プロローグ
人は生まれてから死ぬまでに、必ずと言っていい程利用するもの…
それは病院だ。
健康であっても、予防接種や健康診断で行かなければならない。
そして大きな病院には医師に始まり様々な職種の人が働いている。
その中で、患者とその様々な職種を繋ぐ役割を持つのが看護師である。
昔はよく白衣の天使と言われていた。
でも実際の看護師達は、多分天使とは程遠いと思う。
死と常に隣り合わせになってる内に、多くの看護師は死というものに対して何の感情も湧かなくなってしまう。
そもそも仕事中に泣く看護師は半人前とバカにされることすらある。
それでも、何度経験しても人の死に慣れることが出来ず自分の心を壊して離脱していく人も多い。
ーー私もそんな看護師の一人だった。
看護師という職種に憧れ、ひたすら勉強した。看護師になり、初めて患者に感謝された時は心から嬉しかった。だけど、感謝と同じくらい酷い言葉も沢山言われる毎日に当たり前のように起こる人の死。
結局は憧れと現実の違いに打ちのめされ精神的に病んでしまい、仕事に行けなくなってから一年。
私はもう起き上がることも、食事を摂ることすらも出来ないくらい無気力になり、やがて人知れず静かに息を引き取った…