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3〜薬屋

「よしっ、上手くすり潰せたみたい。」


私とリクは薬屋の子供として物心ついたころから両親の仕事を手伝っている。

とはいえやっていることは薬草をすり潰したり、お客に薬を手渡したりするだけである。


薬を作れるのは薬師だけなのだ。


「あなた達が手伝ってくれるからホント助かってるよ、ありがとね。」


今日も薬を買いに来た人で店は混雑していた。


「ーーねぇねぇ」


くいっとスカートの裾を引っ張られ、振り返ると5歳くらいの小さな女の子がいた。


「どうしたの?お母さんのおつかいかな?」


女の子はふるふると首を振った。


「あのね、私のおばあちゃん病気なの。ここの薬飲んでたんだけどあんまり良くならなくて…だから今の薬よりも強いお薬くださいな。」


そう言って女の子は薬袋を見せてくれた。


(この薬は……これが効かないってことはもう…)


薬は作れないが、薬屋の娘として一通り薬の効果は把握している。


この薬は1()()()()()()()()ーーつまりこれ以上の治療は治癒士の魔法じゃないと不可能ということだ。


でも治癒士はいないし、もしいても治癒士の治療費は高い。


私はこの子に本当のことを伝えていいのか悩んでいた。


「おねえちゃん?」


「…ごめんね、薬ではこれ以上お母さんを元気にしてあげられないんだ。」


この世界に来ても、どうしたってやっぱり救える命もあれば失う命もある。


薬だって魔法だって万能じゃない。


「えっ…おばあちゃん、死んじゃうの?」


女の子は持ってきた薬袋を握り締めながら震えていた。


でも私はなんて言葉をかけてあげたらいいか分からず、ただ立っていることしか出来なかった…







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