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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第1章 アステリア王国 幼少期編
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第27話 秘密を打ち明ける

 いつもと違う文官さんに、昨日の部屋へと通される。

 しばらく待つと、昨日と国王陛下とカルナバル宰相が入って来た。

 今日はどうやらエドおじさんはいないらしい。


「レオナルドよ、出来たか?」


 部屋に入って開口一番がこれですよ。

 どんだけ楽しみだったんですか?


「はい、ご注文の空調装置、20台用意しました」

「よし、早速取り付けてくれ」


 すぐに部屋から出て、陛下に案内されて王城を歩く。

 ってかこれっていいの?だって案内しているの、この国の王様だよ!?

 僕は貴族だけど伯爵家の次男、継承権がない5歳児だよ!?

 当の王様がずんずん歩いていくので、付いていくしかないんだけどさ・・・


 まず到着したのは謁見の間。

 今は使っていない為、数人のメイドが掃除をしている。

 そんな中に国王陛下と宰相が入って来たらどうなるか?

 気付いたメイドの1人が


「陛下に宰相閣下!?」


 と叫んだため、全員が気付き、作業を中断して膝をついて礼を取る。


「ああ、気にしないでそのまま作業を続けてくれ」


 そんなこと言われてもねえ?それでもさすがはプロのメイド、戸惑いながらも作業を再開する。

 しかし、視線はチラチラこちらを向いている。

 まあ、国王陛下と宰相閣下、それと王国では有名な騎士である父上は見たことがあるから分かるだろう。

 じゃあ僕は?たぶん誰も知らないのだろう。

 誰あの子?的な視線をヒシヒシと感じる。

 無視だ無視!


「ではレオナルドよ。この謁見の間に10台設置してくれ」


 なるほど。

 確かにここは広いから、そのくらいは必要になるだろう。


「分かりました。どこに付けるか、希望はありますか?」

「ああ、ではここに頼む」


 カルナバル宰相に言われた所に設置し、大体20分くらいで作業が完了する。

 早すぎるって?だって、接着できる魔導陣を描いた金属を使って固定するだけだから、あっという間だよ?室外機なんか無しね。

 設置作業を見ていたメイドさん達は、僕がいったい何をやっているのか見当が付かないようだ。

 もし見当が付いていたら、それはそれで怖いけどね。

 何で知ってんの?となるわけだし。

 全部の空調装置を付け終え、動作確認の為に冷房を入れる。

 少し蒸し暑かった謁見の間に、少しずつ冷たい風が流れ込んでくる。

 それを感じた、何も知らずに仕事をしていたメイドさん達から驚愕の声が上がった。


「え?急に涼しくなった?」「ウソ?何これ!?」「あの子、何を付けたの?」

「よし、レオナルド!次行くぞ次!」


 陛下はとっとと次に行こうとしている。


「あの陛下?少しメイドさん達に、説明してあげた方が良くないですか?みんな戸惑っていますよ?」

「ん?ああ、すまん。気が回らなった。お前たち、今取り付けたのは魔導具だ。とても貴重な物でな?すまんが触らないでくれ。よし、じゃあ行くぞレオナルド!」


 そう言って、陛下は歩き出してしまった。

 ポカーンとしているメイドさん達に、カルナバル宰相が説明をしてくれている。

 宰相閣下、ありがとうございます。

 僕は名指しで呼ばれてしまっているので、立ち止まれないんです。

 そして陛下は謁見の間を出ていく。

 玉座の横から。

 ちょっと、そっちは王家もしくは宰相のような地位の人が出入りする所じゃないの?僕通ってもいいの?そう思っても、陛下はどんどん進んでしまう。

 お父様を見ると頷いていたので、とりあえず陛下に付いていく事にした。

 いいのかなあ?


 その後、エドおじさんとも合流し、大会議室、高貴な方用の来賓室、今は誰もいなかったけど、王妃様や王子様、王女様の私室にも設置した。

 くどいくらい言うけど、入っていいの?

 王族の部屋と、重要な部屋に空調設備を設置し、僕の仕事は終わった。

 作業途中でエドおじさんにも子供が3人いて、僕やメルト兄様と歳が近いらしい。

 今度会って、友達になってやってくれ、と言われてしまった。

 今は残念ながら王妃様とエドおじさんの奥さんともども王都を離れていて、しばらく戻ってこないらしいけど。


 全部の設置が終わり、最初の部屋に戻って来た。

.いつものように陛下の対面に座った所で、陛下から質問が来た。


「なあ、レオナルド?他にも魔導具は作れるのか?」

「ええまあ、いろいろ作れますよ?例えば・・・」


 今、スティード領の屋敷で使っている魔導具を取り出し、説明する。

 一通りの説明を受け、陛下は少し考えた後に


「レオナルドよ。この王都で魔導具の製造をしてみないか?もちろん、それ相応の対価は支払おう。空いている爵位もあるから、それも付けよう。男爵でどうだ?」

「どうだと言われましても・・・」

「レオ、何を悩む必要がある?5歳で叙爵されることなんて、今まで前例がないぞ?それだけ陛下が、お前のことを評価してくださっているんだ。それにお前は次男だ。このままだと、いつかは家を出て行かなくてはならないから、貴族にはなれないぞ?」

「ですがお父様。僕にはこの後、学校の建設をしなければなりませんし、その後にはダストレア大樹海の中に、旅に行かなければなりませんし」

「ああ、そうか。そう言えばそうだったな・・・」


 そう、僕は昨日の話し合いで決まった、スティード領に無償の学校を作るということと、女神の使徒として、ダストレア大樹海のどこかにいる龍王を探しに行かなればならない。

 家族の中で、お父様にだけは旅の目的地を伝えてある。

 お父様も、女神セレス様からの依頼なのでこれ以上推すことが出来ない

 そんな僕らのやり取りを見ていた国王陛下は、


「学校はともかく、ダストレア大樹海に旅に出るだと?どういうことだ!?命がいくつあっても足りないほどの危険地域たぞ!?」


 疑問を口にした。

 そうですよね~。

 世界最大の危険地帯、危険度SSSのダストレア大樹海に旅に出る、何て、普通はおかしいですよね~。

 僕は少し悩んだ後、話す決意をする。


「お父様、僕はあの事を陛下達には伝えようと思います」

「・・・・良いのか?」

「はい。僕が必要だと判断して伝えるのです。きっとあの方も、分かってくれると思いますよ」

「分かった。お前がそう決めたのなら、そうしなさい」


 家族や教会にも口止めをお願いしている、僕が女神の使徒であると伝える、ということにお父様は少し迷ったようだが、僕の考えを尊重してくれた。

 向かいにいる3人、陛下と宰相とエドおじさんは、僕らが何を言っているのか分からず、戸惑っている。

 まあ、国王陛下が頼みごとをしているのに、その国王陛下を無視して話しを始めてしまったらね、そりゃ、ん?と思うよね。


「ねえグレンとレオ?何の話しだい?」

「すみませんエドおじさん。今から説明します」


 僕は深呼吸をしてから話し始める。


「陛下、申し訳ありませんが、そのお話は受けることが出来ません」

「何故だ?」


 陛下の目がギラリと光る。

 お前は国王の頼みが聞けないのか?と言いたいのが、その目が見れば分かる。

 でも聞けないんですよね、これが。


「僕は数年以内に、ダストレア大樹海に入り、旅をしなくてはならないのです」

「それはさっき聞いた。だから何故、ダストレア大樹海に行くのだと聞いている」

「それは僕が女神の使徒で、ダストレア大樹海には女神セレナ様の依頼で行かなければならないからです」


「「「・・・・・・・・・・・」」」


 長い、長い沈黙が流れた。しばらくの後、国王陛下がかすれた声で


「それは・・・本当なのか・・・・?レオナルドが女神の使徒様だというのは・・・?」

「はい、そうです」

「陛下、間違いございません。私も教会で、レオが女神の使徒に選ばれ、さらにその証である、金色の光りも見ました」


 おもむろに陛下、エドおじさん、カルナバル宰相がソファーから立ち上がり、広い所に移動し、床に膝を付こうとする。


「ちょっと待ってください!何をしようとしているんですか!?」

「いや、お前、女神の使徒様なんだろう?ならば我々はお前に頭を下げなければならない」

「そういうのは結構です!今までと同じように接してください!それに、僕が使徒であることを明かしたのは、この後やることがあるから、王都で魔導具を作り続けることは出来ない、と説明する為です!僕は権力には興味ありません!」

「う~む・・・他でもない、女神の使徒様であるお前がそう言うのならそうするが・・・だが、本当にそれでいいのか?お前が使徒様だと公表すれば、昨日の権利など関係なく、お前に害をなそうとする者を裁くことすら容易になるぞ?」

「ですから、そういうのは要りません!そんな無秩序な権力なんて、あっても迷惑なだけでしょう?僕はあくまで、王国民の一人として、あの権利が欲しかっただけです」


 何とか皆に納得してもらい、このことはここにいる者だけの秘密となった。

 僕の扱いに関しては今までと同じ、ステータスが異常で、魔導具を1人で作れる規格外の伯爵家の次男、ということになり、女神様からの依頼に関しては、王国が全力でバックアップをしてくれることになった。

 あ、魔導具に関しては、何か便利な物ができたら報告するように言われました。


 その後の話し合いで、今から2年後の僕が7歳になった時に、国からの依頼としてダストレア大樹海への調査という名目で行くことになった。

 これは、実際に僕を排除しようと思っている貴族が手を組み、計画していたことだ。

 何で知っているかって?以前の模擬戦の後、怪しい動きをしていた貴族をロックオンして、支配圏を王都全体に広げて監視していたからです。

 この連中が、以前エドおじさんに質問された時に答えた貴族達です。

 で、せっかくだから、その策に乗ってあげようかなと思い、陛下に提案しました。

 僕は1人でダストレア大樹海を歩くことが出来るし、僕を嵌めようとしている貴族が何をしてきても対処できる自信がある。

 なので、危険は殆ど無いことを伝えると、あっさり了承してくれました。

 これで後は、この貴族達が結託し、策をまとめた頃に国王陛下に提案してくるはずなので、それを認めてくれれば、僕は自然にダストレア大樹海に行くことが出来る。

 この間の模擬戦で貴族間では有名になってしまった僕が、いきなりいなくなったら不自然と言うか、他の貴族が警戒してしまうだろうからね。

 一応の配慮はしたいと思います。


 話がまとまった所で、そろそろお暇しようとした時、例の疲労回復効果のある指輪を渡し忘れていたことに気付きました。

 いやもう完全にど忘れしていましたよ。

 という訳で、早速3人にプレゼントをします。


「レオナルドよ、この指輪は何だ?」

「それも魔導具です。効果は『疲労回復』です」

「ほう?なぜ私達に?」

「だって、国王、王子、宰相なんて、もの凄く疲れる職業じゃないですか?3人とも、隠しているみたいですけど、結構疲れているのバレていますよ?特に目の周りなんて、隈がずっと出ているじゃないですか」

「そうか、すまないな。だがな、これを使うことは出来ない」

「何故ですか?」

「お前も知っているだろう?魔導具を使うとMPが減る。MPが減り続けると、結局疲れてしまう。折角作ってくれた魔導具だが、これは意味を成さんよ」

「ああ、それは大丈夫です。その指輪には『MP回復(小)』と『HP回復(小)』も付与してありますから」

「3重の付与だと!?そんなの神話の世界の魔導具ではないか!?」


 国王陛下だけでなく、エドおじさんとカルナバル宰相もこれにはビックリ!口がだらしなく開いていますよ?


「そうらしいですけど、出来てしまったので。折角作ったんですから、ちゃんと使ってくださいよ?」

「待て、レオナルド!こんな物を貰っても、お前に返せる物などないぞ?それでもいいのか?」

「もちろんですよ。別にこれで何かの見返りが欲しいわけではないですし、遠慮なく受け取ってください」

「なあ、やっぱり王都で魔導具を作らんか?」

「それはお断りしたはずですよ?ああ、そうそう。その指輪はなるべく付けたままにしてくださいね?『HP回復(小)』も付与してあるので、もし命を狙われた際は、必ず役に立つはずですから」 

「う~む・・・分かった。だが、もし気が変わったらいつでも言ってくるんだぞ?」


 未練タラタラの国王陛下。

 口には出さないけど、エドおじさんとカルナバル宰相も、思いは同じようだ。

 そんな3人を無視して、僕とお父様は屋敷に戻り、翌日にはスティード領に向けて、帰路に就いた。


誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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