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お前との日常はつか(以下略)  作者: 堕花 紅蓮
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俺のハムスターはデブじゃ(以下略)

誤字脱字ありましたら報告お願いします。

本日は晴天。空は雲一つない素晴らしい天気、それが晴天だ。そしてここからが本題なんだここからが。世の中いろんな人間がいる。そんないろんな人間の中に、「キャー、今日は晴れね。テンション上がるー。」とか言う奴いるだろ。いるだろ。だが俺はそうは思わない。なぜなら今日が晴天にも関わらず今日の俺のテンションは……

「最悪だよ。あー最悪だとも!!」

今の俺なら怒りで山破壊できるんじゃないか山!!

「そんなこと言ってちゃ女にモテないわよ。てゆーかどいてよもー道見えないじゃない。」

「だったら言うこと聞けよ!!」

ここでおそらく状況が飲み込めていないだろう人達に状況を説明してやる。俺は車のボンネットの上だ。走行中のな。今話したのは運転席にいる女だ。

「もーどいてちょうだいよー。」

「だったらそれ返せ。」

えーと女が言う。俺と女が同時に後部座席を見る。そこには少女と猫が座っていた。……猫って座ったていうのか?……それは置いといて、

「バカヤロー!お前猫に釣られてついてってんじゃねーよ!」

後部座席の少女に叫ぶ。その顔は無表情だ。少し落ち込んでいるように見えなくもないが。

「こんな奴の言うことは無視しなさい!大丈夫。今振り落とすから!」

「やれるもんならやってみろ。」

「何よ生意気ね。このゴールデンハムスター!!お宅の子みたいに太ってしまいなさいよ!」

その瞬間俺の中で何かが切れた。ボンネットから飛び降りて車の20mくらい先に降り立つ。

「そうやって最初からどいてなさいよ。」

女が叫ぶが今の俺には聞こえていない。

「俺の……。」

「何?どしたの。」

助手席で我関せずと言ったふうに寝ていた男も起きた。ちょうどいい。ついでにお前にも教えてやる。

「俺の……俺のゴル夫は太ってねええええ!!」

突っ込んでくる車を抱え込むように掴み止める。

「嘘だーーー。」

と車に乗っていた全員が叫んだ。……1人無表情だったが。

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「たくっ毎度毎ー度なんなんだよ。」

「何よ。健全に誘拐してるだけじゃない。」

大破した車の破片をぶん投げてきながらブツブツ文句を言っているが無視。そして誘拐は健全じゃない。

「これ俺の車……。」

こっちには少し同情しよう少しだけ。

「ゴル夫……。」

ポツリと小さな声で俺のペットであるゴールデンハムスターの名前をつぶやく。

「会いたいなぁ……。」

のんびりとした口ぶりで話す少女は動作もゆっくりだ。それもあって本当に誘拐されたのかと思ってしまう。助けに来たはずなのに助けに来た感じがしない。

「はぁ。まぁお前の説教は後でまずはこっち……。」

絶句した。あいつらの姿はすでになく、今俺の目の前にはただデカいハムスターがいる。多分……ロボットだと思われる高さ2mくらいのハムスターが口から紙を出した。なんだこいつ。紙にはなにやら文章が書いてあった。少女が駆け寄って来て紙をのぞき込む。紙にはこう書かれてあった。

゛お前のハムスターはデブだ。゛

反射的に紙を握りしめる。少女がビクついたが知らん。とりあえず俺は叫んだ。

「ゴル夫はデブじゃねえええええ!」

本日2回目の宣言だった。直後に少女がつぶやく、

「デブだと思いますよー。」

「うるせえ!」

5倍くらいの声の大きさで少女のつぶやきにくってかかった。

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「雪乃、ご飯ください。」

「少々お待ちを。すぐご用意しますね。」

旅館の若女将のような風貌の女性が厨房へと歩いていく。それを見届けてから目の前に座る少女に目を移す。少女はご飯が何かウキウキとしながら待っている。こいつ、俺が昼にどんな目にあったかもしれないでウキウキしてやがる。

「あのな。」

「はい。」

「なんで今俺がここにいるか分かってるか?」

「ご飯食べに来たんじゃないんですか?」

ぶん殴りたかったがなんとかこらえる。そして俺は怒りで体を震わせながらここに来た理由を言った。

「俺がお前の護衛で、お前を守らなくちゃならないのに誘拐された挙句犯人逃がして上司にこっぴどく叱られてたからだよ。」

「私関係ないんじゃ……。」

「全ての元凶お前だろーが!」

こいつが猫に釣られてアイツらについて行かなきゃ…。

「でも……その……はい。」

はっきりしない口ぶりに苛立ち机に拳を叩きつける。

「お前が何かやらかすと大抵俺の責任になんだよ!わかるか!今月もういくら減給されたと思ってんだよ!バカ。」

「大丈夫です。私にはなんの影響もありません。」

「誰がいつお前の心配したんだよ!俺の身になってみろよ。」

少女がガッツポーズをしながら言い放ったがすぐさま言い返す。少女は相変わらずウキウキとご飯を待ちわびている。その様子を見ていると苛立ちが加速する。

そこに追い討ちをかけるように少女が俺に尋ねる。

「結局何しにきたんですか?」

「お前の説教だバカヤロー!」

一日の大半は怒鳴ってる気がする。だがそれは全てコイツのせいだ。俺は悪くない。怒鳴りすぎて力つきた頃に厨房から声が聞こえてきた。

「ご飯ですよー。」

その声を聞いた瞬間、目の前にいる少女が今までの動きが嘘かと思うほどの素早さで立ち上がった。いつもそんくらいで動けよと思う。俺も立ち上がり厨房まで歩いていく。歩いている最中、「今日は肉じゃがですよ。」と聞こえた。その瞬間少女の動きが止まった。体は小刻みに震えちょっとしてうなだれた。そしてのろのろと重たい足取りで歩いていく。ほんとマイペースだなこいつ。俺はその後ろについていきながら、

「明日もこれに付き合わされるのか……。」

ボソリと呟いた俺の声は、ハムスターの回し車の音にかき消された。

「うるせーよ。ティラノサウルス。」

そう言ってから、少し先に行った少女を追いかけていった。

ちなみにティラノサウルスは少女が飼っているジャンガリアンハムスターの名前だ。

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