第38話 やっとたどり着いたよ
フェンリルの躾を終え、再びノイシュヴァン山脈を目指して調査に戻った。
躾をしすぎた為か、フェンリルが付いて来ようとしたが断り、しぶしぶ巡回に戻ってくれた。
調子に乗って、芸まで教え込んだのはさすがにやり過ぎたと反省しました。
帰りの時には、フェンリルに会わないように注意しよう。
樹海の中を進み、新しい魔物、魔獣を調査し、いきなり環境が変わることにもいい加減慣れて来た頃、問題が発生しました。
その問題とは、魔物を倒すのが面倒になってきた、です。
どういうことかと言うと、今までは魔物、魔獣の強さを調べるために、敢えて攻撃を受けてから倒していたんだけど、今ではどの攻撃もたいした違いを感じられず、倒す時も1撃で終わってしまう。
その為、どんな敵と戦っても同じことの繰り返しになってしまい、飽きちゃいました。
何か変化を作ろうと考えながら移動していたある日、遂に閃きました。
それは、銃を作って狙撃をしてみよう、という計画です。
この世界の飛び道具と言えば、弓や投石器くらいで、魔法が存在するからこそ、銃火器なんてものは存在していないのです。
なので、銃を作ってみることにしました。
作り方は簡単です。
まず、そこら辺にある木を切り倒し、加工します。
次に、近くにある適当な山を適当に掘ると、何らかの金属が出てくるので、それを加工します。
僕は銃に関する専門知識なんか持ち合わせていないけど、いつもの如く、魔導具作成(極)に付属されていたスキルを駆使して、あっという間にライフルを作ってしまいました。
銃身の部分は金属で作り、もちろんライフリングも入れました。
どうやってかって?錬金術を用いて金属を精製した時に、任意の形になるようにしたので、その時ついでに入れました。
それ以外の部分は木製で、せっかくなので木材をしっかりと磨き上げ、手になじむように仕上げました。
お次は弾の作成ですね。
弾丸の部分は金属があるからすぐにできるので、問題となるのは火薬です。
この世界には火薬と言うものが存在しないので、これもイチから作ります。
しかし火薬の原料となる硝石なんか簡単に見つかるはずもなく、他に方法が無いかと色んなスキルを使って探ってみたら、ハーバー・ボッシュ法と言うものがあった。
これは平時には肥料を、戦時には火薬を空気から作る、とも形容された方法で、簡単に言うと、空気から火薬が作れるという夢のような方法だったりします。
でもこれ、地球のドイツの科学者、ハーバーとボッシュが発見した方法だったよね?
なんでこの世界の錬金術の知識で、このハーバー・ボッシュ法が出てくるの?
まあ、僕にとってはありがたい話だから、細かい話しはどうでもいいか。
という訳で、試作銃一号機が完成した。
普通はもっと大変なハズなんですけどね?
今僕は、200m離れた場所にいる魔獣、グリズリーディザスターを観察している。
このグリズリーディザスターは、樹海の外にも普通にいるマーダーグリズリーと呼ばれる大型のクマ型の魔獣が進化した個体だ。
ディザスターと名前の通り、コイツが出現したなら、そこは災害を受けたかのような被害を被る、Sランクの超級の魔獣だったりする。
その体長は20m近くあり、怪獣と呼べる代物だったりします。
グリズリーディザスターの絵も描き終え、その習性もある程度理解できたので、倒すことにした。
フェンリルから、超級以上の魔物を見つけたら必ず殺してほしい、と頼まれてもいるしね。
早速完成したばかりのライフルを構える。
しっかりと狙いを定め、グリズリーディザスターの頭部を狙って撃つ。
スドンっ!
超大音量がダストレア大樹海に響き、近くにいた鳥や魔物、魔獣が一斉に逃げ始めた。
撃った僕自身も、そのあまりにも大きすぎる音に驚いたが、狙ったグリズリーディザスターを見て、もっと驚いた。
確かにグリズリーディザスターを、1撃で仕留めることには成功した。
成功したんだけど、足から上が消し飛んでいました。
僕の放った銃弾は、グリズリーディザスターを消し飛ばしただけでなく、その後方にまで爪痕を残していた。
おそらく、途中で銃弾が衝撃に耐えられずに粉砕したのだろうけど、発生した衝撃波までは消えず、1㎞離れた所まで破壊の爪痕が出来上がっていた。
何でこんな威力になってんの?
原因を考え、仮説を立ててみました。
この世界にはステータスが存在します。
そして、武器にもステータスが存在し、攻撃する際は、自身と武器のステータスを足した数値が攻撃力になります。
じゃあ、STR約2億5千万の僕が銃を撃ったらどうなるか?
ただでさえ強力な武器である銃に、STR2億5千万が追加された攻撃を放った結果がこれではないだろうか?
結論!
銃火器は今後一切使用しません!
せっかく作ったライフルだけど、死蔵することになりました!
え?破壊なんかしませんよ?
だって勿体ないじゃないですか!
しかし、この銃と言う発想は、せっかくだから他に使えないだろうか?
悩みに悩んだ末、いくつかの試作品を経て作ったのが、魔力を弾丸に変えて撃ち出す魔導具、魔導銃です。
魔導具なら核に設定を加えることで、調整ができる。
例えば、使用するMPによって威力が変わったり、射程を自由に変えられたり、弾丸の属性を変えたりなどなど。
これによって、火薬を使用した銃よりも格段に扱いやすくなり、余計な破壊をしなくても済むようになりました。
バリエーションもいくつか作ってみました。
ライフルタイプ、サブマシンガンタイプ、ハンドガンタイプ、バズーカタイプなんてのも作ってみました。
いろいろ試してみた結果、一番使いやすかったのはハンドガンタイプでした。
どのタイプも、結局は同じ性能なので、一番小さく、取り回しがしやすいサイズに落ち着きました。
しばらくこの装備だけを使ってみようと思います。
魔導銃の素材は、この世界にプラスチックなんてないし、精製するのも面倒だったので、
適当な金属を使ってあります。
さて、この魔導銃の攻撃力は、INTに比例するようになっています。
1度、MPを1000使って撃ってみたら、辺り一面の景観が変化してしまいました。
ただの荒野に。
MPは10以上使わないようにします。
そしてダストレア大樹海に入って7ヶ月が経った頃、ステータス表示にまた女神からの一言が入っていました。
気になるその内容はこちら!
※女神の一言
レベル500越えおめでとう!いや~僅か7年半でここまでのレベルになったとは。
キミの記録は史上最速だよ。
それでね、目的地のノイシュヴァン山脈なんだけど、もう全行程の8割くらいまで来ちゃってるんだよね。
悪いんだけどさ、移動ペースをもっと下げて、今から半年後くらいに到着するようにしてくれないかな?
ちょっとこっちにも事情があってね?
最近、その高すぎるステータスで困っているみたいだからアドバイスをすると、ステータスを下げる魔導具でも作ってみたらどうかな?
じゃあ、くれぐれもフライングしないように気を付けてね。
じゃ~ね~!
相変わらず長い一言だったけど、そうか、後半年は待たないといけないのか。
じゃあ、女神様のアドバイス通り、ステータスを下げる魔導具でも作ってみようかな?
女神様からの一言にもあったように、僕のレベルは500を超えました。
ステータスは何と、5億を越えしました。
はっきり言って、敵無しです。
この間作った魔導銃も、MPを1しか使っていないにも関わらず、超級の魔物や魔獣でも1撃で倒してしまいます。
それと早すぎると言われてしまっている移動ペースなんですが、こちらもAGLが5億を超えているため、普通に歩いているつもりでも、超級の魔物の全力疾走に簡単に追い付けてしまいます。
どうしようと思っていた所にこの天啓!
女神セレス様、ありがとうございます!
悩んだ結果、作った魔導具は2つ。
1つは込めた魔力によって、STRが1/10,000~1/100,000になる魔導剣。
最近STRが上がりすぎて、ちょっと触っただけで大木が折れてしまうほどんなんです。
『手加減』スキル?
あんなのとっくに役に立たなくなりましたよ。
どうやら手加減が出来る上限が99,999,999までみたいで、1億を超えてからは使用しても効果が無くなりました。
そのため、日常生活にも不便している有様です。
次に作ったのは、AGLを1/10,000にする靴です。
これだけ落とせば、そんなに早く着くこともないでしょう。
ただ、こちらは剣と違ってすぐに着脱できないので、一定以上のMPを流すと元のAGLに戻れるようになっています。
かなり苦労して、この2つの魔導具を完成させました。
ステータスを上げるよりもステータスを下げる方が、核となる魔方陣が複雑でした。
他のステータスも下げようかと思ったんだけど、よくよく考えてみれば、他のは生活するうえで何も問題なんて起きなさそうだったから、そのままにしました。
特にVITとMNDに関しては、厄災級の魔物に不意打ちをされたら危険なので、現状維持にしておきます。
この2つが5億以上もあれば、どんな攻撃をされても死ぬことは無いでしょう。
出来上がった魔導装備には、当然壊れないように『耐久強化』も付与してある。
これでそうそう壊れることはない、はず。
その後半年かけてゆっくり進み、途中で3週間ほど小屋に引きこもって魔導具を作り続け、時には空を飛んで来た道を引き返しながら空にいる魔物を調査したりして、ついにノイシュヴァン山脈の麓に辿り着いた。
着いたと言っても、まだまだ麓です。
ここからさらに広大な山脈を登りながら龍王を探さなければならない。
山を登り始めて2時間ほど経つと、僕の周りには魔物の死骸だらけになっていました。
フェンリルの話だと、この山脈から魔素が溢れ出していて、そのせいでこの近辺には強力な魔物や魔獣が多いのだとか。
それにしても、ちょっと歩いただけでどんだけの魔物に遭遇することやら。
今さっきもAランクのオーガロードが5匹出て来て、僕を見つけ次第襲い掛かって来たから、魔導銃で瞬殺しました。
この半年間で、僕のステータスはこうなりました。
名前:レオナルド=シオン=スティード
年齢:8歳
種族:人間
職業:スティード伯爵家次男
レベル:672
HP:957,392,842/957,392,842
MP:1,274,456,855/1,274,456,855
STR:859,733,127
ⅤIT:833,542,573
INT:885,423,258
MND:874,993,612
AGL:821,258,628
DEX:848,723,777
スキル
空間支配
成長補正(極)(ユニーク)
魔導具作成(極)(ユニーク)
称号
女神の使徒
※女神から一言
遂にここまで来たね!
ゴールはもうすぐだ!
頑張り給え!
あ、8歳の誕生日おめでとう!
追伸
そろそろ本当に会いに来てくれないかな~。
お姉さん、寂しいな~。
はい、こうなっています。
MP10億越えってどうなの?
そんなにあっても使い道が無いんですけど・・・
ステータスも全てが8億越え。
もしかして、神獣全てを相手にしても勝てるんじゃないかな?
神獣がどれだけいるか知らないけどさ。
だって、フェンリルの約16倍ですよ?
種族がまだ人間だけど、これ、いつか他の種族に変化したりしないよね?
それと、2ヶ月前に僕は8歳になりました!
誕生日には家族からのプレゼントが送られて、アンとシャルが作ってくれた料理も入っていました。
味はどうだったかって?
妹が僕の為に作ってくれた料理ですよ?
どんなものであっても美味しいに決まっているじゃないですか?
まあ、お母様と料理長が手伝ってくれたおかげで、ちゃんとした料理でしたよ。
2人にはお礼に、樹海で採掘した珍しい石をカッティングしてペンダントにしたのを送ってあげました。
その石とはオリハルコンの鉱石です。
加工して装備品にすれば、最高の武器、防具が作れるという、あの伝説の金属オリハルコン。
その精製前の鉱石です。
この鉱石を錬金術師が他の金属と錬金することで、オリハルコンが作られるという訳です。
おそらく、今の世にその錬成ができる腕前を持った術者は、ほとんどいないと思いますけどね。
あ、もちろん僕ならできますよ。
ちなみに魔導銃の素材となっている金属とは、このオリハルコンだったりします。
だって、丁度材料になるオリハルコンの鉱石と、精製できるだけのスキルがあるんだから、作ってみたくなるじゃないですか?
話しを戻して、精製前のオリハルコンの鉱石は、虹色に輝くキレイな宝石です。
翌日送られてきた手紙には、妹たちが喜んでくれたとあったので、また今度、何か送ろうと決意しました。
女神様が会いに来いって言っているって?
いやだって、女神様に会うには、女神像の前で祈りを捧げなければならないんでしょ?
こんな樹海の中に、そんなのある訳ないじゃないですか?
だから、これは保留です。
余談だけど、以前興味本位で一度だけ、全ステータスを開放して運動してみたことがあります。
木々の間を縫うように全力で走り、10分でどれくらい進めるか試してみようと思いました。
ステータスを下げる魔導装備を外し、クラウチングスタートの姿勢を取る。
一度深呼吸をして気分を落ち着け、スタート!
ドンッ!!
まずはスタートした瞬間、足元の地面が爆発しました。
次に、間を縫うはずだった木々が、ちょっと触れただけで消し飛びました。
物凄いスピードで移動している中、前方に岩が見えたので避けようと思い、軽くジャンプしたつもりが、500mは飛んでいました。
着地後もすぐに走り始め、1分経った頃後ろを振り返り、つい緊急停止をしてしまいました。
なぜなら、僕の後ろにはただの荒野しかなかったから。
あれ?ここって樹海だよね?
なんで木がどこにもないの?
なんで地面が抉れているの?
なんで?
いや、本当は分かっているんですよ?
でもですね?
認めたくないんですよ。
これが僕が全力で走った結果だっていう事実を!
確かにね、普通は走ると、たったったったったっ、って聞こえるよね?
僕が走ると、どんっどんっどんっどんっどんっ、って何かが爆発するかのような音がしていましたよ!?
僕は現実から目を背けつつ、右足を上げ、地面に叩きつけた。
ドッゴーーーーン!!
僕を中心に地面が爆ぜ、30mくらいのクレーターが出来る。
それならばと、右の拳を握り、前方の何もない空間に向かって殴りつける。
ドッゴーーーーン!!
さっきと同じ効果音がして、目の前の空間に衝撃波が走り、僕が中心となって沈んでいたクレーターの壁面が吹き飛ぶ
「・・・・・・・」
クレーターから飛び出し、まだ木々が生い茂っている方に今度は右手を掲げ、風魔法のウインドボールを放つ。
ドッゴーーーーン!!
またしても同じ効果音が響き、目の前で生い茂っていた木々が、根元からどころか、地面ごと吹き飛んでいた。
「・・・・・・・・・」
ちょっと考えた後、両足に力を込めて、垂直にジャンプしてみる。
ドッゴーーーーン!!
聞き飽きた効果音が足元からしたけど、すでに僕は上空3㎞の高さにいた。
そして地面を見ると、
「樹海が禿げている・・・・」
そう、僕が走り始めた所からジャンプをした所までが、クレーターで始まり、ちょっと蛇行したかのような1本の線が入った後、クレーターで終わっていた。
終点のクレーターの周りには、さらに2つの破壊の跡が残っている。
そう、その部分だけが、辺り一面樹木に覆われているはずのダストレア大樹海の中で、見える範囲では唯一植物が何もない、地面がむき出しの土地となっていた。
この結果を見て、戦闘以外では2度とステータスの全開放何かするもんか!
と、心に誓いました。
だって、アステリア王国内で、というか、人がいる所でやらかしたら、確実に人的被害が出てしまうからね。
さて、それじゃあそろそろ、龍王を探しに行きますか!
時間は有り余っているから、支配圏なんか使わずに、地道に探してみようと思っています。
この、無駄に広いノイシュヴァン山脈を。
日を追うごとに、少しずつこの作品を読んでくださる方が増えていて、感動しております。
これからも宜しくお願い致します。
そろそろストックが切れそうです。
近い内に文字数を減らすかもしれません。




