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竜宮城はいずこに

 今回取り上げるのは、日本三大太郎の一人、浦島太郎さんです。

 他の二人は、桃太郎さんと金太郎さん。

 ちなみに五大太郎だと、垢太郎さんとウルトラマンタロウさんが追加されます。


 さて。

 浦島太郎さんといえば、竜宮城に行って帰ってきたらとんでもなく時間が過ぎていた、というストーリーで有名で、「ウラシマ効果」という言葉の元となっています。

 そこで今回は、時間経過がウラシマ効果によるものであると仮定し、竜宮城の場所を推定してみます。


 それでは、斜め上に向けて出発!


【ウラシマ効果の解説】

「ウラシマ効果」とは、移動する系では時間の進み方が遅くなる、という現象を指します。この効果は、光の速度に近づくほど顕著になります。

 計算式は以下の通り。

  移動している系の時間:tm

  移動している系の速度:v

  光速:c

  静止している系の時間:tw

 として、

  tm=(√(1 - ((v / c)^2))) * tw

 仮に、静止している系の経過時間が1時間、移動速度が光の速度の90%の場合、移動している系の経過時間は大体26分になります。


【太郎ではない?】

 前提条件を決めるにあたって、浦島太郎の原文を探してみました。

 明治時代に成立した版、室町時代に成立した版、それより古いもの、等いろいろあるのですが、もっとも古いお話では「水の江の浦島子」であって「太郎」さんではないらしいのです。せっかく冒頭でネタにしたのに。


 明治時代のお話では、竜宮城から戻ったときの経過年数ははっきりしないのですが、室町時代のお話では700年、その前のお話では300年が経過していたそうです。

 ちなみに、竜宮城に居た期間は3年というのが多いようです。昔のお話では滞在中に乙姫様との間に子供が出来てたりするのですが、そうすると竜宮城に行った直後あたりから……いや、何でもないです。

 竜宮城へ行くのに掛かった時間は、明治時代のお話では不明、室町時代のお話では10日、その前のお話では「一瞬で」着いたとの事です。


【助けた亀は宇宙船】

 はっきり実感できるウラシマ効果には光速度に非常に近い速度での移動が必須ですが、地球の大気圏内で光速度に近い速度で移動すると地球環境に多大な被害を及ぼすので、移動は宇宙空間で行われたものとします。

 つまり、必然的に竜宮城は地球外に存在しているという事になります。


 さて、ウラシマ効果から竜宮城の場所を決めると言っても、例えば同じところをぐるぐる回っていたら何処と特定できないのではないか、と考える人もいるかと思います。

 しかし、推理小説で「密室のための密室」なんて批判があったりしますが、本来不要である筈の「帰った時の時間経過」を実現するだけのために遠回りするのはおかしいです。

 また、宇宙関連に詳しい人なら、スイングバイをしたのではないかと考えるかもしれませんが、光速度に匹敵する速度まで加速するエネルギーと比べたらゴミのようなレベルの得でしかないので、これもわざわざ実行するとは思えません。

 以上のように、遠回りする理由がないことから、浦島さんは竜宮城まで最短距離で移動したものと考えます。


 竜宮城が移動している、という別案も考えましたが、こちらも物語中の記述からは移動の必然性が無いことから除外します。


 よって、竜宮城までの直線距離は、移動している系=浦島さん の移動時間と、静止している系=浦島さんの地元 の経過時間を元に計算できそうです。


【見上げてごらん】

 先のウラシマ効果の式を変形し、tmとtwの単位を年とした場合、竜宮城までの距離dr(単位:光年)は以下のように表すことができます。

  dr = (√(1 - (tm / tw)^2)) * tw

 これに、室町版からtm:10日、片道分なので半分としてtw:350年を設定すると、ほぼ350光年となります。

 また、もっとも古い版からtm:1秒、tw:150年を設定すると、ほぼ150光年となります。


 皆さんお気づきでしょうが、浦島さんの移動にかかった時間の影響は皆無に近いですね。浦島さんの地元での経過時間を半分にして光速度を掛け、光年単位にした値とほぼ一致してしまいます。

 これは移動時間が短すぎて、浦島さんの移動速度がほぼ光速度に達してしまうからです。亀さんは、ものすっごく頑張って加速したものと思われます。


 もし竜宮城が人工惑星上に存在しているなら候補を絞り込めないのですが、仮に実在の惑星上にあるものと考えて、生命が誕生しそうな環境にある惑星の一覧から候補を挙げてみると、次のような惑星が対象となります。

 K2-18b :124光年 しし座

 K2-3d  :144光年 しし座

 K2-288Bb:226光年 おうし座

 K2-9b  :359光年 おとめ座


 K2-288Bb以外は天球上で結構近い範囲にあるようですので、しし座方面の夜空を眺めて、竜宮城に思いを馳せるのも良さそうですね。


 ……「K2」の「K」は、亀、ではないですよ?

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