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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第3章 セレストメディエル聖教国編
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第83話 セレスハート到着

 セレスハートの北側の外壁で見張りをしていた、偽物の女神の使徒に従って付いて来た騎士は、街道から大量の土煙が上がっているのに気づいた。

 その土煙はとても大きく、物凄い速さでセレスハート、つまり自分のいる所に向かって迫っている。

 あのスピードと土煙の大きさは、もしかして魔物の群れか!?

 そう思って『望遠(テレスコープ)』を発動させ、近くに控えていた仲間に、緊急連絡を要請した。

 この騎士は、騎士と言う扱いとしてこの場にいるが、元はただの冒険者だ。

 女神の使徒が現れたと聞き、その場に馳せ参じ、女神の使徒の一団に加わっただけで騎士に叙勲されたのだ。

 もちろん、叙勲したのは自称女神の使徒だ。

 この男の狙いはもちろん、女神の使徒に付いて甘い汁を吸う事。

 今は狙い通り、女神の使徒の騎士として、この街で好き放題をやっている。

 そして、それは女神の使徒の騎士として当然の権利であり、その横暴さに微塵も疑問を感じていない、ただのクズ野郎だったりする。

 そんなクズ騎士がここの見張りをしている理由は、単純に『望遠(テレスコープ)』の魔法を使えるからだ。

 その『望遠(テレスコープ)』を使って確認していた騎士は、ついにその姿を捕らえることが出来、そして驚愕した。

 それは魔物ではなく、馬車だった。

 馬車だけではなく、その後ろには騎馬や歩兵が続いている。

 その数は推定5000で、明らかに敵の侵攻だと分かる。

 だが、コイツが驚愕したのはそのことではない。

 全員の行軍速度が、異常に速いのだ。

 見る限り、走っている馬は全力を出している。

 それは、その走り方を見れば分かる。

 だが、それに続く歩兵たちが、その全力疾走している馬に、離されることなく平然と続いているのだ。

 しかも、明らかに一般人と思られる格好をした者まで、同じく続いて来ている。

 余りにも不可解な現象に、クズは混乱していた。


「何を呆けてるんだテメェは!総員、直ちに迎撃の準備にかかれ!」

「「「「はっ」」」」


 緊急連絡を受けて駆け付けた、この北側の警備責任者が、すぐに迎撃準備の指示を出す。

 この責任者も、女神の使徒の下に馳せ参じたことにより、騎士としての地位を与えられた男だ。

 この男、見た目がどこかの山賊や盗賊のお頭だと言われれば、10人中10人が納得してしまう、そんな風貌をしており、事実その通りだったりする。

 その指揮能力の高さを買われ、ここの警備責任者を任されている。

 もちろん、敬虔な女神教の信徒と言う訳ではなく、コイツも甘い汁を吸いたいだけのクソ野郎だ。

 仕事が終われば、セレスハートの街で好き放題をしている。

 そんな男でも、目の前で慌てているだけの騎士よりは冷静で、元盗賊のお頭らしく、状況把握を始める。


「で、あれは何だ?魔物の群れか?」


 ここからではまだ距離があり、肉眼ではその姿を捉えることが出来ず、『望遠(テレスコープ)』を使えるクズに尋ねた。


「違う!あ、あれは、敵だ!けど、ありえねぇ!?何なんだあれは!?」

「いいから、あれが何なのか説明しやがれ!見たまんまでいいから、教えろ!」

「あ、すんません・・・あれは・・・」


 クズの説明を受けた責任者の男も、その報告のバカバカしさに呆れてしまったが、コイツがここで、そんな無意味な報告をする意味がないと悟り、事実だと受け止める。

 何とか迎撃しようと準備し、外壁の上に100人程度が集まった頃、肉眼でも確認できる距離までその集団が近付いて来た。

 その集団を肉眼で捉えて、警備責任者の元お頭は、受けた報告が事実であったことを理解した。

 先頭は馬車で、その後ろに騎兵と歩兵が続いている。

 そして、余りに現実味の無い事ではあったが、その全てがあり得ないほどのスピードで迫って来ていたのだ。

 先頭を走る場所の上には、小さな人影が見える。

 あれは子供か?

 とか思っていたら、突然その子供が馬車から飛び降り、こちらに向かって駆け出して来た。

 そのスピードは後続の倍以上であり、それを見た警備責任者の元お頭は直感した。

 コイツはヤバい!と。


「おい、アイツだ!こっちに向かって来ているガキを狙って攻撃しろ!加減なんかするんじゃねぇぞ!確実に殺すつもりで撃て!アイツはヤベェッ!絶対に殺せ!」


 迎撃の為に外壁に集まっていた警備兵たちが、なぜ警備責任者のこの男がここまで焦っているのか理解できず、しかし、命令である以上は従い、単身でここに向かって来ている子供に向け、魔法や矢を放った。



「さて、そろそろセレスハートが見えてきたね」

「うん。やっと帰って来れたよ・・・」

「いや、ここに来るのが遅れたのは、単純にお前達が目的を忘れて修行していただけじゃ・・・何でもないです・・・」


 感慨に耽っているセシリアに対し、至極まっとうなツッコみをしたら、睨まれてしまいました。

 目がこう語っています。

 感傷に浸っているんだから、邪魔しないでくれる?と。

 でも、もうそろそろ到着しちゃうから、行動に移らないといけないんだよね~?


「じゃあ、この後の行動だけど、いい?」

「もうちょっと空気読んでくれないかな!?今は私が涙を流して、奪われた故郷と家族、そして国民の皆を思い、心を痛めるシーンだと思うんですけど!?」

「そんなのは後にしてくれない!?これから戦いが始まるから、それに備えなくちゃいけないんですけど!?」

「それは分かっているけどね!?でもさ、こういう雰囲気って大事でしょ!?これから戦う戦士たちの為に、祈りを捧げる聖女って、何か絵になると思わない!?」

「知~る~か~っ!僕達はこのレジスタンスの皆を、誰一人失わないように戦うんだよ!そのためには、やることがいくつもあるの!お前のそのよく分からない美学は、今は無視するからね!」

「ちょっと!それが赤ちゃんの頃からの付き合いの幼馴染に言う事!?分かってるのレオ君?こんなシチュエーション、これからの人生で2度と起きないかもしれないんだよ?それなのに、それなのに・・・・レオ君は本当に何も分かってないんだから!」


 頭が痛くなってきましたよ・・・・

 コイツ、こんな性格だったっけ?

 前世では、もっとしおらしかったような気がするんだけど・・・・

 いや、それを言ったら僕もそうだよね?

 前世の僕は、こんな話し方なんかしていなかったし、こんな性格ではなかったからね。

 転生した影響と生まれた環境で、少し変わってしまったみたいだ。

 ならば、それを受け入れるべきだね。

 この、良く分からない事を喚いているのが、前世で僕が愛した女性だと。

 その後もしばらく言い争っていると、セレスハートの外壁が見えて来てしまった。


「あーっ!レオ君が余計なことばっかり言うから、もう着いちゃったじゃない!どうするのよ!?」

「ごめん・・・じゃなくて!僕はこれからあの閉まっている門を開けに行くから、セシリアはこのまま馬車にいてね。それじゃ!」

「ちょっと!?」


 まだ喚いているセシリアを無視して、馬車の上に登る。

 そして、『空間支配』を使い、後ろに続いてくれている全員に声を届ける。


「皆さん、もう僕達の目的地であるセレスハートは目の前です。ですが、街への門は閉ざされ、外壁の上には警備兵達が迎撃の準備をしています。僕はこれから1人で先行し、障害となる敵を無力化し、門を開けてきます。皆さんはそのまま、真っすぐ走ってきてください。皆さんが進む道は、僕が切り開きます!」

「「「「「レッオナルドっ!レッオナルドっ!レッオナルドっ!」」」」」


 またレオナルドコールが始まった!?

 この人たち、全力疾走しているはずなのに、結構余裕ありますね!?

 いやまあ、その原因は『女神の行進(マーチオブゴッデス)』なんて名付けた、僕によるバフなんですけどね?

 あ、そうだ。


「それと、皆さんにお願いが2つあります。1つは、いくら敵でも、出来る限り人を殺めないでください!僕達が倒すべき相手は、偽の女神の使徒ただ1人です!それともう1つは、絶対に誰も死なないでください!全員生きて、また会いましょう!いいですね!?」

「「「「「オオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!」」」」」

「それでは、行きます!」


 皆に伝えたいことは伝えたので、僕は馬車から飛び降り、1人、警備兵に守られた外壁へと向かう。



 たった1人で向かって来た僕に対し、壁の上から魔法や矢が雨のように降って来る。

 と、思っていたのですが、降って来たのは100発程度でした。

 この程度の攻撃、5000人からなる敵の侵攻に対しては、余りにも規模が小さすぎる。

 舐められているのか、それとも僕らの行軍速度が速すぎて、対応が追い付かなったのか?

 まあ、どうでもいいですね。

 僕は異空間収納から魔導銃を取り出し、ちょっと使用するMPをいつもより多めにして、撃った。

 その魔導銃から放たれたのは、直径2mのビーム。

 それを降って来る魔法や矢に向かって、横に薙ぐようにして撃つ。

 それだけで、外壁の上から放たれた攻撃は全て消え去り、魔導銃から放たれたビームは、警備兵の近くを通り抜けていった。

 敵兵に当たらないように注意したため、誰にも当たっていないけど、その威力を見た殆どの敵が、その場に座り込んでしまいました。

 腰が抜けたのかな?

 そのまま外壁の手前50mまで近付いた僕は、そこからジャンプして、外壁の上に降り立った。

 そこには約100名の兵士と、ここに向かって来ている兵士がいた。

 僕に攻撃してきた警備兵達は、その殆どが戦意を喪失していて、動こうとしなかった。

 けど、見た目山賊の、ちょっと立派な鎧を来た騎士かな?だけは、僕にビビりながらも斬りかかってきた。

 たぶんコイツは、偽の女神の使徒が連れて来た騎士の1人だろうね。

 レジスタンスが集めてくれた情報だと、結構な数のならず者が偽物に従い、騎士として叙勲されているらしい。

 そもそも、偽物に騎士を叙勲する権利なんかないんだけど、女神の使徒を名乗っているため、さらに桁外れに強いので、誰も異を唱えることが出来ないそうです。

 ようく見ると、この場にいる全員と、ここに向かっている全員が、そんな感じの連中でしたよ。

 それならば、僕がやることはただ1つ。

 刀を振るい、一瞬にして全員の足の腱を斬って動けなくして、ついでに『影縫い(シャドウバインド)』で完全に動きを封じる。

 あ、僕に斬りかかって来た山賊顔の騎士には、ついクセで両腕を斬り飛ばしてしまいました。

 スティード領と王都エスカフィールを往復している時、盗賊&山賊狩りをしていた時のクセが染みついているようで、こういう輩を見かけると、つい、やりすぎてしまうようです。

 取りあえず傷口だけ塞いで、『影縫い(シャドウバインド)』で拘束しておきます。

 これで、万が一にもコイツ等が動くことは無いでしょう。

 コイツ等には、セレスハートを開放した後に、今までのツケをしっかり払ってもらいます!

 外壁上を一瞬で制圧した僕は、そのまま門の内側まで移動する。

 普通は兵が配置されているはずなんだけど、全員上に上がってきちゃったのかな?

 誰もいませんでしたよ。

 なので、そのまま閂を外し、門を開けました。

 結構な重量があるみたいで、本来なら門専用の開閉装置を使うようですが、僕のSTRには関係のない事なので、手で押しただけで簡単に開きましたよ。

 その1分後、レジスタンスの皆が追い付いて門を潜ったので、そのまま僕が先頭を走って、セレスハートの街を駆ける。

 さあ、偽物の女神の使徒は、どんな奴かな?

遂にPVが10万を突破しました!

いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。

私の作品を読んだ後に、評価をしてくださっている皆様、ありがとうございます。

100話までは毎日投稿を目標に執筆しておりますので、これからもお付き合いくださると、とても嬉しいです。

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