プロローグ
彼は大学の卒業論文でとんでもない論文を作成した。それは電脳世界を使ったタイムマシンの理論。彼の理論にはミスと呼べるものが見えず、完璧すぎた。学校はすぐに本人の許可のもと、社会に発表。そして色々な科学者がそれを作ろうと試行錯誤を繰り返しているころ、彼はその理論を作ったとして、科学者になっていた。しかし彼は科学より、数学の方が得意だったので数学者にもなれないかと相談みると国はすぐに承諾してくれた。そんなことをやっているうちにその理論を使ったタイムマシンを完成させたものが出たが、そのタイムマシンを試した科学者は植物状態になってしまった。何故事故が起こったのか、科学者達は苦悩を続けることしかできない。
しかしマスコミは事故が起こった真相にたどり着けた。それは事故が起こったことについて彼に取材したときにわかった。彼は平然とこう言う。
彼「そら、事故が起きるでしょうね。なんでって?そりゃぁ、あの理論が完璧じゃないからですよ。」
科学者達は呆然とした。あれだけ完璧だと思われていた理論が完璧じゃないことが作った本人から明かされたのだから。しかし世界中の科学者達にはわからない。どこが完璧じゃないのかが。
彼は天才過ぎた。バケモノと呼ぶ科学者もいたほどだ。彼は後の取材でこう述べる。
「タイムマシンは人間の持つべきものではない」と。
――――――――――――――――――
ざわざわざわざわざわざわ。玄関はマスコミでいっぱいだった。
はぁ、うるさいなぁ。何でったって一緒に作っていた人じゃなく理論を発表した俺なんだよ。俺はかんけーねーのに。あいつらが俺の理論から作ろうとして失敗しただけじゃないか。せっかくここにいる先輩と大学時代に必死になって考えてたタイムマシン理論が台無しじゃねえか。俺が発表した理由は人間はもうここまで行けると言うことなのに。
先輩「おーおー、外がうるさいなぁw」
彼「笑ってる場合じゃねぇっすよ先輩」
先輩「まあそうか。よし、ここは一つ俺がマスコミにガツンと」
彼「言わないでください先輩。なんのために呼び出したかわかってます?」
そう、俺は異世界に行く理論とその機械を作り、完成させたので、試運転をする際の留守番のために俺は先輩を呼んだ。先輩、黒のスーツを着ていて、謎が多い人。だけどとてもいい人で自分が面白いと思ったことにはすぐに首を突っ込む。ただとても頭が良い。下手したら天才と呼ばれた俺よりも。
先輩「そーだったな。お前の理論と設計図を見る限り、ミスはなさそうだな」
彼「そらそうでしょ。この天才が作ったんですよ?ミスなんかあるわけないじゃないですか」
ドン!と胸を叩く。それを見て先輩は笑っている。
先輩「さて、とっとと試運転始めろよ。俺はそれを見てるからさ」
傍観しとくから、と先輩は言う。
さて、ポケットから出したケータイサイズの機械を先輩と考えた質量保存の法則を無視し、体積と質量を膨張、縮小させる方法を使って大きくした。そして近未来的なドアになった。「ガチャン!ウィーン」と音を出し、扉が開いた。これをくぐると僕らの世界とは違う別の世界へ行ける。
先輩「おー、流石。よっ、天才科学者、天宮景明!」
天宮「誉めてもなんも出ないっすよ?さて、入りますわ」
そう言ってくぐるとそこは…浜辺だった。しかし、周りには家があり、そこにいる人をみるとなにもないところから火を使ってるように見える。近寄ってみた。すると
おじさん「誰だ?お前この村のもんじゃないだろ」
日本語と類似する言語を使うのだと悟った。そして
天宮「すみません。ここに来たばっかりでよくわからないんです。その火を使うのってなんですか?」
おじさん「お前この国の人間か?まあ良い。これは魔法だ。炎魔法っつーんだ」
天宮「へぇ、詳しく教えてもらいたいので、またあとで会うことができますか?」
おじさん「いいぞ。いっつもそこの浜辺で釣りしてるから見つけて話しかけてくれ」
ありがとうございますと礼をし、異世界と繋ぐ扉をくぐって元の世界へ戻ると、入ろうとしていた先輩と頭をぶつけた。
天宮「いってぇー。なにしてんすか先輩」
先輩「いや、遅いから迎えにいってやろうと思って」
時計を見ると10分しか経ってない。10分しか待てなかったのか、良い大人が。
天宮「さて先輩、これ」
と言って渡したのはこの土地の権利書だった。
先輩「ほいよぉ」
天宮「先輩、そろそろマスコミを家から離してもらっていいですか?」
先輩「あたぼうよ!」
なんでいっつも言わない言葉使うんですかと突っ込む前に玄関に向かっていた。仕事は早いんだよなぁ、あの人。
ガラガラと引き戸を開け、マスコミを家から離してくれた。ありがたい。本当に感謝しています。
天宮「さて、完全防御形態へ以降しろ。スイッチ~…オーン!」
ポチッとボタンを押した次の瞬間、この家の外界へ繋がる場所全てにシャッターが降りた。このシャッターは俺が見つけた新原子の金属だ。金やダイヤモンドよりも硬いので割られることはないだろう。
天宮「さて、次はちゃんと行きますか」
異世界へ繋がる扉を開き、その中へ入っていった。
――――――――――――――――――
マスコミ1「あなたは天才科学者 天宮景明の知り合いなんですか?」
マスコミ2「彼はどんな人なんですか?」
マスコミ3「今回の事件についてどう思いますか?」
うるさ!確かにあいつの言う通りガツンと言わない方が良かったな。このうるささは面倒くさいな。うんうん。
マスコミ4「何故頷いているんですか?」
マスコミ5「彼は今どんな研究を?」
マスコミ6「彼の性格から見て今回の事件を起こすような人ですか?」
俺は精一杯の笑顔で
俺「はーいはいはい、私から答えることはできません。しかし、これだけは言わせてください」
そう言うと俺は全身全霊の殺気を込めて
俺「あれは事件でなく事故であり、あいつは微塵も関係ない」
と言った。体が震えてる人やチビりそうなやつもいたがお構いなしににこりと笑い、
俺「以上。ではまたどこかで会いましょう。ではドロン!」
俺は煙幕玉を投げ、その場から去った。去る直前に煙幕の方向を見ると、マスコミ達がざわめいていた。そういや、若干煙幕玉重かったような…。あのやろう、なんか仕込みでやがったなぁ。まあ可愛い後輩のやることだ。許してやるか。