なごり雪は誰に降る
なごり雪、という歌を知っている人は多いと思います。
この歌、発表は1974年だそうです。かなり古いんですね。
私はこの歌が結構好きなのですが、登場人物については「恋心を意識した時には遠く離れることになってしまっていた幼馴染」だと考えていました。でも、なんとなく違和感が…。
ここで、数十年培った違和感に決着をつけてみようと思います。
それでは、斜め上に向けて出発!
【雰囲気が侘し過ぎ】
東京という割には、状況がすごく寂しい気がしませんか?ホームに他の人の気配もないし。
これが東京駅だったとしたら、人はいっぱい居るし、電車は次々やってくるし、ホームに残って溶ける雪をのんびり見てたらどやされること請け合いです。
本当にこんなところが東京にあるか、駅の候補を検討してみましょう。
ここでヒントになりそうなのは以下の点です。
(1)汽車を待つ
(2)季節外れの雪が降る
(1)は、「汽車」という言葉の意味から、「君」が乗ろうとしている路線は非電化であると考えられます。そこ、考えすぎとか言わない。
(2)は、都心や海沿いだと雨でも山に近い方は雪になることがあるため、この駅は山に近い方に位置していた可能性が高そうです。
さて東京都で非電化路線なんてあるのか、と思って調べてみましたが、2019年現在は存在しないようです。
ただ、八高線は東京都内分については1996年に電化したそうですし、歌の発表当時は他にも非電化の路線があったかもしれないですね。
位置的に山の方という条件も満たすので、八高線の駅のどれか、という可能性は高いのではないかと思います。八高線だけに。
八高線が舞台であれば、候補となる駅は、歌の状況から考えて始発駅を除外し、以下となります。
・北八王子駅
・小宮駅
・拝島駅
・東福生駅
・箱根ヶ崎駅
駅周辺の様子等は良く判らないので、どの駅が妥当かは地元の人にお任せしたいなぁ。
【見送り・同行者がいない】
「君」が東京の学校に進学していて地元に戻るところなのか、東京が地元なのかは意見が分かれるところだと思いますが、駅の候補地から考えると東京が地元という気がします。
なのに、二度と東京には来ない風な発言があったにもかかわらず「僕」以外に見送りが居ないようですし、同行者も居ないっぽいです。
実家を出て二度と戻ってこないレベルの引っ越しだったら家族が見送りに来ていても良さそうなものですし、一家揃っての引っ越しなら当然家族が同行するでしょう。
「君」がボッチで「僕」は家族、なんて可能性も考えましたが、家族で「さよなら」は無いだろうな、と。
そもそも家族が居ない、というパターンもありですが、その場合でも後見にあたる人は居そうですしね。
何か、家族と顔を合わせられない理由でもあるのかな?
この謎はひとまず置いておきます。
【旅立つ理由は何か】
言葉遣い等から考えて、「君」は若い女性、「僕」は同年代の男性っぽいですよね。
この「君」が旅立つ目的ですが、若い女性なのでひとまず候補はこんな感じで。
(1)進学(留学)
(2)就職
(3)結婚
しかし、どれも「二度と東京には来ない」という程の障害が思いつかないのです。
家族の話で恐縮ですが、この歌の発表とほぼ同じ時期、東北地方の北の方で学生してた父母が「コーヒーを飲むだけのために」東京に行ったなんて話を聞いてますので、国内であれば当時でも東京に行くのはさほど難しくない筈。
(1)(2)だったら、たとえ行き先が海外でも帰省するぐらいはできそうです。
(3)だと、結婚相手が実家と折り合い悪いから帰りにくいってことはあるかも、ですが、絶対戻れないって程じゃなさそう。
うーん、もしかしたら、目的の候補が間違っているのかもしれません。
…(頭の横で指をくるくる回して座禅を組んで)……ポクポクポク……チーン!
もしや、犯罪を犯して海外に高跳び!?
これならば、家族が見送りに来ないのも、見送りが「僕」だけっぽいのも納得できます。
日本にも戻ってこれなさそう。海外逃亡の場合、時効が停止されますし。
若い女性で海外に高飛びする程の事と言えば、この時代なら学生運動!これしかない!
「僕」は学生運動の仲間である可能性が高そうです。
とすると「ふざけすぎ」の具体的な内容が少し気になりますが、あまり深く追求しない方が良いかも。
【結論】
「なごり雪」は、こんな状況を歌っているのです。多分。おそらく。もしかしたら。
学生運動で起こした事件により日本に居られなくなり、海外逃亡を選んだ「君」。
逮捕の手が迫りつつあるため、八高線のホームで早く汽車が出発しないか焦って時計を気にしてる「僕」。
「君」が無事に出発できたことにほっとして、放心状態でホームに残っている「僕」。
「僕」はこの後、囮として捕まる…のかな?どうかな?