1章:崩壊した栄光
かつて、エリオス・ランベルは誰もが羨む存在だった。
剣術の才能は学院の中でもトップクラスそして魔法の力もまた天才的。
王立学院の主席として、将来を嘱望される存在だった。
「エリオス、お前はこの国を背負う存在だ。期待しているぞ」
父が誇らしげに放ったその言葉は、今も耳に残っている。
だが、栄光はあまりにも脆く崩れ去ったー。
学院の大規模訓練試験の日
エリオスは突如として魔力を失った。
それだけではない。
剣を握る手にも力が入らず、次々と繰り出される攻撃に成す統べもなく敗北した。
「無能め!」
「期待されていたのが恥ずかしいな。」
「ランベル家の汚点だな。」
周囲から浴びせられる嘲笑と蔑む視線。
ーその日を境に、彼は「天才」から「無能」へと転落したー。
そして学院からも追い出され、家族からも見放された。
父は冷酷に告げた。
「ランベル、お前はランベル家の名に泥を塗った。二度とその名をランベル家を名乗るな。」
婚約者だったクラリスはさらに冷たかった。
「エリオス様、私には未来があります。無能な方との婚約など続けられませんわ。」
彼女のその言葉が、エリオスの心にさらに深い傷を刻んだ。
ー彼は「すべて」を失ったー。