真っ赤なお鼻の
ついつい人並みにクリスマスソングなどを脳内リピートしてまして。
何故かズンドコ節が出てきて「そのキヨシじゃない!」と自分に突っ込み入れてみたり。
「もろびとこぞりて」を聞いてると炭酸飲料を飲みたくなるなぁと思ったり。
「そのサンタは隣のパパ」などという家庭崩壊待ったなしなネタを思いついたりしていたのですが。
ふと「赤鼻のトナカイ」の怪しさに気が付いてしまいました。
笑われてるのは赤いことだけど、褒められているピカピカなこととは関係無くない?
このままでは、サンタさんが褒めても、赤い鼻を笑われたトナカイさんの傷心が癒えないかもしれません。
そこで今回は、トナカイさんの心を救うべく、「赤い鼻」と「ピカピカ」と「役に立つ」を直列に繋げられるように頑張ってみます。
それでは、斜め上に向けて出発!
【鼻がぽろっと】
デジタル大辞泉によると、ピカピカとは次のような状態を示す言葉だそうです。
・断続的に強い光を放つさま
・つやがあって照り輝いているさま
・真新しいさま
今回の場合、真新しいは関係ないかな、と思ったのですが、もしかしたら新しい鼻のおかげで、暗闇でも先の様子が判る鋭い嗅覚が……という事かもと思い当たりました。
普通のトナカイの角が生え代わるように、毎年鼻が生え代わるトナカイに突然変異したのかも。
とすると真っ赤なのは、生え代わったばかりで柔らかい粘膜が外に出ているから、かな。
うーん、か弱い鼻を寒風にさらして、痛くないんだろうか。
ここまで考えてから英語の歌詞を当たってみたら、鼻の表現がshinyとなってます。
どうやら、嗅覚ではなく視覚的な方面で役に立つ鼻のようです。
トナカイさん、鼻の痛みを避けられて良かったね!
【対向車にご注意】
つやがある、という事は、光を反射しているという事になります。
自転車の反射板みたいな赤い色をして光を反射しているものは、確かに夜間走行で役に立ちそうです。
生物にも光を反射する機構は備わっています。
有名どころだと、夜に目が光って見える「タペタム」なんかがそうですね。
ちなみに今回これを書くために調べていたら、トナカイのタペタムは季節によって色が変わるという論文がありました。季節ごとに一番有効に使える光の波長を特に反射できるように変わるんだとか。生物の神秘ですね。
とすると、鼻が赤い光を特異的に反射するように進化することも可能か、とも思ったのですが、実は進化しなくても光を反射することは可能です。
それは、鼻が赤剥けになること。赤剥けになって、常に体液が少しずつ分泌されているような状態であれば、赤くて光を反射する、という条件を達成できます。
うーん、赤剥けの鼻を寒風にさらして、痛くないんだろうか。
しかし以下の理由から、光の反射ではなさそうだと考えます。
・光の反射であれば、タペタムで充分対応できる。どのトナカイも持ってるし。
・反射の場合は、周りから見つけてもらうことが目的となる。
サンタさんのソリって、対向車が居るところを走ってるの?
・英語の歌詞だと、サンタさんのソリが走るのは霧の夜道。
霧が出ている場合、反射の効果は激減する。
つまり鼻が赤剥けという訳でもなさそう、という事になります。
トナカイさん、鼻の痛みを避けられて良かったね!
【サンタさんの闇】
新しさと反射が却下されたので、トナカイさんの鼻は発光していたことになります。
発光する機構としてはライトのような機械的な物と、生物的な物が考えられますが、機械的な物だったらトナカイさんの鼻に付けずともソリに取り付ければよい話ですので、トナカイさんの場合は生物的な物であると考えられます。
光る生物でもっとも有名なのは蛍でしょう。
蛍は、ルシフェラーゼという酵素がルシフェリンと呼ばれる物質を反応させることで光を発します。
発光する色はルシフェラーゼによって決まるそうで、人工的に赤い光を発するルシフェラーゼも作られているそうです。良かったね、トナカイさん。
しかし、トナカイさんの鼻が光るような進化や突然変異は極めて考え辛いです。
となると、バイオテクノロジーで遺伝子組み換えしたりして、人工的に鼻が光るトナカイを作り上げた可能性が高そうです。
サンタさんが飼っているトナカイの遺伝子を、サンタさんに無断で弄れるわけがありません。間違いなく、鼻が光るようになったのはサンタさんの許可を得ての事です。いやむしろ、夜間走行のために積極的に関与した可能性の方が高いでしょう。
つまり、トナカイさんが鼻を笑われてサンタさんに慰めてもらった、これ全てサンタさんのマッチポンプ!
ひどい話です。サンタさんの闇の部分を垣間見た、というところでしょうか。
サンタさんの思惑に不審点はあるものの、「赤い鼻」と「ピカピカ」と「役に立つ」を直列に繋げるという目的は達成できました。良かったね、トナカイさん。
サンタさんの闇は、君の光で打ち払うといいのさっ!
【避けえぬ痛み】
奇麗にまとまったな、と思ったところで、まずいことに気が付いてしまいました。
歌の中では、トナカイさんの鼻の明るさについて言及は有りませんが、霧も出ていることですし車のヘッドライト程度の明るさは欲しくなります。
検索してみたところ、大体2個(一台分)で3000ルーメンくらいのようです。
ワット当たりのルーメン値の最高効率(効率100%)は、緑色光の場合で683ルーメン/Wだそうです。
ルーメンは人間の目の感度で重みづけした単位ですので、波長が違うと最高効率での値が低下します。
人間の目の赤色光に対する感度は、緑色光の250分の1でしかないので、赤色光での最高効率は2.73ルーメン/Wとなります。
つまり、赤色光で3000ルーメンを発揮する場合は、最高効率でも1100W必要ということになります。
ホタルルシフェラーゼの効率は、昔は0.88と言われていましたが、最近の研究結果では0.42であるようです。
量子効率なので厳密には適用できないかもしれませんが、仮にこの効率を使用すると、3000ルーメンを発揮する場合は2620Wが必要という事になります。
そのうち1100Wは光を発するのに使用され、残りの1520Wが熱に変わることになります。
1500Wというと、電力でいえば電気コンロとかホットプレートとかを稼働させるのに十分なくらいの値です。
トナカイさんが、笑われていても鼻が赤いことを隠さなかったところからすると、自分の意志で光を消すことは出来なさそうです。
という事は、鼻先にいつもホットプレートを押し付けられているのと同じ状態になっているのです。
どう考えても、鼻は常にやけどしてます。
鼻が赤いのは、赤い光のせいだけではなく、やけども寄与しているのでしょう。
やけどした鼻を寒風にさらしつづけるトナカイさん……。
トナカイさん、ごめん。心は救えたかもしれないけど、鼻の痛みは救えなかったよ。




