SS モテモテ!?のサンタちゃんと怒られるサンタちゃん
おかしいです。
当初は2話の予定でしたが、次に3話。
そして今は4話目の予定となっています。
飽きずに読んで頂けると嬉しいです。
このお話は、本編とはちょっとだけ繋がっていますが、
設定が少しだけ先の話になっています。
※本編の先のお話なので、ネタバレが含んであります。
※本編にはあり得ない内容もあります。
※性的な表現が少しだけあります。
いずれも知りたくない方、苦手な方はご遠慮ください。
(3/4)
前回のあらすじ
一緒に来たユーアを含む女性陣は、その可愛さから冒険者たちに囲まれて盛り上がっている。
一人寂しくそれを眺めていた澄香に、一人の冒険者が声を掛けてくる。
「おうっ、スミカの嬢ちゃん、ここにいたかっ!」
「うん?」
そう言って、声を掛けてきたのは、この冒険者を纏める
冒険者のギョウソだった。
相変わらず、後ろにぞろぞろと年齢バラバラな、冒険者たちを引き連れている。
「何?ギョウソどうしたの。あ、そうだっ!まだ女性陣から、もらってないなら、これあげるよっ」
私は、未だ囲まれているユーアたちを見て、そう声を返す。
あの状況だったら、みんなも全員には配り切れてないだろうと思って。
「ああ、それは大丈夫だっ!ラブナの嬢ちゃんから貰ったから。それよりも、この騒ぎの張本人は、スミカの嬢ちゃんなんだってなっ!ユーア達から聞いたぜっ!」
「えっ、う、うん、そうだけど…………」
私は若干、しどろもどろに答える。
…………この流れって、もしかして怒られる?
私たちが来たことで、色々騒がしくなっちゃったから?
「おーーーーいっ!お前らっ!やっぱりこれを配ってくれたのは、スミカの嬢ちゃんの差し金だったぜっ!!」
私の返事を聞いたギョウソは、ギルド内に響き渡る声で叫んだ。
さ、差し金って、やっぱ、まずかったって事だよね?
私はそれを聞いて、そう確信する。
「ス、スミカの姉さんっ!こんないいものをありがとなっ!」
『えっ!?』
「蝶の姉さん、俺たちの為に、こんないいものをありがとうっ!」
『はっ?いいもの?』
「いやーー、こんな効果の高い、回復薬は初めてだよっ!」
『回復薬っ??』
「すんごい太っ腹だなっ!こんな高級なものをホイっとくれるなんて」
『高級?それ、ただのログインアイテムだよっ?』
私は、ギュウソのその一言で、冒険者たちに囲まれてしまう。
そんなに注目されることに慣れてない私は、知らず知らずか、頬が赤くなっていることに気付く。これじゃ、ユーア達の事を言ってられないっ。今の私はきっと、茹でダコのようになっているだろう。
さすがに湯気は出てはいないけど。
「ちょ、ちょっと、いい加減にしてよっ、もうっ!!」
私は耐えられなくなって、顔の火照りを隠すように俯く。
「オッ!珍しく、スミカの嬢ちゃんが、顔赤くなってんぞッ!」
そんな、あたふたしている私を見付けてルーギルは、更に煽るように大声で叫ぶ。そんなルーギルに、私は、
「ちょっと、ルーギルっ!本当っとアンタはねえっ!!」
そんなルーギルに文句を言う為に、私は、まだ赤い顔を上げる。
『~~~~~~~~~ポッ』
『~~~~~~~~~ぽっ』
『~~~~~~~~~あっ』
『~~~~~~~~~!!』
『~~~~~~~~~~~』
途端に、凍り付いたように、この場所に静寂が訪れる。
冒険者の男たちは、ルーギルも含めて、私から視線を逸らす。
私が大声で嫌がったから、きっとびっくりしてしまったんだろうか?
白けてしまったんだろうか?
でも心なしか、みんなの顔が赤いような怒ってーーーーーー
「ちょっとゴメンっ、みんなっ!思わず大きな声で言っちゃったけど、別にそこまで嫌がってた訳じゃなくて、そ、そのぉ、驚いたっていうかっ、なんて言うかっーーーー」
私は凍り付いた場を和ませようと、今度は、
に、にこぉっ!
と、無理やり笑顔を作る。
これで元の空気に戻ってくれればいいと。
せっかくの、クリスマスなんだから。
でもなぜか、更に、
『~~~~~~~!!!!』
『っっっっっっっ!!!!』
『-------!!!!』
『ッッッッッッッ!!!!』
『―――――――!!!!』
その場は凍り付くのであった。
ちょっ、いったいどうしたらいいのよっ!!
「スミカお姉ちゃん、みんなは嬉しいんだよっ!」
「えっ!そうなのユーア」
ユーアの予想外の答えに、私は更に驚いてしまう。
そ、そうは見えないけどーーーー
「そうですわよっスミカお姉さまっ。みんな喜んでいるのだと思いますよっ!」
「そうだぜっスミカ姉っ!こんな良いもの貰ったんだっ!大人しくもなるって!」
「そうなの。スミカお姉さん。きっとみんな喜んでるのっ!」
「そ、そうよっ!アタシも配ったんだから、そうに決まってるじゃないのっ!」
私に注目が集まったせいで、大勢の冒険者から解放された、ユーアを含む女性陣が、困惑する私に向けてそう答えてくれる。
「ほ、本当にそうなのっ?」
「ああ、本当だぜッ!スミカ嬢ッ。ユーアたちの言う通りだっ!」
「そうですよっ、スミカさん皆さんの言う通りですっ!」
これは、ルーギルとクレハンのギルド長コンビ。
「おうっ!ユーアや、ルーギルさんたちの言う通りだぜっ!なあ、おまえたちっ、そうだろうっ!感謝してるよなっ!」
『『うおォォォォォッッッッッ!!!!!!』』
最後は冒険者を纏めるギョウソと、その仲間たち。
ギルド内に響き渡る、ってかそれを通り越して、外にも漏れそうな程の絶叫で答えてくれた。通りすがる人たちは、絶対に驚いている事だろう。
「えっ、そうだったの?」
「そうだよっ、スミカお姉ちゃんっ!みんな喜んでるよっ!」
最後にまた、ユーアのお墨付きをもらった私は、
「だったらっーーーーーー
私は持っているカゴの中からじゃなく、
------みんな好きなだけ持っていきなよっ!!」
アイテムボックスより直接「クリスマス風お菓子」を
みんなに向かってばら撒く。
大盤振る舞いだっ!祭りだっ!クリスマスだっ!!
私が空中に撒いたカラフルなお菓子は、そう色とりどりの雪のように、
このギルド内に舞うーーーーーー
て言うのは無理がある。
ボトボトと冒険者たちの頭や、床を散らかしただけだった。
舞うことなく、落下していっただけだった。
『……………………』
「ええっ!スミカお姉ちゃん!それはやり過ぎだよぉ!!」
「ちょっと、スミ姉っ!それはやり過ぎだってっ!」
「スミカお姉さん!ちょっと待ってなのっ!やり過ぎなのっ!」
「ス、スミカお姉さまっ!なんて懐が大きい方なのでしょう!!」
「さ、さすがだぜっスミカ姉っ!ワタシたちじゃ絶対に真似できないよっ!」
『------!!!!』
『-----!!!!』
『----!!!!』
『---!!!!』
『ーー!!!』
『ーー!!』
『 』
◆ ◆ ◆ ◆
「スミカ嬢、いくら何でもやり過ぎだぜッ」
「そうですよっスミカさん、あれは簡単にホイホイ配れる
代物じゃないんですよっ」
「うん、わかった。私が悪かったよ。だって知らなかったんだもん」
私はなぜか、ルーギルとクレハンからお説教を受けていた。
私がみんなに配った「クリスマス風お菓子」は効果の高い
回復薬だったらしい。
それでアイテムボックスから、ばら撒いた分は回収されて、
私のアイテムボックスに戻ってきている。一人1袋の上限で。
それでもみんなからは感謝された。
今も床で正座している私を囲んで、ニコニコと笑顔を見せてくれている。
クレハンの話だと、このアイテムをばら撒くことによって、この街の商品が売れなくなってしまう事。私の渡した回復薬よりも、効果の高いものは販売していない事から、そのせいでその関連のお店にも迷惑をかけてしまうとの事。言われてみればそうだった。
それと、この回復薬が、外に出てしまうと、
私の立場にも影響があることも懸念された。
誰がこんなもの作ったんだって、誰がこれを持っていたんだって、
この国の、国王や、下手したら大陸絡みでの問題にも発展しうるだろうとの事だった。その効果が高過ぎるが故に。
そんなこんなで、私は絶賛反省中だった。
「ルーギルさん、もうスミカお姉ちゃんを許して下さいっ!!」
「そうですよっルーギル、いつまでスミカお姉さまを地べたに座らせておくんですかっ!?いい加減にしないと、あなたが地べたを這いずり回ることになりますよっ!!」
「そうだぜっ、ルーギルっ!ワタシたち姉妹は本気だぜっ!それ以上するならばっ!地べたじゃなく、地面の中をっ!!」
「そうなの、ルーギルさんっ!許して欲しいのっ!」
「ルーギル。はぁ、アンタって肝っ玉だけじゃなく、器も小さいのね。もうアンタには愛想が尽きたわ。もうこのギルドも終わりね。ギルド長が、こんなんじゃね」
それを見て、ユーアもナゴナタ姉妹も、メルウちゃんも新顔のラブナちゃんも、私を庇ってくれるように、ルーギルに物申してくれた。
ナゴナタ姉妹と、ラブナちゃんの言うことは、正直危ないけど。
ってか、地面の中って何?ゴナタ。それってお墓?
「ってッ!なんで俺が悪者になってんだッ!!
俺はスミカ嬢を心配してだなッ!!」
「そ、そうですよっ、ギルド長はスミカさんの事を心配して」
チラッ
「あ、そう、なら私はもう解放されても大丈夫だよね」
私は「スクッ」っと立ち上がる。
私を心配してのことだったら、
これから私が気を付ければ済むだろうと思って。
「ちょッ、スミカ嬢ッまだ話は終わってーーーー」
ルーギルはまだ言い足りないのか、そう言って、また話を続けようとするが、
「まぁまぁ、いいじゃないですか、ルーギルさん。スミカの嬢ちゃんも、何となくわかっているみたいだし、それぐらいで許してあげても。それに元々は、俺たち冒険者の為に行ってくれたことですしね」
ギョウソが途中で口を挟み、私にフォローを入れてくれる。
「ぐ、ぐううッ、ま、まあいいかッ、確かにギョウソの言う通りだッ。やり過ぎたのはヤバいが、スミカ嬢は、俺たちの為にしてくれたんだよな。ならこれで終いにするかァ」
そう言ってルーギルは矛を収める。
『うーーん、私のせいで、みんなのテンションが下がっちゃったよね』
私はみんなの表情を見て、そう思う。
私が調子に乗り過ぎて、場の空気が悪くなった気がする。
「あ、そうだっ!」
私はある事を思い立って、この場の雰囲気を変える為に、
ある作戦を思い浮かべるのであった。
次回できちんと終わります。
登場人物少なくても、色々話が膨らんで面白いです。
時々登場人物の名前を忘れちゃいますけどね。