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第108話  謁見後の密会

 そうして長い長い謁見が終わり、僕はいつもの応接室へと移動しています。

 僕の調査報告と、ちょっとした茶番のおかげで、昼から始まった謁見が終わったのが夕方になってしまいましたよ。

 それにしても、貴族の皆さん恐るべし。

 だって、こんな長時間立たされていて、数名が体調不良になっただけで、殆どの人が平気だったんですよ?

 どんだけ逞しいんですか、この世界の人々は!?

 なんてこの世界の人々の逞しさに感心しながら、メイドさんに出された紅茶を飲んで待っていたら、お父様が応接室に入って来ました。


「よっ!長時間の報告ご苦労だったな、レオ」

「いやいや、あんな非常識な報告、そうそう信じる者はいないだろう?私とて本当だと分かっていても、疑いたくなるような内容だったからな。だがしかし、よくぞ無事に帰って来てくれたな、レオナルド」


 お父様と一緒に、ルドルフ伯爵も入って来た!?

 いや、2人が友人だと言うのは聞いていたけど、王城内の応接室で会うとは思ってもみなかったので、驚きです。


「お父様、ルドルフ伯爵もお疲れ様でした。でも、お父様はともかく、どうしてルドルフ伯爵までいるんですか?」


 失礼な言い方だったかもしれないけど、本当に何でだろう?

 3年前は、表ではスティード家に敵対していたけど、裏では深い協力関係にあった両家。

 なので、決してこのような他の貴族の目がある場所では、仲良く一緒にいることは無かったのに。

 この3年間で何かあったのかな?


「ああそうか。レオにはまだ言っていなかったな」

「おい。まあ、お前らしいと言えばお前らしいけどな。折角だから、私から説明しよう。以前、黒龍が突然王都を襲った話は聞いているか?」

「はい。スティード騎士団が活躍し、お父様とお祖父様、そしてメルト兄様が退治したのですよね?」

「そう、それだ。実はな、私と2人の息子もその黒龍と戦っていてな?だが、その圧倒的な力に成す術がなかったのだよ。だが、今お前が言ったように、スティード騎士団が参戦してから一気に戦況が変わってな。我々王都にいた全戦力では傷を付けることで精一杯だった黒龍を、コイツ等はあっさり倒してしまったのだよ」


 どうしよう、言えない。

 実はそれって、僕が色々と付与をした魔導装備を使っていたから出来たんです、なんて・・・


「それを見た2人の息子が感銘を受け、スティード家に行って鍛えてもらうと言って聞かなくてだな?その2人の熱意に負け、今までの関係を壊し、今ではスティード家とノーマン家は親交を深めている、という事になっているのだよ」

「え?と、いう事は、ダラス殿とオーグ殿はスティード家で修行しているのですか?」

「ああ、そうだ。お前が帰って来る2週間前まで、スティード領にいたぞ?今まで大人でも勝てる者が殆どいなかった故、傲慢になっていたあの2人が、そんな事を言い出してな。大事な息子たちが自ら変わろうとしていたのだから、親としては何としてもその願いを叶えてやりたかったのだ。それでグレンに相談したら、2つ返事で引き受けてくれてな。年に数回、2人共スティード家で修行させてもらえることになったのだ」

「数回と言わず、好きなだけ来てくれていいんだぞ?私はいつでも歓迎するぞ」

「ああ、本当に恩にきるよ」


 なるほど、もう2人は公然と協力し合っているから、今までみたいにコソコソする必要がなくなったので、こうやって堂々と一緒にいるわけだね。


「でも、それですと今まで表向きは協力していた貴族、例えばザカート侯爵とかから、何か報復とかはされていないのですか?」


 そう、あの腹黒いザカート侯爵が、こんな裏切り行為を許すとは到底思えないんですよね。

 いや、裏切るも何も、元々ノーマン伯爵家はスティード家と協力関係にあったわけですけど。

 大丈夫だったのかな?


「ああ、それなら大丈夫だよ。ダラスとオーグがスティード家に修行に行っているのは、国王陛下のご命令、という事になっているからね」

「え?どういうことですか?」

「そこからは私が説明しよう」


 丁度いいタイミングで、エドおじさん、それと先王陛下とカルナ宰相が入って来た。

 と、言いたいところですが、この3人、実はずっと外で話しを立ち聞きしていて、中に入るタイミングを計っていたりします。

 応接室に入ろうとしたら、何かすでに話が始まっていて、入り難かったんでしょう。

 とっくに気配を察していたので、丸分かりです。

 けどここは、初めて気付いたように振る舞う事にします。

 僕たち3人は慌てて席を立ち、臣下の礼をとろうとする。


「ああ、いいよいいよ。ここには私達しかいないんだから、楽にして」


 エドおじさん、相変わらずだね?

 さっきの謁見の間では威厳が出ていたけど、気が許せる相手の前だと、やっぱりこうなっちゃうんだね。


「で、さっきの件なんだけどね、やはり他の貴族からのくだらない報復に巻き込まれないか心配したグレンから相談されてね。丁度ダラシィードとオーガストには、『王都黒龍事変』において騎士達に交じって黒龍と戦ったことに対する褒美を出そうと思っていてね。特にオーガストは戦いに参加した者の中では最年少で、その次がメルティウムとダラシィードでね。それで、2人がより強くなりたい、と望み、ならば現時点で間違いなく王国最強のスティード騎士団に紹介状を書こう、という事にしたんだ。あくまでこれは、強くなりたいと言うダラシィードとオーガストの望みに対し、国王である私が提案した、という形にしたんだよ」

「なるほど。それならノーマン家が個人的に近付いたのではなく、国王陛下からの提案に従っただけ、ということになり、それに対し、他の貴族は反発することが出来ない、という事ですね。もしこの決定に反し、何かしらの妨害行為を行った場合は、王の決定に背くことになりますからね」

「そういうことだ。相変わらず話が早くて助かるよ」


 エドおじさんは、ルドルフ伯爵がスティード家に裏で協力をしていたことはもちろん知っていた。

 と言うか、この3人は元々王都の学校で一緒に学んだ仲で、その頃から良好な関係だったらしい。

 お父様とエドおじさんは親友同士で、ルドルフ伯爵とエドおじさんはきっと、勇者ドラグルの時代から続く、王家とノーマン伯爵家の繋がりだと思う。


「さて、それでは本題に入ろうか?」


 あ、今から本題なんですね?

 実は、今日ここに集まった理由を、僕はまだ聞かされていないんですよ。

 そもそも、僕がここに来た理由はフィルと会う約束があったからであり、話し合いに参加する為ではなかったんですが・・・


「じゃあ、レオ。報告の続きを聞こうか?あの場では他の貴族がいたから、話せなかったこともあるだろう?ここにいるのはレオの事を知っている者だけだ。もちろん、ルドルフにも婚約者の事は話してある」


 ああ、つまり、セレストメディエル聖教国でのことを話せ、という事ですね。

 そういうことなら。


「では、僕がダストレア大樹海を抜ける直前からお話ししますね。まず・・・・」


 そこから、偽の女神の使徒、ピエナスにセレスハートが落とされ、聖女であるセシリアがダストレア大樹海まで逃げたこと。

 そこで僕と出会い、そのまま修行して強くなってからセレスハートに戻ったこと。

 セレスハートの手前の街、セレスユカティスでレジスタンスと合流し、総勢5000名の仲間と共にセレスハートに攻め込んだこと。

 順調にセレスハートを占拠していた賊を蹴散らし、捕らわれていた教皇様とその家族、そして処刑される前の聖騎士達を救出したこと。

 激闘?の末ピエナスを倒し、セレスハートを開放したこと。

 その後、聖女セシリアと僕がお互いに好意を抱き、フォルセシウス教皇からもお願いされ、婚約者となったことを説明しました。


「以上が、セレストメディエル聖教国で僕がやって来たことになります」


 結構細かい所まで説明をした為、だいぶ時間がかかってしまいましたが、やっと説明が終わりました。

 もちろん、ピエナスの能力の詳細や、女神セレス様が降臨したことは黙っています。

 そんなこと話したら、今の僕のステータスの話しになりそうですし、そしたら余計時間がかかってしましそうですからね。

 は~疲れた・・・・

 と、思っていたら。


「レオナルドよ。お前、まだ話していないことがあるだろう?」


 ウィリアム先王陛下が、疑いの目で僕を見てきましたよ。


「と、言いますと?」

「我々の情報網を甘く見るな、と言えばよいか?」


 あ、あの顔は絶対に向こうで何が起きていたか知っている、と言った顔なんですけど?

 考えてみれば、僕がセレスハートを開放してから3ヵ月経っているから、ダストレア大樹海の反対側であるこのアステリア王国に情報が来ていても、何ら不思議はないですね。

 何せ、女神セレス様が降臨したのは事実であり、向こう側では超有名な話しですからね。

 仕方ない、白状しましょう。


「分かりました。実は僕がピエナスと戦っている時、僕がある条件を満たした為、女神セレス様が降臨されました。セレス様はその後、1週間顕現し、戻られてしまわれましたが」

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

「あれ?どうしたんですか?」


 僕が隠していた報告をすると、全員が口を開けて絶句している。

 って、皆この事知っていたんじゃないの?

 少なくとも、王家の方は情報を得ていたんでしょ?

 あれ?もしかして僕、やっちゃったかな?


「レオナルドよ・・・・その、それは、本当なのか?」


 僕に隠しても無駄だ、的な事を言ってきた先王陛下が、すっごい汗を掻きながら聞いてきました。

 あ、やっぱり僕、嵌められた?

 まあ、言っちゃったことはしょうがないよね?


「はい、本当ですよ?知っていたのではないのですか?」

「いや、すまん。お前の事だから、隠しごとの1つ2つ、いや3つくらいはあるだろうと思い、カマをかけてみたのだ。だが・・・・想像以上にとんでもない情報が出て来たな・・・」


 隠し事が3つはあるって・・・・いや、まあ、もっとたくさんありますけどね?

 でも、やっぱりそうだったのか。

 まあ、この情報が広まるのは時間の問題だから、別にいいんですけどね。

 例えば、僕とセシリアが転生者だ、とか、僕のステータスが14億だとか、ダストレア大樹海の中心には魔神ヴァッシュが封印されていて、その封印の強化のために僕が呼ばれた、とか、公表できない物はまだまだありますからね。

 でも、いつか話すことになるんだろうなぁ・・・・


「で、レオナルド。その女神セレス様を御降臨させたと言う条件とは、いったい何なのだ?それはお前以外でも出来るのか?今この場で御降臨を願うことは出来るのか?」


 おっと、ウィリアム先王陛下が喰いついた。

 と、言うか、口には出さないようだけど、この場にいる全員が同じ気持ちみたいですね。

 この場にいる大人5人が、10歳の僕をこれでもかとガン見していますよ。


「そうですね。まず条件ですが、それはお答えできません」

「何故だ!?」

「それは他の質問に対しても言えることですが、その方法を無暗に広め、女神セレス様をおいそれと降臨させられてしまえばどうなると思いますか?間違いなく、世界は混乱します。下手したら、自分達が聖教国に相応しい、とか訳の分からない事を言い出す国が出て来て、戦争になるかもしれません」

「む、確かに・・・」

「で、僕以外にも出来るか、という事でが、多分無理ですね。それと、今この場で降臨させられるかについては、こちらも無理です」

「何故だ?」

「まず、条件が厳しすぎるからです。もしかしたら将来的に、何十万、いえ何百万人もの犠牲を出せば可能になるかもしれませんが、そんなことは条件が分からなければ出来ない為、教えられないのです。それと、僕が女神セレス様を降臨させられたのは、かなり特殊な条件が運良く重なった為なので、僕の意志では無理なのです」

「そうか・・・・」


 明らかに落胆した大人達。

 え?何で?


「死ぬ前に女神セレス様のご尊顔を拝謁できれば、と思ったのだが、無理か・・・」

「そうですね、父上・・・私も拝謁できるかと思い期待してしまいましたが、無理ならば仕方がありませんね・・・」

「全くです・・・」

「3ヶ月前、セレスハートにいれば・・・・」

「なあ、レオ?本当に無理なのか?」


 大人全員が女神セレス様に会いたかったみたいです。

 ただ申し訳ないんですが、かなり残念な女神ですよ、アレ。

 絶対にあんなの見ても、落胆するだけですよ?

 ・・・・いや?

 セレスハートの人々はスッゴク喜んでいたし、だらしない姿を直に見たはずの教皇一家やその使用人(シスター&ブラザー)も、普通に喜んでいたような・・・・

 遺伝子レベルで、何か刷り込みでもされているのかな?

 よし、忘れましょう!

 けど、カマかけられたのはちょっとムカつきましたね。

 引っ掛かった僕が悪いのかもですけど、普通に考えて引っ掛ける方が悪いですよね?

 よし、ここは1つ、爆弾を落としてみましょうか?

 どうせ、時期を見て話すことだったし、別に良いよね?


「それと、ダストレア大樹海の中で・・・」

「まだあるのか!?」

誤字、脱字など、お気付きの点が御座いましたらご指摘をお願いいたします。

もし、この作品を読んで面白い、と思って頂けたら幸いです。

気が向いたらで構いませんので、評価もお願いいたします。

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