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第109話  密会の続き

 女神セレス様の件の衝撃が大きすぎ、もうお腹がイッパイだった大人達を代表し、ウィリアム先王陛下がツッコミをくれました。

 ええ、ありますとも!


「はい。ダストレア大樹海の中で、とある人物に会いました」

「何、人がいたのか!?どんな者だ!?」

「かなり有名な方で、そうですね、アステリア王家とルドルフ伯爵家に関係する人ですね」

「はぁっ!?誰だ、それは!?」

「勇者ドラグルです」

「何だと!?それは本当か!?」


 ドラグルの名前に、ウィリアム先王陛下を差し置いてルドルフ伯爵が反応しちゃいましたよ。

 この反応を見ると、やっぱりノーマン伯爵家と勇者ドラグルの関係を知っているんですね。

 対してアステリア王家はと言うと、勇者ドラグルの名は知っていても、なぜそこで王家が関係しているか分からないようです。

 どうやら、ノーマン伯爵家への恩義はともかく、その理由はしっかり伝わっていないようですね。

 この場では、お父様とカルナ宰相だけが置いてけぼりですが、我慢してください。


「本当です。僕はダストレア大樹海の中心にあるノイシュヴァン山脈にて、勇者ドラグル、いえ、ドラグル=クシャナ=ノーマンに会いました」

「ノーマン、だと!?」

「いや、待て!そもそも勇者ドラグルは300年前の人間だぞ!?なぜ生きているのだ!?」


 僕の発言に驚く王家に対し、ルドルフ伯爵は多少ですが落ち着いていますね。

 どうやら勇者ドラグルの正体も、しっかり伝わっているみたいですね?


「ルドルフ伯爵は、勇者ドラグルの正体を伝え聞いていますか?」

「あ、ああ。だが、あれは先祖の作り話か、伝承されていく中で少しずつ変化していったものだとばかり思っていたのだが・・・」

「その伝承されている内容は分かりませんが、おそらく合っていると思いますよ」

「どういうことだい、ルドルフ?」


 僕らの会話を聞いていたエドおじさんが、至極真っ当な質問をして来た。

 そりゃあ、6人中4人が混乱している中で、残りの2人が通じ合っているような姿を見せられれば、質問したくなりますよね?


「ああ、エド。実は我がノーマン家には、勇者ドラグルに関する伝承が先祖代々伝わっていてな。勇者ドラグルは我がノーマン家の先祖であり、その正体は、その・・・」

「正体は?」

「正体は、信じられないのだが、ドラゴンだった、と言うものだ」

「「「「はあっ!?」」」」


 さっきまで混乱していた4人が、更に混乱し始める。

 うん、そりゃあね?

 どこからどう見ても人間のノーマン家の先祖が、まさかまさかのドラゴンだった、なんて言われても、ねぇ?

 でも、事実です。


「私はてっきり、伝承が途中で変質したのだとばかり思っていたのだが・・・」

「では、ここからは僕が説明しますね」


 周りほどではないけど、ルドルフ伯爵も混乱しているようなので、僕が続きを話しましょう。

 そもそも、さっきまで僕が話していたんですけどね。


「先程の謁見の間での報告で、ノイシュヴァン山脈には女神セレス様の眷属のドラゴンがいて、それらを束ねる『龍王』がいる、と説明しましたよね?」

「ああ、ドラゴンに魔神ヴァッシュと女神セレス様それぞれの眷属がいることにも驚いたけどね」

「その『龍王』が勇者ドラグルの真の姿です」

「「「「「は?」」」」」

「それとドラグルは偽名であり、本当の名はミコト=シューティングスターと言います。種族は『神龍』で、このレシタクルス大陸で2人しかいない女神の使徒の1人です」

「「「「「・・・・・・・・」」」」」


 あ、全員理解が追い付かないのか、フリーズしちゃいました。

 全員の思考回路が再起動するまで、お茶でもしていましょう。

 あ、もう冷めちゃってるよ、これ。

 仕方がない、新しい紅茶を淹れましょうか。

 そうして、この部屋にメイドさんが置いて行ってくれた茶葉を、これまたメイドさんが置いて行ってくれた水(元お湯)を沸騰させ、しっかり茶葉を蒸らし、出来上がった紅茶を飲む。

 うん、美味い!

 そうして全員分のお茶を淹れなおし、一息ついたところで徐々に大人達が再起動に成功して動き出しました。


「お茶を淹れたので、一息ついてください」


 お茶を飲んだ全員から美味すぎる、との評価を頂き、エドおじさんから是非メイド達に指南してくれ、とお願いされましたが、それはまた別のお話しです。


「では、話しを戻しまして、勇者ドラグルが魔王デリオスを倒した後に、巨大なドラゴンが現れたことはご存知ですよね?あれが勇者ドラグルの真の姿です」

「そうか・・・・はぁ、最後にとんでもない事を教えてくれたね、レオ」

「ちなみにですが、勇者ドラグルと当時のアステリア国王、アグステウム陛下は親友同士で、ノーマン伯爵家が謀反でも起こさない限り子々孫々守り続けると約束したそうです。アステリア王家に、そういう言い伝えはありますよね?」

「うん、あるね。なるほど、あの言い伝えはそう言う事だったのか・・・」


 やっぱりアステリア王家も、しっかり約束を守っていたんですね。

 流石です。


「レオナルド、1ついいか?」


 それまでずっと黙って話しを聞いていたカルナ宰相が、難しい顔をして質問をしてきました。


「はい、何でしょうか?」

「お前はその話をどうやって知ったのだ?宰相である私ですら、アグステウム王の約束すら知らなかったのだが?」


 カルナ宰相の言葉に、全員が気付いた。

 話の内容が凄すぎて、情報源なんか気にしていられなかったのでしょう。


「勇者ドラグルの正体である、『神龍』のミコトさんから直接聞きました」

「どうやって・・いや、同じ女神の使徒だからか?」

「それもありますが、それ以前に、僕とミコトさんは友達なので」

「え?」

「いや~初めて会ったその瞬間から、何かウマが合いまして。初めて会って、最初にやったのは食事ですからね。丁度夕食時だったこともありますが、何とも楽しい食事でしたよ。あ、それと、その後の食事の腹ごなしでやった模擬戦は、とんでもないことになったのはいい思い出ですね」

「そ、そうか・・・もう驚きすぎて、反応に困ってしまうな・・・」

「なあ、レオ?その模擬戦ってどんなだったんだ?私が知る限り最強であるお前と、魔王を倒した勇者ドラグルの戦いってのに興味があるんだが?」


 おっと、ここで戦闘狂のお父様が、僕とミコトさんの戦いに喰いつきましたよ。

 あれは・・・・どうしよう、正直に言うべきかな?

 う~ん・・・・よし、言おう。


「最初ミコトさんは人間の姿で、つまり勇者ドラグルの姿で戦っていたんですが、興が乗ってきて、『神龍』の姿になったんですよ。で、僕もそれならばと本気を出しまして、地上に被害が出ないように遥か上空に移動して、お互い最大の攻撃をぶつけたんですよ。そしたら、大轟音と共に空、と言いますが空間そのものが5分くらい揺れてしまい、さらに、被害が出ないようにと上空に行ったのに、下にあった山が8つほど跡形もなく消し飛んでいました。いや~あれは焦りましたね。あははははっ。それで、気付いたら朝になっていて、朝食を一緒に食べました」

「おいおい、とんでもねーな、お前ら・・・・で、どっちが強かったんだ?」

「その時はミコトさんの方が強かったですね」

「その時はってことは、今は?」

「う~ん・・・・たぶん僕の方が強くなっているんじゃないでしょうか?」

「おまえ、どこまで強くなる気だよ?」

「さあ?」


 などと親子の会話を楽しんでいたら、その横で大人が4人集まり、何かを話していた。

 そして、話し合いが終わったらしく、代表してカルナ宰相が質問に来ました。


「レオナルド、また質問したいのだが、いいかね?」

「はい、何でしょう?」

「その、お前達が戦ったのは、いつ頃だ?」

「えーっと、そうですねぇ・・・・1年半、いや1年9カ月くらい前ですね。それがどうかしましたか?」

「ああ、やはりか・・・・」


 ん?やはりとは?


「丁度その頃にな、世界中で空間震が観測されたのだよ。各国が調査した結果、発生源はダストレア大樹海の中心付近だと結論付けられたが、原因は不明だったのだ。さっきまでは」

「へ?」

「つまり、お前と『神龍』の模擬戦の結果、空間震が発生したと、たった今判明したのだ!知っているか!?この空間震で世界中が混乱したのだぞ!魔神ヴァッシュが復活する、とか、発生場所がダストレア大樹海という事もあり、魔物が大量発生する前兆だ、とか、様々な憶測が飛び交ったのだ!いったい、どんな攻撃をしたのだ!?」


 普段は冷静なカルナ宰相がここまで声を荒げるとは、本当に世界中に迷惑をかけてしまったみたいですね。

 多分ですけど、経済にも影響が出たのではないでしょうか?

 結果を聞くのが怖いから、何も質問しないけどね!

 ここは正直に話しておきましょう・・・


「えっとですね、ミコトさんが放ったのは自身の魔力と『龍王』だけが使える龍王気を融合して放った『神龍の吐息(アトミック・ブレス)』で、僕が放ったのは終末魔法の『神々の黄昏(ラグナロク)』です。どちらもミコトさんと僕にしか使えない攻撃ですね」

「つまり、お前達が打ち合いをしなければ、今後あのような空間震は起きない、という事か?」

「多分、ですが・・・」

「多分!?」

「だって、似たようなことが僕ら以外でも出来るかも知れないんですから、大丈夫だなんて言えませんよ」

「では言い方を変えよう。お前達が再び戦う事はあり得るか?」

「それは大丈夫、だと言いたいところですが、分かりません。今は良好な関係を築いておりますが、何がきっかけで戦うことになるかなど予想が出来ませんので」

「それを何とか出来ないのか?」

「そうですねぇ・・・では質問しますが、なぜ世界から争いが消えないのでしょうか?」

「は?言っている意味が分からなのだが?」

「では、質問を変えましょう。カルナ宰相は、この先未来永劫、アステリア王国内で争いが起きないと言い切れますか?」

「無理だな」

「何故ですか?今争っている者は別として、今争っていない者同士を争わないように出来ないのですか?」

「当り前だ。何がきっかけで突然争いが起こるのか分からない・・・・そういう事か」

「そういう事です。未来がどうなるかなんて、誰にも分からないのですよ」

「そうだな。それにしても・・・・やはり面白い子供だな、お前と言う奴は」


 僕の言いたいことを察してくれたカルナ宰相は、深刻そうな顔をした後、とても嬉しそうな笑顔を見せてくれました。

 カルナ宰相のこんな顔、初めて見ましたよ。

 なんて言えるほど、長い付き合いではないんですけどね。


「お褒めにあずかり光栄です」

「あっはっはっはっはっはっはっ!」


 その僕の返しに、遂に声を出して笑い出しましたよ。

 そのカルナ宰相の姿を見て、他の大人達が、これでもかと驚愕している。


「あのカルナがここまで笑うとは・・・」

「ええ、父上。やはりレオは武力だけでなく、頭脳も相当なものかと・・・」

「なあグレン。カルナバル宰相はあんなに笑うお方だったか?」

「いや、俺も初めて見たぞ・・・レオナルド、やるじゃないか」


 カルナ宰相のこんな表情は、相当なレアだったようですね。

 あ、そうだ。

 

「そういえばルドルフ伯爵は以前、ダラス殿とオーグ殿のステータスについて、お父様に相談していましたよね?」

「ん?ああ、そうだったな。だが、あれはもう大丈夫だ。2人共、黒龍に手も足も出なかったあの日から変わってな。今では人を見下すような態度も見せなくなったよ」

「そうでしたか、それは良かったです。ただですね、2人のステータスの秘密が分かったので、報告しようかと思ったのですが、聞かれますか」

「何!?・・・・教えてもらえるか?」

「分かりました。2人の高いステータスの秘密、それは、今話したミコトさんの影響です」

「どういうことだ?」


 僕はミコトさんの過去話で聞いたことをルドルフさんに話し、その秘密を教えました。

 何と言うか、言葉通りの神のイタズラとしか言いようがないですね。

 その神とはもちろん、女神セレス様ですけど。

 簡単に言うと、ドラグルとして結婚したミコトさんが、人との間に子供を成すために女神セレス様に願い、ついでに、数百年間隔でステータスが高い子供が生まれるようにしてもらった、と。


「なるほどな・・・先程の話しを聞いた後だからか、簡単に納得できてしまったよ」

「つきましては、僕もミコトさんとの約束を果たす為、いつか2人に会いたいのですが、よろしいでしょうか?」

「約束?それはどんな内容か聞いてもいいか?」

「それは、残念ながらお答えできません。ただ言えるのは、ドラグル=クシャナ=ノーマンから子孫に贈る試練、でしょうか?」

「試練か・・・・それは息子たちにとって、良い方向に働くか?」

「それはお二人次第ですね。ですが、今のお二人の状態を聞いた限りですと、きっと乗り越えられるでしょう」

「そうか。なら、断る理由も無いな。後は息子たちの返事次第ではあるが、時期が決まり次第、連絡しよう」

「ええ、お願いします」

誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

気が向いたらで構いませんので、評価もお願いいたします。

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