…。


皆と話している間に、次の試験時間が迫ってきたので準備をすることにした。


ポルターガイスト…。本当にそんなものが存在するの?そう思っていたが…実はその後、上階の3年生の教室でもポルターガイストが出現していたのだ。


流石に違う教室で2回騒ぎが起こったので、試験終わりのHRの時に橋本先生が


「ちょーっと騒ぎになっているが…明日も通常通りの日程だからな。」


と言っていた。騒ぎ…。教室を出て校舎の出口に向かう。私と海斗先輩の待ち合わせ場所だ。因みにザックは雲井 桜さんに愛を囁く為に常に学園では別行動だった。


すると学舎の入口で女生徒が屯っている。何だろうか?すると私の後ろから地鳴り?がして振り向くとすんごい形相の前田 萌ちゃんが走り込んで来るのが見えた。


「麻里香ちゃんっ!門の所にサイストリアの機甲剣士、銀竜のゼフェリーガ様がいるんだってぇぇ!」


「…っ!」


懐かしいその萌ちゃんの興奮した様子に、私も一緒に駆け出した!まさかっまさか?


シュアリリス学園の門柱に凭れている人外の美形がいる。プラチナブロンドの髪が揺れ、立ち姿はまるで絵画から抜けて出来たような神秘性を持ち…伏せていた瞳がこちらを見る…その瞳は深緑の木々の色。


「あ~マリカ!」


よっ!と手を挙げたゼフェ様こと、うちの孫のレナードは門柱に凭れて女生徒に取り囲まれていた。これ…デジャヴ感じるな…いや、そうじゃない。


普段はマリ婆と私を呼んでいるが外では呼び捨てで呼んでくれるうちのイケメン。いや、そうじゃない!


「国に帰ったんじゃなかった?」


と私が聞くと人垣がサーッと割れた。海が割れた…。私の隣で萌ちゃんが小さい悲鳴をあげている。


「カイトがえ~と、エクソシストの出番だからって来てくれって連絡が…。」


「エクソシスト?!」


周りにいた生徒達の甲高い絶叫が響いた。


「ま、ま、まっ麻里香ちゃん!アレアレっ‼ゼフェリーガ様だよぉぉぉ!」


「いや、落ち着いて萌ちゃん。二次元様じゃねーから。生きてっし。ザックの国の知り合いで…。」


「どんなイケメン産出国なんだよっ!DNAのバカヤローー!」


私の周りで皆が絶叫した。そして


「っ…!ちょっとザックはっ?!ザックヘイム=デッケルハインはどこなのよ!」


アニオタ様らしき女生徒の皆が突然騒ぎ出した。ザック?んん何で?


「萌ちゃんどうしたの?」


「どーしたのじゃないよっ!ロウ様とゼフェ様のツーショット写真を撮るチャンスじゃないっ!」


いや…家に帰れば普通にツーショットなんだけど…やっぱり同棲(同居)していることは内緒にしなきゃな。


私は海斗先輩に早く来いっ!と心の中で念じつつ…ザックはこのまま見付かるなっ!と同じく心の中で念じていた。






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