第99話 これからのことを色々と
いつもの真っ白な世界、女神の間に来たけど、今は誰もいないんですよね~。
だって、ここの主であるセレス様は今、セレスハートにいるのだから。
ここにいてもすることもないし、すぐに戻りま・・・
「わっ!」
「うおぉっ!?」
突然後ろから大声をかけられてしまい、さすがにビックリして声をあげちゃいましたよ。
だってこの空間って、あらゆるスキルが無効化されてしまうんですよ。
多分ですけど、セレス様を傷つけることが出来ないようにするためじゃないかな?
で、今僕を驚かせた声って、もしかして・・・
「あっはははははは!どう?ビックリしたでしょ?いや~、隠れた甲斐があったというものだね!」
驚いた顔のまま後ろを振り返ると、それはもう楽しそうに笑っているセレス様がいた。
あれ?何でここにいるの?
「セレス様、ですよね?」
「失礼だね、キミは!私がセレス以外の何者に見えるのさ!?」
「いや、だって、セレス様は今、セレスハートにいますよね?もっと言うなら、向こうにいる僕の本体の目の前にいますよね?」
「ああ、アレ?アレはね、私の分身だよ」
「分身、ですか?」
「うん、そう。あそこにいるのは、私と意識は繋がっているけど、私じゃないんだ。だから、分身。けど、本体じゃないってだけで、私と何ら変わりはないからね。向こうが見聞きしたことは、私も見聞きしたのと同じなんだよ」
「ああ、そういう事ですか。つまり、向こうにいるセレス様と、こっちにいるセレス様は同じ情報を共有している、ってことですね?」
「そうだよ」
それなら、向こうでは悉く邪魔されて確認できなかったことを、こっちでも確認できるってことだよね?
さらにここは時間の流れが違うから、どれだけ長話しても、向こうでは数秒しか経過しないからね。
これは聞くしかないでしょ!
「じゃあ、気になっていたことを2つ、質問してもいいですか?」
「お、何かな?何でも聞いてくれ給え!」
「じゃあまず1つ目の質問なんですが、ピエナスはどうしましょうか?未だに女神城の上空で、時間停止させたまま放置しているんですが、今後の扱いは何か考えていますか?」
「ああ、あれね?取りあえず、パレードが終わって落ち着いたら、私、というか分身が、アイツからスキルとステータスを取り上げちゃうよ。あ、もちろんステータスは、ある程度は残すからね?」
「そんなこと出来るんですか!?」
「うん、出来るよ。と言うか、私にしか出来ない事なんだけどね?それも、条件が整わないといけないんだけど、今なら大丈夫だよ」
「そうなんですね?じゃあそれはつまり、ピエナスを一般人にして、野に放すという事ですか?」
「そうだよ?人間誰しも間違いはあるんだから、もう一度チャンスをあげたいんだよね」
チャンスをあげるのは良いけど、あの性格だと、また何か事件を起こしそうな気がするのは、僕だけでしょうか?
ステータスとスキルを奪うから、今回みたいな大規模なことは出来ないだろうけど、きっと犯罪に走ってしまうのではないでしょうか?
主に子供の誘拐とか、そっち方面に。
「もしまた何かやらかしても、普通の人間と同じ、もしくはそれ以下だからね。簡単に捕縛されて終わりだよ、きっと」
「まあ、そうなるでしょうね・・・」
じゃあ、ピエナスの処遇が決まったので、次です。
「では次の質問なんですが」
「うん」
「あのセレス様の分身は、いつまで向こうにいるつもりですか?いい加減、僕のステータスを返してほしいんですけど?」
「え~と・・・えへっ」
「笑って誤魔化すな」
「え~、別に良いじゃんかよ~?もっと向こうの世界を堪能させてよ~。もっと美味しいもの食べたーい!」
「それが本音ですか・・・」
確かにあの女神様の分身は、それはそれは、とても美味しそうに食事をしていましたからね?
でもね?その女神様の欲を満たすために、僕のステータスが犠牲になっているんですよねぇ・・・
「まあ、しばらくは戦闘とかあっても、あんなステータスは必要ないからいいですけどね?でも、いつかは必ず返してくださいよ?」
「ああ、それなら大丈夫。私があっちに留まっていられるのは、10日間だけだから。だから、後9日もすれば、私の分身は消えて、ステータスもレオナルドに戻るよ」
「え?そうなんですか?」
それなら、この問題はもう解決しましたね。
このままずっと、なんてことにならなくて、助かりましたよ。
いえ、別にステータスの話しではないですよ?
この結構いい加減な女神が地上にいることで、女神教の威厳が損なわれてしまうのではないか?
女神教の敬虔な信徒の皆さんが、このセレス様を見て、ガッカリしてしまうのではないか?
そういう事を心配していたんですよ、僕は。
「うん、そうなんだよ。ほら私ってさ、称号の効果でレオナルドのステータスが上がって、そこで初めて20億を超えたおかげで、降臨した訳でしょう?で、今は称号の効果は切れているよね?つまり私の分身は、今は10億のステータスで存在を維持されているんだよ。その不完全な状態のおかげで、最大で10日間しかいられないんだよね」
「そういう事でしたか。それなら安心ですね!」
「え?安心って言った、今?」
「さて、それじゃあそろそろ向こうに戻りますね?」
「ちょっと!?今安心って言ったよね!?どういう意味!?」
ちっ、つい口が滑ってしまいましたよ。
面倒になってきましたが、このままここを去って向こうに戻っても、目を開けるとそこには意識を共有しているセレス様の分身がいるんですよね・・・
仕方ない。
「どうもこうも、僕のステータスが戻って来るから、安心したんですよ。本当、このままだったらどうしようかと思っていましたからね」
「あ、そうなの?じゃあ、いいや」
「それでは改めて、向こうに戻りますよ?」
「は~い。じゃあ、また向こうでね~」
そして僕は、女神の間を去りました。
目を開けると、そこにはさっきまで話しをしていたセレス様が立っていた。
正確には、その分身だけど。
それにしてもやけに静かだな、と思い、周りを見ると、話まりにいた全員が跪き、僕とセレス様に祈りを捧げていた。
またですか・・・もう見飽きましたよ、この光景・・・
「さあ、参りましょうか」
セレス様と金色に光った僕に対して、祈りを捧げていた人達が立ち上がったのを確認したら、ムサカ枢機卿がパレードの開始を宣言し、聖騎士達に先導されてのパレードが始まりました。
僕の作ったのは、1列3人掛けとなり、それが4列ある、12人乗りの大型馬車です。
その為、結構な大きさになってしまったので、馬4頭で牽引してもらいます。
あ、もちろん、馬が疲れないようになる魔導具は、すでに盛り込んでありますよ?
今は御者台にチェスカさんが座っていて、1列目にフォルセシウスさんとマリアンヌさん夫妻。
2列目にカシオスさんとキリウスさんの兄弟。
3列目に聖女であるセシリアと、女神の使徒である僕。
そして4列目、他より1段高い席に、女神セレス様が座っています。
この状態で街をグルッと周るんだそうです。
この中で僕らは何をするのかと言うと、集まった民衆、と言うか信徒の皆に対して手を振るだけで、他は何もしなくていいみたいです。
これはただの顔見せのようなもので、何かを話したりする必要は無いそうです。
そもそも、女神教の敬虔な信徒が多くいるこの街では、きっと殆どの人が女神の使徒である僕に跪いてしまうのではないでしょうか?
さらに、今はセレス様までいるんですよ?
今朝から街に大量に入って来ている、もしかしたらそこまで女神教に傾倒していない人でも、セレス様を見たら跪いてしまうのではないでしょうか?
さっきの光景がこのセレスハート中で見られるはずですよ。
そしてこの後行われたパレードは、ほぼ想像通りでした。
セレス様から溢れ出る神々しいオーラが、見ただけでそれが女神セレス様だと全員が認識し、その場に跪いてしまいましたよ。
中には、感動のあまり泣き崩れてしまう人や、こちらに走って向かってくる人までいましたよ。
走って来た人は、護衛の聖騎士達に阻まれてしまい、そのまま御用となっていましたね。
ああ、それと、ヴァンドさんとヘックスさんを始め、レジスタンスの皆さんにも会えましたよ。
パレードが下級街に差し掛かった時、護衛の交代が行われました。
今までは聖騎士達だったのですが、ここからはレジスタンスの皆さんが護衛してくれるみたいです。
セレスハートの開放に貢献した勇敢なる者たち、として、このパレードに参加することが許されたのだとか。
僕としては、レジスタンスの皆と話がしたかったのですが、例の如くレジスタンスの皆もセレス様に跪いてしまった為、再会時には話しが出来ませんでしたよ。
さらにその後は、僕の真後ろにセレス様がいた為、畏れ多いのか誰も僕に話しかけてくれませんでした・・・・
結局、誰とも話せないまま、昼から始まったこのパレードは、日が暮れるまで続きました。
こんなこと、今までしたことも無いですから、すっごく疲れましたよ。
主に精神が・・・
横を見ると、同じくセシリアも疲れていて、更に前を見ると、フォルセシウスさん、マリアンヌさん、カシオスさん、キリウスさんも疲れていましたよ。
御者を延々とやっていたチェスカさんも、かなり気を遣って馬車を制御していたので、相当疲れていますね。
唯一疲れていないのが、我らが女神セレス様のみです。
タフだな~・・・まあ、女神様だし、僕らとは理が違うんでしょうね?
「はあ~、やっぱりご飯は美味し~!」
ここはまたしても食堂で、今は夕食を頂いています。
相変わらずセレス様は良く食べますね?
あの量の食べ物は、いったいどこに入っているのだろうか?
「いや~女神セレス様、それとレオナルド君。今日は私達の急なお願いに協力してくださり、ありがとうございました」
「「「「ありがとうございました」」」」
フォルセシウスさんを始め、ストラテラ家の皆さんからお礼を頂きましたよ。
「そんな、気にしないでくださいよ」
「そうそう。お礼にこんなにおいしいご飯を食べさせてもらっているんだし」
そう考えているのはアンタだけだ!と言いたい気持ちをグッと堪え、セレス様を無視することにしました。
丁度いいので、この場で報告をしておきましょう。
「それよりも、皆さんにお伝えしたことが2つあります」
「2つ?あ、もしかしてセシリアとの婚約の話しかな?」
フォルセシウスさん、ぶっ飛び過ぎですよ!?
ああ、マリアンヌさんもニコニコしているし、2人のお兄さんは暖かい目で僕とセシリアを見ているし、セシリアは顔を真っ赤にしているし・・・
どうしよう、この空気。
ここでピエナスの処遇と、セレス様があと9日しかいられない話しとかしにくいのですが?
「いえ、あの、そうではなく・・・」
「ああ、もしかしてピエナスの件と、私に残された時間の話しかな?」
何と!あのセレス様が素晴らしいタイミングで、さっきの話を思い出してくれましたよ!?
セレス様、僕、今だけあなたの事を尊敬しますよ!
あなたは素晴らしい女神です!
「そう、それです。実はですね・・・」
と、昼に女神の間で話し、決まった内容を伝える。
最初はガッカリしていた皆さんですが、話の重大性が分かると、全員が真剣に聞き入ってくれました。
そして話し終わると、
「そう、ですか・・・セレス様は後、9日しかいられないのですね・・・」
「せっかく会お会いできましたのに、残念です・・・」
ピエナスの件はどうでも良いらしく、皆、セレス様がいなくなる話にのみ喰いついてきました。
あれ~・・・ピエナスの件も、結構重要だと思うんですけど?
だって、今回の事件の首謀者ですよ?
1つの国を乗っ取ろうとしたんですよ?
あなた方は全員が被害者ですよね?
それでいいんですか!?
「今日を見る限りだと、恐らく各国から使者が来るでしょうね。女神セレス様が降臨された話は、きっと世界中に知れ渡るだろうからね。けど、その使者が来るのは、早いのは隣国のヴェージガーブ王国からで6日、少し遠い国になると、何カ月かかるか分かりませんね」
ピエナスはどうでもいいんですね?分かりました、もう僕も触れません!
と言うか、振られるまで黙っていよう。
さっきの婚約者云々の話しを、ひょんなことから蒸し返されても困りますしね?
それからの話しは、今後、各国の使者が9日以内に来た場合、セレス様が合うのか否か、という確認と、明日以降はどうするかを話し合っていましたよ。
結果、明日からはしばらく女神城に来るであろう信徒たちと会い、可能なら話もする、という事に落ち着きました。
当然、各国の使者が来た場合も、セレス様がお会いになる、と話しになりました。
僕?僕は何もしませんよ?
今日、パレードに出ておいて何を言っているのか、と言われそうですが、僕はあまり目立ちたくないのですよ。
理由としては、有名になってしまうと、行動しにくくなるからです。
僕は自由気ままに動きたいんですよ。
だから、アステリア王国では女神の使徒だという事を、両親と国のトップ以外には黙っていたんですよね。
だから、これ以上女神の使徒として顔を晒したくないんですよ。
本当、今更の話しなんですけどね?
これからの方針が決まり、これで食事も終了かな?と思ったら、
「さあ、それでは先程の話しの続きと行こうか?レオナルド君、セシリアと婚約する気はないかい?」
クソッ!しっかり蒸し返されてしまいましたよ!
誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。
もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。




