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『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
第15蝶 異世界最強魔法少女(幼女)との邂逅編
495/593

表裏一体と煩悩

今話は新しく覚えた能力の詳細のお話です。

かなり強力らしいですが、果たして?




「どれどれ、もっと詳しい詳細をっと」


 レベルアップによって、新たに増えた項目を確認してみる。




 《表裏一体モード》


 表と裏の世界の、両方の理を併せ持つ姿になる。

 そこに存在はするが、第三者には触れることも認識することもできない。

 自身から第三者への接触は可能。


 ※使用中は装備の色が変化し、一定時間ごとに薄くなる。

  解除するには装備が透明になるか、羽根を2秒纏って解除する。

  一度目の前の――――

              | 

              |




「…………ん? 薄くなる? それと透明って?―――― はっ!?」


 怪しげな単語を見付け、恐る恐る透明壁に全身を映す。

 そしてその意味を理解し、一瞬固まる。


 ファサッ!


「って、なんでわざわざ透明になるのっ!?」


 慌ててフーナを確認し、全身を羽根で覆い隠す。

 胸元と足元から薄っすらと、装備が透明になり始めてたから。



『あっぶなぁーっ! 危うくこの変態の前でセミヌードになるところだったよっ!』


 羽根の中に隠れながら、ホッと胸を撫で下ろす。

 フーナがまだ夢の中で助かったと安堵する。


 まさかものの数秒で、表裏一体が消えるとは思っていなかった。



『なんでこんなに時間が短いのさっ! 強力なやつだと期待したのに使いどころが難しいんだよっ! それと装備が透明になるっておかしいよっ!』


 再度メニュー画面を見ながら、心の中で愚痴を吐く。

 使う前にチラ見した時は、かなり期待できるものだと楽しみだったのに……


 仮に、この能力に時間制限がなかったとしたら、あまりにも理不尽過ぎるけどね。

 相手には認識されず、且つ、触れる事も出来ないなんて。



「だから制限があるって事かぁ、こんなの使ったら一方的過ぎて戦いにならないからね。『幻夢』もそうだけど、増えた能力が強力過ぎない? これもフーナの影響? おっ! いつもの衣装に戻った」


 黒アゲハ蝶の装備に戻り、そろそろ目を覚ますはずのフーナを横目で見る。


 恐らくフーナも私と同じ世界の住人だ。

 そんな存在と干渉したことで、強力なチカラが宿ったのだと推測する。


 

「それか、もしかしたら何かの前兆とか? 今までは都合よく私の望みに近い能力が増えていたからね。なら今回もそうだったとしたら? この能力を使う程の、強敵が現れるのだとしたら?」


 決してあり得ない事ではない。


 私やフーナのような存在がいるって事は、他にもいる可能性は高い。 

 現に怪しい魔物とも戦っているし、それらしい痕跡もあった。



「正直、好みの能力じゃないけど、そんな事言っても私自身が似たようなものだしね? ただ極力は…… ん? なんだ説明の続きあるじゃん」


 口ではそう言いながら、せっかく覚えたものだと諦めきれずに、メニュー画面を眺めていると、更に詳細が続いていた事に気付く。



「え~と、なになに? 『一度目の前の相手に、装備の下の装備を晒すことが第一の条件』 って…… 何これ?」


 装備の下の装備ってなに?


「あ、まだ続きがあるんだ。 で、『その晒した時間の分だけ《表裏一体》モードが継続する』」 


 晒した時間?

 そんなことしたっけ?


「ん? 意味が分からないんだけど?」


 何処か要領を得ない説明を読み終わり、無数の疑問符が浮かぶ。



「ん~、ちょっと整理しようか。まず注視しないといけないのは、第一条件の『目の前の相手』に『装備の下の装備』を『晒した時間』が『《表裏一体》』の使用時間って事だよね? え~と――」


 単語ごとに強調して、考えてみる。



 『目の前の相手』


 この場合は言わずもがな『フーナ』の事だろう。

 だからさっきまで使えたのだとわかる。



 『装備の下の装備』


「………………」

 

 これがわからない。だから先に進もう。次は、



 『晒した時間』と『《表裏一体》』

 

 これは簡単。


 晒した時間=《表裏一体》が使える時間なだけだから。



 そうなると『装備の下の装備』って単語が一番重要なものだとわかる。

 これを晒す時間が、そのまま表裏一体モードの制限時間なのだから。



「はぁ~、もう認めよう。このままとぼけてても仕方ないしね……」


 盛大に溜息を吐き、薄目でフーナを睨む。

 こんなおかしな条件になったであろう、その当事者に恨みを込めて。



 『装備の下の装備』


 これはその意味の通り、装備の下に着ているもの。

 要は下着の事で、それを晒している時間がチャージタイムって事だ。

 


 確かにフーナは私の下着を盗み見していた。

 それがチャージタイムと認識されたのだろう。


 だから《表裏一体モード》になった時間が短かったのだ。

 覗かれた時間は恐らく数秒だったから。


 分かってしまえば簡単。

 条件を満たせば、いつでも何処でもモードチェンジが可能だ。


 だけど、それって――――



「な、なに? 敵の目の前で下着を見せながら戦えって言うのっ!? 魔物ならまだしも、対人戦だった時はどうすんのっ!」


 これって絶対フーナのせいだよね?

 こんなとんでもない存在と戦ったおかげで、おかしな条件が付いたのって。



「う~、かなり納得できないけど、それはフーナを起こしてから文句言ってやろう。これはご飯をご馳走だけじゃ足らないな。数週間ノトリの街で働かせようか?」


 そろそろ目を覚ます時間なので、覚醒させるためにフーナに近寄る。

 そんなフーナはだらしない顔で「でゅふふ~っ! 次は――直接~」とか言っていた。 



「あのさ、どんな夢見てたのかは知らないけど、そのだらしない顔は誰にも見せない方がいいよ? フーナが好きな幼女だけじゃなく、大人だって引くからね」


 若干、気持ち悪いなと思いながら、ポンと肩に手を置き、解除する。



「へ?」

「おはよ」


 間抜けな顔のフーナに、軽く手を上げ挨拶する。


「な、なんでお姉さんパンツ履いてんのぉっ!?」

「はあ?」


 まだ寝ぼけているようで、全身を見ながら良くわからない事を叫びだす。


「そりゃ履いてるでしょ? あなたじゃあるまいし」

「だって、さっきわたしが脱がしたもんっ!」

「脱がした? はっ! フーナ、まさかあなたは――――」


 ここでようやく理解する。

 フーナがなんの幻夢を見ていたのか。


 こいつは夢をいいことに、私の下着を脱がして何かをしてたらしい。

 しかも戦闘中だったというのに、勝敗よりも、煩悩が勝ってしまったらしい。


 って、それよりも不可解なことが…… 



『あれ? 幻夢の効果って、その時の深層にある欲を見せるんだよね? なんで私の下着脱がしてんの? 普通は対戦相手をボコボコにするよね?』


 恐らく私でも、強敵を前にしたら、相手を蹂躙する幻夢を見ると思う。

 いや、一般的な思考の持ち主ならそれが当たり前。


 それか本心では、私を倒すことが目的じゃなかった可能性もある。

 が、それでも今の状況で、私を辱めるような幻夢を見たって事は……


 

「うっ」

「?」


 想像しただけで、首筋やら背筋に寒気が走る。

 勝つことよりも、私の体を蹂躙したかったことが、フーナの望みだった事実に。



「あ、あのぉ、お姉さん。もしかしてわたしがさっきした体験って?」


 私の態度と自分の認識に違和感を感じたのだろう。

 恐る恐ると言った様子で声をかけてくる。



「あれは全部まぼろしだよ。私の魔法で見せてた夢だから」

「え? い、いつからっ!」

「ん~、フーナが地面に叩きつけられ後で、私に突っ込んできたあたりだけど」


 顎に人差し指を当て、そう答える。


「ふぁっ! そ、それじゃ、お姉さんのツルツルのお腹やお尻の感触や、この手の平と舌に残るちっぱいの感触や味も、全部夢だったって言うのっ!? ううう……」


 真実を聞かされたフーナは、発狂したように叫び出した後で、下を向いてしまった。


 その様子を見ると、かなりショックだったのはわかる。けど、

 


「そうだよ、たった今そう説明したでしょっ! ってか、あんた、夢の中で私に何してんのっ! 好き勝手にも限度があるでしょっ! 感触もヤバいけど、味ってどういう事っ!?」


 トンデモ発言をしたフーナに詰め寄る。

 いくら夢の中とはいえ、そこまで蹂躙されていたとは思いもよらなかった。



「ねぇっ! 聞いてるの?」

「ううう~」


 下を向いたまま、ブツブツと何かを呟いているフーナに詰問する。 



「うが――――っ! もう許せない――――っ!!」

「なんだよっ! 怒りたいのはこっちだからねっ!」


 バッと顔を上げ、両拳を空に掲げて、更に怒りを露にするフーナ。

 そんなフーナに負けじと、私も拳を握り、怒鳴り返す。



「ううう~、『ひーる』」

「え? ヒールっ!? って回復かっ!」

「そして、『ぶーすとあっぷ』」 

「はっ! ブースト?…… あっ! これはヤバいっ!」


 タンッ!


 すぐさま後ろに飛びのき、透明壁を前面に展開する。

 フーナはダメージを回復させたどころか、身体能力までアップさせたからだ。



「それはズルいってっ! 今更、回復するとか能力を上げるのはっ!」


 最悪だ。

 魔法使いなのだから、それを想定していなければならなかった。


 ただこの世界では魔法自体が稀で、攻撃以外のものは殆ど見た事がなかった。

 それと私の持つフーナのイメージが、回復と補助系の魔法に繋がらなかった。



「ん、澄香。何があったの?」

「あ、マヤメっ!」

 

 そんな状況で、メドと戦っていた筈の、マヤメが合流した。

 


チャージする条件が厳しい…… のかな?

他にもモードが増える予定ですが、それはまた今度で。

(それと、ネーミングセンスがなくてすいません)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 透明になるのは姿ではなく服かぁー!(笑) フーナさんは玄人の趣味でしたね。なんか夢の内容をR18の短編として観たいかもwww
[一言] >『あっぶなぁーっ! 危うくこの変態の前でセミヌードになるところだったよっ!』 蝉「どうした? 同じ昆虫として、気にする物ではなかろうに。 なにせ私は常にヌードなのだから! (蝉だけに“蝉…
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