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後ろにいるよ…(本物)

ちょっぴりホラー要素ありです

誤字修正しております

サイストリアの機甲剣士の銀竜のゼフェリーガ様とは、蒼竜のロウヘイザー様のライバルキャラらしい。サイストリアの王子殿下で機甲剣士の中でもエリート。逆にロウヘイザー様は庶民からのたたき上げで剣士になったとても苦労人で、勿論才能と実力はナンバーワンだ。


つまりは2人は生まれも育ちも真逆でサイコウ内の人気を二分するキャラだ。そこが腐の住人の心をくすぐるらしい。何でも対になるものさえあればカップリング妄想を出来る人種らしいので(萌ちゃん談)そういう方面でも勝手に人気になったそうだ。


あ、因みキャラクターとは言え、「様」付けしないと萌ちゃんにしばかれるので致し方なくです、はい。


取り敢えず、下島夫人はデジカメの画像を見て、ゼフェ様とロウ様の妄想?で浮かれてそのまま帰ってしまったので、何か言いかけていたのは詳しくは聞けなかった。


という訳で、帰宅して来た真史お父さんに異世界の洋酒を渡して(洋酒のラベルは剥がしておいた)下島夫人の事を聞いてみた。


「今日さ…下島さんの奥さんの方がうちに来ていたんだけど、お父さん何か知ってる?」


夕食を食べ終わった後に、洋酒を飲みながら〇ルパスを食べていた真史お父さんはキョトンとした後


「名取さん?…あ~あれかな?」


と、言い出した。お父さんに話を聞こうかなとした時、由佳ママに


「麻里香、お隣に持って行くおかずの準備は出来たの?」


と、ご飯を丼に入れている由佳ママに言われて慌てて、海斗先輩とザックの家に食事を持って行った。


実は私、お隣の栃澤さんの『家政婦』やってます。海斗先輩にザックの為に…と言われてしまって腹を括った。パン屋のバイトを辞めて海斗先輩に正式に雇って貰い、時給制で働いてます。正直ね、バイト代良いんだよねっ!


私は保存容器におかずを詰めて、エコバッグに入れるとお隣にお邪魔した。家政婦なので家の鍵は渡されています…。


「お待たせしました。夕食です。」


リビングには海斗先輩と…………あれ?ザックは分かるんだけど、やたらとキラキラしたおっさん、失礼、アルクリーダ王弟殿下がいるんだけど?んん、私また異世界への扉を開いている?


つい、一歩下がって自分の周りのリビングの廊下を見てしまった。うん、新築の良い匂いがする。


「麻里香すまん。アルクリーダ殿下が異世界を見学してみたいと仰ってな。」


「見学…。」


慌てて戸口で淑女の礼をしてから、廊下からキッチンの方へ回り、食事の準備を始めた。ザックが素早くキッチンに来て手伝ってくれる。


「ザック、ありがとう。助かる!」


ザックは苦笑いを浮かべた。


「いえ、レナード殿下も近々いらっしゃいますし、王族が3人もお相手じゃ先輩だけじゃ大変ですし、ね。」


おふぅ……忘れてた!海斗先輩だけでも鬱陶し……王圧?があるのにこれに2人も増えるの?まあ、レナードは身内だからこき使ってやればいいか…。立ってるものは孫でも王子でも使うぜ。


食事の配膳を終え、王子にはナイフとフォークをお出しした。いきなりお箸は使えないだろうしね〜。


今日は酢豚、ニラ餃子、溶き卵スープ、麻婆茄子とTHE中華だ。


それにしてもアルクリーダ殿下もザックもよく食べるな〜。と、そこへインターホンが鳴って、真史お父さんがやって来た。アルクリーダ殿下を見て、何故か英語で話しかけちゃったお父さん。ところがアルクリーダ殿下は瞬時に英語で答えてにこやかにしている。凄い…これが言語の加護か。


「ザックの国の偉い人みたいだな、貴族なんてお父さん初めて会ったよ。」


へ、へえ……何気に英語を優雅に話す真史お父さんもカッコいいね!


「そりゃそうとお父さんどうしたの?」


「あっそうだった、食事の後で栃澤君に相談したいことがあってね。」


相談?酢豚を食べている海斗先輩と顔を見合わせて首を捻った。


食事の後に杏仁豆腐を出して…ジャスミン茶を皆様にお出しして真史お父さんの話を聞くことにした。


「下島さんがストーカー被害?!え?あの奥様の方なのかな?」


しかし下島夫人が被害者にしては先程までゼフェ様!ロウ様!とウキウキしていたので、緊迫感が無かったというか…じゃあ下島旦那が被害者なの?


「男の人にストーカーって珍しいね。」


「何言ってるんだ、麻里香。男性だってストーカー被害に遭っている。現に俺だって女性に付きまとわれたことがあるんだ。」


「変態が変態を追いかけたのですかっ?!」


「こら、麻里香っ!栃澤君に何て言い方だ!」


…っち!真史お父さんは海斗先輩に全幅の信頼を置いてるからなぁ…娘の私より信用してるんじゃないか?


「下島さんはいつからストーカー被害に遭われていたのですか?」


海斗先輩は私をじっとりとした目で見ながら真史お父さんに聞いた。聞かれた真史お父さんは何だか微妙な顔をして、う~んと唸っている。


「いやね、ストーカ被害…と言っていいのかよく分からないんだよ。実はね…仕事中や社内に居る時に、誰かが側にいるように感じるらしいんだ。」


「側に…。」


ザックが呟いたので、真史お父さんはザックを見て困ったように眉を下げた。


「随分と曖昧な表現だとは思うんだけど、それしか表現出来ないと下島君も言っているんだ。つまりだね、仕事をしている時に自分のデスクの横に誰かが立っている気がして、顔を上げてみても誰もいない。食堂で食事をしている時に、背後に誰かが立った気がして振り返ると誰もいない…こういう状態らしいんだ。」


ぞぞーーっとした。マジで…いやそれさ…口にするのは憚れる生き物?っていうか…ゆ、ゆ…。


「ゅぅれぃ…かな。」


私が極力大きな声を出さないようにゴニョゴニョと言うと、耳敏く聞きつけた海斗先輩が大きな声で言った。


「幽霊だと?馬鹿を言うな!そんなものはいない。」


言い切ったよ?言い切ったね馬鹿旦那?オカルト大好き須藤 菜々様を全否定ということになりますが宜しいでしょうか?


「幽霊…死者の魂というものですね。」


ザックーー!怖いから復唱しなくていいからぁぁ。


「まあそう表現してもいいんだろうけど…例えるとパソコンを打っていて画面を見てると目の端に確かに()()()()()()()()のが見えるようなものらしい。目の焦点があっていない時にぼんやりと視界に入って来る…あれだ。下島君も、居る…と思ってソコを見るともういない…ということが度々起こるらしい。」


「ゅぅれ…。」


「いない。」


また海斗先輩が一刀両断する。すると黙ってジャスミン茶を飲んでおられたキラキラ、アルクリーダ殿下が


「でしたら、一度その現場で確認すれば宜しいのでは?」


と流暢な日本語で提案された。


お貴族様(王族)の神の一声に皆従った。下島さんはただ見られているだけで実害は無いので事を大袈裟にしたくはないと言っていたらしい。


見られているだけ…。


私は栃澤家の夕食の後片付けをしながら、持田 瑞希の事を考えていた。彼女、確か婦人科系のご病気で手術したのだったよね?その後どうされたんだろう。仕事復帰したのかな…。


キッチンを片付けた後、アルクリーダ殿下の本日泊るお部屋を整えて、リビングに戻った。


「持田 瑞希だろうな…。」


海斗先輩が戻って来た私にそう告げて、海斗先輩は簡単に持田 瑞希の傀儡魔法の件を説明した。ザックは顔色を失くしている。


「魔核が…。」


「術の魔力使用量に対して術の効果がたいしたことのない術だったはず、実用性は皆無だ。だが予備知識が無い分、感覚で術を発動してしまったのだろう。それで制御が出来なくなったのだろうな。」


アルクリーダ殿下の説明で思い出した。神様に近い人ならお腹真っ黒の治療は出来るんじゃないかな?


「あ、あのアルクリーダ殿下…魔核が出来ている人の治療は出来るのでしょうか?」


私がそう聞くとアルクリーダ殿下は、うん…と少し考え込まれている。


「魔核までなら治療は出来る。だが魔人までいくと正直お手上げだ…魔人化すると人間の体組織そのものを魔に作り変えてしまう。生き物にとり憑いた魔は祓うのは無理だ。」


お手上げ…そうか。


「麻里香、亮暢か?」


私はぎこちなく海斗先輩に微笑んでみせた。亮暢…実父のアイツ、お腹は真っ黒だった。魔核…が出来かかっていたと思う。あれから悪化していたらもう…魔人になってる?


先日の魔人化した山田姉を思い出していた。


「殿下がいらっしゃる間に篠崎 亮暢の容態も見てもらおうか…場所は確認している。」


私は海斗先輩に頷いた。


さて…その日は解散して週末、真史お父さんのお勤めの会社前に私、海斗先輩、アルクリーダ殿下、ザックヘイム…そして孫のレナードで下島さんと待ち合わせていた。


「す…す、すごくカッコイイ人だね。」


「あ~えっとザックヘイム君のご親戚の方でね。観光に来てて…下島さんの事で特別に社内に入れると聞いて…見学したいとね。」


「あ~あなるほどね。」


下島さんは私の苦しい言い訳を信じてくれたみたいだ。今日、下島さんは休日出勤だということで私達は真史お父さんに許可を取ってもらい、海斗先輩の伝手も使い…このメンバーで下島さんを見詰めるゅぅーれぃを確かめることになった。


夜に見に行くとかじゃなくてよかった。傀儡魔法の夜のトイレも大概怖かったのに夜のオフィスビルなんて、ぁくりょぅ…の溜まり場なはずだ!(菜々のお言葉より)


しかし何だろうね?


私の後ろに立つ王子殿下2人を見る。


「レナード、どうしてスーツ姿なの?」


レナードはキョトンとした後、海斗先輩を見た。


「え~だってお爺様がカイシャという商会はこういう制服を着用して行くものだって。」


「いや間違ってはいないけどっ!着用するのは会社員、え~とここに雇われている…あ~もう説明が難しい。」


私が頭を悩ませていると下島さんが助け船を出してくれた。


「まあまあ、うちは商社だから海外向けの部署もあるし、そこは外国籍の方も沢山いるから~外国の方でスーツ着ていても目立たないよ。あ、それにね今日出て来ている鈴鹿 怜愛(すずかれいあ)さんもアゼルバイジャンのハーフだから…。」


アゼルバイジャン?はてどこのお国だろう?すると


「旧ソ連のお国だな。」


と海斗先輩が仰ったので何となく世界地図が頭に浮かんだ。何だかロシア美女の予感…。


私達は仮社員証を受け取り皆でビルに入った。


「お~中はこんな感じなのか。」


「吹き抜けかと思っていた。」


王子殿下達が一階のロビーで感嘆の声を上げています。人が少ない土曜日とはいえ女子達の視線を釘付けのキラキラ王子殿下達。


「あれ~下島さん、ありゃ篠崎部長の娘ちゃんだね。こんちはー。」


私達の後ろから声が上がり。振り向くと手をピラピラと振りながらゴージャスな派手メイクの…お姉様が歩いて来る。あ、おはぎ持って行った時に名取さんと一緒にいたお姉さんだ。


「あ、鈴鹿さん。」


下島さんの言葉に気が付いた!この人がアゼルバイジャンのお姉さんかーー!


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