第77話 そろそろ目的を果たしに行こうか
魔物との戦闘を始めて、10日が経過しました。
この間、セシリアとチェスカさんの2人は、ひたすら魔物と戦い続け、その全てに勝利していた。
チェスカさんは何度か危険な場面がありましたが、セシリアがフォローしてくれたり自力で切り抜けたりして来たので、着々と強くなっています。
そしてセシリアだけど、強くなりすぎてしまいました。
間違いなく、ユニークスキルの『成長補正(中)』のせいでしょうね。
この10日間で倒した魔物の数は、1000を超えています。
僕が幼少期にダストレア大樹海で修行していた時も、短期間でこれほどの魔物を討ち取ったことは無いです。
やらなかっただけで、出来なかったわけではないですよ?
おかげでレベルが上がりに上がって、現在は52になっているようです。
ステータスも、STRが22万、INTとMNDが26万、他がおおよそ18万だそうです。
あ、もちろんこのステータスは素の状態、魔導装備を外している時のステータスです。
たぶん人間で、セシリアに勝てるのは殆どいないのでは?と思えてしまえるほどのステータスですよ。
ついでに、スキルがどうなっているか聞いたところ、こちらもとんでもないことになっていました。
ざっとセシリアが習得したスキルをざっと上げてみると、
剣術(大) 光魔法(特大) 火魔法(小) 水魔法(中) 風魔法(中) 土魔法(小)
闇魔法(小) 思考加速(中) 行動予測(中) 加速(中) HP回復(小) MP回復(小)
などなど、普通は何年もかけて習得するようなスキルをゲットしている。
流石は『成長補正』スキル!
僕のアドバイスがあったとは言え、とんでもない習得速度ですよ!
「いや~、もう私、無敵じゃないかな?」
午前の訓練という名の魔物狩りを終え、昼食を食べている時に、セシリアが嬉しそうに言い出した。
「確かに、もう超級の魔物が相手でも、余裕で勝てるからね。でもね、その程度じゃ厄災級の魔物には勝てないよ?」
「え、やっぱり?」
「厄災級に分類される魔物は、もっと強いからね。セシリアの今のステータスじゃあ、きっと負けちゃうよ」
「う~ん、そっか~。じゃあ次の目標は、厄災級に勝てるようになる、だね!」
ん?今何て言った、コイツ?
「私は、上級の魔物なら倒せるようになりましたが、超級の魔物はまだまだ無理ですね。傷程度なら負わせられますが、致命傷には程遠いですし」
「でも、前よりは格段に強くなっているよ。チェスカもこの調子で強くなっていけば、絶対に超級の魔物にも勝てるようになるよ!」
「ええ、そう出来るように、日々努力を重ねていきますよ。なのでレオナルド様、これからもご指導よろしくお願いします!」
「ちょっと待ったー!」
「え?何ですかレオナルド様?」
「どうしたのレオ君、大きな声出して?」
この2人、もしかして・・・・
「ねえ、2人共?どうしてここにいるんだっけ?覚えてる?」
「もちろん」
「はい、覚えてますよ?」
「じゃあ、なんだっけ?」
「「強くなること」」
「違うでしょ!?」
本当に目的を忘れているよ、この2人!?
「セシリアはセレスハートにいる偽物の女神の使徒をどうにかして、捕らえられている家族を救出したいんでしょ!?そしてチェスカさんは、偽物の女神の使徒に一太刀浴びせたいんでしょ!?強くなるのは、目的を達成させるための準備だったよね!?」
「「あっ・・・」」
「やっぱり忘れていたね?」
目が泳いでいる2人。
強くなるのが楽しくて、たった10日で目的が変わってしまったとは・・・
もしかして、2人共戦闘狂の気があるとか?
いやいや、それは無いよね?
最近魔物と戦っている最中に、2人共とても楽しそうな笑顔を浮かべていることが多々あったけど、きっと見間違いだよね?
うん、見間違いだ。
そう決めました。
よしっ!
「それで、どうしますか?」
「どうするって、何を?」
「偽物の女神の使徒だよ!そろそろセレスハートに戻っても良い頃だと思うんだけど!?」
もうやだ。
疲れて来たよ。
ここで、2人がまだ魔物と戦いたいって言ったら、もう僕1人で殴り込みに行こうかな?と、かなり本気で考えています。
「あ、うん、そうだよね?もうかなり強くなったし、そろそろお父様達を助けに行っても良いよね?」
「え、ええ、私も強くなれましたので、異論はありません、よ?」
「じゃあ、この後すぐに出発するけど、いい!?」
「「はいっ!」」
あ~良かった。
これで予定通り3人で行けるね。
セシリアとチェスカさんは、僕の怒気にビビッて返事をしたように見えたけど、気のせいだということにします。
ここからセレストメディエル聖教国に入るのに、僕1人だけなら1日あれば充分だけど、2人に合わせるとどれだけかかるだろうか?
それにきっと、賞金目的の賊も襲ってくるよね?
面倒だな~・・・いっそのこと、僕がセレスハートまで一度行って、そこから空間転移してもいいかもね~。
・・・・やっぱり止めよう。
普通に自分達の足で戻らせよう。
いや、それよりもいい案が浮かびましたよ!
僕らはその後、2日掛けてダストレア大樹海を出て、今はヴェージガーブ王国内をセレストメディエル聖教国に向かって突き進んでいます。
馬車に乗って。
この馬車はどうしたかと言うと、以前僕が作った物に更に手を加えて見た物です。
以前、エドおじさんの戴冠式に贈った車を作った時に、試作していた代物です。
見た目はちょっと立派な馬車ですが、当然魔改造もとい、様々な付与をしてあり、防御に関しても居住性に関しても、最高の出来となっています。
車にしようとも思ったのですが、それだと目立ちすぎるので、仕方なく馬車にしました。
当然この馬車には、あの車に備わっていた付与は全て施してあります。
けど、この馬車の凄い所は、なんと言ってもこれでしょう!
空間支配を使って、馬車の内部の空間に干渉して拡張し、見た目の20倍の広さがあるのですよ!
さらに、この馬車は揺れないし、音も静か。
馬車とは思えない、超快適空間となっております。
中にはベッドが3つ、キッチン、イスとテーブル、風呂トイレも完備!
もうこれは馬車ではなく、馬が運ぶ家とも呼べる代物ですね。
これを見たチェスカさんは驚いてくれたけど、セシリアはいい加減慣れて来たのか、反応が薄かった。
僕としては、一々驚かれるのも面倒なので、セシリアのような反応はありがたいです。
チェスカさんも2週間も僕と一緒にいるんだから、いい加減慣れて欲しいものです。
あ、この馬車は、2頭の馬が牽引しています。
僕らがダストレア大樹海を出てすぐに、40名ほどの賞金稼ぎの一団に会いました。
いや、もしかしたら別の職業だったかもしれないけど、セシリアを見て賞金がどうだとか、男は殺せだとか言い始めたので、そう認定しました。
で、そいつらは無謀にも僕らに襲い掛かって来たので、僕が5秒もしない内に、全員倒してやりましたよ。
最初僕は、手加減して誰も殺さないようにしようと思っていたんだけど、セシリアとチェスカさんは容赦なく斬る気でいたので、仕方がないので僕が全員斬りました。
チェスカさんは騎士なので良いとしても、セシリアは聖女だからね。
出来る限り、人殺しはして欲しくないんだよね。
じゃあ、魔物はいいのか?と聞かれると、あれは人じゃないからとしか答えられないけど、同じ命を奪っている事には変わりないんだよね。
ただ、それを言い出したら、生き物が生きるためには他の命を奪い、食べなければならない。
魚や肉は言うに及ばず、野菜や果物といった植物も同じ生き物だ。
木の実やイモと言った、本体から枝分かれした部位を食べるから命を奪っていないと言う事も出来るけど、それを含めて話すと長くなってしまうので、省きます。
セシリアには殺す覚悟が出来ているのに、僕が人殺しをして欲しくないから、代わりに僕が殺す。
これはつまり、僕の身勝手なわがままなんですよね。
これが僕のエゴだと分かっている。
僕が納得したいから、それにセシリアを巻き込んでいるとも言えますね。
僕が全員斬り捨てたことに、セシリアは何も言ってきませんでした。
僕の考えを理解してくれた、と考えるのは、都合が良すぎますかね?
そして、僕に斬られた賊たちは、何が起こったのか分からずに絶命する者や、僕に恨みを込めた視線を送って来る者がいた。
殺す気で襲い掛かって来たのだから、自分が殺されても文句は言わせないよ?
それで、そいつらが乗って来た馬の中から、僕が選んだ2頭に馬車を引いてもらっている、と言う訳です。
当然、この馬達にも魔導具を使い、決して疲れないようにしてありますし、馬車自体がとても軽いので、結構なスピードが出ています。
流石に夜は休ませていますが、普通の馬車の3倍以上のスピードが出ているので、速い速い。
ヴェージガーブ王国は横長の国なので、普通の馬車ならセレストメディエル聖教国との国境まで4日もあれば着くのですが、僅か1日半もしない内に着いてしまった。
途中で5回、セシリアを狙っている不届き者に絡まれたけど、全て秒殺して通り抜けましたよ。
外からだと、この中にセシリアとチェスカさんが乗っているのは見えないし、一度も馬車から下ろしていないから、ここに2人がいることは知られていないはず。
なのに5回も襲われたのは、ただ単に、この賊達がセシリアの捜索を名目に、堂々と強盗をしていただけだったりする。
支配圏を広げて、広範囲を調べていたから知っています。
コイツ等との戦闘は、特筆すべきことは何も無かったので、ただ一言、即全て斬り伏せました、とだけ言っておきましょうか。
さて、国境を越えて、遂にセレストメディエル聖教国に入りましよ。
ここから首都セレスハートまで、普通の馬車で5日程度で到着するので、この馬車なら2日かからないですね。
偽物の女神の使徒がどんなヤツなのか、ちょっと楽しみですよ。
誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。
もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。




