第3話 チートスキルを選んで、いざ異世界へ
「それでじゃな、転生する世界と特典について説明しようかの。まあ今更じゃが、立ち話も何だし、椅子にでも座って話そうかの」
と神様が手を横を向けると、いつの間にか椅子が2つとテーブルがあった。神様が椅子に腰かけたので、僕もテーブルを挟んで向かいの椅子に座った。
「まず、転生してもらう世界はいくつもあっての、殆どの文明レベルと世界観は地球の中世ヨーロッパくらいじゃ。各国に王がいて、貴族がいて、といった具合にの。そして地球との一番の違いは、魔物や魔族が各地に蔓延る、剣と魔法の世界ということじゃ。ステータスもあるから、ゲームのような世界、と言った方が伝わりやすいかの。魔法があるから、科学が発展しなかった世界とも言えるの」
異世界と言うだけあって、地球とは全然違う環境のようだ。
「そして、与える特典の種類はいくつもあっての」
神様の言葉と同時に、目の前の空間に約2メートル四方の、半透明のモニターが浮かび上がる。
「君に、その中から好きな物を選んでもらうんじゃよ」
モニターいっぱいに文字が並んでいる。
例えば
スキル
剣術(小) 1ポイント 剣術(中) 3ポイント
剣術(大) 5ポイント 剣術(特大) 7ポイント
剣術(極) 10ポイント
火魔法(小) 1ポイント 火魔法(中) 3ポイント
火魔法(大) 5ポイント 火魔法(特大) 7ポイント
火魔法(極) 10ポイント
称号
賢者 25ポイント 国王 30ポイント
勇者 30ポイント 魔王 35ポイント
破壊スル者 40ポイント 魔ヲ滅スル者 40ポイント
ユニークスキル
魔法創造 40ポイント 万物破壊 40ポイント
全知 40ポイント 不老不死 60ポイント
などなど、様々な内容がびっしりとモニターの中に書かれている。
「好きな物と言っても、どれでも取れるわけではなくての。全ての項目の横にポイントが書かれておるじゃろ?自分の持ちポイントによって、取れるのと取れないのがあるんじゃよ。もちんろん、より良い物や希少な物ほど、必要なポイントは多くなっておる」
「なるほど。では、僕のそのポイントは、どれくらいあるのですか?」
「おぉそうじゃった。今調べるから少し待っておれ。人によってこのポイントはバラバラでの。大体平均は30ポイントくらいじゃな」
平均30か。ポイントが少ないのをたくさん取るか、大きいのを取るか迷ってしまうな。というか、30ポイントじゃ取れないのも結構あるし。
「ほぅ!」
急に神様が大きな声あげた。
「どうしたんですか?」
「君のポイントが分かったんじゃがの・・・」
そう言って口元をにニヤつかせている神様。あ、これ何かあったんだ。
「150じゃ」
「はい?」
「じゃから、150ポイントじゃ」
フリーズしてしまった。
「平均30なのに、150ですか?なぜですか?」
何とか再起動して質問すると、神様はより一層笑顔を深くして
「儂の魂の選考基準は愛じゃ。それはさっきも言ったじゃろう?君が死の間際に見せた愛の強さ、そして、今まで雪乃さんを守ってきた愛の深さ。これらをポイントに換算した結果じゃよ」
なんだろう。神様に「全てを知っているよ」と、言わんばかりの笑顔を向けられて、すごく恥ずかしい気持ちになってきたので、
「あ、ありがとうございます」
と、照れながら返すので精いっぱいだった。
「選考基準は、神によって異なるのじゃ。どれだけ苦労したか、とか、どれだけ功績をあげたか、とかの。他の神が担当していたら、もっと低かったかもしれんの。で、どれを選ぶんじゃ?」
他にも神様がいるとういう新事実に驚いたが、いったんそれは横に置いて。
さて、どれにしよう?使えるポイントが多すぎて、選択の幅が広がってしまい。余計迷ってしまう。ならばいっそのこと、
「すみません神様。何かアドバイスを頂けませんか?おススメがあったら教えていただきたいのですが?」
神様に聞いてしまおう。
「うむ。教えるのは構わんが、儂からのアドバイスは有料じゃよ?大抵の者は、これを言うと諦めてしまうんじゃがな」
なんと!そこはサービスしてくれないのか。残念だ。
「5ポイントもらうが良いかの?」
やっす!安すぎる!いや、150ポイントあるからそう思えるだけで、平均は30ポイントだった。それなら勿体なくて、諦めてしまう気持ちも分かる。
「是非お願いします!」
迷いなくお願いしました。
「うむ。まずは説明からじゃな。実はスキルの殆どは、努力次第でどれでも後天的に手に入れることが可能で、ランクを上げることも可能じゃ。まあ、無理してここで取る必要はない、と言えるの」
アドバイス受けて良かった~。危うく、何も考えずに、スキルをいくつか取ろうとしてたよ。特に魔法なんて憧れだったから、全種類取ろうと思っていたよ。
「で、称号じゃが、これも転生後の君の行動によっては、得ることが出来のじゃよ。称号を得ると、それに応じた能力に補正がかかり、よりステータスが上がるのじゃ。そして称号は、生まれた時から持っていた方が、ステータスの上昇する幅は大きくなるのじゃ。」
なるほど。称号は1つは持っておきたいな。
「ただし、称号によっては、その後の人生が決まってしまったり、命を狙われやすくなるから良く考えるんじゃよ」
神様が考えを見透かしたかのように、教えてくれた。確かに、いきなり勇者の称号を持っていたら、勇者になるしかないし、子供の頃から魔族に命を狙われてしまう。魔王や○○スル者シリーズは、下手したら危険と判断されて、すぐに殺されてしまうかもしれない。
「ユニークスキルは使い手が非常に少ない、レアスキルじゃな。世界中に多くても5人しかいなかったり、まだ誰も持っていないのもあるのじゃ。後天的に入手することが非常に難しく、そして、大抵が他のスキルと比べて強力なのが特徴じゃな。」
これだ!スキル、称号は後からでも手に入るが、ユニークスキルはそうではない。そして、使い手が少なく、強力だというのがまた良い!レア物に弱い典型的な日本人ですが何か?
ただ、問題は、
「ま、ユニークスキルはどれも高いんじゃがな」
そう。最低でも40ポイント必要なのだ。僕の残りポイントは、神様からのアドバイスで5ポイント使ってしまったので、残り145ポイント。3つしか取れないのだ。まあ、平均の人達は1つも取れないことを考えると、贅沢なんだけどね。
「なので、おススメは当然ユニークスキルじゃな。」
神様のおススメもそうらしい。でも、ユニークスキルだけで200種類くらいあるんだよね。
「中でもおススメは60ポイントのスキルじゃ。これは使い手が1人もいないスキルでな、当然どれも他とは一線を隔すものばかりなのじゃ」
「じゃあ、この中から選んでみますね」
「うむ。時間はまだまだあるから、ゆっくり考えるのじゃ。あ、不老不死だけはやめておくのじゃよ」
「なぜです?」
まあ、始めから興味も無いので除外していたが、気になって聞いてみた。
「生まれてすぐに不老、ということは、ずっと赤子のままで、しかも不死だから、そのまま永遠を赤子で過ごすことになるからの。それでも良ければ選んでも構わんが、想像するだけで地獄じゃろ?」
「結構です!」
死ねない体で一生赤ん坊なんて、何もできなじゃないか!
「そうじゃろ?決まったら声をかけてくれの」
そして僕はじっくりスキルを選び始めた。
「神様お待たせしました。決まりました」
自分の新しい人生に関わることなので、神様にいくつも質問して、じっくり考えた。
「うむ。どれにしたのじゃ?」
「これらをお願いします。」
選んだ結果和を神様に伝える。
僕が選んだのは
・ユニークスキル 空間支配 60ポイント
・ユニークスキル 魔導具作成(極) 40ポイント
・ユニークスキル 成長補正(極) 40ポイント
の3つだ。
それぞれの内容は
・空間支配
支配可能領域内の空間なら、あらゆる干渉ができる。領域の規模はINTに比例し、干渉する内容や規模により、MPを消費する。
※神様注釈 支配している空間内なら、MPが許す限り何でもできるのじゃ。
・魔導具作成(極)
自身が望む魔導具を自由に作成できる。魔導具の効果はINTに比例し、作成にはMPを消費する。完成度はDEXに比例する
※魔導具なら何でも作れるのじゃ。INTが高ければ高いほど高性能になり、DEXが高ければ高いほど壊れにくく、良い物が作れるのじゃ。ちなみに魔導具の存在自体が希少じゃ。
・成長補正(極)
あらゆるステータスの成長に関しての補正が、超上昇する。
※成長に関することが、ローコスト&ハイリターンとなるのじゃ。レベルもステータスもガンガン上がるし、スキルも簡単に手に入るのじゃ!
とまあ、この3つにしました。
え?5ポイント余っている?はい、それにはちゃんと使い道があります。
「では残りの5ポイントは、儂へのお願いで良いかの?内容によっては叶えられんかもしれんが、構わぬか?」
「はい、お願いします」
そう。無数にあったリストの1番最後、画面の右下に
神へのささやかなお願い 5ポイント
と、いうのがあった。
しかも、今、神様が言ったように、100%叶えられる訳でもなく、しかもやり直しは効かないのである。1発勝負です。
「では君は何を願う?」
「はい。転生した雪乃を今度こそ守ることが出来るように、同じ世界の同じ時代に僕を転生させてください」
そう、僕は、雪乃を守れなかったことを後悔している。そして僕らが転生する世界は、今までいた地球の日本よりも文明が低く、魔物や魔族がいるので、遥かに危険で、命が簡単に失われる場所だという。ならば、今度こそ守ってみせる!
しかし、雪乃の転生を担当したのは別の神様で、このまま転生をしてしまうと、別々の世界に行ってしまう可能性が高いそうだ。また、仮に同じ世界でも、時代が離れてしまうこともあるらしい。
だから僕は、5ポイントを使って神様に願った。また、雪と会い、守れるようにと。
「うむ!それこそ愛じゃな!よかろう!儂の全力を以って、君の願いを叶えられるように努力しよう!」
「よろしくお願いします」
椅子から立ち上がり、深々と頭を下げた。
そして、僕は1つの決意をする。もしかしたらこれからの行動により、全てを無かったことにされて、転生をキャンセルされるかもしれない。それでも、ここまでしてくれる神様に、どうしても伝えなければならないことがある。それは、
「神様」
「ん?」
「その服装。似合ってません!」
そう。初めて神様を見た瞬間から目をそらし続けた事実を、ついに伝えることにしたのだ!
「なっ・・・」
神様の表情がどんどん歪んでいき
「なんじゃとおおぉぉ!!」
絶叫した。
「地球の高貴なる者たちは、このように、金や宝石の装飾で己を着飾っているのではないのか!?」
神様がすごい汗をかいて焦っている。
「確かに昔の王族はそうだったのでしょうが、現代ではちょっと・・・。その恰好はやりすぎなのでは?と感じております」
「なっ?馬鹿な!?儂は神として威厳のある格好として、今までこのようにしてきたのに!確かにここ数十年で転生させた人間からは、一様に微妙な表情をされてきたが、まさかこの格好が原因か!?」
「おそらく・・・」
沈黙が支配いた。正直、この場に居づらい。
「どんな格好じゃ?」
「え?」
「どんな格好が神らしいのじゃ?」
神様、目がマジです
「そうですね。少し高い位置にある玉座に座り、白いローブと錫杖などを持っている姿が、神様っぽいですかね。あ、あと後光が輝いているのも良いですね」
とりあえず、僕の持っている神様のイメージを伝えてみる。
「そうか・・・今度からは服装を変えてみることにするのじゃ・・・」
神様、超落ち込んでいます。声を掛けられないよ・・・
「よし!気分を切り替えて!いよいよ転生じゃ!」
「うおっ!?」
神様いきなりの復活です。見た目は吹っ切れているけど、体が若干震えているのは見なかったことにしよう。
「何か心残りは無いか?まだ儂に聞いておきたいこは無いか?」
「はい。大丈夫です!」
「うむ!それでは新しい人生を楽しんでくるのじゃ!」
「神様、ありがとうございました。そして最後に、大変失礼しました」
「いや何、今まで誰も指摘しなかったことを、よくぞ教えてくれた!ありがとうの!」
僕の体が光りに包まれ始め、同時に意識が少しずつ遠のいていく。
「転生先の世界は任せるのじゃ!すぐは無理でも、いつか転生した雪乃さんと会えるようにしてみるからの。その時を楽しみしておれ」
遠のく意識に、神様の声が届く。是非、お願いしますね!
そして、僕の意識は途切れた。
1話飛ばしていたので改稿しました。以後、気を付けます。