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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第1章 アステリア王国 幼少期編
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第4話 新しい世界と新しい家族

 目を開けると、目の前に僕を覗き込んでいる女性と目が合った。銀髪碧眼の、ふわっとしたセミロングとタレ目が、優しそうな印象を与える美人。歳は20代前半だろうか?

ニッコリ笑うと、僕を優しく抱き上げてくれた。

 抱き上げる!?首を動かし、自分の体を見る、が、思うように体が動かない。それでも苦労して動かした視界に入ったのは、とても小さな手。え?これ僕の手?もしかして赤ちゃんになってるの?


 混乱する僕を、その女性は優しく抱いたまま、挨拶をしてきた

「おはよう。レオ。お母さんですよ~」

 その女性は僕の母親だった。そして、僕の名前はレオというらしい。僕の母を名乗る女性は横を向き

「ビルデ、グレンにレオが起きたと伝えて来てくれる?」

「はい、クリスティーナ様。失礼いたします」

 メイドがいた。ヒルデと呼ばれたメイドは10代後半くらいで、青い髪をポニーテールにしている。そのまま一礼してから部屋を出ていった。

「レオ、熱はもう大丈夫みたいね~。良かったね~」

 子供に話しているからか、母親はおっとりとした口調で話しかけてくる。大丈夫だと伝えたいが、声が出ず

「あ~う~」

 としか言えない。まあ、赤ちゃんなんてそんなものだろう。


 しばらく母親に抱かれていると、外からバタバタと走ってくる音が聞こえ、部屋の前で止まった。少し間が空いてから部屋の扉が開かれ、

「レオナルドが目を覚ましたようだな。クリス、容体はどうだ?」

 イケメンが入ってきた。見た目こそ落ち着いているが、若干肩で息をして、少し汗をかいている。どうやら相当急いで部屋まで来たようだ。

「ええ、グレン。熱も引いたみたいで大丈夫そうよ~。ほらレオ。お父様が来てくれたわよ~」

「そうか。まあ、私は心配などしていなかったがな!このスティード家の男ならば、高熱程度でどうなるものでもない!」

 なるほど。このイケメンが僕の父親で、名はグレン。金髪碧眼で、髪型はショート。見た目は母親と同じ20代前半くらいかな?相当鍛えているようで、体格はがっしりしている。しかし威圧感がなく、そのイケメンフェイスのおかげか、爽やかさが押し出ている。

 で、このおっとりしている母親の名前はクリスティーナというらしい。抱きかかえられて気付いたが、胸に結構な物をお持ちです。胸の大きさに好みはないが、見た目は赤ん坊でも中身は高校生。ちょっとドキドキしてしまう。ん?赤ん坊ということは食事は・・・ 考えるのをやめよう。


 そして家名がスティードかな。で、さっきのメイドがヒルデだね。よし、覚えた。あれ?そのヒルデは戻ってこないのかな?と思っていたら、開けっ放しの扉の外から、パタパタと足音がしてきた。

「旦那様~早すぎますよ~。レオナルド様が心配だったのは分かりますが、邸内ではもっとゆっくりお願いします~」

 ヒルデさんが、ゼェーゼェー言いながら部屋に戻ってきた。


 どうやら僕は高熱を出していたようで、我が父は僕が起きたのを知り、急いでこの部屋まで駆けつけてくれたようだ。それはもう、メイドをぶっちぎりで置き去りにしてまで。ありがたいことです。

 それを聞いた我が母は「あらあら♪」と嬉しそうにしている。

「レオナルドは次男とはいえ、大事な息子に変わりないからな!心配して悪いか!?」

 顔を赤くして、我が父グレンは照れている。さっきは、心配していなかったと言っていたのに。

 ここまで何度も言われれば、さすがに気付いた。僕の名前はレオナルドで、どうやらレオは愛称らしい。というか、僕は次男なの?てことは上に兄がいるのか。前世では1人っ子だったから、兄弟がいるのは嬉しいな。早く会ってみたい。

 そういえば、なぜ僕は赤ちゃんなのに言葉が理解できているのだろう?


 そして、目が覚めてから1ヵ月が経った。転生した僕の名前は、レオナルド=シオン=スティード。銀髪碧眼で、アステリア王国の南方、スティード領を治める、スティード伯爵家の次男として生まれたようだ。住んでいるのは、スティード領で最も大きな街、ノーティス。その中心にある高い壁に囲まれた、2階建ての邸宅。愛称はレオ。1歳児。生まれてから今までの記憶が無いのはなぜだろう?単純に物心が付いたのが、この間目が覚めた時、ということかな?


 このスティード領は、他の伯爵家の領地に比べ広大で、人口が多いらしい。人口が多い領地で最も大きな街、ということは、当然このノーティスの街の人口も多く、活気に溢れているらしい。領地の広さだけでなく、所有している武力も大きい。なぜなら、領地の南側は、広大な樹海に接している。その樹海は人の侵入を拒む、未踏の地と化している。その最大の理由は、樹海の中には数多の魔物が蔓延っている、魔境の地だからだ。魔物は、低級、中級、上級、最上級、厄災級に分類されており、例え低級の魔物であっても、簡単に人を殺せるだけの力を持っているらしい。スティード領は、それら魔物から国を守る最前線の地であり、対魔物の盾としての役割がある。そんな危険な場所には、当然のように実力者が多く集まってくる。それが、このスティード領である。


 家族構成は祖父、父、母が2人、異母兄が1人の6人家族。

 父はスティード伯爵家当主、グレン=シオン=スティード。金髪碧眼のイケメンで、歳は21歳。がっしりした体格で、騎士としても有名らしく、アスレリア王国でもトップクラスの実力だとか。というか、スティード家自体が、代々有名な騎士の家系らしく、先代である祖父が多大な武功をあげ、子爵家から伯爵家へ陞爵し、領地も拡張したらしい。領地に集まった騎士の多くが、グレンや祖父に憧れ、慕い、集まってきたそうだ。

 母はクリスティーナ=スティード。銀髪碧眼のおっとりした美人で、基本的に、あらあら♪うふふ♪と笑っているような女性。愛称はクリス。僕の髪は、母親から受け継いだらしい。歳は父と同じ21歳で、第2夫人。元は男爵家の令嬢で、スティード家に嫁いできたらしい。ミドルネームのシオンが無いのは、名乗れるのが貴族の当主と、男性だけだからだそうだ。貴族の当主の中には女性もいるとのことだ。

 祖父はジルベスト=シオン=スティード。父グレンと同じく、アステリア王国でもトップクラスの元騎士で、グレンよりも強いらしい。2年前に当主の座を譲ってからは、冒険者となって各地を巡っているらしく、まだ会ったことはない。歳は42歳。伴侶たる祖母は、すでに他界している。

 もう一人の母は、ジェシカ=スティード。赤髪赤目で髪型は腰まで伸びた、ロングストレートの、モデル体型のスレンダー美人。愛称はジェシー。24歳で、第1夫人。元は同じ爵位である、伯爵家の次女。祖父を除いた、我が家の最年長者。第2夫人である母があんな性格なので、スティード家を取り仕切っている、しっかり者のお姉さん、といった感じ。実際に、母には姉のように接しているし、母にはジェシカ姉様と呼ばれている。第2夫人の子である僕にも、自分の息子と同じように接してくれる。

 異母兄はメルティウム=シオン=スティード。金髪赤目の4歳児。愛称はメルト。父グレンと同じショート。というか、まんま同じ髪型。異母弟である僕を気に入ってくれているのか、良く顔を見に部屋に来ては、楽しそうに話しかけてくれる。世話をしようとしてくれることもあるが、さすがにそれはメイドたちに止められてしまい、不貞腐れてしまうこともしばしば。

 他は家族ではないけど、メイドのヒルデ。貴族ではないので家名がない。青髪碧目。たまにドジをすることもあるが、基本的に仕事に一生懸命の17歳。カワイイ系の女子。僕付の専属メイド。よく僕に話しかけてくれて、今紹介している情報の殆どが、このヒルデが話してくれた内容をまとめたものだったりする。しかし普通に考えて、1歳児に話しても言葉が通じているはずがない。おそらくヒルデは、僕に言葉を教えるために色々と話しかけているだけだと思う。

 他にもこのスティード邸には、多くのメイドや執事といった使用人がいるが、まだ全ては把握できていないので、割愛する。


 この1ヵ月の間に、僕はいろいろ出来ることを探った。まずは体の動かし方から。最初は殆ど動かせなかった体も、日々、動こうと努力した結果、歩くことができるようになった。だが、まだ誰にも披露していない。なぜなら、ベットから出られないからだ!普通なら、1歳くらいから少しずつ歩ける子もいるはずなのだが、我が家が過保護なのか、それともこれが普通なのか、未だに1人で床に下ろしてもらったことがない。なので、ベットの上でしか歩けないのだ。

 赤ちゃんをベットからの転落から守るために、周りを頑丈な柵で囲まれている。そして赤ちゃん用なので当然だが、狭い。ろくに動けません。あと、これが一番の問題。暇すぎる!最初はすぐに眠くなって、1日に4回は寝て起きてをを繰り返していたけど、体を動かし続けていたら、体力が付いたのかな?全然眠くならない!今は1日2回に減りました。しかし、ずっと起きているのも不自然なので、寝たふりをして、誰も周りにいない時に筋トレを始めました。赤ちゃんの小さな体では限界があるけど、やらないよりはマシなので、日々トレーニングに勤しんでおります。


 そんな状態が半年ほど続いたとき、転機が訪れた。ヒルデがステータスや魔法について話してくれたのだ。

 本を持ってきて、その内容を僕に読み聞かせてくれている。僕に言葉がまだ通じていないことを前提に、ただ単に、様々な言葉を聞かせているだけだと思う。しかし、徐々にネタ切れとななり、今では書庫から持ってきた本を読み聞かせてくれている。

「いいですか、レオナルド様?この世界にはステータスがあり・・・」

 長いのでまとめると、この世界の生き物には全てステータスが存在し、基本的にそのステータスは本人しか見ることが出来ない。ステータスを見るには、心の中で念じるだけで見ることが出来るという。その内容は

 名前、年齢、種族、職業、レベル、HP、MP、STR、VIT、INT、MND、AGL、DEX、スキル、称号

といったものがあるらしい。大体の説明は

 ・HP:生命力。ダメージ受けると減少し、0になると死亡する。

 ・MP:魔力。魔法や1部のスキルを使用すると減少し、0になると気絶する。

 ・STR:攻撃力。腕力を使用する行為の基礎値。

 ・VIT:体力。物理による防御に影響する。

 ・INT:知力。魔法や一部のスキルの効果に影響する。

 ・MND:精神力。魔法に対する防御や回復力に影響する。

 ・AGL:俊敏性。行動に関する素早さに影響する。

 ・DEX:器用性。技や魔法の成長や物作りに影響する。

 と、なるらしい。本当にゲームの世界だね。

 では早速見てみようかな。ステータス、と念じると


名前:レオナルド=シオン=スティード

年齢:1歳

種族:人間

職業:スティード伯爵家次男

レベル:8

HP:946/946

MP:532/533

STR:959

ⅤIT:833

INT:1284

MND:838

AGL:461

DEX:675


スキル

言語理解

空間支配ユニーク

魔導具作成(極)(ユニーク)

成長補正(極)(ユニーク)


称号

守リシ者


 なるほど。平均値が分からないから何とも言えないけど、どうやら僕は、知力が高いから、学者向きなのかな?でも何で、レベルが8になっているんだろう?筋トレしたから?それとも、これが普通?あ、スキルに言語理解ってのがある。これのおかげで、言葉がすぐにわかったんだね。神様からもらったユニークスキルもしっかりある。けど、称号の守リシ者って?何だろう?

 と思っていると


・守リシ者

 守るために力を磨いた者にだけ授けられる称号。守護者。心から何かを守りたいと願った時のみ、全てのステータスに2倍の補正がかかる。


 という説明文が出てきた。なるほど。ステータスの詳細も知ることが出来るんだ。

 自分のステータスに意識を向けている間も、ヒルデの説明は続く

「ちなみに私のステータスは、レベルが15で、職業はスティード家のメイド。ステータスの平均は120くらいの、一般より、ちょっと高い程度ですね」

 え?17歳のヒルダのレベルが15で、ステータス平均が120で、これでもちょっと高い方だって?じゃあ、1歳でレベル8、こんなステータスの僕って、もしかしてばれたらまずいんじゃ・・・

「まあ、普通、他人のステータスは見ることが出来ないんですけどね」

 良かったー!じゃあ、僕のステータスは、話さなければバレないってことか。

「他人のステータスを知るには、鑑定石を使うか、鑑定スキルを持った人に見てもらうしかないんですよ」

 他人のステータス見る方法あったー!?

「貴族の子どもは、5歳になったらお披露目会があり、そこでステータスを公表するのが伝統となっているので、レオナルド様、それまでにしかっかりステータスを上げなくちゃダメですよ?」

 いやいや、今のままでも十分に高いよ!それまでにどうにかしなくちゃ・・・

誤字、脱字や何かお気づきの点など御座いましたら、ご指摘いただけると幸いです。

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