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守るために無双します~お前はこの世界をどうしたいの?~  作者: 枯山水庭園
第1章 アステリア王国 幼少期編
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第20話 レオナルドの戦闘力

 ゴブリンとは、体長1m程度で、緑の体に頭に小さな角が生えた、一般的なモンスターだ。力が弱いため、兵士でもない一般人でも倒すことが出来るが、それは1、2匹だった場合の話し。ゴブリンは自分が弱者だと認めているので、個の力ではなく、群の力で生き残ろうとしている。知力もそれなりにあり、集団戦法が得意。罠を張ることもある。オークと同じく、倒した敵を喰い、人族の女を捕まえて苗床にして繁殖する。見つけ次第、すぐに討伐されるモンスターである。

 そんなゴブリンが60体。その内、10体は普通のゴブリンだが、残りの50体は上位種だった。剣による戦闘に特化したゴブリンナイト、槍による戦闘に特化したゴブリンランサー、弓を使うゴブリンアーチャー。この3種が10体ずつ。さらに上位の魔法が使えるゴブリンキャスターと、回復魔法が出来るゴブリンヒーラーが5体ずつと、体長が2mのホブゴブリンが6体。更に上位種である3mのゴブリンジェネラルが3体と、同じく3mだけど、身に纏っている空気が明らかに違うゴブリンキングが1体。

 先ほどのオーク達よりも、より強力な群れである。定石としては、群れの指揮官であるゴブリンキングから倒し、ゴブリンジェネラルと順に行けば、群れを維持できなくなり、逃走を始める。普通なら。

 ここにいるのは、脳筋と名高いスティード家の男だ。しかも、今装備している代物は、攻撃力が超上昇、防御は鉄壁、一瞬で視界から消えるスピードが出せる、と、簡単に無双が出来てしまう。と、言うことは・・・


「では父上。真正面から切り込みましょうか」

「そうだな。折角だから、どちらがより多く斬れるか勝負でもするか?」

「良いですね。やりましょう!」


 そんなわけで、2人は片っ端から全力でゴブリンを切り捨てていきます。

 お父様は、防御力を試すかのように、攻撃を一切避けず、歩きながらゴブリンを斬っていく。

 お祖父様は、冒険者故か攻撃は受けず、そのスピードを駆使してゴブリンの死角にまわり、一瞬で切り捨てていく。

 見ている限り、特に問題はなさそうなので、僕は先ほどのオーク達を異空間収納に入れていく。


「レオ?そのオークをどうするの?」


 ジェシー母様が僕の行動に気付いて、聞いてきた。


「オークの肉はとてもおいしいんです。特にオークジェネラルの肉は絶品ですよ。以前聞いた話だと、街では高値で取引されているようです。折角なので持ち帰って、みんなで食べようと思いまして」


 そう、魔物の肉は食べられるのだ。前世での倫理観だと、え?となりそうだが、この世界では当然のように食べられている。しかもうまい。


「そうなの?それじゃあ、しばらくは食事が豪華になりそうね」


 それを聞いたジェシー母様は、嬉しそうにしていた。



 オークを収納したのと同じタイミングで、ゴブリンの殲滅が終わったようだ。


「どうでしたか?」

「うむ、この勝負は私の勝ちだったぞ!」


 お祖父様が胸をそらして自慢してきた。まあ、高速移動していたお祖父様と、敵の攻撃を受けながら歩いていたお父様とでは、そりゃそうだろう、と思わないでもない。


「ははは、僅かに及びませんでした。しかし、やはりすごいなこの装備は。あれだけ攻撃を受け続けたのに、一切HPが減っていない。」

「うむ、それにあれだけ魔導具の力を使っているのにもかかわらず、MPも減っていない。MP回復とHP回復は凄まじいな」


 その後もしばらく戦闘と言うか、虐殺が続いた。2人が倒した魔物の数が500を超えた時、それは現れた。


 突如、大きな地震が発生した。みんな1か所に集まり、お父様とお祖父様が家族が倒れないように支えていた。地震は止まらず、10秒ほどした時、メルト兄様が気付いた。


「あそこ!あそこの地面が盛り上がっている!」


 全員がそちらに目を向けると、木々をなぎ倒し、地面が膨れ上がっていた。その規模はどんどん大きくなり、次第に地面から巨大な魔物が姿を現した。


 高さ40m、全長100mほどの巨大な象のような魔物。まだ起きたばかりなのか、動く気配はない。


「まさか、あれはベヘモスか!?」

「そうですお祖父様。あれはベヘモスです」


 驚きに声を震わせているお祖父様に、しれっと答える。


「バカな!?あれが数百年前に、この大陸を蹂躙し尽したベヘモスだと!?」


 お父様の方を見ると、足が震えていた。


「え?そうなんですか?大昔にそんなことがあったのですか?」


 初めて聞いた。


「そうだ。大昔に突如ベヘモスが現れて、この大陸にあった当時の国々を破壊したのだ。詳しいことは分かっていないが、一説によると海から現れたとも言われている」


 へ~。まあ、今はどうでもいいや。それよりも


「お父様、お祖父様。それで、あれはどうしますか?戦ってみますか?」


 取りあえず聞いてみた。

 お父様とお祖父様は物凄い形相で


「バカを言うな!今すぐここを離れるぞ!」

「そうだ!すぐに国王陛下と冒険者ギルドに報告せねば!またこの大陸が滅ぼされてしまうかもしれんのだぞ!」


 怒鳴られてしまった。でもな~。


「あの~。そのベヘモスなんですが、こっちに向かってきている見たいですよ?」


 そう、地響きを立てながら、ゆっくりベヘモスがこちらに向かってきているのだ。いや、確かに動きはゆっくりだが、その巨大さ故、実は結構なスピードだったりする。


「BUOOOOOOOOON!!」


 突如ベヘモスが吠えた。すると、前方に巨大な火球が現れ、こちらに向かって飛んできた。


「「っ!?」」


 お父様とお祖父様が、家族の盾となるべく前に出て両手を広げる。ただ、これでは火球は止められても、熱でお母様達が消し炭にされそうなので、しょうがない。

 僕は右腕を前に突き出し、手の平を火球に向け、


「はっ!」


 ファイアーボールを生み出し、飛ばした。ベヘモスの放った火球を相殺しようとしたんだけど、ちょっと力加減を間違えたようで、

 ぱしゅっ・・・・・ドッカーーーン!!!ごぉぉぉぉぉ・・・

 えー、何が起きたかと言いますと、僕の放ったファイアーボールが、ベヘモスの放った火球を一瞬で飲み込み、そのままベヘモスの後ろに着弾、大爆発。その後、火事が発生。という流れです。

 これはマズイ。慌ててウォーターボールを5つ飛ばし、火事になっている箇所の上で破裂させ、即席のスプリンクラーを発動させる。見立てよりも多めにウォーターボールを出したおかげか、すぐに鎮火に成功した。危なかった。危うく自然破壊するところだったよ。すでに破壊スル者の称号を持っているじゃないかって?そんなツッコみは受け付けません。


 一安心して周りを見ると、全員が口を開けてこっちを見ていた。あ、珍しくお母様まで驚いてる。やったね。イヤイヤ違う。


「みんなどうしたんですか?」


 聞いてみる。一番最初に立ち直ったお父様が


「おいレオ。今のは何だ?」

「ああ、ベヘモスの放った火球をファイアーボールで相殺しようとしたら、予想以上に威力が出てしまいました。あのままでは大火災になりそうだったので、ウォーターボールを多めに出して、火を消したんです」

「なあ、聞いていいか?」

「何です?」

「いつから魔法使えるようになったんだ?」

「いつからでしたっけ?結構前から使えますよ」

「それにしても・・・いや、そうだった。コイツのステータスは異常だったな。納得するしかあるまい。」


 ひどい云われようだ。まあ、異常だというのは自覚していますけどね。

 そういえば、あれから静かになったな?ベヘモスはどうしたんだろう?と思ってベヘモスを見ると。


「!!?」


 一瞬ビクッとして後、ゆっくりと動き出した。こっちに来るのではなく、方向転換し、さっき出てきた場所に戻っていった。そして、また地響きが起こり、少しずつベヘモスが大地に沈んでいった。


「もしかして、レオから逃げた?あの伝説の魔獣が?」


 お祖父様のつぶやきが聞こえた。真相は分からないけど、あのビビりようをみたら、多分、おそらく、そうなんじゃないかな?

 参ったな。お父様とお祖父様の練習の仕上げに丁度いいと思って、態々ベヘモスが眠っている近くを選んだのに。勿体ない。



「なあレオ。もしかしてお前、あそこにべへモスが居たことを知っていたのか?」


 ベヘモスが居なくなり、落ち着いた頃、お父様に聞かれた。


「はい、そうですよ?お父様とお祖父様の練習の仕上げに、丁度いい相手だと思っていました」


 その瞬間、お父様とお祖父様に詰め寄られた。


「バカかお前は!?何で態々大陸を滅ぼしかけた魔獣と戦わなければならないんだ!?」

「あんなのを相手にしたら、命がいくつあっても足りんわ!」

「そもそも私達2人だけで、あれに勝てると思ったのか!?」

「いくらなんでもそれは無理があるぞ!」


 怒られてしまった。


「いや~、僕としては装備の力を過信しすぎてしまわないように、相手を選んだつもりだったんですけどね。大丈夫です、ベヘモスはそんなに早く動けないですから、攻撃を受けることは殆ど無かったでしょう。まあ、あの防御を突破することは無理なので、お父様達がダメージを与えることはできませんけど。それに、本当に危なくなったら、僕がベヘモスを止めるつもりでしたから」


 取りあえず弁明してみた。

 少し考えた後、汗を一筋流しながらお父様が聞いてきた。


「もしかして、だが。レオ。お前ならあのベヘモスを倒すことが出来るのか?」

「はい。倒すだけなら5秒くらいで行けるんじゃないですかね?」

「!?」


 またビックリさせてしまったらしい。あれ?お父様は僕のステータス知ってますよね?STRが85万もあれば、大抵の敵は倒せますよ?

 お父様他、この会話を聞いていた家族が落ち着くまで、しばらくかかった。



「レオ、すまないが私達と模擬戦をしてくれないか?」


 やっと落ち着いたと思ったら、今度はお祖父様が提案してきた。お父様を見ると、真顔でこっちを見ている。ヤル気のようだ。


「別に構いませんけど、大丈夫ですか?」

「ああ。確かにさっきは驚いてしまったが、私もグレンも立ち直った。もう大丈夫だ。それに、お前の力がどのくらいか知りたいからな」


 そういうつもりで大丈夫か聞いたんじゃないんだけどな。まあいいか。


「分かりました。今すぐやりますか?」

「ああ、やろう!」


 という訳で、父親&祖父対息子(5歳)の模擬戦が始まった。事情を知らない人が端から見たどうだろう?片や完全武装の騎士と冒険者のペア。片や私服に剣を持った子供。児童虐待の現場でしかないのでは?まあ、ここは人が踏み入れない樹海の中なので、そんな心配は必要ないけど。


「では行くぞ!」


 お父様とお祖父様が同時に仕掛けてくる。装備した魔導具の力を最大限使ったスピードで接近して、最速最大の攻撃をお父様が仕掛けてくる。小細工など一切ない、真正面からの斬り下し。僕はそれを余裕を持って、剣で払う。

 くどいようだが、僕のSTRは85万。いつもは手加減スキルを使ってSTRは落としているが、今は全開にしてある。魔導具の効果によって上がっているとはいえ、お父様のSTRは4万以下。約21倍の差がある。そんな力で剣を弾かれたらどうなるか?


「なに~!?」


 20mくらい飛んで行ってしまった。魔導具のおかげでこの程度で済んでいるけど、もし魔導具が無かったら、どうなっていただろう?


「はぁ!・・・あ?」


 音もなく後ろに回り込んでいたお祖父様が、横薙ぎに剣を振るってきた。もちろん僕は気付いていた。なので、剣が当たるギリギリのタイミングで躱し、元の位置に戻る。お祖父様の目には、剣が通り過ぎたように見えただろうか?僕のAGLは74万ある。人の目に映らないスピードで動くことなんて造作もない。お祖父様は何度も斬りかかってきたが、その都度同じように躱しては元の位置に戻るを繰り返した。

 ふっ飛ばされたお父様が戻り、2人同時に左右から斬りかかってくる。息の合った、まさに理想的なタイミングでの斬撃。普通なら、どちらかの剣を防いでも、もう一方の剣に斬られてしまう。避けるにしても、そのスピードが速すぎて、避けた直後に返す剣で斬られてしまうだろう。普通ならば。

 僕は剣を手放し、迫りくる刃を指でつまんだ。それだけで、お父様もお祖父様も動けなくなってしまった。剣を押しても引いてもビクともしない。圧倒的な力の差を、本当の意味で2人が理解した瞬間だった。



「まさか、2人がかりで手も足も出ないとはな・・・」

「なあレオよ。本当にお前5歳か?いったい何者なんだ?」


 地面に座り込んだお父様とお祖父様は、完全に脱力している。腕力で大抵の困難を打ち砕いいてきた2人が、たかが5歳児に完敗したのだ。まあ、そりゃあショックだよね?


「だから、お披露目会で僕のステータス見ましたよね?あの通りですよ?」


 取りあえず言い返しておく。女神の使徒だと言ってしまえば楽なんだろうけど、あれは両親と教会にいた司祭様とシスター以外には秘密だ。ここで秘密にするように頼んだ僕が、あっさりとバラす訳にはいかない。


「今日の目的は、魔導具の使い心地を試すだけだったんですから、もう十分でしょう?そろそろ帰りませんか?」


 お父様達が頷いたので、そのまま空間転移で家に帰った。

 この日の夕食は、2人が倒したオークジェネラルの肉を使った料理で、とてもおいしかった。

 お父様とお祖父様に、変なトラウマとか生まれてなければいいな・・・


誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

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