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オコなお手伝いさんと恋の行方

今回はちょっとだけ恋バナです。

あと、色々あって少しだけ短めです。




「それでは、最後に大事な…… ん? どうしたのだ、アマジよ」


 リブたちの話も落ち着いたので、ロアジムが次の話を切り出したところで、息子のアマジが姿を現す。



「ああ、ゴマチの姿が見えなくなったのでな。心配…… ではなく、しっかりとやってるかどうか確認したかったのだが。それで、ゴマチはどうだった?」


 ロアジムも含め、私たちにも視線を向けるアマジ。

 何やら、ゴマチの給仕の感想を聞きたいらしい。


『うん』

 なら、仕方ない。


 私が先にダメ出しをして、少しでも参考にしてもらおう。

 恐らく、私以外は採点が激甘だろうし。



「ん~、もう少し愛想と笑顔と、もっと気遣いを、それと――――」


 なんて、言い切る前に……


「まぁまぁだなっ!」

「良かったですわっ!」


 こっちはロアジムとエーイさん。


「可愛かったですねっ!」

「衣装が素敵でしたっ!」

「ケーキ美味しかったですっ!」


 こっちはリブたち3人。


『………………』


 ほらね?

 やっぱり思った通りだったよ。

 みんなべた褒めでしょ。


 しかもめちゃくちゃ抽象的で、具体的に何がいいかは答えてないけど。

 マハチとサワラに至っては、ゴマチに一切触れてないし。



「そ、そうか? ならゴマチには明日、休みを上げる事にしよう。俺から見ても懸命にこなしていたからな。うん、うん」


 ロアジムたちの感想を聞いて、頬を緩めて満足げに頷くアマジ。

 それに釣られて、みんなも微笑み軽く頷く。


『いや、いやっ』


 あれでいいなら、私だってできるからねっ!

 なんでロアジム以外は社交辞令で言ったってわからないかな?

 お前のその目と耳は節穴かっ!


 なんて、ニヤけているアマジに、現実では言わないツッコミを脳内でする。

 こんなんで、ゴマチの教育になってんの? ママごとと同レベルだよ。



「うん? そう言えばエーイも親父に呼ばれてたのだったな。随分と久しいな」


 アマジがエーイさんを見つけて話しかける。


「そ、そうですわねっ! あなたも少し見ないうちに、随分と丸くなったのではなくて?」


 若干、上擦った声で返答するエーイさん。

 微かに頬を紅潮させている。


 少しだけツンとした、突き放した言い方が気になるけど。



『えっ!? もしかして知り合いだった? 結構親しい感じするねっ! さぁ、堅物のたんこぶ付きアマジをどう攻略するかな? ゴマチからの攻略ダメだったし。 くふふっ』



 アマジとエーイさんのやり取りを見てワクワクしてしまう。

 だって、ここに来た数少ない楽しみの一つがこれだもん。


 大人の恋が成就する軌跡を、この目でしかと見届けてあげるよ。



「ああ、やはりお前にもそう見えるのか。ゴマチや親父にも時折言われるのだが、俺には実感がないんだ。ただ、心のつかえが無くなり、ドス暗いものも消え去った感じだ。これもある女と(一戦)()()()()せいかもしれんな」


 最後に「フッ」と薄く笑い、意味ありげにこちらに視線を送るアマジ。

 私は目線に気付いて、軽く手を振って答える。

 それを見て、この前の一件での事を言っているのだとわかったから。


 冒険者アンチのアマジたちと戦い、娘のゴマチ含め、ロアジムも息子との仲を取り戻した。

 アマジも前に進めるきっかけとなった、あの時の模擬戦を。


「はっ!?」


「じ~~~~」


 ここまでを振り返り回想していると、嫌な視線を感じて我に返る。

 それはアマジと話していたはずのエーイさんの視線だった。


『うっ』


「にこぉ」


 そして目が合うと意味深に微笑んでくる。

 少し前のゴマチをからかった時の様に。



「ふ~ん、その()()を持った女性がスミカさんという事ですわね、そのあなたの態度からすると」

「関係? まぁ、そうなるな。そのスミカのせいでな。他にも女はいるが」


 エーイさんが、無言での私とのやり取りに気付き問いただす。

 その言い方に、少しだけ怪訝に思いながら答えるアマジ。


「他に、と言いますと?」

「ああ、双子の少女と、ゴマチよりは小さい幼子だ。なぜそこまで――――」

「えっ!? い、一度にそんなに? し、しかもゴマチさんより小さいって……」

「ん? そんなにおかしい事か? 俺たちの世界では普通だ。そこまで驚く事ではない」

「はぁっ!? 普通ですのっ!?」


 ここまで説明を聞いて、マジマジとアマジを見つめて唖然とするエーイさん。 


『…………これって』 


 ぶっきら棒で、伝えるのが不器用な、アマジの悪いところが出てるよね?

 それで勘違いしてるよね? きっと。


 私との会話でも、言葉足らずで、口説き文句に聞こえた時もあったし。


 俺たちの世界ってのは、戦場に身を置くものって事だろう。

 で、双子の少女はナゴタたち。ゴマチより小さいのはナジメの事だろう。

 元々名前で呼ばないから余計に、意味ありげに聞こえる。



『でも――――』


 面白そうだから、もう少し様子を見てみよう。

 エーイさんには悪いけど、あの仏頂面が困り果てる顔も見てみたい。


 なんて、内心で成り行きを見ようと、傍観者気取りになっていると……



「普通って、小さな女の子と関係持つのが普通なわけないですわっ!」

「なっ!?」


 エーイさんが声を荒げて、アマジに迫っていた。


 更に、


「いつからあなたは少女愛好家になったんですのっ!」

「はっ? お前は何を言って、なぜ今その話になる?」

「だって、関係を持ったのでしょう? 双子の少女と小さな女の子とも」

「い、いや、そっちは俺ではなく、バサとアオウオ兄弟だな。正確に言うと」 

「なっ! いい大人が、そ、そんな寄ってたかって、小さな女の子を……」


 突然の剣幕に押され、しどろもどろになり、言い訳をするアマジ。

 それを聞いて絶句し、わなわなと震えるエーイさん。


 ピコ~ンッ!


『あぁ~ん、なるほど』

 わかったよ。


 これやっぱり、アマジの説明が足りなくて、エーイさん誤解してるね。

 なんか、話の内容を客観的に読み解くと、私たちがアマジたちのネンゴロみたくなってるし。



『う~ん、それは微妙に嫌だね? このまま勘違いされて、街に広まっても困るし…… なら』



「あの、エーイさん。アマジの話だけど――――」


 助け舟って訳ではないが、説明の為に口を開いた瞬間……



 パア――ンッ!


「へ?」


 乾いた音が庭園に響き渡った。

 その音はエーイさんが、アマジの頬を平手打ちした音だった。



『え? えええ――――っ! ま、間に合わなかったよっ! どうしようぉっ!』


 頬を打たれて、唖然としてるアマジと、何かを叫んでここから離れていったエーイさんを見て、開いた口がふさがらなかった。



アマジにロリコン疑惑が……

って言っても、この世界ではみんな成人してますよ?

澄香(15)

ナゴタとゴナタ姉妹(16)

ナジメ(106)

こんな感じです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 変な勘違いに成りましたね。スミカさんも悪戯心がなくもないですが、これは普通きエーイさんの思い込みが激しいだと思いますw スミカさん達のイラストを凄く観たいです。でも確かに伝手は中々難しいで…
[気になる点] アマジの舌足らずで、貴族をやれているのかな? (貴族社会は)言葉の揚げ足とりひとつで、評判が総崩れするような世界だろうに。 やっぱりまだ言葉選びとかその辺は、ロアジムから教育中かねぇ…
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