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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

殺人鬼の夢

作者: HA_L

眠れなかったんで出来心で書きました、


少々ショッキングな描写がありますのでご注意を、

────僕たちは、何かを強く欲するものは、皆が皆、溺れているのだそうです。


****************



『愛』とは実に冷淡で、冷酷で、残酷なものであり、

愛しさという名ばかりの依存を持ち合わせている。

人はその愚かさ故に『愛』を求め『愛』に求められる事を望み『愛』を理由に自己の行動に正当性を見い出し、それを自らの明日を生きる糧とする。


「なんて話、面白いとは思わないかい?」


小難しい話を並べて、少女は微かに笑いながら

こちらの反応を心待ちにしている


無邪気にも見える仕草だが、伸びきった手足と

色白の肌、長い白髪に、黒い喪服のようなものを

身に纏い、

異常とも見て取れる整った容姿

が逆に美しさと無邪気さがとても心地が悪い。


「小難しい話ばっかりしててもわかんねぇよ、

一体何が言いたい」


「ボクはね、人は生まれながらに持つ『強欲』で

それぞれ何かを求め、無自覚に溺れていく話をボクらしくキミに伝わるように『愛 』で解説してみたんだよ?どうかな?」


「どうしようもこうしようもねぇよ、なんでお前はそんなにも愛愛うるせぇんだ?」


「それはもちろん簡単な話じゃないか、キミが今ここにいるということは

キミは今休眠状態にある

つまり今キミは夢の中に居るということさ

....でもこれじゃあまだ質問に答えた事にならないね、

失敬、失敬これもボクの悪い癖なんだ許してくれよ

生憎ボクは話が長いタイプでね

キミと話していると

──ついつい余計な事まで話したくなってしまう」


「いいから早く教えてくれよ」


目の前の少女は微笑を浮かべる、

しかし肝心の口調などは単調で

感情などが全く感じられない、

否、感情が全く無いのだ、目の前で浮かべられている

微笑や人と話すことで楽しそうにしている事さえ

人がやっているのを見て真似ている様な

体を与えただけの人形の様でさえある。


「何故、ボクは『愛』について語ったのか、だったね、

それはね、ボクはキミを愛してるからさ、

でもここは現実じゃない、じゃあボクは一体なんなんだろうね?」


「知るかよ、寝て起きたらそれは夢の中で見知らぬ人間が自分に愛を語り始めましたって、そりゃもう愛に飢えすぎだろ」


「そうだよキミは愛に飢えている、

そもそも人間は自己愛で満ちていてそこにべつの愛が介入する余地なんてないんだよ

誰かを愛するのも己が満たされている事を確認する事で満たされているだけの自己陶酔でしかないし、

ましてや他人の全てを愛するなんて人間にはできない、」


「──どうしてそう言いきれる」


「? 簡単な事だろう?どれだけ愛していたって

愛する対象を失えば己の中の何かが欠けてしまっただとかいうだろう?それって愛する者を失った事で人を愛していた自分自身を失うという事だよね?

それってつまり確立している『己』を失うことで

大切なものが抜けた抜け殻になってしまう訳だろう?」


「そんなの間違ってる」


この女の言っている事は歪んでる、

どれだけ自分が好きなのか、

自分の事が好きな割には他人への愛を騙る

偏執者だ、


「──それなら、今までのキミの在り方を見てみなよ。」


そう少女は言うと夢の世界にできた草原にただ1つ置かれたテーブルとその上にあるパラソル、そしてその傍にある椅子までもが真っ白という異様な光景の中、

椅子から腰を上げ少女から少し離れた草の上に座っていた俺の元へ近づいてくる。


「ほら、しっかりと思い出してごらんよ、自分の事を」


少女はどこから出したか分からない黒い装丁の本を

取り出し、開く、


その瞬間、俺の視界が明滅する、


****************



────とてもいい匂いがする


懐かしい昔の記憶、

自分がまだ小学5年生だった頃、

あの頃は無邪気で何不自由なく生活してた、



どこからか香るこの匂いはきっと夕飯の匂いだろう、

懐かしい記憶に心を踊らせながら自分の部屋だった

場所からリビングへと向かう、


「ご飯、できてるわよ」


出迎えたのは母さんだった。

食卓のテーブルに置かれていたのは

自分が幼い頃大好きだったハンバーグだった


我が家はあまり裕福は家庭ではなかったが、

そこそこに充実した生活を送っていたと思う。

両親が共働きなので普段は

朝方に作っておいた作り置きか

冷凍してある食材を晩餐で頂く事が多かったのだが

たまに母の仕事のない日にご飯を食べる直前に

作ってくれるのだがこれがまた絶品で

幼い頃の俺はいつ母が休みなのかと

心待ちにしていた、

確かにこの頃の時期は母の休みが多かった

気がする...


「ほら、早く食べないと冷めちゃうわよ」


「いただきます」


つい考えすぎてしまい注意される

ハンバーグは箸で切れ目を入れた瞬間肉汁が中から

染み出してきて更には食欲をそそる香ばしく芳香な

香りを漂わせてくる、


「....はむ...むぐ..おいしい...」


「本当?良かった、」


思い出の味を夢中で食べながらながら気がついた




──何故母はこんなにも辛そうな笑い方をするのだろうか。





****************



瞬間意識は明滅し、次の場面へと切り替わる、



「ここは...?」


周りを見渡すと自分の部屋であることを理解し

自分の部屋のカレンダーを見ると恐らく

高校1年生の頃の記憶だろうと推測する。


「高校1年...まさか..この記憶は...」


その瞬間焦りを感じ部屋から飛び出し

リビングへ向かいドアを蹴り開けて中に飛び入る

時間は夜が深まり早朝に繋がる頃の時間だろうか

とても暗い、


少し前に進むと足の裏に生暖かく少し粘り気の

ある感触に驚いて転んでしまった。


「こ....れ...って」


目の前にあったのはうつ伏せで倒れている母の姿、

その周りには壁に包丁を突き立てられそのまま張り付けられた姿の父、最後には無残に転がる妹の姿。


「い....や...だ..こんなの..」


その場から逃れようとして足に力を入れようとするが

思うように動かない。

血溜まりに足を滑らせ転び血塗れになりながら

気がついた。



──自らの手に母を刺した包丁が握られている事に


「お前のせいだ、お前が殺したお前が居るからお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前が殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺」


「ちが..俺...は」


血溜まりの中で突っ伏して死んでいるはずの母が

こっちを見て恨み言を吐いている父が妹が生者への

願望を吐いている、


「俺は殺してない!!」


「許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ許サナイ.......」


「嫌だ、嫌だぁ......違う...俺じゃ...」


血と涙と自らの嗚咽に塗れながら意識が朦朧としていく


『殺したんだろ?キミがその手でさ』


声が聞こえる。


『良いんじゃないのかい?キミは自分の欲求に

素直になっただけじゃないか』


「ぁ...あぁ...」


殺した。自らの手で自分の家族を。



自らに渦巻く只人ならざる欲求によって、

血を求める歪んだ狂気のせいで、


────俺ではないボクが...?


「そうだ...殺したのは俺じゃない!

お前だろう!?」


『ふふっ面白い事を言うね、

でも、違うよ、殺したのはキミ自身さ、』


『楽しかっただろう?気持ちよかっただろう?

キミの欲求が飽くなき欲望がそれを満たす為に

行動したんじゃないか、

誰が為じゃない、キミ自身のために、』


気がつけば世界は再び草原を写していた


****************


「どうだったかな?キミの狂気の外側を見た気分は、」


「おれ...は..」


「キミは人としては犯してはいけない罪を犯した、

でもキミはそれに従ったんだよ、それは悪い事かな?

それが人の世で悪い事だとして君個人のことを規律という言葉で雁字搦めにしてもいい理由にはならないんじゃないかな?だってキミは最もキミらしいキミたらしめる存在理由がある訳でそれを否定するということはキミの権利を侵害するって事だ、つまり権利を侵害されたということは逆に仕返されてもなんにも言えないって事だとボクは思うんだよ、だからキミはボクの『愛 』するキミでいて欲しいんだ」


「そう...なのか..」


もう、疲れた。何もかも考えるのが憂鬱だ。


この少女が言っていることが正しいのか、

俺が間違っているかなんてもう分からない、


「────消しちゃいなよ正論なんかぶら下げて正当化しようとするキミなんてさ」


馬鹿馬鹿しいもう何もかも考えたくない。


「ははっ...」


乾いた笑みが漏れる、意識の淵で何かが音を立てて

消えていくのが分かった


でもそんな事はもうどうでもよかった。


夢の世界が崩壊していく、


少女の姿はもう見えない──



****************


意識が覚醒するとそこは血溜まりの上だった

こんな所で寝てしまっていたのか、

すぐに立ち上がり簡単に遺体達を壁際に寄せる


────じゃあねボクの大好きなみんな


月明かりが照らす闇の中、彼らはさらに深い闇へと落ちていく…





その後彼の動向を知るものは居ない────










********


────崩れ行く夢の世界の中で少女は呟いた


「自らが愛する人間を自分の思い通りにしたいと思う事はきっと当たり前の事だけど本当に完成してしまった途端それは面白味のない『無』になってしまう、

きっと手に入れるよりその中間に置く事は絶望的なくらいに難しい事なんじゃないかな、『彼』はもう....」













   ────それにしても

      何故『愛』は減るのだろうか。

主人公人格乗っ取られエンド。


まぁ主人公君が最初から殺人鬼だったのか

それとも夢の少女の影響なのか....



まぁ、主人公君が夢の中で作り出した存在なんですけどね...笑

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