76話
「おい!止めんか!後少しなんじゃ!後少しでぇ!」
「知らない知らない知らない!私の体!私の武器!全部全部全部!返してよ!本当の体で出ていってよ!」
両者とも力を緩めずに空間の狭間で力をぶつけ合う。
どうやっているのか破られた空間の壁に手と足を引っ掛け、偽アキは黒い空間に引きずり込まれるのを耐えていた。
アキは巨大な手を偽アキの体に食い込ませ更に、尻尾を使って空間を広げようと空間の壁を食い荒らしていく。
「この体はお前のものだろう!」
「知らない!私の意識の無い体なんて私のじゃ無いもん!」
「お前言葉遣いめっちゃ変わっとるぞ!」
「知らないよ!そんなこと言うのなら貴女だって全然違うし!」
言葉で相手の意識を割こうとしても結局無駄に終わるだけと知り更に力を両者とも入れていく。
アキの巨大な狐の手が偽アキの体に食い込んでいき、更に無意識に出した爪が偽アキの体を抉っていく。
溢れ出す赤いポリゴンを吸い付くさんとひとりでに【雪桜】は動きだし偽アキの体を貫いた。そして赤いポリゴンの全てが【雪桜】に吸収されていく。
「「なぁ!?!?」」
刀の予想外の動きに驚いていた二人だが先に回復したアキがこの好機を逃すまいと更に手を食い込ませていく。
その事に慌てて気づいた偽アキも対抗しようと力を込めるが、時すでに遅し気付いたときにはギリギリで粘るくらいの後は吸い込まれるだけという位置にいた。
「もう諦めてこっちに来てよ!」
「嫌だ!この世界を満喫していないのにまた暗い世界で独りぼっちなど耐えられるものか!」
その一言に力を入れていたアキの力が止まる。力が弱まることは無かったが強くなることも無かった。そしてこのチャンスを逃しはしないと力をこめて逃走を図ろうとするが
「そんなのは知らない……もとの暗黒に帰って……」
ファナが出せる全力のスピードで偽アキめがけ突進する。
「貴様の軽い突進など耐えられるに決まっているだろうに!」
「私の目的は突進じゃ……ない!」
すぐそばまで来たファナは本物のアキに向かって語りかける
「また一緒に……ご飯を食べて……冒険しよう……アキ」
その言葉をいい終えると同時に回し蹴りを偽アキに、いや【雪桜】の柄の頭目掛けて放つ。そして一言「ごめん……」といってから蹴りが柄の頭に一切のずれなく当たり偽アキの体を更に貫き力を一点で食らった偽アキの体は空間の壁から離れて暗闇へと吸い込まれていく。
「頑張って……アキ……」
ファナの体が段々とポリゴンに変わっていくその事実を確認したファナは体を横にして自分の体がポリゴンに変わっていくのを見ていた。
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「あの小娘がぁ!」
偽アキの感情は完全に怒りで支配されていた。現状を認識できないまま怒りに任せ後ろにいるであろうアキ目掛けて《妖仙術・紅蓮》を放つ。
しかし圧倒的なまでの業火は"ぽふん"という音と共に消えた。
アキがやったようには思えない。では誰なのかその答えを偽アキは持っていたが認識したくなかった。自分の親であり自分を捨てた存在を認識したくなかったがその存在は強制的にじぶんの存在を認識させてくる。
「久しぶりですね。元気そうで良かったですよ。愛しき我が子」
そこにはアキに無視された時のようなしょんぼりとした雰囲気はなく、そこに存在するだけで全てが平伏しその姿を一目みたいと許しを乞うような存在が目の前にいた。
白銀の体を持ち目は黄金の輝きを放つ更に体から溢れる可視化出来そうな程のオーラを纏う存在がアキの後ろに座っていた。
遅くなって申し訳ないです。
リアルが凄く忙しいのでこのくらいの更新になると思います。
ですが見捨てないでいてくれると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします




