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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第3章 セレストメディエル聖教国編
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第82話 女神の行進

 今の時刻は早朝。

 僕達はレジスタンスを従えてセレスユカティスの街を出て、セレスハートを目指して出発しました。

 先頭は僕とセシリアとチェスカさんが乗った馬車で、その後ろには、レジスタンスのリーダーであるヴァンドさんを先頭に、全てのレジスタンスが続いている。

 戦闘要員だけでなく、非戦闘員やセレスユカティスの住人も続いてくれて、その数は5000名を超えている。

 彼らは分かっている。

 自分達では、僕達3人の足手まといにしかならない事を。

 彼らは分かっている。

 自分達が何もしなくても、僕達が、いや、僕だけでもこの戦いに勝利できることを。

 それでも彼らは着いて来た。

 セレスハートを、偽物の女神の使徒の手から開放するために。

 恐怖で怯えている、同じセレストメディエル聖教国の国民を、女神教の教徒を救うために。

 そして、本物の女神の使徒と共に戦う為に。

 全員、この戦いで死ぬ覚悟が出来ているようです。

 けど、僕がみすみすそんなことをさせる訳が無いでしょう?

 全員守って見せますよ!

 女神の使徒として、僕について来てくれた、この人たちを、絶対に!



 少し時は遡り、セレスユカティスの中央広場でレジスタンスの全員が集まった時の事。

 中央には、僕とセシリアとチェスカさん、それと、レジスタンスのリーダーであるヴァンドさんと参謀のヘックスさんが立っている。

 その周りを囲むように、レジスタンスの人達が集まっている。

 何でこうなった?


「さあ、野郎ども!今こそクソッたれな偽物野郎から、セレスハートを取り返す時だ!この戦い、絶対に勝つぞ!」

「「「「「おおおおおおおおっ!」」」」」


 ヴァンドさんの檄により、集まったレジスタンスから雄叫びが上がる。

 何だろう、これ?

 強面のヴァンドさんのせいかもしれないけど、集まったレジスタンスの人達の装備が、統一性のないバラバラなせいかもしれないけど、どう見ても野盗の集会にしか見えないのは、僕の気のせいでしょうか?


「では、レオナルド様。みんなに一言お願いしやす」

「え、僕ですか?」

「ここは女神の使徒様として、ビシッと決めてください!」


 そんなことを急に言われてもですね?

 う~ん・・・・なんて言おうかな?

 いや、そもそも、ここには僕が女神の使徒だって知らない人が、結構いるんだよね~。

 参加しているレジスタンスの人から、あの子供は何?的な視線を感じていますよ。

 流石にセシリアは聖女であり、教皇の娘でもあるせいで顔が広く知られていた為、無事を喜ぶ声がそこら中から聞こえてきます。

 さて、どうしようか・・・よし、決めた!

 僕はおもむろに異空間収納から女神像を取り出し、広場の中央に置いた。

 その女神像は、調子に乗って無駄にデカく作ってしまった物で、使い道が全くなくて死蔵していた代物です。

 もちろん、大理石から僕が気合を入れて作った力作なので、出来は素晴らしいですよ。

 ただ、大きさが6mもあるんですよね~・・・

 平時は邪魔でしかないこの巨大女神像も、このような時にはインパクト絶大の女神像に早変わり!

 ここに集まっている全員が、その見事な出来栄えと巨大さに驚いてくれています。

 中には、涙を流して祈りを捧げている人までいますよ・・・

 僕がいきなり取り出した女神像に殆どの人が驚いている中、僕はそれらを無視し、女神像に祈りを捧げることにしました。

 そして、意識だけが飛ばされ、いつもの女神の間へと行く。



「やあ、レオナルド。遂にセレスハートにいる偽物を倒しに行くんだね?」

「ええ、そうです。それでは僕はこれで失礼します」

「え?ちょ、待ちなさい!」

「はい?」

「はい?じゃなくて、え?何でもう帰っちゃうの?」

「特に用が無いからです」

「じゃあ、何でここに来たのさ!?」

「来たくて来たわけではないですよ?単に、集まった人々に僕が女神の使徒だって分かってもらうには、女神像に祈って、体が金色に光るのが1番手っ取り早いと思ったので、実行しただけですよ?」

「そんな理由なの!?折角来たんだから、ちょっと話しをしようよ!?」


 相変わらず、寂しがり屋な女神様ですね。

 こっちは今すぐにでもセレスハートに乗り込んで、偽物をぶっ飛ばしたいというのに・・・

 でも、ここで拗ねられてしまっては後々面倒になりそうだから、しょうがない、少し相手をして行きましょう。


「分かりましたよ。それで、何を話しましょうか?」

「え?ん~そうだね~・・・・あ、その服変わってるね?もしかして、地球の服?」


 おい、この女神様、何も考えていないのか!?

 あ、って何ですか!?

 いや、この女神様がポンコツなのは、前から知っていたのだから、こちらが大人の対応をすればいいんだ。


「ええ、そうですよ。以前、セシリアに提案されて作ってみたんですよ」

「やっぱりね~。何て言うの、その服?」

「これは、着物と袴、それと羽織ですね。昔、僕のいた日本では、この刀を差していた侍と呼ばれた人達がしていた恰好です」


 そう、僕は今、サムライの格好をしています。

 あ、服だけで、髪型はいつも通りですよ?

 着物は黒で、袴は灰色。

 そして羽織は青色で、背中には金色で刺繍されたスティード家の家紋が描かれています。

 当然この服も魔導具であり、各種ステータスを1/10~1/10000まで調整することが可能です。

 あ、材質はまたしてもオリハルコンです。

 オリハルコンは、その錬成の過程で手を加えれば、色々と変化させることが出来る優れものの金属です。

 例えば、錬成次第では硬度は少し落ちてしまうけど、絹のような滑らかさと肌触りの不思議金属にすることもできます。

 硬度が落ちるとは言っても、それでも、そこいらの金属とは比べ物にならないほど丈夫ですよ。

 セシリアのローブも、僕のこの着物も、オリハルコンをそのように錬成して拵えてあります。

 ちなみにこの錬成は、通常のオリハルコンを錬成するよりも難易度が高いため、このことを知っている人は殆どいません。

 知っている、と言うよりも、眉唾物として語られている程度ですね。

 だって、オリハルコンを錬成できる人がいないから、証明のしようが無いんですよね。


「ふ~ん。それじゃあ、それがレオナルドの戦装束になるの?」

「ええ、そのつもりで作りました」

「でも、それって、キミのステータスを抑制しているんだよね?」

「当り前じゃないですか。僕が素のステータスのままだったら、日常生活なんて出来ないですよ」

「装備を付けている時よりも、外している時の方が強いだなんて、キミ、相変わらず非常識だよね?」

「一応、僕の全力にも耐えられる武器もあるんですけど、見ます?」

「え・・・?あるの?」

「はい。先日、この刀と一緒に作りました。いや~、軽く振るっただけで、20km先まで斬れてしまいましたよ」

「レオナルド?分かっているとは思うけどさ?その武器、よっぽどのことにならない限りは、絶対に使わないでよ?」

「ええ、もちろんです。正直、自分でもヤバいと思いましたからね」


 その後、セレス様に、セレスハートにいるのが偽物で間違いないかという最終確認と、偽物の正体について質問しました。

 偽物であることは間違いないけど、その正体まではまだ分からないそうで、仕方がないので自分で直接見て、調べることにします。

 もしかしたら、魔族の可能性もあるそうですよ。

 少し雑談もしてから、僕は女神の間から去りました。



 僕の意識が体に戻り、目を開けると、そこにはレジスタンスの全員が、いや、それだけでなく周りで見ていたセレスユカティスの住民全員が、女神像に向かって跪いていた。

 そんなに、この女神像が気に入ってくれたんですね?

 では、これはこのままこの街に寄贈しましょう。

 どうせ僕がいつまでも持っていても、邪魔なだけですしね。

 それはともかく、いつまでも皆がこの状態では、セレスハートに出発できないので、一番近くにいたヴァンドさんに声をかけますか。


「あの、ヴァンドさん。そろそろ立ち上がって、セレスハートに行きませんか?」

「はっ!よし野郎ども!全員立ち上がれ!これからセレスハートにいる偽物を倒し、セレスハートを開放しに行くぞ!」

「「「「「オオオオォォォォォッ!」」」」」


 とんでもない大音声が返ってきましたよ。

 皆、やる気が充分ですね?


「野郎ども!今のを見たな!?俺達には、本物の女神の使徒である、レオナルド様が付いている!レオナルド様がいる以上、俺達に負けはねぇ!野郎ども、正義は俺達にある!いいか!もう一度言うぞ!俺達には、本物の女神の使徒、レオナルド様が付いているぞぉっ!」

「「「「「レオナルドっ!レオナルドっ!レオナルドっ!」」」」」


 何これ!?レオナルドコールが始まったんですけど!?

 これ、すっごい恥ずかしいんですけど!?


「「「「「レオナルドっ!レオナルドっ!レオナルドっ!」」」」」


 まだ続いているし・・・・

 ん?ヴァンドさんが、こっちをじっと見つめている?

 セシリアも、チェスカさんもだぞ?何だろう?

 え?もしかして、皆僕が更に何か言うのを待っているとか?

 勘弁してくださいよ・・・・これ以上何を言えと?

 ああ、もう面倒だ!


「それでは、総員、セレスハートに向けて、進軍せよ!」

「「「「「オオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!」」」」」


 僕が早くこの空気を換えたくて言い放った言葉に、この場にいた全員が、今までで一番ではないかと言うほどの大音量で応え、そして進軍を開始した。



「ねえ、セシリア?さっきのあのレオナルドコール、何?」


 僕とセシリアは今、馬車の中にいる。

 もちろん、僕が作った、あの魔改造した馬車です。

 御者はチェスカさんがしてくれているので、今はセシリアと2人きりです。


「ああ、あれはね、レオ君が女神の使徒の証拠である、金色の光りに包まれたの見た皆が、興奮しちゃったからだよ」

「え?たったそれでけのことで!?」

「それだけって、レオ君、何を言っているのかな?女神の使徒様は、女神セレス様の代行者だよ?歴史上、最後に現れたのは6000年前だよ?そんな女神の使徒様が目の前に現れたら、女神教の信者である彼らにとって、それがどれほどの衝撃だったと思っているの?」

「え~っと、つまり、僕が女神像に祈りを捧げた結果、誰もが僕を本物の女神の使徒だと認識し、それでテンションが上がりに上がってしまった結果、という事かな?」

「うん、そういう事だね。それに皆の表情が・・・ 」


 セシリアが後ろを振り返る。

 この馬車は、僕が魔改造した結果の1つとして、馬車の中なのに周りを見ることが出来てしまう。

 外からだと、しっかり外装があって中が見えないけど、中からは全面ガラス張りみたいに、360度全てを見渡せる。

 ついでに望遠機能も付いているので、意識するだけで遠くを見ることも出来てしまう優れものです。

 そして、この馬車の後ろに何が見えるかと言うと、レジスタンスの皆が、全力疾走でこの馬車に付いてきている姿が見えます。

 もちろん馬に騎乗している人もたくさんいるのですが、自らの足で走っている人の方が多くいます。

 そしてこの馬車は、普通の馬車の3倍のスピードが出る。

 どうして彼らがこの馬車に付いて来れているかと言うと、それは僕が『空間支配』で彼らを引っ張りつつ、全員の疲労を回復させているからです。

 レジスタンスの皆には、女神の使徒である僕の力で一切疲れることなく、今まで以上の力を出すことが出来る、と伝えてあります。

 それだけだと格好がつかないので、『女神の行進(マーチオブゴッデス)』なんて、それらしい名前を付けておきました。

 これは、女神の使徒である僕が同志と認めた者に女神の祝福を与える、という、女神の使徒の中でも僕だけに使える特殊能力だと説明してあります。

 はい、もちろんウソです。

 女神の使徒に、そんな特殊能力ありません。

 でも、その効果は本当です。

 彼らは一切疲れることなく、明らかに今までよりも早く走っていることに気付き、女神の使徒様の奇跡だと思っています。

 その表情は、もう、なんて言いましょうか、狂信者のそれに近くなっている気がしますよ・・・


「レオ君、洗脳とかしちゃだめだよ?」

「そんなことしてないし、今後もしたくないからね!?」

誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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