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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第3章 セレストメディエル聖教国編
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第80話 情報交換

 30分後、やっと落ち着きを取り戻したレジスタンスの皆さんは、今は僕達にこのレジスタンスの説明をしてくれている。


「と、言う訳で、このヴァンドさんをリーダーとして、我々は仲間を集め、セレスハートに攻め入る準備をしていたのです」


 説明してくれたのは、さっきスティード家の事を知っていた、見た目が戦士のヘックスさん。

 予想外に、このレジスタンスの参謀を務める魔術師でした。

 見た目は大柄で筋肉質な男性なので、絶対に戦士系だと思ってのですが、人は見かけによらないですね。

 物腰も柔らかく、知識も豊富です。

 しばらく後に聞いた話では、その恵まれた肉体のため、体を鍛えて聖騎士になることを嘱望されていたそうですが、ヘックスさんは魔法の方が好きだったようで、体を鍛える傍らで魔法を勉強し、いつの間にかこんな見た目の魔術師になっていたそうです。


「ここに集まっている皆は、あの偽物に不信感を持ち、セレスハートにいる家族、友人、仲間を助けたい、捕らわれている教皇様を救い出したい、そう思っている人達です。今この場にいるのは戦闘員ばかりですが、外にはまだまだ多くの同志や、戦う力は持っていなくても私達をサポートしてくれる一般の方も多数いますよ。今はこのセレスユカティスに、戦闘要員だけでも1000名以上集まっているのです」

「そうなんですね。でも、こんなセレスハートから近い場所で集まって、大丈夫なんですか?偽物が連れて来た騎士達が巡回に来たりしたら、すぐにバレてしまうのでは?」


 普通、反乱分子がここまで集まれば、相手がよっぽど無能でない限りは、すぐにその存在に気付くだろう。

 しかもここは、セレスハートから最も近い街なのだ。

 当然、監視の目も厳しいはず。


「それは大丈夫です。こちらも細心の注意を払っていますし、何より、何故か奴らは、セレスハートから出てこようとしない為、簡単に事を運ぶことが出来ているのです」

「出てこないのですか?セレスハートから?」

「はい。セレスハートを監視させている同志からの報告ですと、セレスハートが制圧されてからは、中に入って行く者はいても、外に出てくる者は極端に少ないそうです。最近では、物資を運んでいる商人以外は出入りすらしていない状態だとか」

「さずがに、監視で何人かは送り込まれているのではないですか?」

「ええ、その可能性があったため、こちらも徹底して怪しそうな者をマークしていたのですが、結局何もありませんでしたよ。せいぜいが、セシリア様を捕まえた者には、莫大な賞金を出す、と言った伝令を送って来ただけですね」

「そんなバカな・・・」


 どういう事だろう?

 偽物の女神の使徒がやっていることは、明らかな侵略行為ではないのだろうか?

 その国のトップを拘束し、実権を自分が握り、街は自分の部下が好き勝手している。

 このような光景は、遥か昔、戦乱の時代の地球でも見られた光景であり、この世界においても当たり前のことでもある。

 程度の差はあれ。敗戦国とは、戦勝国に何かしら奪われてしまうことがあるのは、歴史が物語っている事実です。

 それは、抗う力が無いからです。

 しかし今回の場合は、ちょっと特殊なんですよね。

 確かに首都セレスハートを守護していた聖騎士達は、偽物の女神の使徒と戦い、そして敗れた。

 その力を見た教皇は即座に戦う事を放棄し、降伏したため、人的被害は最小限に抑えられたと言えるでしょう。

 そう、最小限に。

 つまり、このセレストメディエル聖教国内には、まだまだ戦力が残っているのです。

 そして、セレスハート内で好き放題やっている連中の事を知れば、愛国心溢れる国民が、特にこの国は女神教の信者が集まっているため、その非道を許せない信者たちが決起するであろうことは想像に難くない。

 確かに先日、セレスハートに残っていた聖騎士達が立ち上がってそうですが、すでに制圧されているとはいえ、それで諦めるとは思えない。

 僕だったら、各地に監視を送り出し、些細な情報でも集めて、反乱分子を徹底的に潰しますね。

 いや、もし僕が侵略者の立場だったらですよ?ただの例えですからね?

 そんな侵略とか、人に恨まれそうなことはしませんよ?

 それなのに、何もしていないなんて・・・・

 考えられることは2つ。

 1つは、偽物の女神の使徒は、反乱分子がいくら集まった所で、自分が負けることは無いと思えるほどの実力者か。

 現に、セレスハートにいた聖騎士長を始めとした、聖騎士トップの実力者を相手に、圧倒的な強さで制圧した、という情報もあるし、その配下もなかなかの手練れらしいからね。

 それ故、好きなだけかかって来い、という事なのかもしれないですね。

 もう1つは、何も考えていない説。

 未だにその目的が分かっていないけど、取りあえずセレストメディエル聖教国を制圧して、それで満足してしまっているかもしれない。

 セシリアを生け捕りにしようとしていることを考えると、きっと目的があるのだろうけど、その目的を達成すること以外はどうでもいいと考えているのかもしれませんね。


「そのおかげで、こうして私達も戦力を集めることが出来たのですよ。それにしても、ああ、今日はなんて素晴らしい日なのだろうか?行方不明だった聖女様が戻られ、しかもご一緒にいらっしゃるは本物の女神の使徒様とは!これこそ女神セレス様のお導きです!」


 その後も話は続き、ここに集まっているのは冒険者や傭兵、任務でセレスハートを離れていた聖騎士もいるという事、そんな人達を、名の通った冒険者であるヴァンドさんがリーダーとなってまとめ、レジスタンスを組織したことを教えられました。



「さて、それじゃあ、今度はそちらの話しをしてもらっても良いですかい?」


 ヘックスさんからの説明が一通り終わったのを見計らい、それまで黙っていたレジスタンスのリーダーであるヴァンドさんが口を開いた。

 そりゃそうですよね~。

 いくらこちらが聖女と女神の使徒だからって、説明くらいはしてもらいたいですよね~。


「では、まずは私から説明いたします」


 そう言ってセシリアが説明を始める。

 偽物の女神の使徒がセレスハートに近付いた時、女神セレス様からの神託を受け、北に逃げたこと。

 それを父親である教皇に伝えた所、自分は教皇としてこの場に残ると言い、目立たないように数名の護衛を付け、自分だけ逃がしてくれたこと。

 その後、自分とその護衛達に賞金が懸けられ、追手に追われ、チェスカ以外の護衛は全員殺されてしまったこと。

 馬車を失い、それでも北に逃げ続け、ダストレア大樹海の中まで踏み入ったこと。

 そして、ついに大勢の追手に追い詰められてしまった時、ダストレア大樹海の奥から現れたレオナルドによって救われたことを話した。


「おお、そうでしたか。その道中は、さぞお辛かったことでしょう・・・」

「ええ。ですが、私が受けた神託は、北に逃げれば必ず私を助けてくれる方に会える、と言う内容でした。そして、私はこのレオナルド様にお会いしたのです」


 何だろう?いつものセシリアの話し方と違うから、違和感しか感じないですよ?

 しかもレオナルド様って、コイツに言われると、何かこう、背中がかゆくなると言いますか、変な感じです。

 まあ今は、聖女セシリアとして話しているから、仕方がないんでしょうけどね?


「このレオナルド様は、私達を囲んでいた無法者を一瞬で全滅させてしまったのです」

「一瞬で、ですかい?いや、女神の使徒様ならあり得ない話しではない、か?しかし、こいつ、じゃなった、レオナルド様が女神の使徒様だって知らなかったら、こんな話し、信じられませんよ」

「ええ、私達もこの目で見ても信じられませんでした。ですが、事実です。さらにレオナルド様は、超級の魔物をたった1人であっさりと倒してしまえるほどの力をお持ちです」

「なっ!?超級の魔物をですかい!?」

「あ~、ここからは僕が説明しますね?」


 僕が女神セレス様の依頼で、ダストレア大樹海の調査をしていたことにして、たまたま樹海の最南端近くにいたこと。

 そこでセレス様から連絡があり、急いでセシリアとチェスカさんを見つけ出し、保護したこと。

 僕がダストレア大樹海の調査をしているということを、チェスカさんが全く信じないため、デモンストレーションとして超級の魔物を2体倒したことを伝えました。


「なるほど、大体理解できました。ですが、お2人が合流してからやけに時間が経っていますが、今までは何をされていたのですか?」

「ええ、それはですね・・・」

「私達2人を、レオナルド様に鍛えてもらっていたのです!」


 それまでずっと、それこそ僕が街での聞き込みを開始してから今まで、ずっと黙っていたチェスカさんが、勢いよく答えた。

 ずっとしゃべりたかったんですね?


「私とセシリア様には、偽物の女神の使徒に討たれた仲間の仇を討つという目的があり、その為に圧倒的な力を持つレオナルド様に鍛えてもらっていたのです」

「ほう、それで?嬢ちゃんはどの程度強くなったんだ?俺達の足を引っ張らない程度には強くなったか?ん?」


 所詮騎士見習いの小娘が、大したことはないだろう、とでも思ったようですね。

 ヴァンドさんが、明らかに見下したように尋ねてきましたよ。


「それは・・・」

「安心してください。チェスカ1人でここにいる全員くらいなら、問題なく倒せるくらいには強くしてもらいましたよ」


 おっと、セシリアさん。

 笑顔に怒りマークを浮かべながら、答えようとしたチェスカさんに割り込んできましたよ。

 よっぽど、今のヴァンドさんの言い方が気に入らなかったのでしょうね。

 僕も正直、今のにはイラッとしたからね。


「それはいくら何でも、大袈裟じゃあないですかい?こんな小娘にやられるほど、俺達は弱くないですぜ?」


 ヴァンドさんに呼応してか、この場にいる殆どの人が武器を取り、いつでも戦えるように構えだす。

 あ~、うん、明らかに小娘然としたチェスカさんよりも弱いと言われたら、気持ちは分からないでもないけどさ?


「ならば試してみますか?いいですか、チェスカ?」

「はい、セシリア様。問題ありません」

「だ、そうですよ?どうしますか?」

「いいでしょう。やってやろうじゃないですか!」


 ここに、レジスタンスの戦闘要員約100名対チェスカさんの戦いが始まった。

 あ、チェスカさんには、切れ味0だけど、とにかく頑丈な剣を渡してあります。

 だって、いつもの剣で戦ったら、確実に人が死んでしまうからね。



 今チェスカさんの前には、各々が得意な獲物を構えた100名のレジスタンスがいる。

 剣や槍、弓矢に投げナイフを持っている者もいるし、魔術師も何人もいる。

 そんな彼らに対し、チェスカさんは自然体で剣を持っている。

 ダストレア大樹海にいた魔物達と比べて、感じる圧が劣っているせいでしょうね。


「おう嬢ちゃん。こっちの方が人数が多いからな、先手は譲ってやるよ。好きな時に仕掛けてこいや」

「そうですか?では、お言葉に甘えて」


 次の瞬間、ヴァンドさんは、いや、チェスカさんを見ていたレジスタンスのほとんどが、その姿を見失った。

 そして・・・


「バカな・・・ありえねぇ・・・」


 10分後には、レジスタンスの全員が床に倒れていました。

誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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