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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第3章 セレストメディエル聖教国編
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第92話 もういいや

 この日、セレストメディエル聖教国の首都であるセレスハートの空を、様々な魔法が飛び交った。

 様々な魔法が飛び交い、ぶつかり、魔法によって模様が描かれている。

 その結果、セレスハートの空をキャンパスに見立て、魔法によって絵を描いているようにすら見えていた。

 一か所だけでなく、様々な場所で魔法が放たれていたからこそ、これがセレスハートを上げての催しものだと思ったようだ。

 この光景を遠くから見ていた旅人や行商人達は、足を止めてその光景に見とれ、セレスハートでは何か祭りでもやっているのかと思い、足を向けた。

 この光景の真下、つまりセレスハートにいる人々は、この異常事態に対し、とにかく逃げ惑っていた。

 それはそうだろう。

 今は上空でのみ飛び交い、地上には被害が無いとは言え、いつこれが地上にいる自分達に向かって飛んでくるか分からないからだ。

 この魔法が、ただの演出用の見た目だけ派手な魔法なら、ここまで慌てることは無かっただろう。

 花火を見るように、皆が空を眺め、魔法が炸裂するたびに歓声が上がったことだろう。

 しかし残念ながら、この飛び交っている魔法は全て攻撃魔法だった。

 それも、桁違いの威力を持った攻撃魔法だ。

 一撃でも喰らったら、例え聖騎士であろうとも無事では済まないレベルの、だ。

 実際には、仮にこの魔法が地上に向けられても、途中でかき消されるようになってはいるのだが、それを知っている者は1人しかいない。

 それは、絶賛空中戦を繰り広げている2人の内の1人である、レオナルド=シオン=スティードだけだった。



「ははははっ!逃げ回っているだけでは私には勝てませんよ、レオナルド君?」

「そうですか?でも、さっきから1発も当たっていないから、負けることもなさそうですね?もっとよく狙ってくださいよ」

「良く回る舌ですね?決めました。キミを倒したら、その下を焼き切ってあげますよ」

「それは怖い。では頑張って、その狙いの甘い魔法を避け続けるとしますよ」


 セレスハートの上空を縦横無尽に飛び回り、魔法を撃ち続けるピエナスと、その魔法を全て避け、あるいは迎撃している僕。

 2人が空に上がって、もう20分近くが経過しています。

 この間、お互いにダメージは0.

 位置としては、僕が常に上を取り、ピエナスは下から魔法を放っている。

 上空での戦闘が始まってすぐ、ピエナスが放った魔法がセレスハートの街に向けられ、着弾点が吹き飛んでしまった。

 この時使われた魔法は光魔法で、着弾点が吹き飛んだ以外に被害は無かったけど、もしこれが火魔法だったら大火事になっていましたよ。

 被害があったのは、貴族街にある今は無人の家が集まっている区画だったので、運良く、本当に運良く人的被害はありません。

 貴族街にあったから、かなり良い家のはずなので、金銭的にはかなりの被害かも知れませんね。

 けど、やったのはピエナスだから、僕のせいじゃないですよ?

 それ以来、ピエナスの攻撃が街の方に行かないように、僕は常に上を取り続けています。

 それと、念のためにピエナスと街との間に結界をはってあります。

 これで、もしピエナスの魔法が放たれても、被害は一切でないですよ。

 さて、僕が20分も延々と戦闘している理由は何かと言いますと、ただの訓練です。

 今の僕のステータスは、INTとMNDを1/10に、AGLを1/200に、それ以外を全て1/10000にしてあります。

 あ、HPとMPは素の状態ですよ。

 万が一が起きたら大変なので、この2つに関してはいつもそのままです。

 10億近くあるHPと、12億のMPがあれば、大抵のことは何とでもなってしまいますよ。

 で、何の訓練かと言うと、ズバリ回避です。

 いや~、人間でここまで強力な魔法をバンバン撃てる人なんて、きっとコイツ以外いないでしょう?

 せっかくの機会だから、嵐のように迫って来る魔法を利用して、空中での回避の練習をしているのですよ。

 え?ピエナスと戦った当初に、舐めプをするつもりはないみたいなことを言っていたくせに、舐めプしてるじゃないかって?

 はい、その通りです。

 なので、前言撤回させてください。

 こんな機会、滅多に、いや、今後一切ないかも知れないのですよ?

 勿体ないじゃないですか!

 と、言う訳で、さっきからずっと回避に専念しているのです。

 さすがにAGLを低めにしているので、避けきれない魔法に関しては、僕も魔法を撃って軌道を変えたり、相殺したりしています。

 その際、魔法に色々仕掛けをしてみましたよ。

 火魔法には氷をぶつけて相殺し、その際氷を細かく砕き、氷の破片に火が反射してキラキラ光るようにしたり、更にそこに光魔法をぶつけて乱反射させたりしてみました。

 あ、たまに雪を降らせてみたりもしましたね。

 きっと下の街にいる人たちは、この幻想的な光景に目を奪われていることでしょう!

 と、レオナルドは思っていたが、実際には街の人々はこの異常事態に逃げ惑っているだけだったことを、まだ知らない。

 そしてこの状態は、更に20分ほど継続しました。


「それにしても、本当にすばしっこいですね、キミは!逃げてばかりいないで、たまには反撃してみたらどうですか?できれば、の話しですがね?」


 余りにも攻撃が当たらないことに業を煮やしたのか、ピエナスが挑発して来ましたよ。

 ちょっとイラッと来ましたね。

 その言い方はもちろん、あの見下したような顔!

 あ、いや、位置的には僕がピエナスを見下しているのか?

 それはともかく、あの自分が優位だと思っている顔がムカつきますよ!

 だから、


「そうですか?じゃあ、お言葉に甘えて」


 僕は懐に手を入れ、バレないように異空間収納から魔導銃を抜き、一瞬で狙いを定め、光魔法の弾丸を撃つ。

 使用MPはもちろん1で、威力を最低にまで落として、弾速を出来る限り最高にしてあります。

 魔導銃から放たれた弾丸は、ピエナスの左肩に当たり、軽く衝撃を与える、はずだった。

 実際には、そのまま肩を貫通してしまいましたよ。

 ・・・・・・え?


「ぐ、ああああああああああっ!?」


 いきなりの痛みに、絶叫するピエナス。

 それはどうでもいいとして、貫通した弾丸はそのまま街の方へ飛んで行き、途中で僕が張っておいた結界に阻まれ、消滅する。

 え~っと?何が起きたの?

 そして思い出す。

 INTを1/10にしていたことを!

 何でそうしたのかと言うと、今僕の放った弾丸を消滅させた結界を張る為でした。

 街にこれ以上の被害が出ないようにと、かなり強力な結界を張る為に、INTの抑制を最小にしたのを忘れていましたよ。

 あの結界は、『空間支配』で作っています。

 『空間支配』とは、INTとMPによって規模や効果が変わるので、ならばとINTを高くしておいたのですよ。

 スキルの説明では、INTは範囲、MPは干渉した内容によって消費される、だったけど、実はINTが高ければMP効率が良くなったりします。

 このセレスハート全体を覆うように結界を張るのは、ちょっとばかし大変だったので、効率を良くする為にINTの抑制を緩めたのを忘れていました。

 ん?そんなことできるんだったら、そのまま城の訓練場で戦えば良かったじゃないかって?

 正直に言って、空に上がるまですっかり忘れていました。

 こんなことすらすぐに思いつかない状態では、いざと言う時に対処できなくなりそうなので、ちょうど良いのでピエナスを使って回避の訓練をしていたのですよ。


「バカな!バカなああああっ!私が傷を負うなど、あり得ないっ!」


 あ~も~うるさいなあっ!

 コイツ、さっきからずっと叫んでいるだけで、何がしたいんだろう?

 ケガの治療をしなくていいのかな?

 あ、もしかして、今まで『無属性魔法』があったから、ケガとかしたことが無いのかな?

 だから、痛みに慣れていないから、ここまで取り乱しているとか?


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い~っ!」

「じゃあ、とっとと治療すればいいでしょ?」

「治療?そ、そうだ!早くケガを治さなければ!」


 余りにもうるさかったので、ついアドバイスなんてしちゃいましたよ。

 だって、ねぇ?顔が涙と鼻水にまみれて、汚らしいんですよ。

 見るに耐えません!

 あ、やっと傷の治療を始めたね。

 流石は『無属性魔法』ですね。

 もう治っていますよ。


「はあ、はあ、はあ、い、今、何をしたんだ!?」


 お?ちょっと口調が変わったかな?

 まあ、僕も人のこと言えないんですけどね?


「何って、そっちが攻撃して来いって言うから、これで攻撃しただけだよ?こんなふうに」


 そう言ってまた、光魔法の弾丸を、今度は当たらないように撃つ。

 ひゅっ

 その弾丸は、ピエナスの耳元を掠め、そのまま進み、結界に接触して消滅した。

 ピエナスは、うん、反応出来ていないね?


「何だ、それは!?そんな武器を使うなんて、ズルいぞ!正々堂々と戦え!」

「アホですか、アンタは?」


 正々堂々って、自分が不利になったと思ったら、急にこれですか?

 ズルいぞって、何?


「キミは剣士だろう!?なぜそんな飛び道具に頼った戦いをするんだ!?卑怯だぞ!」

「いやいや、そっちだってさっきから魔法で攻撃しているじゃないですか?どこが卑怯なんですか?」

「私は魔導士だから良いんだ!」

「そうなんですか?そのくせ剣術は極めているんですよね?あ、それから僕は、剣も魔法も何でも使える万能型ですよ。剣士なんて一言も言っていませんし」

「うるさい、うるさい!その武器は使用禁止だあああっ!」


 ああ、もう面倒になって来た。

 ただの駄々っ子じゃないか。

 コイツとの言い合いは不毛だと、さっきのやり取りから分かっていたのに、また付き合ってしまいましたよ。

 はあ、もう、終わりにしよう。


「あ~はいはい。じゃあ、これはもう使いませんよ。それと、僕は剣で戦えばいいんですね?」

「ああ、そうだ!全く、何て卑怯な子供だ!大人として、私がしっかり躾けなければ!」

「じゃ、行きますよ」

「さあ、来ぷぎゃっ!?」


 一瞬で間合いを詰め、ピエナスの顔面に向け、刀で斬りかかった。

 あ、峰打ちですよ?

 ただし、STRを1/100にしての。

 さっきまでと違い、しっかりダメージが入っていますね。


「ぎゃあああああああっ!?顔がっ、わたひの顔があああああっ!?」


 うん、鼻が潰れたね。

 それにしても、


「隙だらけですよ?」

「ひゅぎゃあああああああっ!?」


 顔を抑えて喚いたていたので、体中隙だらけ。

 なので、両腕両足をあってあげましたよ。


「どうしたんですか?早く治さないと」

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い・・・・」

「はあ、仕方ないですねぇ」


 『空間支配』を使い、ピエナスの傷を治す。

 サービスで、痛みも取り除いてあげましょう。


「痛い痛いいた・・・あれ?痛くない?」

「それは良かった」

「これは、キミが?」

「ええ、そうですよ」

「ふ、ふはははははっ!愚かな!敵を癒すなど、何を考えているんですか!?今のが最初にして最後のチャンスだったのですよ!?もう2度と、キミの攻撃は私に通じませんよ!」

「あっそ」


 そしてまたしてもピエナスの顔面に向けて、峰打ちを決める。


「ぎゃああああああっ!?」

「え~っと、次は両腕両足ですね」

「ぎゃあああああああっ!?」


 そして、治す。


「はあ、はあ、はあ、はあ」

「2度と僕の攻撃は、何でしたっけ?」

「ま、待ってくれ!今のも卑怯だ!」

「どこがですか?いや、もういいや」

「え?」

「いい加減疲れましたよ。だから・・・もう終わりにしましょう」

誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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