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『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
第16蝶 影の少女の解放と創造主

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クロ猫のタンゴ1

かなり間を開けての投稿ですが、今回もよろしくお願いします。


前回、スミカがマヤメのマスター(黒猫)に触れたところ、生き返ったかのように起き上がりましたが、何故かその様子はスミカにしか視えてないって内容でした。

今回はその続きからになります。


因みにサブタイに深い意味はありません。

黒猫ときたらタンゴっていうだけですw

今の若い人たちは『?』ってなるんですかね。





「は、はい、脱げたよっ! け、けど、本当にマヤメちゃんの履くの?」

「ん、このパンツは便利。マスターの発明品。だからトテラも使う」



『………………』


 起き上がったマスターを目の前にし、混乱する私をよそに、未だマヤメとトテラはパンツの交換会でイチャついていた。


 てか、トテラが今脱いだのって、私が貸してあげた下着だよね?

 ウサギの耳がプラプラしてるし。



『……にしても、やっぱり二人には視えてないって事か。もしかしてこの身体のせい? RROプレイヤーがどうとか言ってたし……』


 私と二人の大きな違いと言えば、この身体(アバター)だ。


 二人が視えてないって事は、恐らく、このアバターの視界を通してでしか視えないのであろう。


 そうなると、今、私が視ているものは、AR(拡張現実)みたいなもの。


 その証拠に、マスターの亡骸は、小箱の中で横たわったままだ。

 それと重なる様に、映し出されたから、生き返ったように見えちゃったけど。



「で、どうして私に反応したの? って聞くのは意味ないか……」


 そもそもマスターの目は私を捉えていなかった。

 中空に視線を漂わせたまま、こちらを見ようともしない。


 だからこれはメモリーだと確信する。

 生前に残した、遺言的なメッセージなのだろうと。


 だから――――



「……あのさ、マヤメ。マスターが何か伝えたい事があるみたい」

「んっ!?」

「で、一応確認なんだけど、二人にはマスターがどう見える?」


 事実確認の為、一応マヤメとトテラに見てもらう。



「ん、マスターは寝てる。ずっと、ずっと前から……」

「ア、アタシも同じだよ?」


 当然と言うか、やはり二人には視えなかったようで、神妙な面持ちに変わる。



「やっぱりか…… でも私には声も聞こえてて、幽霊の様に浮かび上がってるんだよ。信じるかどうかは任せるけど」


「んっ、マヤは信じる。だって澄香はマスターと同じ匂い」


「匂い?…… そう?」


 胸元を引っ張り、クンクンと嗅いでみるが、自分ではわからなかった。 



「ん、違う。澄香は匂いがしないのが匂い。マスターもそうだった」


「? それは匂いがないって事? でもユーアはいい匂いだって、前に言ってたけど」


 いつだったか忘れたが、ユーアの他にもナゴタとゴナタも言っていた。

 因みにユーアは、ベビーパウダーのような甘い匂いだったりする。

 


「ん、それはきっと、お風呂にある洗剤の残り香」

「洗剤の残り香?…… ああ、シャンプーとかボディソープの事?」

「ん、そう。マヤは鼻もいい。だから嗅ぎ分けられる」


 小さく頷きながら、真剣な目で私を見返す。


 確かにマヤメは、視力の他にも嗅覚も優れているのだろう。

 元々、斥候や偵察向きな能力の持ち主だから。



「クンクンクン…… あ、本当だっ! スミカちゃん、匂いしないよっ!」

「それはいいから、いい加減パンツ履きなよっ! ってか失礼だってっ!」

「痛いっ!」


 腕を持ち上げて、腋の下を嗅ぐトテラの頭に拳骨を落とす。


 で、今の話で分かった事は、この身体(アバター)は無臭だということ。

 体臭も汗臭さもないらしい。


 それに何の意味があるかと言えば、そこまで意味はない気がする。

 精々、この世界の住人とプレイヤーを判別できるくらいだ。



「で、話は戻すけど、私にしか視えないって事は、きっと私にも伝えたい事があるんだと思う。けど、マヤメにも大事な話だと思うから、今は私が代わりに聞くね」


「んっ! わ、わかったっ」



 ――――だからマヤメにも聞いてもらう。

 その権利があるだろうし、マスターはマヤメの創造主だ。


 ただ私に反応したって事は、恐らく()()()の話も出るだろう。

 マスターは私と同様に、この世界に転移してきた、元RROプレイヤーなのだから。




『『――――にゃーが視えている者よ。にゃーの声が聞こえている者よ……』』


   

 前脚をちょこんと揃え、ピンと姿勢を正しながら、黒猫が語り始めた。



『『ここからは、この世界の住人としてではなく、この世界とは相違なる存在として話を続けます。なので今のこの口調が、本来の私と理解してください――――』』



『………………』



『『私の名前は"まっくろクロ猫(♂)”。裏世界(リバースワールド)出身の、元RROプレイヤーです。そして――――』』



『……裏世界? って事は、タチアカやマカスが今いるところ?…… じゃなくて、ゲーム内でのワールドって意味かな? 最後に元プレイヤーって言ってたし』


 私がプレイしていたゲーム内では、特色の違うワールドが用意されていた。


 表世界=SFチックな世界が舞台の近未来風ワールド

 裏世界=剣と魔法のファンタジー色が濃い西洋風ワールド


 の2種類があり、私は表世界のプレイヤーだ。


 そして今の話だと、この"まっくろクロ猫(♂)”と名乗る、マヤメのマスターは、タチアカたちと同様、裏世界のプレイヤーだと言う事になる。



『ん? ちょっと待って。でもそうなると、あの話はどうなるの?……』


 ここでとある矛盾に気付く。

 タチアカから聞いたあの説明と、大きな違いがある事に。


 裏世界のプレイヤーは、こっちの世界でも裏世界の住人となり、表世界に行き来は出来るが、制限時間的なものがあると、タチアカが話していた。

 

 実際に私も『表裏一体モード』がなければ、向こうには行き来出来ない。

 パンツを拝ませた時間分だけって言う、条件付きで。


 だけどこのクロ猫は、かなりの長い期間、こっちの世界で住んでいたはず。

 数か月、いや、隠れ家の規模から察するに、恐らく年単位で暮らしていたはずだ。 

 


『この食い違いって、何か意味があるの? だってタチアカたちはジェムの魔物を使って、エナジーを集めてこっちの世界にって…… な、に?』


 ピロン ピロン ピロン ピロン


 ここで、聞きなれた効果音と共に、4件の通知が連続で届く。

 たった今、新着のメッセージを受信したと。



『は? これって?…………』


 この世界に来て、初めての通知に驚きながら、恐る恐る受信ボックスを開くと――――



『……はぃっ!?』


 4件とも差出人は同一人物で、それは目の前の"まっくろクロ猫(♂)”だった。


 どういった技術かは不明だが、このタイミングって事は、恐らくARと同様に、何かの条件で自動的に送られたものだろう。   



 《 RRO転生者マヤメの育成日記 》

 《 魔戒造幻獣フェンルル 》

 《 表世界=裏世界 裏世界≠表世界 》

 《 OLTA(オルタ) の規模とその目的とは(調査中) 》



 と、言う件名の、新たな謎と真実に触れるものが。




スミカの匂いについては450話付近の『マヤメの苦悶と英雄さま』で、

マヤメから語られた内容の答え合わせ的なものです。


マヤメのマスター『まっくろクロ猫(♂)』はこの世界の呼び名ではなく、

RRO内のハンドルネームで、組織内ではマスターと呼ばれてました。



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― 新着の感想 ―
>表世界=SFチックな世界が舞台の近未来風ワールド >裏世界=剣と魔法のファンタジー色が濃い西洋風ワールド  うーむ、情報が足りない。  表裏なんてして一つのゲームにするより、別のゲームとして分けた…
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