第28話 学校建設
行きと同様、7日かけてスティード領のノーティスの街に到着した。
もちろん帰りも狩りをしながらで、獲物の比率は、魔物6:悪人4くらい。
一番の大物はオーガだった。
オーガとは、体長3メートルの頑丈な筋肉の鎧に身を包んだ人型の魔物。
好戦的な性格で、獲物を見つけたら問答無用で襲い掛かる厄介な魔物だ。
当然攻撃力は非常に高く、人間など一撃で肉塊にしてしまう。
危険度はDランクで中級の魔物に分類される。
今回現れたのは、そのオーガが2匹。
余談だけど、以前ダストレア大樹海でお父様とお祖父様が戦ったオークジェネラルとゴブリンキングは共にCランクで上級の魔物となる。
ついでなので説明すると、魔物のランクはG~SSSまである。
G,Fランクが下級、E,Dランクが中級、C,Bランクが上級、A,Sランクが超級、SS,SSSランクが厄災級と分類されている。
そのオーガを見つけた我がスティード騎士団の反応がこちら
「右前方にオーガを確認!数は2!まだこちらには気付いていない模様!」
「グレン伯爵、どうしましょうか?」
「よし、全員下馬!奴らが気付いていないなら丁度いい!5人1組で行動し、最大速度で接近して先制攻撃を仕掛けろ!」
「ハッ!では総員散開!オーガを打ち取れ!」
「「「「「応っ!」」」」」
そして、護衛対象である僕と父上を残し、護衛の騎士全10名が5人2組に分かれてオーガに襲撃をかける。
僕らは馬車を下りて、外でその様子を眺めている。
僕の作った魔導具でSTR,VIT、AGLが+2000された騎士達が、あっという間にオーガに接近し、滅多切りにしていく。
ちなみにCランクのオーガは、普通の騎士団なら20人以上で一体を囲み、犠牲を出しながらも少しずつダメージを与えて討伐する。
オーガはそれだけ危険なモンスターなのだ。
普通なら。
では、ウチの騎士団はどうだろうか?
さすがに硬い筋肉の装甲で覆われているオーガを一撃で屠ることはできなかったが、10秒もしない内に、2体全てのオーガが地に倒れ、絶命していた。
「ふう。いい運動になりましたな」
「ああ、全くだ!たまにはこう、全力で体を動かさないとな!」
「然り然り!盗賊程度では全然消化不良ですからなあ!」
「「「「はっはっはっはっはっ!」」」」
我が騎士団は、魔物が現れれば問答無用で襲い掛かり、それを殲滅する。
魔物から見たら、厄介で危険な連中である。
どっちが凶暴なんだろう?
余談ですが、お父様とお祖父様なら、例の魔導装備を使わなくても一撃でオーガ程度なら屠れます。
そんな、道中で一般人の迷惑になりそうな脅威を排除しながらの旅路だった。
家に帰り、家族に王都でのお土産と土産話をして、次の日からは学校建設の準備に移った。
お母様達には、学校を作ることになった原因と言うか、僕が自由に動ける権利に関しては話さず、単純に、平民達にも教育を施して知識を高め、最終的には国の発展に貢献してもらう、ということだけを伝えた。
ここスティード領でモニタリングをして、良い結果が出れば王国全土に広まっていく。
資金に関しては王国から出してもらえる、という話をすると、母様達も快諾してくれた。
資金を王国が出してくれるという話がうますぎるため、ジェシー母様が何か裏があるのではと疑っていたが、裏話として、僕の魔導具を王城に設置した対価だと伝えたら、あっさり納得してくれた。
空調の魔導具にそれだけの価値があることを、認めてくれているようだね。
細かい話しに関しては、帰りの馬車の中でお父様と詰めてあります。
まずは学校の建設予定地。
これは、ノーティスの街に作ることにしました。
理由は、人口が少ない他の街や村よりも、多い街の方が生徒が集まるだろう、ということ。
候補となる場所は、まずは安全を考慮して、騎士や衛兵の詰め所の近くを考えている。
ちょうど騎士の訓練場の近くにそれなりの広さの空き地があるらしく、領地に帰って来てからそこを見に行くことにした。
後日見に行った結果、ノーティスの街の大通りからも近く、支配圏を広げて確認しても近くに危険が無いことが確認できたので、ここに決定しました。
面積は150m×100m程度で、かなり広い。
もともとは新しい訓練場の建設予定地だったのだが、特に必要なさそうだとお父様が判断し、一応土地だけは確保して今に至るらしい。
次に必要なのは、人材の確保、要は教員だね。
これに関しては、カルナバル宰相が任せろ、と言っていたので大丈夫だと思うけど、念の為、こちらの方でも探すことにする。
当然必要とされるのは、知識と教養のある人材。
しかし、この世界でそう簡単に見つかる物だろうか?
だって、この世界って識字率すら低いんだよ?
学校に入学しても、最初の1年は文字の読み書きで終わっちゃうんじゃない?
あれ、待てよ?そういえば、僕に文字を教えようとしていたのって、メイドのヒルデじゃなかったっけ?
ヒルデは確か平民の出だったけど、どこで文字を覚えたんだろう?
っていうか、元メイドの人に教師になってもらったらいいんじゃない?
文字の読み書きできるし、礼儀作法も知っているし。
よし、早速お父様に相談だ!
結果、すでにお父様が引退したメイドや執事の人に声をかけて、手配まですることを考えていました。
お父様、馬車と言う狭い空間の目の前で息子が悩んでいたんですよ?
考えがあったなら、もう少し早く教えてもらいたかったです・・・
あと必要なのは生徒。
街の中には比較的裕福な家庭が多く、きっと学校が出来れば通わせようとする親も多いはず。
そんなに裕福でなくても、子供を働かせる必要が無い、ある程度の余裕がある家庭ならば、きっと通わせてくれるだろう。
何せ、無料だからね。
それと、孤児院の子供達を呼ぼうと思っている。
孤児院の子供達は、大きくなったら孤児院を出なくてはならず、それからは自力で生きなければならない。
その為に必要な知識は、孤児院で教えてもらえるようだが、経営が厳しい孤児院ではそれすらままならない場合が多いらしい。
なので、学校に通えば衣食住を保証し、孤児院にも補償金を出せば、きっと乗ってくれるはずだ。
さらに、孤児達はここで頑張れば将来が明るくなるということを教えてあげれば、きっと、他の子供より熱心に勉強に取り組むはずだ。
ただし、孤児達だけ優遇するわけにはいかないので、必ず優秀な成績を残すこと、週に何回かは学校の仕事を手伝うことを義務化させようと思っています。
最後は何年間就学させるかだけど、6歳~12歳までの6年間にしようと思う。
僕が日本人だから小学校をモデルにした、というのもあるんだけど、もう一つ理由がある。
それは、王都にある国立学校が13歳から入学できることだ。
なので、学校で成績優秀だった者は、当人が望むのなら国立学校の入試を受けさせようと思っている。
ということを帰りの馬車の中で話し合い、実際に動き出している計画です。
お父様は早速、教員の募集と生徒の募集を始める。
一般家庭に関してはお触れを出し、教育を受ける意思のある者だけが学校建設地に作られた受付所に行き、参加を申し込む。
孤児院に関してはお父様が直接出向き、孤児院の経営者と直接交渉をしに行った。
こちらは全員参加する意思があり、学校の仕組みや保証金、将来の就職先についてまで説明してきたらしい。
領地に帰って来てから1週間後、グリーグ公爵家からの使いが来た。
グリーグ公爵家の当主はカルナバル宰相なので、実質、宰相からの使いでした。
内容は、以前話していた教員の確保が出来たから準備ができ次第そちらに派遣する、というものだった。
どんな人が来るのかと思い、手紙を読んでみると、ほぼ全員が元貴族や王城で働いていた人達だった。
何でも、他の貴族に嵌められて爵位を剥奪された人や、て王城勤務を解雇された人達らしい。
そんな人達をカルナバル宰相が集め保護し、再就職先を斡旋していたらしい。
そんな人達にこの学校の話しをしたところ、実に14人の知識と教養を持った人が集まってくれたそうでです。
この14名全員が、カルナバル宰相が選別した真っ当な人達で、必ず熱意を持って仕事に臨んでくれるだろう、とのことだった。
予定では来月には到着するそうです。
また、学校建設に使った資金は、建設完了後に王城に請求するように、と書かれていた。
宰相からの手紙を読んだ後、僕は学校の建設予定地へとお父様と来ていた。
「で、レオ。学校はどう作るんだ?お前が言うから、まだ建設業者に話しすらしていないぞ?」
「そうですね。まず敷地の半分は校舎にして、残り半分は運動場にしましょうか」
「いや、私は別に学校の建築構想についてどう作るのか聞いたのではなくてだな?まだ業者も手配していないのに、どうやって作るのかと聞いているんだが?」
「それなら大丈夫です。建築に必要な材料を用意してくれれば、僕が3週間程度で作りますよ。なのでお父様、建材を用意してもらってもいいですか?」
「お前、そんなこともできるのか?できそうだな・・・分かった。では建材を用意しよう。どの位必要だ?」
「そうですね。1学年3クラスの予定ですから、教室が全18部屋。それと教員用の職員室とけが人が出た時の保健室、それから・・・」
日本の学校にあった部屋を、片っ端から上げていく。
お父様も以前は王都の学校に通っていたようで、だいたい作りは同じらしい。
おおよそ必要な建材の量を発注してもらい、それらが届くまで、僕が錬金術を用いて校舎の基礎を作っていく予定だ。
建てる校舎は4階建てにして、全ての部屋に空調装置を付けることになった。
他にも、いろいろと魔導具を使うつもりですけどね。
2週間後、ついに建材が届いた。
建設中はさすがに誰かに見られたら騒ぎになるので、支配圏を学校の敷地内全てに広げ、認識阻害の結界を張る。
これは僕が結界を解かない限り、その内側にある物を誰も認識できない、要は誰も気づくことが出来ない、という効果がある。
で、1週間で校舎が完成し、魔導具の作成から取り付けまでと、グラウンドの整備で更に1週間。
合計2週間で学校が完成しました。
この校舎の魔導具は、いちいち魔石を1ヶ所ずつ取り換えるのが面倒だったので、1つの部屋でまとめて魔石を管理できるようにしました。
校舎はどうやって作ったかって?
僕にはユニークスキル、『空間支配』があるのですよ?
その能力を使えばあっという間ですよ!
それに気づいたのが、校舎を作り始めて6日目で、それまでは『魔導具作成(極)』を使って、地道にやっていました。
何とか、カルナバル宰相が送ってくれた教員達が到着する前に、学校が完成しましたよ。
入学希望者はというと、こちらは予想以上に集まりました。
総勢何と245名。
ただし、全員が6歳という訳ではなく、6歳から12歳までが集まりました。
まあ、1期生は年齢を問わずに集めたからね。
全員まとめて面倒を見て、来年からは6歳の子供限定で募集をかけますよ。
国王陛下に学校建設を提案した2カ月後、ついにアステリア王国初の、完全無償の学校が発足しました。
もちろん、職員にはスティード家から給料が出ますよ!
それと、学校長にはお父様が就任しました。
だけどお父様は、このスティード領の領主とスティード騎士団の団長も兼任している。
そこに更に学校長まで兼任して、大丈夫かな?
国王陛下にも献上した、疲労回復効果のある指輪を作って、渡そうかな?
入学し後者に入った生徒達は、その設備に驚いていた。
全室に照明と空調装置を設置し、校内スピーカーも設置した。
学校だけインフラ整備もして、学校の各階にトイレと水飲み場も作った。学校全体も錬金術を使用して頑丈に作られていて、そこいらの要塞よりも丈夫だったりする。
例えば、誰かが校舎内の壁を破壊しようとしても、一般人のステータスでは傷1つ付けられないでしょう。
そんな頑丈な学校になりました。
誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。
もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。




