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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第1章 アステリア王国 幼少期編
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第21話 寄り道しながら王都へ

 ダストレア大樹海にて、お父様とお祖父様が魔物相手に無双してから、3ヵ月が経っていた。ベヘモスが逃げていった?何のこと?都合が悪い事と、面倒事の種は忘れる主義です。

 あれはスティード家全員参加のピクニックだった、というこになっています。もちろん、僕がお父様とお祖父様相手に圧勝したことも、皆の記憶の奥底に封印されています。


 この3ヵ月間は、ひたすら騎士用の魔導具を作った。剣、槍、弓の3種類の武器と、盾とアミュレットを2000人分。お父様から、ステータス補正+1万はやりすぎだ、と言われてしまい、+2000の物を作ることになりました。+1万なんて、国宝クラスというか神器と呼べるレベルだから自重しろ、とのこと。じゃあ、そう言うことならお父様とお祖父様の付与もやり直そうかと、と提案したら、


「コレはコレ、ソレはソレ」


 という訳で、そのままになりました。

 さて、付与する内訳は、武器はSTR、盾はVIT、アミュレットはAGLとなっている。武器や盾、アミュレットは、装備する者が誰でも問題なく使えるが、これが鎧やガントレット、グリーブやブーツとなると、サイズが合わなくて使えなくなる可能性がある為、誰でも使えるものにした。数人ならともかく、人数分の専用防具作成なんて勘弁してほしい。時間がいくらあっても足りない。ぶっちゃけ面倒すぎる。

 で、つい昨日、注文されていた全てが完成した。早速お父様が騎士達の所に持って行き、今はダストレア大樹海の浅い所で試し切りをしている最中だ。参考程度に、一般の騎士の平均ステータスは350くらい。このスティード領は魔物と頻繁に戦うという特殊な環境の為、日々鍛えられているので、所属している騎士の平均ステータスは600くらい。あくまで平均なので、騎士隊長クラスになると、1300とかになるらしい。ついでにお父様のステータスは5500だったのが、先日の無双によってレベルが上がり6000、王国最強と言われていたお祖父様は6300だったのが、同じくレベルが上がって6700とのことだ。それが装備1つで2000も上がったらどうなるか?間違いなく王国最強の、戦闘集団が産まれてしまいましたよ。ただでさえ、スティード騎士団は王国屈指の実力と言われているから、もう、ぶっちぎりでしょう。


 ここで1つ問題が上がった。もし、この装備が流出してしまったら?盗まれたり、戦闘で紛失してしまったり、あり得ないと思いたいが、横流しされたりしてしまったら?それを手にした者が、良からぬことを考え、暴れでもしたら?もし、魔導具を渡した騎士達が反乱を企てたら?というリスクがある、とお父様から指摘された。

 先に作った、お父様とお祖父様の装備2人専用であり、他の誰かが使っても発動しないようになっている。しかし、今回は不特定対数が使うことを前提とした武器であるため、そんな機能は付けられない。そこで考えたのが、魔導具使用の承認システム。

 まず、騎士用の魔導具装備は、全てお父様の承認を得た者でないと発動しないように、魔方陣を核に追加する。次に、承認とその取り消しが出来る専用の魔導具を作り、お父様にしか発動できないようにする。この承認が得られない者、取り消された者は、魔導具装備を使用することが出来ない。要は、せっかくの装備も、ただ丈夫なだけの攻撃力皆無の武器と、ただの硬い盾と、ただのアミュレットに成り下げてしまう。また、安全策として、スティード家に攻撃する意思を見せた場合も、自動で承認が取り消されるようにする。

 これにより、魔導具が流出しても悪用されることと、反乱された場合に魔導具が使われることを防ぐことが出来る。

 全体の1/4が完成した時に言われ、考え付いた方法なので、先に完成していた魔導具の核を作り直す羽目になってしまった。


 僕は長い長い仕事を終え、久しぶりに部屋でゆっくりしていた。たまに屋敷を歩き回って、メイドや執事に声をかけ、空調装置、洗濯機、乾燥機、掃除機に不備はないか?もっと、こんな魔導具が欲しいかリクエストがないか?を聞いて回ってみた。

 もちろん、シャルの部屋にも行った。部屋に入ると、元僕の専属メイドで、現シャルの専属メイドとなったヒルデがいた。僕が1人で大抵のことはできると判断したお父様が、僕からシャルへ人事異動させたのだ。僕のINTが高い要因の1つが、ヒルデにもあるかもしれない、ということで、その検証も兼ねているらしい。実際、ヒルデは優秀なメイドなので、大事な妹のシャルをヒルデが見てくれるなら安心できるしね。

 お祖父様は、ダストレア大樹海から戻って1週間後、また冒険者の活動に戻ると言って、家を出ていってしまった。次に会うのはアンのお披露目会の時かな?


 そうやって、のんびり過ごしていたある日、我が家に国王陛下からの勅命が届いた。内容は、グレン=シオン=スティード伯爵と、その次男レオナルド=シオン=スティードは王城に出頭すべし、といった内容だった。

 お披露目会でのステータスの件で、国王陛下に謁見することになるそうだ。遂に来た。以前にダラスが、ステータスの件で国王陛下に謁見したと聞いていたのと、アルバート侯爵に近い内に王宮に呼ばれることを予め聞いて居た為、特に驚かなった。まあ、大したことはないだろう、と完全に楽観していた。


 お父様と馬車に乗り、1週間かけて王都を目指す。途中、盗賊が襲って来たり、魔物の群れがいたりしたので、全て殲滅した。同伴していた騎士10人が。もちろん全員、例の魔導具装備を使用しています。まあ、なんというか、圧倒的な戦力でした。出発して2日目に通った森の中で、30人からなる盗賊達が、ものの2分で3人にまで減り、逃げていった。それだけでは終わらず、逃げていった盗賊を追いかけ、根城にいた残りの50名近くの盗賊もまとめて殲滅した。この殲滅戦には僕も参加した、というかさせられた。お父様から


「お前も人を守る騎士になるのなら、人に害をなす者を殺せなくてはな。ちょうど良いから、こいつらと一緒に盗賊を斬ってこい」


 とのお達しでした。僕は20名近くの盗賊を斬り殺したが、何とも感じなかった。何でだろう?普通、初めての人殺しって、こう、吐いたりトラウマになったり、いろいろあるんじゃない?この世界では違うのかな?

 もしかして、と思いステータスを開いてみると、スキル欄にバッチリと『恐怖耐性』と『残虐耐性』が増えていました。え?もしかしてこれって、殺人をしても耐えられるってこと?ちょっと嫌だけど、この世界では必要なことなのかな?命を奪いすぎて、人として大切な物を失わないように気をつけよう!


 さらに次の日には、別の森でフォレストウルフという、森のヒエラルキーの上位に位置する魔物の群れ30匹に囲まれたが、こちらも5分程度で殲滅した。さらに次の日には、山道で山賊40名に襲われたが、こちらも3分で殲滅した。お父様曰く、スティードの騎士はもともとこの程度なら問題なくできた手練れだったのが、魔導具装備のおかげで、さらに早く、効率よく出来るようになったそうだ。

 なぜ、行く先々でこんなにも襲われるのか?それは、立ち寄った町や村で情報を集め、一般人にとって危険になりうるものを排除するため、わざと襲われやすい場所を通って来たからだ。盗賊や山賊からしたら、護衛がたったの10人しかいない貴族の馬車なんて、格好の獲物に見えたんだろうね。これは、王国民を理不尽な襲撃から守るための、貴族として騎士としての立派な行為である。

 とは当然建前で、本音は新しい装備を使って暴れたい、だったりする。我がスティード騎士団は、まあ何というか、分かりやすく言うと、戦闘狂だったりする。もちろん平時においては落ち着いた騎士達なのだけど、敵が現れればその本性が出てくる。もう、それは嬉々として。命乞いをしてくる盗賊に対して


「はっはっはっ!どうした?まさかこの程度の訳あるまい?さあどうした?遠慮なくかかって来るがいい」

「オイオイどうしたのだ?まだ腕が1本残っているではないか?さあ、斬りかかってくるのだ!」


 と、爽やかな笑顔で語りかけているのだ。さあ、戦おう!命が尽きるまで戦うのが普通だろ?と言わんばかりに、盗賊達を追い詰めていく。彼らは、強すぎる装備を付けて増長しているわけではないのだ。もともとこうなのだ!

 魔導具渡したの、間違いだったかな・・・。よし!考えるのは止めよう!

 盗賊や山賊の根城に溜め込まれていた、旅人や付近の村や町から奪った金品は全て没収し、被害に遭っていた村や町に返却した。ピンハネなんかは誰もやらず、全て返していた。せいぜいが、お礼として渡された物を受け取っていただけ。立派だね。戦闘狂でさえなければ。


 少しでも王国民が安心して旅ができるように、危険を排除しながら王都を目指し、無事7日目にして到着した。そう、あれは国民の為に、貴族として当然の行為をしただけなのだ。民あっての王族、貴族だからね。彼らの生活の為に、その戦力を振るうのは間違ってはいないのだ。そうに決まっている。そういうことにした。そうしよう。


 初めて来た王都を見た感想は、とにかく凄い、だった。直径が10㎞近くあり、ノーティスの街の10倍以上の広さを持っていた。さすがは王都!半端ないね!王都の中に、いくつもの城壁があるので、きっと長い年月をかけて城壁を増築し、少しずつ広くしていったんだろう。現に今も、城壁を増築しているし。

 中央に見える、他の建物と比べることすらできない大きさを誇る、立派すぎる建物が王城だ。この王都は中心に王城があり、そこを囲むように街が広がっている。王城に近い所から、上級貴族だけが住む貴族街。その次が下級貴族や裕福な商人が住む上級街。一般人が暮らす中級街、貧しい者が暮らす下級街と段々になって広がっているらしい。当然、王城、貴族街、上級街もそれぞれが城壁で囲まれており、不審者の侵入がないように警備兵が目を光らせている。もちろん、有事の際には敵の進行を食い止める壁の役割も担っている。

 東西南北にある門の近く、王都への入り口付近から王城に伸びる大通りは徹底的に管理され、商店や宿屋、食事処や各種ギルドが整然と並んで、衛兵も巡回しているため治安がいい。この大通りは王都の顔になる為、見栄え良くしているのだとか。

 ただし、大通りから逸れてしばらく歩けば、城壁に近い所からスラムや下級街が広がっている。さすがにそこまでは衛兵も近寄らず、治安はすこぶる悪い。中には違法取引までされているような場所もあるのでは?と噂されている。


 僕たちの乗った馬車は、南門から王都に入り、そのまま大通りをまっすぐ進み、上級貴族が暮らす貴族街に向かう。伯爵は上級貴族に分類されていて、お祖父様が子爵から伯爵へ陞爵した際、国王陛下から貴族街の屋敷を下賜されている。今はその屋敷に向かっている。馬車から眺めていると、どんどん建物が大きくなっていき、人々の喧騒も次第に小さくなっていく。

 貴族街へと続く門を潜って中に入った感想は、なんというか、まあ、今まで見てきた街並みとは別世界だな、と。とにかく豪華なのだ。道もきれいに整備され、とても清潔感がある。見ると、各所に掃除道具を持った人たちが散見され、常に掃除をしている。支配圏を広げて見ると、王城に続く大通りだけでなく、ちょっとした路地なんかも掃除している。貴族街の広さが王都でも一番狭いとはいえ、これだけの範囲に約1000人の掃除係が配置されているそうだ。

 周りの屋敷は全て上級貴族の屋敷で、どれもその家の個性が出ている。無駄に派手な門を構えたり、巨大なオブジェを置いていたり、壁に金箔でも塗っているのか、無駄に眩しいのもあったりした。そんな屋敷がある一方で、落ち着いた雰囲気の屋敷もあれば、飾り気の一切がない屋敷もあった。そんな中、僕達を乗せた馬車がついに止まる。ようやくスティード家の屋敷に到着したようだ。

 王都に入ってから実に、1時間が経過している。各門では、家紋と本人確認をするだけですんなり通れたので、この1時間は単純に移動時間だけに費やされている。街の中だったので、王城へと直線で結ばれている大通りといえど、馬車でも大体時速4~5㎞近くのスピードだった。なので、この王都の入り口からこの屋敷までの距離は、おおよそ4㎞となる。日本で例えるなら、東京駅からスカイツリーまでが直線距離でおおよそ5㎞なので、同じくらいの距離、といえば伝わりやすいだろうか?


 到着したのスティード家の印象は、質素。敷地はかなりの広さがあり、屋敷もそれなりに大きいのだが、飾り気がない。他の屋敷の庭には、噴水があったり、何らかの置物が飾られていたりと、大なり小なり見栄え良くされているのだが、スティード家の庭には無い。しかし、しっかりと庭の手入れがされているようで、みすぼらしさはない。

 屋敷の中に入ると、何と屋敷の半分が訓練施設となっていた。この訓練施設には防音加工が施されていて、激しい訓練をしても音が殆ど漏れない。さすがに静かな貴族街で、大きな音が出る激しい戦闘訓練をしていたら、近所迷惑甚だしい。しかもそのご近所さんは貴族であり、自分たちより格上の家がたくさんある訳です。

 この屋敷は、多大な武勲を上げたお祖父様が、国王陛下から下賜される時に要望を聞かれ、王都内でも存分に訓練ができる施設のある屋敷を所望した。空き家となっている、王族が管理している貴族街の屋敷の中で、この屋敷が該当したいた為、それを頂いたらしい。

 この屋敷の以前の持ち主は、隣国と接する領地を治めていた辺境伯家で、その隣国と内通していたのが発覚し、国家反逆罪に問われ、爵位剥奪&財産没収の憂き目にあっていた。

 辺境伯とは侯爵と同等の地位であり、隣国との国境の地を任されていて、戦争となれば敵の進行を食い止める壁となり、機を見ては敵国に侵攻する槍となる。その為、求められるのは強い兵士、強い騎士団を擁すること。その為、その辺境伯の何代か前の当主が、王都にいても訓練ができるように、そのような防音機能のついた訓練設備を作ったらしい。


 ここ、王都での屋敷では、スティード家の関係者が全員暮らしている。家族や使用人はもちろん、騎士用の部屋まで完備されている。庭の出入り口の門は2つあり、そのどちらにも門番となる騎士がいて、門の横には門番用の詰め所もある。だけど、そこまで大きいわけではなく、寝起きをするのは屋敷の部屋となっている。この門番は、貴族によっては人を専用に雇っていたりするが、スティード家には優秀な騎士が多数いる為、騎士達でローテーションを組んでもらい、交代制で領地と王都を往復してもらっている。まあ、この騎士達は、そこいらの雇われ門番とは比べ物にならないくらい強いからね。


 今日は全員、旅の疲れを癒しすため、そのまま休むことになった。僕が王城に出頭するのは3日後とのことなので、それまでは王都を散策したり、必要な物を揃えたりしようと思う。


「ああ、そうだレオ。今の内にお前に伝えなきゃいけないことがある。謁見の後、お前は近衛騎士団長のディアレス殿と・・・」


 休む前に、お父様から国王様との謁見後の予定を聞かされた。正直、面倒事になる予感しかしませんでした。


誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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