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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第3章 セレストメディエル聖教国編
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第78話 情報収集

 セレストメディエル聖教国に入り、1日が経過しました。

 今、僕達3人は、首都セレスハートから近い街、セレスユカティスにいます。

 ここからセレスハートまで、馬車でも半日かからず到着できる程度の距離で、僕の魔導馬車なら2時間程度で辿り着くことが出来ますね。

 それにしてもこの国、女神教の総本山だけあって、女神セレス様の名を冠した街がいくつもある。

 国境近くの街は普通の名前が多いのだけど、首都を含む国の中心付近は、セレス○○と言った名称の街が殆どです。

 で、今はなぜこのセレスユカティスにいるのかと言うと、セシリアがセレスハートに着く前に、1度で良いから街の様子を見たい、と言い出したのが原因です。

 できれば急いでセレスハートに行って、偽物の女神の使徒を排除したいんだけど、この国の王女的な立場のセシリアとしては、統治者である父親が拘束されてしまった後の国の様子が、気になって仕方がないようですね。

 ダストレア大樹海でそんなことは全て忘れて、戦いに興じていたのは誰だっけ?なんて、無粋なツッコみは入れませんよ、僕は。

 そんなわけで、今までは街はひたすら避けて来たのですが、今回は街に立ち寄り、ついでに宿泊することにしました。

 ただし、セシリアとチェスカさんには賞金がかかっていて、周りにばれると面倒なので、簡単な変装をしてもらっています。

 変装といっても、要は2人がセシリアとチェスカさんだと分からなければ良いんでしょ?

 なので、2人には『認識阻害』を付与した伊達メガネを付けてもらいました。

 あ、この世界には普通に眼鏡は流通していますからね。

 この『認識阻害』とは、言葉通りに相手の認識を阻害する能力です。

 面と向かって話していても、その顔や身体的特徴を認識することが出来ず、当然記憶も出来ない。

 しかも、話した内容は覚えていても、どんな声、どんな話し方だったかすら記憶することが出来ない。

 『認識阻害』を受けた方は、一瞬は混乱するかも知れないけど、すぐにその事も意識しなくなり、正常に戻る。

 簡単に言えば、これで街を歩いても、誰かにバレる心配は無くなったという事です。

 追加機能として、使用者が設定した相手には『認識阻害』を無効にすることが出来るようにしてあります。

 仲間内でも認識できなかったら、大変だからね。

 と、言う訳で、僕ら3人はセレスユカティスの街を歩き、情報収集をしています。

 主に僕が。

 セシリアとチェスカさんに任せたら、情報収集が全く出来ないどころか、余計なトラブルを起こしかけていたので、慌てて止めましたよ。

 情報収集とは、根気よく地道に行う物なのに、この2人は何も分かっていなかったようで、無理やり情報を吐かせようとしたり、目に付く人に片っ端から話しかけたりしていて、怪しい事この上なかったですよ。

 『認識阻害』の眼鏡を使っていなかったら、とっくに不審者として衛兵に捕まっていたかも知れないね。

 なので、今は僕がメインとなって聞き込みをして、2人には後ろから着いてきてもらっているだけにしてます。

 僕は色んな人に声をかけ、会話をしながら情報を集めていくと、気になる存在が見え隠れしてきました。

 その存在を確かめるべく、引き続き情報を集めていきます。

 僕が情報収集を始めて2時間後、大通りを歩いていると、ふといい匂いがしたのでそちらを見ると、串焼きの屋台が目に入った。

 店主はちょっと強面のおっちゃんで、パッと見は堅気の人間には見えないし、威圧感も出ている。

 しかしその手は丁寧に串焼きを1本1本焼いていて、職人としてのこだわりを感じさせる。

 もしかして、僕の探し人はこの人かも?


「こんにちは、この串焼きおいしそうですね?3つ下さい」

「お、坊主、良い目をしてるじゃねえか!コイツはうめぇぞ?3つで銅貨3枚と青銅貨6枚だが、銅貨3枚に負けてやるよ!」

「え、良いんですか?ありがとうございます!」

「おうよ!それじゃ串焼き3つ、お待ち!」


 声をかけると、さっきまでの強面はどこへやら、ニカッとした笑顔が良く似合うおっちゃんへと変化した。

 僕は受け取った串焼きを1つ取り、残りを後ろにいるセシリアとチェスカさんに渡した。

 そして串焼きを1口食べて、


「おお、予想通り美味しいですね!肉も柔らかいし、このタレも中々ですね!相性抜群で、より美味さが引き立てられていますね!」

「はっはっはっ!そうだろそうだろ!?坊主、良く分かってんじゃねぇか!」


 僕の褒め言葉に、この串焼き屋台の店主はとても上機嫌になってくれたようです。


「僕達、これからセレスハートに向かうんですが、今あそこがどうなっているか知っていますか?」

「首都にか?何しに行くんだよ?」

「噂で、女神の使徒様がセレスハートにいるって聞いたので、一目お会いできないだろうかと思い、ヴェージガーブ王国から来たんですよ」

「そうか・・・・坊主、ここだけの話しだけどよ?」


 そう言っておっちゃんは僕に近付き、小声で教えてくれた。

 おっちゃんが知っている、セレスハートの現状を。


「今、セレスハートはとんでもない状態らしいぜ?何でも、教皇様が女神の使徒様によって捕まり、このままじゃあ、教皇の座を降りることになるかも知れねぇんだとよ?」

「え、教皇様が?なぜです?」

「どうやら女神様の神託で、教皇様を排除するように使徒様に指令が下ってたそうでな?今は、使徒様が臨時の教皇代理に就任しているそうなんだよ」

「そうなのですか?でも、女神様の指令なら仕方がないですね。でも、それが何でセレスハートがとんでもないことになっているんですか?今は使徒様が治めているのでしょう?」

「ああ、それがな、使徒様の政治が滅茶苦茶らしいんだよ。今はセレスハートに入ることは出来ても、一度入ったら最後、出ることが出来ないらしいぜ?これは無理矢理脱走して来た奴から聞いた話だけどよ、セレスハートの中は今、使徒様が連れて来た騎士達がやりたい放題の無法地帯になっているらしい。この騎士達、相当腕がたつらしくてな。実力は聖騎士よりも上らしい。しかも、使徒様が手なずけた魔物まで闊歩していて、たまに住人が襲われているって話しだ」


 何か、本当にとんでもないことになっているみたいですよ!?

 声を荒げそうになるのを必死に堪え、おっちゃんから出来る限り情報を聞き出そう。

 後ろの2人には、僕が話しをしている時は、絶対に口を挟まないように言い聞かせてあるので、今は必死に我慢している。


「何でそんなことになっているんですか?女神の使徒様は何を考えているのですか?聖騎士達は?彼らはこの国を守るのが務めでしょう?」

「女神の使徒様は、この国がどうなろうが知ったこっちゃねぇみてぇだ。この国に来た目的は、聖女セシリア様らしい。莫大な賞金を出してまで捕まえようとしているんだ。きっと、何か理由があんだろうよ。それと、聖騎士だが、あいつらは、もうダメだ」

「ダメとは?」

「聖騎士達はな、1度は教皇様の命令で刃を収めたんだけどよ、流石にこの状況は許せなかったらしくてな。2日前、セレスハートに残った聖騎士が一斉蜂起をして、使徒様に戦いを挑んだんだよ。けどな、あっという間に全滅よ。生き残った奴は結構いるらしいが、死んじまった奴もいる。そして昨日、セレスハートから伝令が届いてな。反逆した聖騎士達を3日後に処刑するらしい。だから、聖騎士達は、アイツ達は、もう、ダメなんだ・・・」


 おっちゃんから、怒りと悲しみの感情が溢れているのが感じられる。

 当然、後ろの2人からも。

 2人はここで口を挟むと、碌なことにならないと経験して分かっているので、我慢して耐えています。

 詳細は省くけど、先程2人にやらせた情報収集で。盛大にやらかしたからね。

 それにしてもこの人、僕の予想通りなら・・・


「貴方は、もしかして元聖騎士とかですか?」

「はっ、んなわけあるか。俺はただのしがない串焼き屋のオヤジだよ」

「その割には、結構鍛えていますよね?」

「ほう・・・・テメェ、何モンだ?」

「それに答える前に、少し質問してもいいですか?」

「ああ?ちっ、まんまと乗せられて、ここまで話しちまったんだ。いいだろう。何だ?」

「貴方はそんなに悔しがっているのに、ここで何をしているのですか?」

「ここは、セレスハートに行くには必ず立ち寄る街だ。もし、北に逃げたというセシリア様が捕まっちまった場合、ここを通るはずだからな。それを待っているのよ」

「もし通ったら襲撃して、賞金を横取りするためにですか?」

「あ?舐めんなよクソガキが!俺はよ、以前セシリア様に救われたんだよ。ちょっとしくじって、仲間もろとも大ケガで死にかかっていた時、たまたま通り掛かったあの聖女様は、俺達を救ってくれたんだよ。俺達の血で、自分が汚れるのも気にしないで、全員を救ってくれたんだ。だから、今度は俺が助ける番だ。もし捕まっちまったセシリア様がここを通ったら、命に代えても俺達が助け出すんだよ!」


 俺達、ね。

 そして、周りから僕に突き刺さる、いくつもの殺気。

 やっぱりこのおっちゃん、予想通りだった。


「なるほど、分かりました。ではもう1つ、貴方は、いえ、貴方達は、セレスハートに乗り込んで、僕達と一緒に戦う気はありませんか?」

「何だと?」

「実は僕達も、これからセレスハートに行って、教皇様を救出し、偽物の女神の使徒をブチのめすって目的があるんですよ」

「ちょっと待て!今なんて言った!?」

「教皇様を救出する」

「その後だ!」

「偽物の女神の使徒をブチのめす」

「あの使徒様は、偽物なのか!?」


 ざわっ。

 僕達の周りを囲むようにしていた、さっきまで僕に殺気を飛ばしていた男達が、僕の言葉を聞き、ざわつき出した。

 この人たちは、ずっと僕とおっちゃんの話しを聞いていて、おっちゃんが剣呑になった頃から、少しずつ包囲を始めていました。

 当然、僕もセシリアもチェスカさんも気付いていたけど、この程度の人数でどうにかなる僕らではないので、無視していました。


「ええ、偽物です」

「何で分かる?」

「それはちょっとここでは言えませんね。良かったら、あなた方のアジトでもあれば、そこでお話ししませんか?もちろん、僕が何者なのかも含めてね」

「ほう、俺達の事を感付いたか。たいした洞察力だな?いいだろう、着いて来い」


 そして僕らは、このおっちゃんと一緒にアジトに向かうことになりました。

 セレスハートで好き放題やっている女神の使徒を倒すことを目的とした、レジスタンスのアジトに。

誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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