第86話 やっとお城に到着
すみません、ちょっと短いです。
上級街の入り口で、ゲオスとついでに100名ほどの敵を無力化した僕らは、今はセレスハートの中心にあるお城に向かって馬車を走らせている。
上級街を抜け、貴族街に入り、更にそこも抜けて城門へと辿り着く。
この間、一切の妨害無し。
拍子抜けするくらい簡単に、ピエナスがいる城まで辿り着いちゃいましたよ。
「止まれ!何者だ!?」
さすがに門番はいましたよ。
これで誰もいなかったら、この城の警備は大丈夫かと疑いたいくなりますね。
ただ、ここに来てピエナスの手下に足止めされるのは時間の無駄でしかないから、門番も薙ぎ倒して先に進みましょう。
「面倒なんで、ここも突破しちゃってください」
と、御者台にいるチェスカさんに指示を出したら、
「いえ、レオナルド様。それには及びません。彼らは味方です!」
「うん。あの門番さん達は、前からずっとここの門を守ってくれている門番さんだよ。やっとしてる顔に会えたよ~」
なるほど、この門番はピエナスが連れて来た連中ではなく、元々城に仕えていた人達でしたか。
考えてみれば、捕らえられているのはセシリアの家族と聖騎士達だけで、他の人は普通とは言い難いですが、生活しているんですよね。
じゃあ、この門番さん達は聖騎士じゃないのかな?
セシリアに聞いてみると、
「門番は聖騎士ではないよ。チェスカみたいな聖騎士見習いがたまにやったりしているけど、基本的には専属契約をした人がやっているんだよ」
とのことでした。
「え?お前はチェスカか!?もしかして、セシリア様も一緒か!?」
「ええ、この馬車の中にいます」
「そうか。そうかっ!やはりご無事だったか!よくやったぞチェスカ!・・・・だが、なぜここに戻って来てしまったのだ?そのまま逃げ続ければ良かったのに・・・」
お、僕がセシリアと話している間に、チェスカさんが門番さんと話しを付けようとしてくれていますね。
けど、ちょっと時間が掛かりそうかな?
よし、それじゃあ僕が対応しようかな?
そう思って馬車から降りようとしたら、
「私達が戻って来たのは、このセレスハートを開放する為です!」
先にセシリアに降りられてしまいましたよ・・・
タイミングを逃してしまい、しょうがないので僕は馬車の中で待機することにします。
ここは聖女様に任せちゃいましょう。
別に、不貞腐れてなんかいませんからね?
「おお、セシリア様!よくぞ御無事で!」
「心配かけましたね。でも、もう大丈夫です。これから女神の使徒を語る不届き者を、私達が倒します。だから、そこを通してはもらえないですか?」
「え!?つまり、あのピエナス様は、女神の使徒ではない、と?」
「その通りです」
「しかし、あの方が女神像に祈ると、体が金色に光るのを見ましたよ!?」
「そのようですね。しかし私は神、あのピエナスと言う男が偽物だと、女神セレス様より教えていただいているのです」
「女神様から!?ならば、あの者は偽物なのでしょう。しかし、ピエナス様、いえ、ピエナスは信じられない強さを持っています。戻っても、返り討ちに遭ってしまうのではないでしょうか?」
「貴方の懸念は最もです。ですが安心してください。私達は強くなりました。それに、頼もしいお方が味方してくれています」
「味方、ですか?」
この会話をしている最中に、いつの間にか人が集まって来ていた。
今、セシリアと話している門番さん、たぶん門番の中でも上の立場なのかな?以外の門番さんが、周りにセシリアが戻ったことを伝えに行っていたのでしょう。
門番さんだけでなく、文官、いや、ここは宗教国家だから司祭とかだろう、も集まって来て、その数は50名近くになっていた。
「はい、そうです。レオナルド様、出て来てもらえますか?」
このタイミングで!?いや、これは丁度いいのかも?
一度馬車を降りようとしてタイミングがずれ、気まずいままだったけど、考えてみればそれって僕だけの問題なんですよね。
これなら、自然に馬車から降りることが出来ますよね?
しかも、呼ばれているのに出て来ないとなると、この後余計に皆の前に出辛くなってしまう。
よし、今度こそ馬車を降りよう!
そう決意し、セシリアに促されて馬車を降りる。
「子供、ですか?変わった格好ですね?この子が、頼もしい味方なんですか?」
やっぱりこの世界では、侍の格好は変でしょうか?
ここに来るまで、レジスタンスの人からはもちろん、相対したなんちゃって聖騎士達にも何も言われなかったので大丈夫だと思っていたんですけどね?
やっぱり、洋服が主流、というか、洋服しかない世界では、和服は違和感の与えてしまうみたいですね。
「ええ、そうです。レオナルド様、皆に自己紹介をお願いできますか?」
僕の格好に関してはスルーしたセシリアにより、自己紹介をすることになってしまいました。
ここは、セシリアが僕を皆に紹介してくれるんじゃないのかな?
そっちの方が、面倒が少ないでしょうし。
まあ、やれっていうなら、やりますけどね。
「分かりました。皆さん始めまして。僕は大陸北部の国、アステリア王国スティード伯爵家の次男、レオナルド=シオン=スティードです」
「レオナルド様?大事なことが抜けていますよ?」
「うっ、分かりました・・・実は僕、女神の使徒なんです」
「「「「「はあっ!?」」」」」
城門前に集まった人たちに、僕が女神の使徒であることを説明したけど、信じてもらえませんでしたよ。
だって、女神の使徒はすでにこの城にいるからね。
偽物だけど。
それどころか、僕のことを女神の使徒を語る偽物だ、と言われてしまいましたよ。
いや、偽物はピエナスだからね?
けど、そんな疑惑は、セシリアが説明したらあっさり晴れましたよ。
何、この差?
これがぽっと出の僕と、聖女として顔を知られているセシリアとの、信頼の差かな?
まあ、しょうがないか?
その後、セシリアとチェスカさんから、ダストレア大樹海で僕と出会ってから今までの話しをざっくり説明され、気付いたら全員が僕を認めてくれていました。
「それで、女神の使徒を語るピエナスは、今どこにいるのですか?」
「今はきっと、謁見の間か教皇様の執務室にいると思います」
「すでに教皇気取りですか。では、お父様とお母様、お兄様達はどこに?」
「猊下たちは、離れにある尖塔に幽閉されておられます」
「そうですか。では、レオナルド様。先にお父様達を救出してから、ピエナスの所に向かう、という事でよろしいですか?」
「それでもいいけど、ここは別行動とかどうかな?僕が1人でピエナスの所に行くから、2人は教皇様達の救出に行く、っていうのはどうかな?」
「え?どうしてですか?」
どうしよう、困った。
ちゃんとした理由はあるんだけど、ちょっと言いにくい。
特にセシリアの前では、出来れば言いたくない。
適当に、それらしい理由を付けて、誤魔化すことにしますか。
「単純な話しで、ピエナスは聖騎士長や団長達を相手にしても、余裕で勝っているんだよね?偽物とはいえ、女神の使徒を名乗り、これだけの規模の手下や魔物を動かしていたことを考えると、相当な実力者だと分かります。万が一に備えて、僕だけで行った方が安全だと思うんですよ。何かあっても、僕1人ならいくらでも対処できるからね」
「つまり、私は足手まといだと?」
「ハッキリ言ってしまうと、そうだね。セシリアは人間としてはかなり強いけど、世の中にはもっと強い人や魔物は、たくさんいるからね。安全を考えて、僕だけで行きたいんだ。それに、久しぶりに家族に会うんでしょ?ゆっくり話をしてきなよ。その間に、僕の方で終わらせておくからさ」
「・・・・分かりました。レオナルド様がそう仰るのなら、ピエナスのことはお任せいたします。それでは、私達はお父様達が幽閉されている尖塔へ向かいましょう。いいですか、チェスカ?」
「はい、セシリア様」
「では、ここからは別行動で・・・」
「あ、あの!ちょっとよろしいでしょうか?」
ここで二手に分かれようという時に、さっきチェスカさんと話していた門番さんが、割って入って来ましたよ。
何でしょうか?
「ええ、何でしょうか?」
あ、セシリアが対応してくれるみたいですね?
「教皇様達が幽閉されている塔の周りには、ピエナスの近衛とも呼ぶべき聖騎士が何人もいます。さらに上空にも魔物が飛んでいるのです!そんな危険な場所に、これだけの人数で行くのは危険すぎます!」
「ああ、それは大丈夫ですよ。ね?セシリア?」
「そうですね。ここに来るまでに聖騎士を語る賊達を見ましたが、あの程度でしたら、チェスカ1人でも大丈夫そうですね。もし危ないようでしたら、私も戦いますのから大丈夫ですよ」
「だ、そうです。それでは時間がもったいないので、僕はピエナスを懲らしめに行ってくるね」
「ええ、お気をつけて」
そんな僕らのやり取りを、声をかけて来た門番さんだけでなく、この場に集まった全員が聞き、そして理解することが出来なかった。
彼らは全員、こう思っていることでしょう。
「何が大丈夫なのか、さっぱり分からないんですけど!?」
そんな彼らを無視して、僕は城の中に突入した。




