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8)足踏み洗濯

本日、2話目の投稿です。

 明くる日。


 今日で、家の修理計画、3日目だ。


 賢哉の話によると、旭輝大叔父さんは、2,3日のうちに、熊本に帰ってくるらしい。

 旭輝大叔父さんは、ユンボが使えるので、庭の整備の方も手伝ってくれるという。


 朝ご飯を食べながら、

「庭は、どういう風にするの?」

 と私は賢哉に尋ねた。


 ちなみに私は、すっかり料理係になってた。

 賢哉は、朝ご飯も食べずに、すぐに作業を開始してしまうし、ご飯のことなんか、なにも考えずに延々と工事を続けるから、私がやるっきゃない。

 今朝もベーコンエッグ。

 ベーコンは、真空パックのやつなので、冷蔵庫がないときは便利だよね。

 ご飯も炊いた。

 味噌汁はインスタント。

 そろそろ、インスタントでない味噌汁にも挑戦しよう。

 ネットで作り方を調べれば出来る、きっと。カレーは作れたし。


 賢哉は、インスタント味噌汁をこくりと飲み、

「半分くらいは、畑にする予定。

 あと、家具造りの工房を建てる」

 と言う。


 300坪もあるもんな。

 家が40坪で、工房を建てたとしても、かなりの畑になるぞ。


「自給自足目指すの?」

「米は、難しそうだから、手を出さない積もり。

 どうせこの広さじゃ米の自給自足は無理だしな。

 野菜だけ自給自足かな」

 賢哉が考えながら答えた。


「雑木林は、切り倒しちゃうと?

 そういえば、どこからどこまで、うちの敷地?」

「よく見れば、境の杭がちゃんとあるよ。

 昔、測量した印。

 柵がないから判りにくいよな。柵も作らないとな。

 裏の西側の森林は、土砂崩れ防止の防災林なんだ。それから、その向こうの丘陵から山の辺りまで広がる森林は国有林。

 昔はもっと近くまで山の崖が迫ってたらしいけど、だんだん崩れて丘みたいになってる。

 あと南側と、北側の細い公道を挟んだ隣は、誰かの敷地だけど、祖父ちゃんがここに住んでた60年以上も前から、放りっぱなしで、持ち主は存在してるんだか、なんだか、判らないらしい」


 敷地の東西南北のうち、東側は、国道だ。

 西南北は、防災林と、放置された雑木林・・。


「つまり、隣に家が建つ予定は皆無ってこと?」

「うーん。

 かも」


 ずいぶん、寂しい場所だな、おい。

 国道の向こうも、畑が広がってるし。


「ここいら辺だけ、ケニアなみの人口密度だね」

「さっぱりしてていいよな」

 と賢哉。


 賢哉には合ってるかもしれんな、こういう環境。


「じゃぁさ、それでなくても、フィトンチッドとオゾンは十分足りてるんだから、うちの敷地に雑木林は要らないんじゃない?」

「伐採する予定だよ。

 雑木林は、勝手に木が生えちゃっただけでさ、林にしたかったわけじゃないし。

 これ以上、木が巨木になる前に、切り倒して、整地したいんだ。

 一部は日本庭園にする」


「ベルサイユ宮殿みたいな豪華な庭園もいいよ」

「・・100万平方メートルの豪華な庭園を再現できるわけないだろ・・。

 あれは、民からの搾取の象徴みたいなもんだし」

 賢哉が脱力してしまった。

「ガゼボみたいなのは?」

「うん。

 建てよう」


 しまった・・、また余計なことを言ってしまった。


「もちろん、家の修繕が終わった後だよね。

 家が先だよね。

 そろそろ、内風呂に入りたいなぁ」

「わかってるって。

 木の伐採は、シルバー人材センターか、森林組合に頼む予定なんだ」

 と賢哉。


 シルバー人材センターは知っている。

 以前に、お母さんの実家で、庭木の剪定をシルバーさんにお願いしてたから。

 引退した元気なお年寄りが登録していて、雨樋の修理とか、庭木の剪定とかの仕事を安めの価格で請け負ってくれるという。

 でも、森林組合という言葉は始めて聞いた。


「森林組合って?」

「森林所有者の組合だよ。

 安く木の伐採をしてもらえるんだ」

「へぇ~」

「切ってもらった木は、薪にして、よく乾燥させて、薪風呂の原料にするんだ。

 チェンソーで自分で切ってもいいけど。

 かなり大きい木もあるから、プロに任せる」

「うんうん、賛成」


 危ないことはしないで欲しいよな。

 それに、賢哉には、家の工事を優先してもらわないと。いつ脱線するか判らないんだから。

 賢哉は、夏期講習までは家に時間をかける、と言ってた。そうすると、3月から作業を始めて、7月ころまで、4ヶ月だ。

 私も、受験、考えなきゃな。

 賢哉は、もう、将来を決めてるからいいけど。

 私は、なんにも決まってないからなぁ。

 まぁ、今は、お手伝いに精を出そう・・。


◇◇◇


 今日の午前中は、洗濯をすることにした。

 賢哉は、「コインランドリーまで車を走らせる」とか言ってたけど、私としては、手押しポンプの井戸と、物置にあった金たらいを見たら、もう、アレをやるっきゃないでしょ。

 せっかく、ここまで「隣のトトロ」生活してるんだから。

 ただし、手押しポンプをキコキコやってくれる係のメイちゃんが居ないので、ひとり二役だ。

 ポンプをキコキコやって、たらいに水を入れる。

 賢哉のお母さんお奨めの石けんを投入。香料は入ってないので、石けんそのものの匂いがする。

 そこに、洗濯物、投入。

 賢哉のパンツとかも入ってるけど、このさい、見ないフリ。

 手洗いするって言ったのに、パンツを平気で入れてくるところを見ても、賢哉は、私を女と認識してないんだろうな。

 ま、いいけど。どちらにしろ、洗う積もりだったし。

 ズボンをたくし上げて、踏みまくる。

 そのうち、飽きてきた。

 音楽が欲しいな。

 ダンスミュージックってやつが。

 脳内の記憶にあったノリのいい曲を再生させながら、踏みまくる。

 さすがにいいだろう、というくらい踏み洗いしてから、水を替え、石けん水が出なくなるまで、さらに踏み踏みしながらすすいだ。

 あぁ~働いたって感じがする。


 たらい、いっぱいの洗濯物を終えて、一息ついていると、賢哉がなにやら持ってきた。


「お疲れ」

 と賢哉。

「まだ、脱水が残ってるよ」。

 ようやく、洗いまでは終わったところ」

「うん。そろそろ、絞りの段階かな、と思って持ってきた」

 と賢哉が、ごつい金属製の代物を私に見せた。

「・・なに? それ・・」

「万力」

「へ・・」

 なんだろう、その、拷問器具じみた名前の大工道具・・。


「大型の万力。いわゆる、バイスっていう。締め付けて固定する道具。

 プロ仕様で、かなりの力をかけられる」

「・・で?」

「洗濯物を板に挟んでこれで締め上げる」

「・・大工道具で脱水するんだ・・」

 力が抜けた・・。

 トトロの世界が、ごつい大工の世界になってしまった。


 賢哉が、ちょうど良い板を持ってきたので、私は、それをきれいなぞうきんで拭いた。

 洗濯物は、たらいの水を捨てて、ざっと絞っておく。

 それから、洗濯物を丁寧に畳む。

 洗濯物をぐちゃぐちゃにしたまま万力で絞ったらどうなるか、受験で失敗した私の頭でも予想できたので。

 賢哉のパンツもきれいにしわを伸ばして他の洗濯物と一緒に板に乗せる。

 洗濯物の量が多かったので、2回に分けることにした。

 賢哉は、万力の調整に余念が無い。


 さて、準備は整った。

 万力の台に洗濯物を乗せた板を置く。

 さらにその上にも板を乗せ、万力の上部の金板を下ろしていく。

 賢哉が、洗濯物ごと板を締め上げていく。

 車のハンドルみたいなやつが上部についていて、それをくるくる回すと、締まっていく仕様だ。


 水がにじみ出てくる。

 さらに賢哉は締め上げていく。

 すごいな、ちゃんと脱水してる。

 でも、こういう使い方して良い物なのか・・。


 数分後。


 洗濯物の脱水が完了し、私は、きっぱりと折り目のついた洗濯物を干す作業をする。

 洗濯物を干すロープが無い、と賢哉に訴えると、賢哉は、工事現場でよく見かける黒と黄色のしましまトラロープで、物干し場を作ってくれた・・。


 トトロの世界が不本意な結果に終わったような気もするが、無事、干せたので、なにも言うまい。


◇◇◇


 洗濯の次は、今日の昼食だ。

 私は、食材の入ったケースや箱を見ながら、ため息をつく。

 私には、残り物で見事な料理を作るスキルは無い。

 料理は超初心者だ。

 賢哉に一応、食べたいものを聞いたのだが、「なんでもいいよ、食えれば」という、協力的なんだか、いい加減なんだか判らない答えをもらった。


 今日もお風呂場の工事を頑張ってる賢哉に、美味しいものを食べさせてあげたいような気もするが、まぁ、無理だろう。

 カレールーは少し残ってるけど、昨日は2食カレーだった。さすがに違う味が食べたい。


 箱に残っていたのは、真空パックのベーコン。

 ジャガイモ、トマト。

 キャベツ、ニンジン、タマネギ。

 米。

 卵。


 キャベツがまるごとひとつ、使わずにあったので、「キャベツ」でレシピを検索。

 「ロールキャベツ」という言葉に目がとまる。

 けっこう好きな料理だ。

 もちろん、作ったことはない。


 一般的なロールキャベツを作るには、挽肉が足りない。

 でも、買い足さずに余り物の食材で済ませたい。

 レシピを片っ端から見ていくと、ゆで卵を入れたレシピを発見。

 挽肉も使うけど、ベーコンを刻んで入れればいいか。

 ベーコンは塩味ついてるから、塩を控えめにすれば・・。


 料理を開始する。

 タマネギを刻む。

 この3日で、包丁使いは、それなりに上手くなってる。

 さくさく進む。

 あ、ゆで卵、作らなきゃ。

 ゆで時間も記してある。

 固めのゆで卵を作る。

 ベーコンも刻む。

 キャベツの葉はさっとゆでておく、とレシピには書いてある。

 キャベツの葉を剥く・・。

 キャベツの葉を剥くのに失敗しまくる。

 泣く・・。

 キャベツの葉、一枚だと破れから具が飛び出すので、一個につき二枚使用。

 頑張ろう。

 ここまで来たら後には引けない。

 ロールキャベツなんていう中級レシピに手を出したのが間違いだった。


 あ、巻いたキャベツの葉がバラけないように、楊枝で留める、とか書いてある。

 楊枝、ないぞ。

 かんぴょうで巻いて留めるというレシピもある・・もちろん、かんぴょうもない。


 どうしよう・・。

 4キロ歩いて、コンビニに行くか・・。ご飯が2時間後になってしまうな。

 走って時短するか。

 自転車があればなぁ。

 賢哉の邪魔したくないし。

 しょうがない、走るべ。

 お風呂場で作業中の賢哉のところに行く。

 お風呂場は、タイルはすっかり無くなり、天井の板が剥がされ、天井裏が見えている状態になってた。

 古いホーローの湯船も外されている。

 ほとんど、ただの小部屋みたいな姿になっていた。

 賢哉は、ドア周りの木の枠を外している最中だった。

 古いからか、木の枠は腐ってボロボロになっている。

「どうした? 美千留」

 と賢哉が振り返った。

「木の枠、ボロボロだね」

 と私は木枠を指さした。

「ああ。

 もう、年数が経ってるからね。

 それでなくても、木は、水気に弱い素材だから。

 風呂場の湿気を吸った木材に、腐朽菌が繁殖して、腐らせたんだ」

 賢哉はなんてことないように言う。

 私は、

「ちょっとコンビニ行ってくる」

 と伝えた。

「なにか要るものがあるのか?」

「うん。楊枝」

「料理で使うの?」

「うん」

「判った。

 何本?」

「え・・? 10本くらい」

「ちょっと待ってろ」

 賢哉は、電動ハンマーを片付け、立ち上がると、風呂場を出て行った。


 どうしたのかな・・?


 10分くらいもして、私が台所で、ロールキャベツを仕上げ、フライパンの用意をしていると、賢哉が戻ってきた。


「ほら」

 と賢哉が竹串を差し出した。

 竹を割いて細くして、先を尖らせたやつだ。


「これ・・賢哉が作ったの?」

「うん。

 急ごしらえだから、じゃっかん、サイズにばらつきがあるけど」

「ううん、すごい。

 さすが、家具職人。ありがとう」

「ロールキャベツ作ってるんだな」

 と賢哉が皿に並んだ作りかけのロールキャベツを見た。

「うん。美味しいか判らないけど・・」

「楽しみにしてるよ」

 賢哉が、私の頭をぽんぽん叩いて作業に戻った。



 ロールキャベツは、まぁ、そこそこの出来だった。

 キャベツが一個につき二枚使ってあるから、噛み切るのが大変だ。

 お年寄りには薦められない出来になってしまった。

 でも、賢哉は、平気で食べてる。


「料理、上手いな、美千留」

 と賢哉。

「そうでもないよ」

 かなりヘタだと思う。

 賢哉は、なにも気付いてないみたいだけど。

「ロールキャベツの具に、ゆで卵とか、始めて食った」

「いや、まぁ、ネットにあったレシピを参考にしてみた」


 ロールキャベツに時間がかかりすぎたから、あとは、トマトを切って、インスタント味噌汁を付けただけだ。

 でも、一見、それなりのメニューにはなった。

 インスタント味噌汁は、手放せないな。

 買い足しておこう。インスタントでない味噌汁の修行は、後回しだ。


 料理で失敗するっていうのは、たぶん、冒険とか、実験をするからだと思う。

 料理初心者の私は、レシピを見ながら、その通りに作っている。

 だから、今のところ、食べられるものを作れてる。


 油断して、色々、適当になり始めた頃が、危ないんだろうな。


 お代わりに用意していた分もロールキャベツの皿が空になり、昼ご飯を食べ終わるころ、メールを確認していた賢哉が、

「お、俺の作った飾り椅子が売れたって。

 沙月叔母さんからメール」

 と嬉しそうに言った。

「飾り椅子って?」

「座るための椅子じゃなくて、上に花瓶とか置くような、小さい装飾用の椅子だよ。

 ジグソーと彫刻で模様を入れて、ニスで仕上げたやつ。

 二脚とも売れたから、1万になったらしい」

「へぇ」


 ジグソーというのは、賢哉いわく、電動工具の糸鋸で、細かい彫り込み作業が出来るんだとか。


「大叔父さんの店に入れる金は差し引いて1万だから、値切られずに売れたみたいだ」

「値切るお客さん、居るんだ・・」

「田舎の古物屋だからなぁ。

 まけてくれんか、って言うお客さんもたまに居るらしい。

 俺の作品はアンティークじゃないからか、今のところ、値切られたことはないけどね。

 臨時収入が入ったから、冷蔵庫と洗濯機でも買うかな」

「・・1万円で買えるの?」

「リサイクルショップに見に行ってこよう」


◇◇◇


 旭輝大叔父さんのお店で、沙月叔母さんに3日ぶりに会った。


 相変わらず、上品な叔母さん。

 私も年取ったら、こんな感じになりたい。母みたいな鬼婆じゃなくて。


 叔母さん、

「美千留くん、元気にしてた?」

 と優しく頬笑んでる。

 私は、「はい」と答えた。

 叔母さん、やっぱり、私のこと、「くん」づけなんだよなぁ。

 まぁいいか・・。今更、女だと暴露して、びっくりさせたくないし。

 賢哉がいけない。

 賢哉まで間違うから、定着しちゃったんだもん。


 賢哉の作った作品は、飾り棚と飾り椅子が各ひとつずつ、残っていた。

 さすが、売りに出そうと思うだけあって、素敵だ。

 私も買いたくなる。

 背もたれの部分は楕円形で、鷺や芙蓉の花が彫刻されていて、渋めの色のニスで仕上げてある。


「これ、売り上げよ」

 と叔母さんは、賢哉に万札を差し出した。

「まいどあり」

「飾り棚の方も、買うか迷ってたお客さんがいたから、売れるかもしれないわ」

「期待しないで待っとくよ」


 賢哉が、リサイクルショップに行くというので、早々に大叔父さんのお店を後にした。

 リサイクルショップは、大叔父さんお薦めの店があるんだという。


 中年のでっぷりしたおじさんが店主の店だった。朗らかなおじさんで、気さくな感じのお店だ。

 家電品は、しっかり掃除して汚れを落としてあり、一見、中古らしくないほどだ。

 賢哉は、少ない予算でちょうど良い品を見つけようと、店中を歩き回り、小さな冷蔵庫と、ゴミ取りネットが壊れている洗濯機を買った。

 ゴミ取りネットくらい、なんとか直せるから、と言う。

 こういうとき、器用だと便利だよね。

 ジムニーに、購入した洗濯機と冷蔵庫を載せて、祖父ちゃんちに帰った。


「でもさ、私、たらいで足踏み洗濯、けっこう、好きだったよ」

 と賢哉に言うと、

「雨の日は困るだろ。

 明日から、雨って天気予報でやってたから。

 風呂場もまだ終わってないし、洗濯できなくなる」

 と言われた。

「あ、そっか。

 お風呂場の工事はいつまでかかりそう?」

「まだまだかかるなぁ。

 タイル貼りとかあるし。

 タイルは、本当は、モルタルで一枚、一枚、貼っていきたいところだけど、俺には、そういう技術はないから、シート貼りだろうなぁ」

「シート貼りって?」

「今どきは、タイルがシートになってて、いっぺんに、貼れるんだ。

 モルタルではなくて接着剤使うし。

 でも、モルタルで一枚ずつ貼った方が、長持ちするんだよ」

「ふうん」

「まぁ、今回は、その辺は、妥協しとく。

 かまどに日干しレンガを作りたいし・・」

「は・・?」

 ・・今、なんつった? 賢哉。


「粘土質の土も、手に入れる算段が付いたから・・」


「・・ちょい待ち、賢哉くん。

 粘土質の土で、日干しレンガを作るっていいましたか?」

「・・言いました・・けど?」

「で? かまどを作る・・と?」

「そう。本格的だろ」

 自慢げに賢哉が言う。

「お風呂は?」

「それは、もちろん、同時進行で・・」

「出来るの? 賢哉くん。

 身体はひとつしかないんですよ?」

「頑張らないとな!」

「・・判りました。

 日干しレンガというものは、私が作りますから。

 賢哉は、お風呂に全力投球してください」

「いや、でも、それは・・」

「私は、お風呂場の方は、出来ませんから。

 日干しレンガって、たぶん、粘土っぽい土を四角く形成して、日干しにすればいいんでしょ。

 それなら、出来そうだから。

 適材適所」

「うーん。

 判った・・頼む」

「了解です。

 あ、賢哉くん。

 ミミズのおうちも、私が作りますから」

「美千留、やってくれるの?」

「ミミズのおうちくらい、私でも出来る、きっと。

 賢哉は、人間のおうちに専念してください!」

「・・わかりました」


また明日、午後6時に投稿いたします。

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