3.知り合いとの偶然の再会
巧遇熟人
深夜の空は星が瞬き、夜風が唸りを上げて木の葉を震わせていた。冷気が服の隙間に忍び込み、背中に冷や汗が流れるのを抑えきれなかった。
私は腰を屈め、道端の茂みに身を寄せ、素早く軽い足取りで進んだ。草が服を擦る音はほとんど聞こえないほどだった。風が耳をかすめるたび、息を止めた。遠くで歩行者や囁き声が聞こえると、心臓が喉に詰まった。
それがただの旅人か、闇に潜む殺し屋か、確信できなかった。音が近づくたび、茂みに伏せ、動かず、胸が圧迫され、呼吸を最小限に抑えた。音が遠ざかり、夜が静寂に戻ると、ようやく立ち上がり進んだ。
普段の鍛錬のおかげで、数時間この状態を保てた。体はまだ耐えられたが、精神の疲労は隙のない網のように私を包み始めた。
私は気を緩めなかった。目は鷹のように闇を切り、耳はわずかな異常音を捉えた。一歩ごとに崖の縁を歩くようで、ミスは奈落への転落を意味した。この緊張感は息をつかせなかった。
空がようやく明るみ、夜の帳が薄い朝光に押し開かれた。疲れた体は休息を求め、気を緩めることは許されなかった。その時、前方から微かな音が聞こえた。
私は動きを止め、耳を澄ませた。少し先に、旅人が消えかけた焚き火のそばで荷物をまとめていた。残り火が彼の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせた。
私は木陰に身を縮め、剣の柄を握り、ためらいと警戒が胸に浮かんだ。あの男は誰だ? 信用できるか? それとも殺意を隠した殺し屋か? 私は迂回を選び、キャンプの端を慎重に進み、音を立てないよう努めた。
視界から外れそうになった瞬間、夜明けの光が地平線を越え、刃のように闇を裂いた。光が降り注ぎ、旅人の姿を鮮明にした。
見慣れた輪廓、動き――それはランディだった。
安堵の波が押し寄せ、一晩中抑えた緊張が解け、笑みがこぼれた。
私は茂みから出て、声をかけた。
「よお! 万事屋!」
「ん……? オットー君? こんなとこで会うなんて。」
ランディは私がここにいることに驚いた様子だった。
「なんでここに?」
私は何気なく聞き、周囲を警戒しながら見回した。
「遠出の用事があって、昨夜は次の駅まで行けず、ここで野営したんだ。」
ランディは荷物をまとめながら軽く答え、大したことではないようだった。
「そうか……ちょっと休ませてくれ。」
私は頷き、遠慮なくキャンプ脇の大きな石に腰を下ろし、足から全身に広がる痺れるような痛みを感じ、ようやく一息ついた。
ランディは私の疲れに気づき、笑いながら聞いた。
「めっちゃ疲れてるな。馬に乗ってないのか?」
「う……なくした。」
私は曖昧に答え、話題を避けるため遠くを見やった。
彼は一瞬驚き、大笑いした。
「ははは! お前がそんなドジするなんてな! 南に向かってるのか?」
「うん。」私は短く答え、さらなる助けを受け入れるか考えた。
「じゃあ、よかったら一緒にどうだ? 俺の馬に乗って休めるぞ。」
ランディは気軽に、まるで自然な提案のように言った。
私は頭で利害を素早く考えた。彼の提案は負担を軽くし、追っ手から十分離れたはずだ。私は頷いた。
「よし、許可する。」
「ありがたや~。」
互いに笑い合い、思わず同時に笑い声を上げた。笑いが収まると、私は真剣に言った。
「ランディ、ありがとな。」
少し準備を整え、一緒に進み始めた。私はわざと人目の少ない道を選び、ランディは特に何も言わず、私の指定したルートに従い、ホッとした。彼の気楽で空気を読む性格が助かった。
しばらく進むと、周囲はさらに荒涼とし、鳥のさえずりだけが聞こえた。その時、静寂を破る小さな音が響いた。
「グー。」腹の音だった。
「そろそろ昼飯の時間だな。」
ランディは道端の石を椅子代わりに座り、私も座って硬いパンをかじった。味は良くなかったが、飢えに文句を言う余裕はなく、急いで食べ終えた。
落ち着くと、疲労が潮のように押し寄せ、瞼が重さに抗議した。
食べ終わると、私はパン屑を払い、バックパックを開け、物資を点検した。この未知の旅はまだ終わっていないとわかっていた。
「そろそろ行くか。」
「次の出発で馬に乗るか……」
言葉が終わる前に、背後から冷たい気配が襲った。長年の訓練の直感で、腰の匕首を抜き、後ろに構えた。
だが、一瞬遅れた。脇腹に冷たい刺痛が走り、頭が冴えた。見下ろすと、血が服を赤く染めた。
「さすがオットー君だな。こんな状況でも反応できるとは。」
聞き慣れた声が、冷たい賞賛を帯びて響いた。顔を上げると、ランディが立っていた。手に持つ匕首の刃に私の血が光っていた。
彼はハンカチを取り出し、ゆっくり刀身を拭った。まるで取るに足らない作業のようだった。
「ランディ……?」
私の声には信じられない思いと、冗談であってほしいという願いが混じっていた。
「俺の仕事は終わった。」
ランディの声は軽く、まるで普通の取引を語るようだった。彼はどこかを見やり、私ではない相手に言った。
「報酬を忘れるなよ。後はお前らに任せる。」
彼が話すと同時に、草むらがざわつき、抑えた足音が響き、次々と影が現れた。武器を持ち、冷たい表情の者たちが、ずっと潜んでいた。
心が沈んだ。疲労のせいではなく、ランディへの親しさが警戒を下げた私のミスだった。
ランディは荷物を手に馬を引いて、道の反対側へ歩いた。歩みは落ち着き、軽やかで、裏切りが彼にはただの取引だった。
途中で振り返り、申し訳なさそうな笑みを浮かべたが、冷たく刺さった。
「悪いな、オットー様。これは商売だ。俺、商人だからな。」
私は黙り、彼を見送った。心の怒りが燃え上がり、裏切りの痛みが苛立ちに変わり、激しく燃えた。




