025 衝撃の
「「緊急事態発生、友軍機の超能力による破壊反応を検知。
強制起動。
戦闘を開始します」」
機械的な女性の声が、廃墟の街中から一斉に聞こえた。
ワイヤーを結ぶ作業を再開していた融は、絶望した。
(死んだ!僕もうダメだ!一体でもギリギリだったのに、この数は絶対にムリ)
百を超える数のロボットが静かに立っていた。
電子音がして、人型ロボットたちのセンサーが融に集中する。
ロボットたちが融にめがけて走りだした。
「だれか!」
目をぎゅっと閉じて、腕で頭を覆う。戦いではなく、諦めの姿勢だった。
……予測していた衝撃が、融にない。
目を開けると、融の目の前に人が立っていた。
「ここは『助けて、母さん!』と呼んで欲しかったな」
金属製のワイヤーが、二人とロボットの間にピンと張り巡らされ、ロボットたちに動きが止められている。
転法輪倫の超能力だった。
「ちょっと行ってくるね。融」
ワイヤーで動きを封じられていたロボットたちを、彼女の念力が吹き飛ばした。倫がロボットの追撃を始める。
「大丈夫。もう心配いりません」
倫の部下が融に手を差し伸べた。
「捕まっていてください」
抱きかかえられると、ふわりと浮かびあがる感覚が融を包む。
兵士は融を抱きかかえたまま、屋上まで壁を登った。
三人の兵士が融を囲むように立っている
「ここからなら、あなたのお母様の活躍がよく見えますよ」
兵士の一人が指さす先では、超能力によって、ビルが引き倒されている。
倫の超能力は、絶大だった。倒れたビルに数十のロボットが潰された。
次の攻撃に移る。
スクラップの山の一つ一つが超能力で固まり、雪玉のように転がされ、ロボットを巻き込みながら大きくなっていく。
「全部丸めちゃったかな?あれれ?壊れているのにまだ動いているヤツが多いな」
三つあったスクラップの塊を一つにまとめた。
「ぎゅーーっと」
開いていた手のひらをゆっくりと握るのに合わせて、金属の塊が唸りを上げながら圧縮されていく。手の形が握り拳になった時、動くロボットは一台も残っていなかった。
「とおるー!母さんのかっこいい所ちゃんと見てくれたー?」
圧縮された丸い塊の上に立つ倫が、ピョンピョン跳ねながら手を振っていた。
特訓は中止された。
(当然といえば当然かな。
敵のロボット兵器が、スクラップに紛れて密かに、この国に侵入していたのだから。
僕の特訓どころじゃないよな)
あの後すぐに、輸送機が戻って来て、倫の部下たちが調査を開始した。
融と倫は、保護という名目で山を越えた先にある温泉宿に来ていた。
(あっ、メガネかけたまま、お風呂に来ちゃったよ。別に防水だから問題ないけど)
融は浴場で頭を洗い終えた。今日この宿は貸し切りらしい。
(本当に偶然だったのかな?
偶然訓練場所にロボットがいて、偶然僕がそれを見つけて、偶然それを撃退した?もしかして……)
ガラッと扉が開いて、融の思考はそこで停止した。
「融!背中流しっこしようぜ」
「!」




