5〜成人の儀
月日は流れーー今日は私の15歳の誕生日。
成人の儀によって自分の適性ジョブを知る。
その後ジョブに合ったギルドに加入し、仕事を行なっていく。
そして基本的に成人したら親元を離れ、2年間王都でそれぞれ仕事の研修がある。
研修に合格して初めて、一人前として認められ自分の店が持てたり1人で狩りに行けたりするようになるのだ。
ただ騎士の場合は、地方に行くか王都に残るかで仕事の内容が異なってくる為研修中に選ばなくてはならない。
成人の儀を行えるのは神官と呼ばれるジョブを持つ者だけである。もちろん人数が少ない為王都にしかいない。
その為、地方の街は王都からわざわざ来てもらうことになっている。
その為その年すでに15歳になった何人かをまとめて行う。
私は運良く丁度自分の誕生日がその日だった為、特に待つことなく儀式を受けられる。
ただ順番は1番最後だったので、受けられるのは夕方になりそうだ。
「姉さん、緊張してる?」
リクがソワソワしながら聞いてきた。
「ちょっとはね、でも私よりリクの方が落ち着かないみたいじゃない。」
2人でなりたいジョブを話してから約5年経った。
その間もやっぱり救えない命もあったし、反対に薬で救えた命もあった。
少しずつだけど、私も命と向き合えるようになってきたと思う。
そしてリクも毎日鍛錬をしていた為、随分男らしい身体つきになった。あと相変わらずイケメンだ。
だから街を歩くと女の子達の視線が凄い。
そんな弟だが、あまり浮いた話もなく女の子に興味を示している様子がないので少し心配している。
多分だが…あれは確実にシスコンに育ってしまった。
でも私は儀式から1週間後には王都に旅立つ。
帰ってきたら彼女の1人でも紹介してくれたらいいな。
そんなことを思っていると、やっと私の番が回ってきた。
儀式をする為に用意された部屋に入ると、1人の男性が立っていた。
「あなたがリナですね。私が神官のラビエルです。今からあなたの適性ジョブをお調べしますね、この紙を持ったまま私の前で目を閉じ楽にしていて下さい。」
私は言われた通り目を閉じた。
すると頭の上にそっと手を置かれた。
その瞬間、頭の中に様々な情報が流れて来た。
途中意識が飛びそうになったが、どうにか歯を食いしばり耐えた。
やがて私の手に乗せられていた紙に結果が写し出された。
ふぅーっと神官が息を吐き出して、現れた私のジョブを見た。
「驚きました……‼︎あなたは2つもジョブの適性があります。こんなこと初めてだ…」
神官は驚き、何度も繰り返し私のジョブが表示されているものを見ていた。
「こほん、失礼しました…結論から申しますと、あなたの適性ジョブは冒険者と聖女です。そして聖女というジョブを持っていたものは今まで一度もおりません。ましてや2つなんてのも、あなたが初めてです。」
聖女…?2つ…?もしかして、私が転生者ってことが何か関係してるのかな⁇
何にせよ、冒険者のジョブがあったのは良かった。
でも聖女ってそもそもジョブなの?
「あの、この場合私は冒険者ギルドに属することは出来るんでしょうか?」
聖女だからダメとかないかな…?
「そうですね…2つジョブがあっても、冒険者のジョブがあるのでそれは問題ないと思いますよ。最も、聖女というジョブがどんなものなのかがまだ不明です。しばらく2つもジョブがあったことはあまり他人には言わない方がいいと思います。」
「分かりました、何かあって聞かれたりしない限り言わないようにします。」
「そうして下さい。あっ、冒険者ギルドに加入する際はこの冒険者適性カードを渡せば登録出来ると思います。あと聖女適性カードは大事に保管しといてくださいね。」
そう言ってラビエルさんは2枚のカードを作ってくれた。
これが今後自分の身分証の代わりになるものである。
基本的にジョブは1つなので、みんな1枚しか持っていないのだ。
「なんにせよ、これであなたも成人です。もし聖女の能力が使いこなせるようになったら聖女について教えて頂けたら有難いです。」
「分かりました。調べて頂いてありがとうございました。」
会釈をして部屋を出た途端、リクがいた。
「お疲れ様、姉さん。無事終わったみたいだね。帰ったらゆっくり結果を聞かせてね。」
私は一瞬迷ったが頷き、リクに手を引かれながら家に帰った。