第3話
このぐらい来ればいいか、よっと。そう言って僕は「飛行」を解き、着地した。さて次のことだが、次の町への道のことを聞くのを忘れたので、どうしようか途方に暮れている。取り敢えず進むか?いや、この先に何があるかわからないのに進むのは無謀でしかない。んー、悩み所だなぁ。食べれる物も無さそうなので先に進むしかねぇな。そう考えついた俺は「飛行」を使用し、まっすぐ進んだ。しかし、そろそろ日が暮れるので昨日のように木の上に乗り、初日に取った肉を食べて俺は寝た。
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俺はあいつを殺す。だけど、バレてはいけない。バレれば俺のメンツがボロボロに。しかし、警察のバカどもにはわからないんだよ。この俺の完璧な殺人計画はなぁ。アーッハハハハ。
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天宮「ふぁぁ、よく寝たわ」
よし、さっさと行くか。そう言って俺は「飛行」を使い、飛んだ。そしてものの5分程度で次の町に着いた。
看板「林冠町」
漢字もあるんだ。まあいいや、取り敢えず何か探して…なんだ?あの豪華な家の周りが騒がしいな。んー、めんどくさそうだが行くか。そう思った俺はその家に近づくと、なんか警察っぽいやつが囲んでいた。近くの人に聞いてみた。
天宮「あのー何かあったんですか?」
近くの人「ここに住んでる貴族が、殺されたらしいんだよ。犯人の目星はついてるんだが、証拠が無くて困ってるらしいんだ」
へぇ、それは大変そうだ。ちょっと首突っ込むか。
天宮「ありがとうございます。すいません通してもらえますか」
そう言って俺は家を囲う警察のもとに近づき、白魔導書を見せる。
警察「こ、これは!?」
天宮「この魔導書を持っていると言うことは賢者になるべきものだと言うこと。どうだ?難航してんだろ?手助けしてやるよ。」
警察「未来の賢者が捜査に協力してくれるとは心強い。是非、こっちに来てもらえませんか?」
そう言って中に誘われた。ラッキー、通してもらえた。さて、ここからは推理ゲームだ。そう思いつつ俺は殺人現場まで案内された。そこには腹をえぐられた死体があった。多分魔法だろうな。そう考えていると、
上司「おいお前、なんで一般人連れてきた」
警察「はっ!捜査が難航していると言うので、未来の賢者殿の力を借りようと思い連れてきた所存です!」
上司「こいつが未来の賢者ぁ?そんなわけないだろ」
俺は上司が振り返ると思っていたので白魔導書を手に持っておいた。
上司「失礼いたしました、未来の賢者様」
天宮「そうか、そんなのどうでもいいから殺したいの情報を教えろ」
上司「はい、えーっとこの男の名はノメユ・ガヌ、貴族と呼ばれる大富豪、身長は184cm、体重は72kgで性格は几帳面で財政がとてもうまいと聞きます。死因は魔法によるもので死亡したとされる時間は9時28分です」
天宮「この部屋の状態は変化させてないよな?」
上司「はい、もちろんです」
天宮「そうか、あとこの死体の死因はこの腹をえぐられたことじゃないぞ」
上司「な、何故です?」
天宮「この死体、身長181センチしかないもんきっと別の殺し方だよ。何を隠すためかは知らないが。つまり死亡推定時刻はもう少し早いだろうな」
この話を聞いた部下はすぐさま死体の身長をはかった。なんと本当に181cmしかなかった。
天宮「この死体の首切っていいか?」
上司「は、はいどうぞ、解剖の許可はされているので」
天宮「そうか、じゃあ風魔法 鎌鼬」
そう唱え死体の首を切る。すると首のところに俺のではない魔力痕があった。
天宮「やっぱか」
上司「何がですか?」
天宮「いや、なんでもない。それより容疑者のアリバイを言ってくれ」
上司「わかりました。おいお前」
部下「はい!えー、一人目はネーユ・ガヌ。28で、被害者の子供であり政治家として有名です。魔導書は風の魔導書で、少々性格が悪いです。彼は9時12分ごろに被害者とこの部屋で話していたそうで、この部屋に入るのを9時11分ごろにメイドが見たそうです。そして9時19分ごろ、部屋から出たそうです」
天宮「へぇ、ながったるいから他の容疑者は魔導書と、魔法が使えるかと、被害者にあった時刻を答えてくれ。名前は要るぞ」
部下「そ、それだけでいいんですか?では、
二人目はクリス・ワトル。草の魔導書持ちで、魔法は魔導書無しでは使えません。被害者にあったのは9時20分ごろで扉越しで話していたそうです。
三人目はヌーン・ウムン。火の魔導書持ちで、魔法は多少使えるようですが強力な魔法は使えません。人を殺すことのできるほどの強力な魔法はね。被害者とあったのは9時頃だそうです」
天宮「へぇ、もちろんこの屋敷の中は全部確認したんだよな?」
上司・部下「そりゃもちろんです」
天宮「ほー、じゃあ犯人を確定させるために三人をここに呼んでください」
上司「もう犯人が!?」
天宮「まあ推測ですけどね。とりあえずみんなをさっさと集めてください」
そう言うと部下の人が走っていった。なんだ、簡単だったわ。あとは上司の人にごにょごにょ。
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ネーユ「おいおいなんだよ犯人がわかったって」
天宮「まあまあ、とりあえず魔導書を預からせてください」
三人は魔導書を俺に渡した。俺は三人の魔導書を読んだ。ほうほう、なるほどな。俺は三人に魔導書を返し、
天宮「犯人がわかりました。犯人はネーユさん、あなたでしょ?」
ネーユ「はあ?なんで俺が親父を殺すんだよ」
天宮「動機は知りませんが、証拠はあります。まず、あなたは9
時25分ごろ風魔法を使い、被害者の部屋に入り、縄で首を締める。そのあと魔法で絞めた痕のある首を切り、切れたところを風魔法の治癒のできる魔法で付ける。あとはまた魔法で腹をえぐる。これができるのは、草魔法の使えるクリスさんでも、火魔法の使えるヌーンさんもできない。つまりネーユさん、あなたしかいないんですよ」
ネーユ「それだけじゃなぁ?」
天宮「ああ、そろそろ来ると思うんですけどねぇ。最強の証拠を持つ人が」
上司「賢者さんこれ!」
そう良い走ってくる上司の手には縄と三センチほどの首がある。ネーユはぞっとした。
ネーユ「なぜそれを!?」
天宮「推測だがあなたは部屋に戻るとき、縄とその首を持って行かないといけないが、持っていると警察が来たときにバレてしまう。なので四角形の庭の隅にある木の近くに埋めると思ってな、先に調べに行ってもらった。そしたらあれが出てきたんだよ。あれの魔力痕を調べたら誰のかよくわかるだろうね。さて、その動揺と言葉の説明はどう説明してくれるんだい?」
するとネーユが蹲り頭を抱えた。さて帰ろうか。そう思い、俺がくるっと振り返り歩き出したそのとき、
ネーユ「うおおおおおお」
そう叫びネーユは魔導書を開いた。
ネーユ「風魔法 波風の嵐!」
へぇー、そんな魔法もあるんだ。
天宮「水魔法 滝の壁」
そう唱えると、俺の目の前に大量の水が流れ出した。それの勢いによる風でネーユの風魔法を打ち消した。
警察達「この!大人しく捕まれ!」
ネーユは必死に抵抗するも取り押さえられてしまう。俺はネーユの近くに行き、こう言い放った。
天宮「お前は人を殺すと言うことがどういうことかわかってない。それがわかるまで人を殺めた罪を償え」