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気になる空き地

続編、スタート致します。

宜しくお願いします。

皆様お久しぶりです。元王太子妃今はド庶民の篠崎麻里香です。無事進級出来れば4月からはシュアリリス学園の2年生になります。


しかし去年は怒涛の1年だったね。まさかこっちの世界で元旦那、元国王陛下のナキート=モッテガタードに会うとは思わなかったわ…。変態の界跨ぎのストーキングにゾッ…とした1年だったわ…。


さて…年明けのから少し経った一月の下旬…、私、篠崎麻里香の住む自宅の隣の元、楠さんのおばあちゃん家跡の空き地に囲いが出来て、空き地の真ん中に体育祭の時に来賓の人達が座っている白いテントみたいなのに紅白の垂れ幕がかかっている建物?が建てられていた。


あれ、何だろう?


バイト帰りに隣の空き地のソレを見て首を捻りながら自宅に帰り、キッチンに居た母、由佳ママに声をかけた。


「ただいま~ねぇママ、隣の楠さんの所に紅白の垂れ幕かかっているんだけど、アレ何?」


由佳ママはハンバーグのタネを作っていた。笑顔で、お帰りと言いながら頷いた。


「ああ、やっと工事が始まるのね、あれは地鎮祭でしょう?お家を立てる前の安全祈願というか、神主さんにお願いして建築会社と施工主立ち合いでお祓いしてもらうのよ」


なるほど、一種の神への祈りみたいなものか…。モッテガタードにもあったなぁ~女神に祈りを捧げる奉納祭ね。ん?ちょっと違う?


私は着替えてから、海老しんじょを作ろうと、すり鉢を棚から出していると由佳ママが


「あ、地鎮祭には麻里香も出なさいよ」


と言った。ん?何だって?


「どうして、隣の工事のお祓いに私が出るの?」


由佳ママはポカンとした顔で私を見た。お互いにポカンとした顔で見詰め合った。


「栃澤君に聞いてないの?」


「なにそれ?」


由佳ママの言い方に果てしなく嫌な予感がする。ママは目を泳がせた後


「隣、栃澤君の家が建つんだけど…」


と言った。


「なぁんんだあああああってぇぇ?!」


私は携帯電話を取り出すと栃澤 海斗(元旦那&今彼)にメッセージを高速で打ち込んだ。


『おいてめぇこら!うちの隣に家を建てるってどういうことだ! 麻里香』


返事はすぐに返ってきた。


『実家が遠いと里帰りが不便だろ?  海斗』


「そうじゃあねぇぇ!」


思わず、携帯電話を投げそうになりながら…プルプル震える手を何とか降ろした。


ふぃ…平常心平常心…。あの暴走変態ストーカーは予想の斜め上からやってくるのが当たり前なんだから…。


次の日の日曜日


朝一からくそやかましい元旦那、元国王陛下、の栃澤 海斗がスーツ姿でやって来た。


「おはようー嫁!」


「…っち」


無駄に格好いいのが無性に腹の立つ…。てか、何で由佳ママも真史お父さんも知ってるのに、一応今カノの私が知らないのよ…。


キッ…キッ…と真史お父さんを海斗先輩を睨んでいると、海斗先輩は、ああ…と言って私を見た。


「言うの忘れてたか?隣に俺と麻里香の新居を建てるから。これからの真史さん達のお世話もしやすいだろう?」


「今頃言うな!遅いわっ!それに新居って何だっ!」


叫んだ私の前に海斗先輩が大きな紙を差し出した。何だこれは?


「ほーら!平面図だ!これがリビングで~」


うえっ!リビング25畳?!部屋なにこれ?何室あるのよ?!これが栃澤海斗の新居か…。別にさ、将来の話をされて怒っている訳じゃないのよ?そりゃ彼女としてはこれからの人生計画を色々示してくれる恋人に内心ホクホクしているけど、それにしてもだなっ!


「それにしてもっその、新…え~と家を建てるのまだ早くありませんかっ!」


海斗先輩は、チラッと私を見て少し目を細めた。


「う~んまあ、4月までに準備しておきたいかな~と」


準備~?何の準備だよ?何だか答えている海斗先輩の魔質が変な動きをしている?


おっと、そうこうしている間にお隣に建築会社や神主さんが到着したみたいなので、篠崎家の皆も一緒にお祓いを受けることになった。


外に出て、皆で空き地に入ろうとした時に立ててある看板?を見ると…新築工事の名前の所が栃澤、篠崎邸になってるんだけど!おおいっ?どういうこった!いつの間に連名になっているんだ!


これってこのドでかい新築の家を篠崎家の半分持ち物になったということか?ちょっと待てよ?この土地と家っておいくら万円なんだ?三軒分くらいの敷地面積はあるし3億円以上はするよね……篠崎(うち)の家もまだローン残ってるよぉ?!


お金ぇぇ?!


神主さんに頭を下げながらも、お金のことが気になって落ち着かない!こんな邪心の塊なら氏神様も怒るかもしれないけど、気になって仕方がない!お祓い早く終われ~!祝詞なげぇよ!


「えっ…一括購入…?」


施工会社と神主さんが帰られた後、篠崎家のリビングで私の入れた日本茶をのんびりと啜っていた海斗先輩に聞くとそう答えた。


「何故俺がちまちまと住宅ローンを払わなければならんのだ?投資や株で金は持っている。心配はするな!」


「はぁ…」


ちまちま…。流石元国王陛下太っ腹!じゃねぇわ…その、ちまちまローンを払っている真史お父さんが、切ないような悔しいような表情でこっち見てるからっ小市民の心情も考えて言葉使いに気を付けてあげてよ!


さて今彼(お金持ち)が帰り際に


「今年の2月は楽しみだな♡」


と言う呪いの言葉を吐いて帰ったので今から非常に憂鬱な気分です。


はぁぁ…2月ね、バレンタインだろうな…。あの『死ぬまでに嫁とやってみたいこと100選』だったか?の黒革の手帳に、『嫁にチョコを貰う』とかの書き込みあるんだろうなぁ。


そうだ、皆はバレンタインどうするのか聞いてみよう…。


友達のグループメッセージにバレンタインはどうするの~?須藤 菜々、前田 萌ちゃんと髙嶋 花音ちゃんに送った。


既読が一斉について、皆からメッセージが入る。友達に渡し合いしたし、ちゃんと作って渡したい相手もいるみたい…オホホ!それじゃあ集まって作ろう!という話の後に萌ちゃんからキャラクターのイラストが送られてきた。アニメのキャラ…だろうか?濃い紫色の髪の青い目のカッコイイ男の子だ。


「これなんだろう?」


思わず呟いていると、横からヒョイ…と覗き見た翔真(弟12才)が


「『サイコイ』のロウ様だろ」


と言った。サイコイのロウ様?誰だそれ?


翔真はチョイチョイと携帯電話を弄ってから、私に画像を見せてくれた。


「サイストリアの機甲剣士の蒼竜のロウヘイザー、通称ロウ様。今、オタ女の間ですごい人気だよ」


「へ…へぇ…」


翔真の見せてくれたアニメの公式サイトの話を読んだけど半分くらいは専門用語?で分からない。つまり何かのキャラクターな訳だ。


という訳で翔真から得た俄か知識を振りかざして萌ちゃんに、ロウ様だね。と送り返すとスクロールなんぼ程するねん?状態な長文の、ここがすごいぜ!ロウ様自慢が萌ちゃんから送られてきた。


そのメッセージを目を凝らして読んでいる私を見て、翔真は鼻で笑っていた。


「馬鹿だな~麻里ねぇ、オタ女には触れちゃいけないスイッチがあるんだよ?」


スイッチ?なんだよっそれ!もっと早く教えておいてよっ。


という訳で、翌週の週末に花音ちゃん家に集まってチョコレート作りをすることにした。


ガトーショコラとトリュフチョコ…それとショコラプリンを作った。皆で集まって作るのがいいのよね~。


そしてバレンタインの前日


明日渡す予定のラッピングを済ませたチョコ達を、菜々から誕生日プレゼントに貰った主婦の必需品、エコバックに詰めていると携帯にメッセージが入った。画面を見ると…海斗先輩だ。


『チョコは下駄箱に入れろ』


ナニコレ?


「う~ん?」


あ!分かった…嫁としてみたい100選?だったかに『嫁が作ったチョコレートを下駄箱に入れて貰う』とかあるのかも?でも残念ね~。


『シュアリリス学園の下駄箱兼ロッカーは暗証ロック付きで私が勝手に開けて、チョコレートを入れること出来ませんけど?』


『……』


海斗先輩からは返事が来ない。やっぱりね?暗証ロックのことすっかり忘れてたんでしょう?下駄箱にチョコレート入れてもらうことで頭がいっぱいだったんでしょう?


という訳で、私はバレンタイン当日はチョコを友達に配り、旭谷先輩と邑岡先輩と藤河先輩と玉田先輩にもいつも、海斗先輩がご迷惑をおかけしております…と頭を下げながら義理チョコをお渡しした。


そうしてやっぱり海斗先輩は女子達からてんこ盛りチョコを貰っていた。そうだろうな~と思った。でも私は知っている。


夜…私は転移魔法を使って海斗先輩の部屋に行った。事前に連絡してあったので海斗先輩は自室で格好いいソファに座って私を待っていてくれた。


「お待たせしました。はいどうぞ」


私が海斗先輩にはバレンタインチョコは小さいトリュフチョコを準備したけど、メインは…


「鯵の開きー!」


「……嫁」


「はい?」


「確かに俺は酒のアテ系の食べ物が好きだし、チョコレートは数はあまり食べられない。でもなんでまた魚の干物なんだ?」


「昔…ナキート殿下がお酒と一緒に魚を燻製にしたものを、よく食べてましたよね?」


「ん?…ああ、昔から好きだな」


「ザイードもお腹の中に居る時に、ナキート殿下と同じものが食べたい…と言ってました」


「…っ!あいつ、そんなこと…そう言えばあいつも酒のつまみ系が好きだったな」


もうお腹の中にいないけど、思わずお腹を触ってしまった。


「だから、あの子の分も…貰って下さいませ」


「ああ…そうだな。そうだ…いや、この話はまた今度でいいか」


ん?何だろう…海斗先輩の魔質は変な動きではないし…良くない話という訳ではない…みたい。


海斗先輩はすぐに開きが食べたい!と言ったので、すでに準備していた定食っぽい御膳を用意してお出しした。


ああ~ザイードにもチョコレートあげたかったなぁ。


自宅で長期待機を余儀なくされている皆様の時間潰しに少しでもお役立ち出来ますように☆彡

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