第29話 動き出す陰謀
予約掲載したつもりが、しっかり設定されていなかった為、投稿が遅れてしまいました。
申し訳ありません。
システムのエラーではなく、私の設定ミスです。
学校の建設が終わり、今すぐやらなければならないことが無くなった僕は、久しぶりにゆっくりと屋敷の工房で魔導具開発をしているフリをしながら休んでいた。
いや、だってね?
部屋で休んでいると、みんなにあれこれ頼まれちゃって、休めないんですよ。
新しい魔導具は出来たか?
また武器を作ってくれ、こんな魔導具欲しいんですけど作れますか?
一緒に模擬戦をやりましょう、などなど、家族だけでなく使用人や騎士達までが気安く声をかけてくる。
僕としては、貴族だからと腫れ物を扱うように接せられるのはイヤだから、凄い助かるんだけど、扱いが便利屋さんみたいになっている気がするんですよねえ?
まあ、そうなるようなことをしてきた自覚はあるから、しょうがないんですけど。
それから2ヵ月後、また王城に出頭するようにと連絡がきた。
今回はメルト兄様も一緒です。
何でも、まだ一度も王都に行ったことが無いのに、弟の僕だけが何度も行くのは悪いと思い、お父様が連れていく事にしたそうで。
そしたらアンも行きたいと言い出し、それをなだめるのにお父様とジェシー母様が苦労していました。
こう何度も何度も、領主が領地を離れて大丈夫なんだろうか?
という質問に、お父様は笑って
「ウチにはジェシーとクリスがいるからな!正直、領地経営に関しては私よりあの2人の方が上手いぞ?だから安心して王都に行けるんだよ!」
それでいいのか伯爵!?
とツッコみたかったけど、まあ、基本脳筋一族とまで言われているスティード家だから、代々こんな感じだったのではないだろうか?
と、妙に納得もしてしまった。
確かにお父様は領民には人気があり、強く頼れる領主であることは間違いないんだけど、そう言えば余り政務をしている姿を見たことが無いな?
以前、空間転移を初めて見せた時に屋敷から持ってきた書類も、ジェシー母様とお母様が手伝って目を通していたし・・・
そうか・・・スティード領の内政って、夫人達が中心なんだ・・・
今回も道中はいつも通りの狩りをしながら、7日かけて王都に到着した。
王都を始めて見たメルト兄様は、馬車の中から目を輝かせながら街並みを見ている。
現代日本に生まれた僕にはそうでもないけど、普通はこんな大きな街を見たら、こんな反応をするんだろう。
僕は支配圏を広げて見ていたから、目を輝かせることは無かったです。
1時間かけて王都の屋敷に到着したら、すぐに陛下からの使者がやって来た。
どうやら僕らが王都に到着した段階で、すぐに王城に連絡が行っていたみたいです。
使者からの伝言は、今すぐ王城に出頭するように、とのことだった。
そんな急に?と思ったけど、今は昼過ぎで謁見の間に国王陛下がいる時間だから、要件をすぐに済ませよう、ということではないかとお父様が説明してくれた。
なので急いで準備し、お父様と2人で王城に向かいました。
メルト兄様は招かれていないので、屋敷でお留守番です。
兄様すみません。
王城に到着すると前回同様、すぐに中に通され、いつもの部屋に案内された。
そう、あの空調装置を付けた部屋です。
2人だけになると、お父様が口を開いた。
「レオ、今回呼ばれたのはな、お前がダストレア大樹海探索に行くことが決まったことを伝える為なんだ」
「お父様はすでに知っていたのですか?」
「ああ。本当なら馬車の中で話したかったのだが、うっかりメルトを連れてきてしまったからな。家族にはまだ内緒だから、話す機会が無かったんだよ」
おい、お父様。
いくらなんでも、それはどうかと思いますよ?
うっかりメルト兄様を連れてきてしまったから、話せなかったって。
兄様を連れて行くって決めたのはお父様でしょう?
と言いたい気持ちを飲み込んで、我慢する。
「それで、僕はどうすればいいのでしょうか?」
「基本的には、陛下かカルナ宰相が言うことに頷いていればいい。そこで下手に拒否したり、反論しようとすれば、周りのうるさい貴族達が黙ってはいまい。なるべく、お前の要望通りになっているはずだから、安心しろ」
以前、僕が女神の使徒だと明かした時、陛下達には僕がダストレア大樹海に行くことは伝えてある。
時期に関して、7歳になったら行く予定だということも手紙で伝えてあるため、恐らく大丈夫だろう。
アンのお披露目会を見てから行きたいからね。
その後、お父様と少し話しをしていたら、謁見の準備が整ったそうなので、謁見の間に向かうこととなった。
謁見の間に入ると以前は違って、この場に参列している貴族の数は30人くらいと少ない。
少ないんだけど、何故か僕にちょっかいを出そうと画策していた貴族が全員揃っている。
あ~たぶん、こいつらが何か企んでいるみたいだね。
あ、ルドルフのおっさんもいる。
以前来た時と同様に、陛下の前まで進んで、カーペットに金の刺繍がされている所まで歩いてから、膝を付く。
「スティード伯爵家当主、グレイ=シオン=スティードと、その次男、レオナルド=シオン=スティード、参上いたしました」
「うむ、よくぞ参った。頭を上げよ」
陛下に言われた通り、顔を上げる。
「本日貴公らを呼んだのは、そこのレオナルドに任務を与えるためだ」
陛下に代わり、カルナバル宰相が話しを始める。
「以前執り行われた、レオナルドと黄牙騎士団との模擬戦を見て、その武力が群を抜いていることはよく分かった。そこで、レオナルドのその力を見込んで、ここに列席している貴族達から提案があった。立案者のザカート侯爵、説明を頼む」
「はっ」
そう言って、僕達の前に1人の貴族が進み出た。
「レオナル君、私は侯爵のライストル=アガド=ザカートだ。以前見せてもらった君の力を見込んで、栄誉ある任務を任せたい」
そのザカート侯爵は、見た目が何というか、私腹を肥やしていますよと言わんばかりの40代くらいの人だった。
腹は出ているし、無駄に装飾品は付けているし、何というか悪趣味の塊です。
茶髪を肩まで伸ばし、元の顔は決して悪くないはずなんだけど、その太りすぎた体のせいで醜く、申し訳ないけど第一印象はよろしくない。
このザカート侯爵は、僕にちょっかいをかけようとしていた1人でもある。
「その任務とは、人類未踏の地であるダストレア大樹海の調査だ。期限は特に設けていない。樹海に入り、その内部を調査してほしいのだ。なに、君のステータスなら可能だろう?もちろん、成功の暁にはそれ相応の報酬を用意する。どうだ?悪い話しではあるまい?」
「おお!それは素晴らしい提案ですな!」
「この子ほどのステータスならば、必ずやかの樹海を踏破出来るでしょう!」
「さすがはザカート侯爵!成功すれば、我が国の誉となりましょう!」
例の僕にちょっかいを出そうとしていた貴族連中が、侯爵の提案に賛成するかのように声を上げる。
つまり、直接的な戦闘では手も足も出ないから、今の内にダストレア大樹海に放り込んで僕を亡き者にしよう、という話だね。
この国に、いや、このレシタクルス大陸に住んでいる者ならば誰もが知っている、世界最大の危険地帯であるダストレア大樹海。
完全武装した騎士団ですら、僅か3日で逃げ帰った程だ。
普通に考えて、そこに調査なんて行ったら生きては帰れないことは分かり切っているはず。
そこに僕を送るということは、死んで来い、と言っている事と同義なんですよね。
「そうだろう諸君!私もこのレオナルド君なら、必ずやかの樹海を踏破出来ると信じている!それでは任せたぞ!レオナルド君!」
おい、このおっさん。
今サラッと調査から踏破にすり替えやがったぞ?
しかもこっちはまだ返事もしていないのに、勝手に話しを切り上げて元に位置に戻ろうとしているし。
「待て、ザカート侯爵。まだレオナルドの返事は聞いていないぞ?勝手に話しを終えるとは、貴様、どういう了見だ?」
陛下が見かねて声をあげた。
まあ確かに、説明しろって言われたのに、ダストレア大樹海に言って来い、以外何も説明していないしね。
「これは陛下、申し訳ございませんでした。気分が高揚していたため、忘れておりました。それでレオナルド君?私からの任務、受けてくれるね?」
あ~やっぱり駄目だ、このおっさん。
無理矢理にでも僕に、ダストレア大樹海に行かせる気だ。
でもまあ、始めから行く気だったから別にいいんだけどね?
しかも報酬まで貰えるらしいし。
折角だから、実際にどこまで準備できているのか、もう少し話しを聞いてみようかな?
「その前に、もっと情報を下さい。いつから行くのか?何の調査をしてくるのか?僕以外には誰が行くのか?さっき言っていた報酬とは何なのか?不明瞭すぎて、これで行くなんて言うバカはいないんじゃないでしょうか?」
ちょっと驚き、バカの部分でムッとしながらも、ザカートのおっさんが答えてくれる。
当然、こいつはおっさん呼ばわり決定です。
「そうだったな。では説明しよう。時期はまだ決まっていない為、決まり次第連絡しよう。調査内容は、樹海の中がどうなっているのか?どんな魔物がいるのか?反対側に抜けるにはどれくらいの時間がかかるのか?を調べてきてほしい。同行する者は、こちらで選りすぐりの騎士を付けよう。確かにスティード騎士団は精鋭ぞろいだが、私が提案したことだからな、こちらで戦力は用意しよう。報酬は、まだ決まっていない。君が調査を終えたら、私が出来る限りの範疇で、何でも望みを叶えてあげよう。これでどうだね?」
なるほど要約すると、いつでもいいから行って、取りあえず樹海を突っ切って来い。
お前を罠に嵌めるための騎士はこちらで用意するから、スティード騎士団は邪魔だから動かすな。
どうせ生きて戻れないんだから、報酬なんて適当においしい物をぶら下げておいたよ。
てことだね。
「分かりました。お引き受けしましょう。それでは同行する騎士の選別が終わりましたら教えてください。出発は僕が7歳になってからにしましょう」
「おお、そうか!受けてくれるか!?それではこちらも準備を急ぐとしよう!」
ザカートのおっさんが嬉しそうに言い、今度こそ元の立ち位置に戻った。
の顔、にやけてますよ?
さらに小さい声で、
「やはり子供だな」
「馬鹿め」
「調子にのるからだ」
などなど、周りの例の連中達が囁いている。
支配圏を展開しているから、バッチリ聞こえているんですけどね?
そんな中、ルドルフのおっさんが
「バカな・・・何を考えているんだ・・・」
とか言っていた。
「よし、それでは本日の謁見はこれまで!ザカート侯爵はすぐに準備に取り掛かれ!スティード伯爵とレオナルドは、この後話がある故残るように!他の者は解散せよ!」
カルナバル宰相の号令で、この謁見は終了した。
その後、僕とお父様はいつもの部屋に戻り、国王陛下、エドおじさん、カルナバル宰相と向かい合っていた。
「なあ、レオナルドよ。これで良かったのか?」
陛下の第一声がこれだった。
あの提案は、誰が見ても不自然で強引なものだったのだろう。
しかし、その場に参列していた貴族の大半が、ザカートのおっさんの意見に賛同してしまったため、推し通されてしまった形でもあるようだ。
「ええ、あれで大丈夫です」
「だがな?あれはどう考えても罠だぞ?おそらく奴らが集めた騎士が、何かしらの行動に出るのは疑いもないのだがな?」
「そうでしょうね。でも、大抵のことなら僕には通用しませんよ?」
「息子はこう言っているが、グレンは良いのか?」
「こいつが大丈夫って言うのなら、大丈夫だろう?私は心配してませんよ」
「はあ~・・・」
陛下は深いため息とともに頭を押さえ、黙ってしまった。
「ねえレオ?以前私が聞いた、君に手を出そうとしていた貴族って、全員あの場にいた?おそらくだけど、ザカート侯爵を始め、あの意見に真っ先に賛同した全員が怪しいと、私は睨んでいるんだけど」
「さすがはエドおじさん。正解です」
「やっぱりそうか・・・」
エドおじさんも黙ってしまった。
「それでレオナルド?依頼達成した時の報酬は決めてあるのか?」
「そうですねえ、今パッと思いついたのが2つありますが、聞きますか?」
「何か嫌な予感がするが、聞いておこう」
次に位質問してきたカルナバル宰相が、覚悟を決めた顔をしてくる。
「1つはザカート侯爵の爵位を貰おうかな、と。もう1つは、今回僕を嵌めようとしている全員に、僕が調査したダストレア大樹海に入ってもらおうかな、と思っています」
「奴らの自業自得ではあるが、容赦がないな・・・」
みんなが頭を抱えてしまったため、とりあえずこの件は僕に全て任されることになり、この場は解散となった。




