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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第1章 アステリア王国 幼少期編
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第25話 やられたらやり返す!

 僕が殺気を放った直後、25人全員がその場から離れようとする。

 が、動けない。


「何!?動けない!?」「どうなっている!?」「まさかコイツがやったのか!?」「おい、何をした!?」


 急に騒ぎ始めた。

 まあ、動こうとしたら指1本も動けないなんて、そりゃ驚いて声を出してもしょうがないよね。


「無駄ですよ?僕の闇魔法で、全員の影に干渉して動きを封じてありますから」


 少し補足説明をすると、闇魔法は闇の力を用いる魔法で、攻撃や防御も当然できる。

 そして、闇魔法は影に干渉して操ることもできる。

 その1つに影の動きを封じ、影とリンクしている本体の動きを封じる『バインド』という術がある。

 もちろん他の属性にも『バインド』はあります。

 闇魔法だと影の動きを封じるため、目に見えないから本体に『バインド』をかけていることが分かりにくい、という、他の属性にはない利点がある。

 他の属性だと拘束するのは本体なので、バインドの魔法が見えてしまうのだ。

 なぜ影の動きを封じると、本体の動きも封じることができるのか?

 それは、影とは本体の動きに合わせて形が変わるもの。

 光りの加減でその形が変わることはあっても、動きは常に本体と繋がっている。

 なので、影が動けないということは、繋がっている本体も動くことができない。


「さて、みなさんの口が動くようになったことですし、改めて質問します」


 正面にいる22人と上にいる3人が息をのむ


「目的は何だ?」


 今度は濃厚な殺気を振りまく。

 常人なら失神するレベルの殺気を。

 彼らはさすがはプロ、と言ったところかな?全身が恐怖で震えているけど、誰も失神しない。


「ではそこの、ワグマイカ伯爵家の執事さん。たしか名前はユーチャリスさんでしたっけ?目的は何ですか?」

「何故私の名前を!?」

「何か不思議でもありますか?それと、今質問をしているのはこちらですよ?早く答えてください。目的は?」

「化物め!」


 答える気は無し、か。

 しょうがない。


「最後のチャンスです。次答えなければ、あなたの仕えるワグマイカ伯爵家を吹き飛ばします。それと、あなたの家族もまとめて。まさか、僕を殺そうとしたくせに、自分達は無事で済む、なんて甘い考えはしていませんよね?」


 ユーチャリスだけでなく、全員に向かって言う。


「待て!待ってくれ!話すから待ってくれ!」


 ユーチャリスが必死になって話そうとしてきた。


「わかりました。ちょっと待ってください・・・・。よし、これであなたの声は僕にしか聞こえません。本当のことを話してください。他の人の話と矛盾していたり、もしウソだった場合は、分かってますね?」

「分かった。話す。だから家族には手を出さないでくれ・・・」


 そうして1人ずつ話しを聞いていった。

 他の人に声が聞こえないようになったのは、風魔法を使ったからです。

 風魔法は大気の流れを操っているので、話している人とそれ以外の人を分け、周りの大気を固定する。

 大気を固定する、ということは空気が振動しなくなるので、声が周りに聞こえなくなります。


 22人全員の話を聞き終わり、まとめると、僕を殺そうと企む貴族の一部が殺し屋を雇い、お互いに協力して僕を監視、隙あらば殺す、という流れでした。

 今回僕を襲わせたのはツェルド子爵家、ワグマイカ伯爵家、レガノル侯爵家の3つ。

 この3家は、例の黄牙騎士団のバックに付いていた貴族の1部でもある。

 正面からダメなら暗殺で、と考え、闇ギルドにも依頼して動いていた。

 闇ギルドの暗殺者3人はどうしたかって?

 そこで地面にめり込んでいます。

 暗殺者22人を尋問中、支配圏を広げてわざとバインドを解き、場所が不明の闇ギルドの本部に逃げてくれたら場所が分かるかも?

 なんて期待したんだけど、現実は甘くなかった。

 逃走しやすいようにわざと作ったスキを、何を勘違いしたのかチャンスと思ったようで、襲い掛かって来た。

 なので、返り討ちにして地面にめり込ませました。

 一応生きてるよ?


 聞くことを聞いた後、全員解放してあげました。

 情報をくれた対価ですよ。

 ただし、もしまた僕の前に現れたら消すよ、って伝えたら、全員失禁していました。

 ちょっと勘弁してほしいです・・・

 え?これだけ騒いでいるのに、付近の住民が出てきていない?

 そこはホラ、僕の超便利能力である空間支配をフル活用して、今いる場所を空間ごと切り離したので、何をしたところで周りには一切音も漏れないし、気付かれることもないです。

 僕が能力を解除するまでこちらからは干渉することはできないし、あちら側からも干渉することができないのです。

 さて、それではサクッと関係各所を潰しに行きますか!


─翌日

 一夜にして、王都在住の貴族の屋敷が3つも半壊した。

 その3つとは、ツェルド子爵家、ワグマイカ伯爵家、レガノル侯爵家。

 どの貴族も黒い噂が絶えないことで有名で、しかしその証拠が一切出てこない為、罰することが出来ないでいた。

 それが今朝になって、半壊した屋敷の中から今までの悪事の証拠が出るわ出るわ。

 違法薬物の販売から、人攫いに公金の横領、罪のでっち上げや民への不当な暴力、悪徳商家との裏取引などなど。

 おかげで王都の憲兵や鑑識官、捜査官が朝から出ずっぱりとなっている。

 しかし、この襲撃の犯人は謎のままだ。

 襲われた貴族達ですら訳が分からぬまま、気がついたら屋敷が半壊していた、と供述している。

 これとは別に、もう一件重大な事件が起きていた。

 それは、数百年の歴史を持つ王都の闇ギルドが壊滅した、ということだ。

 下級街の一角にある家が密集した地帯が、一瞬にして破壊され、建物ではなくその地下から闇ギルドの本部が見つかった。

 ここが闇ギルドと示す資料が大量に見つかり、こちらには騎士団が出向いた。

 そして、中にいた闇ギルドのギルドメンバーは全員捕まり、牢に入れられた。

 捕まった闇ギルドのメンバーは全員が気絶していたため、簡単に捕縛ができたそうだ。

 こちらも襲撃されたことは間違いないのだが、犯人が誰なのか分かっていない。

 不思議なことに、これだけ建物に被害を出しておいて、誰一人死んでいない、と言う異常な状態だった。

 いや~、不思議ですね~。


 その3日後、僕は王城に招かれ、国王陛下と2度目の謁見をすることになった。

 前回同様、馬車で王城までお父様と一緒に行き、文官さんに部屋まで案内された。

 前回との違いは2つ。

 まず王城に入るのに、大して時間がかからなかったこと。

 今日は貴族の馬車が全然並んでいなかったので、すぐに王城へ入ることが出来た。

 何でも、前回は僕のステータスを見るために、多くの貴族が集まっていたそうです。

 もう1つの違いは、案内された部屋が違う。

 前回は来賓用の見栄えが良い通路にある部屋でだったけど、今回はそこから外れた、来賓用よりグレードの落ちた通路を歩き、そこの1室に案内された。

 その部屋は、前回の来賓用の部屋よりも豪華な調度品が並べられ、何というか、プライベートな空間のような感じだった。

 この部屋で待つように言われ、メイドさんが用意してくれたお茶を飲んでいると、扉が開いた。

 謁見の案内かと思い、椅子から立とうとした僕の目に入って来たのは、何とウィリアム国王とエドおじさん、カルナバル宰相の3人だった。

 これにはお父様も驚き、慌てて席を立ち、片膝をついてお迎えをする。

 すると、


「ああ、グレンよ。ここには私達しかいないから、そんな畏まらなくていい。普通にしてくれ」


 と、国王陛下が言ってくれたけど、普通に考えて無理じゃない?そんなこと言われてもさ?


「あ、そう?じゃあお言葉に甘えて」


 とか思っていたら、お父様があっさりと態度を崩し始めた。

 ちょっとお父様?


「ああ、言い忘れていたがな、俺は小さい頃から陛下とは面識があってな?そうだな、ちょうどお前がエドに感じているのと同じようなものを、俺も陛下に感じているんだよ」

「え?そうなんですか?僕はエドおじさんのことを、親戚の叔父のように感じていましたけど、そんな感じですか?」

「はっはっはっ!親戚の叔父と来たか!?なかなかの逸材じゃないか!なあグレン!」


 お父様とのやり取りを聞いていた陛下が、声をあげて笑う。


「レオナルド、お前、私のことをそんな風に思っていたのか?」

「ええ、まあ。だって、小さな頃から知ってるし、遊んでもらったし、貴族だとは思っていたけど、家名を名乗らないから、勝手にそう思っていました」

「まあ、そう言われて悪い気はしないね。何せ、私を王子として扱わない数少ない友人の1人だからね。でもそうか、叔父か。ならばレオは、私の甥っ子になるな?」

.「俺もエドとは、友人として接していたからな。それを見て育ったお前に、コイツに敬意を持てって言っても、難しいか」

「はっはっはっ!これは良い!では、私にとって、レオナルドは孫みたいなものか?ん?」

「イヤイヤ陛下!?さすがにそれはマズくないですか!?」

「レオ、何を言ってるんだ?陛下本人がそう言ってるんだから、そうです、って言っとけばいいんだよ」

「そうだよレオ。せっかくだから孫になってみるかい?もちろん、本当の孫ではなく、気持ちの上での話だけどね」


 何か凄い盛り上がってしまっている。

 あれ?今日来た目的って何だっけ?


「陛下、殿下、お戯れはそこまでにして、そろそろ本題に入りませんか?」


 見かねたカルナバル宰相が、話しを切ってくれた。

 良かった。このままだったら、陛下をお祖父様と呼ばされそうな勢いだった。

 ありがとうございます!宰相閣下!


「何だよ、別に良いだろこれくらい?相変わらずカルナは固いなあ」

「陛下?」

「分かった分かった。仕方がない。それでは本題に入るか」


 さっきまでの緩んでいた空気が変わり、陛下の表情が謁見の時に見た、威厳のある表情へと変わる。

 そして


「レオナルドよ、先に言っておくが、この場にいるのは我ら5人のみ。誰にも聞かれることはない故、正直に答えてほしい。良いか?」


 ああ、威圧感がハンパじゃない。

 横を見れば、カルナバル宰相とエドおじさんも、凄く真剣な顔でこっちを見ている。

 これは拒否できない空気だね、しょうがない。


「はい、分かりました。僕が答えられることには、正直に話します」


 ちょっと嫌な予感はしたけど、了承する。

 答えられない質問に関しては、分からないと言おう。


「良し。それでは早速質問だが、3日前ツェルド子爵、ワグマイカ伯爵、レガノル侯爵の家と、闇ギルドのアジトが半壊する事件があったが、あれをやったのはお前だな?」


 あ、やっぱりバレてる。

 まあ、僕が無力化したのは、僕に殺意を向けていた暗殺者とその仲間だけで、王家から派遣された監視者達には敵意も殺意もなかったから放置していたしね。

 僕がそれらを撃退したところは見ていないだろうけど、僕が暗殺者に襲われ、撃退したことは多分知っていたはず。

 僕をつけていた連中が一斉に帰り始めたのを見たら、そりゃ何かあったと見るべきだもんね?

 それに闇ギルドの暗殺者3人は、そのまま地面にめり込ませたまま放置したし。

 まあ、これは尋問しているというより、確認しているだけだね。

 隠してもしょうがないので、正直に答えよう。


「はいそうです。日中に街で襲われまして、その報復のためにやりました」

「やはりか。では、さらに質問だ。あれだけの悪事の証拠、どうやって見つけたのだ?特にツェルド、ワグマイカ、レガルノの3人は、何度家宅捜査をしても証拠が何1つ出て来なかったのだぞ?」

「ああ、それは、彼らが証拠となるような物を、全て空間収納が使える者に持たせていたからですよ。そいつらを捕まえて話しをしたら、あっさり渡してくれましたよ」

「まさか、その者達はすでに殺したのか?」

「いいえ。今回の件では、誰一人殺していませんよ?証拠品を隠していた者も、半壊した屋敷と一緒にいたはずなので、もう捕まっているんじゃないですか?もちろん、闇ギルドに関しても同じです。多少ケガはしているのもいますが、誰も死んでいませんよ」

「ふむ、そうか・・・」


 陛下は少し考えてから


「では、お前に報酬を渡さなければならないな。何が良い?」


 おお!報酬が出るんだ!?

 でも、何が良いって、こちらに丸投げしてきましたよ。

 でもいいのかな?どうしようかと思い、お父様の方を見ると


「せっかく好きな物を報酬としてくれる、って言ってるんだから、何でも欲しい物を言ってみたらどうだ?」


 何でも良いらしい。

 じゃあ、何にしようか?お金は別に要らないし、爵位なんて興味無いし、スティード領の拡大は周りの貴族に迷惑がかかるし、欲しい物があっても、大抵の物は自分で作れちゃうし。

 どうしよう、欲しい物が無い!


「う~~~~ん・・・・」

「はっはっはっ!まあ、ゆっくり考えてみなさい。先日の黄牙騎士団の件も含め、お前の功績はデカい!物でなくても、権利でもいいぞ?」


 権利、権利か・・・・あ、そうだ!


「陛下、欲しい物が決まりました」

「ほう、そうか。で、何を望む?」

「はい、僕が欲しいのは、この国で自由に動く権利です」

「は?どういうことだ?」


 陛下の疑問は、この場にいる全員が思ったことだろう。

 僕と陛下のやり取りを黙って聞いていた3人も、は?と顔に書いてある。


「そもそも、私は、いやこの国はお前の自由を奪ってはいないぞ?どういうことだ?説明せよ」

「はい。僕が言った自由に動くとは、今回のように襲撃を受けた際、たとえ相手が貴族であっても、しっかりと反撃をする、ということです。相手が貴族だったから泣き寝入り、だなんて御免ですからね。特に殺す気で来た連中には、それ相応の報いをしたいと思っています。もちろんそれが失敗してしまい、僕が更なる被害を被ったとしても自己責任として対処します」

「・・・・・・・本気か?」


 少しの沈黙の後、陛下が確認してきた。

 そう、僕の欲しい自由とは、権力に邪魔されないで行動する自由なのだ。

 前世から、売られたケンカは買う主義だったので。

 ただ、前世では法律がどうとか、相手の親がどうとか、面倒なしがらみがあって、こちらが被害を受けたのに泣き寝入りすることもしばしばあった。

 僕はこれが無性に気に食わなかった。

 だから、


「はい。権力を盾に好き放題するような連中には、痛い目を見せてやろうかと思います。その為に、自由に行動できる権利が欲しいのです」

「だが、そんな権利をお前に渡した所で、1人では出来ることが限られているぞ?それに上級貴族の多くは、私兵を大量に抱えている。お前が1人でそれらの相手をするのは・・・可能だったな・・・」

「はい、武力に関しては何も問題ありません」

「う~~む・・・」


 国王陛下が黙って考え込んでしまった。


誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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