短編 エリノアに捧ぐ葬儀
短篇 屬於埃莉諾的葬禮
夕暮れの光が燃え盛る炎のように空を染め、最後の一筋の陽がゆっくりと山々の向こうへ沈んでいった。大地は深紅と紫の帳に包まれ、空全体がどこか哀しみに染まっているようだった。風が木々の梢を静かに通り抜け、湿った土の匂いを運んできた。それはまるで、大自然が密やかに哀悼の意を表しているかのようだった。
村外れの小さな墓地では、村人たちが静かに輪を作り、無言のまま立ち尽くしていた。下を向いた彼らの眼差しには、言葉では言い表せない深い悲しみが宿っていた。
それは華やかな儀式ではなかったが、誰もがその場に厳かな重みを感じていた。
最前列に立つアメリンは、始終ひと言も発さなかった。
彼女の背筋は真っ直ぐに伸びており、目は墓穴の中心をじっと見据えていた。その姿は断崖のように毅然としていたが、彼女の両手はわずかに震えていた。
その腕に抱かれていたのは、エリノアの遺品――彼女自身よりも大きな、重厚な大剣だった。
夕陽の残光に照らされたその金属は、仄かに光を放ち、まるでエリノアの最後の温もりがそこに残っているかのようだった。
「彼女は、私が最も信頼していたハンターだった。」
アメリンは心の中でそう呟きながら、手に抱く剣を見つめた。
エリノアは村で最も賢くも、最も優秀な卒業生でもなかった。
だが、彼女には誰よりも強い責任感と、折れない心があった。
ラフィル――自分の孫を彼女に託したとき、アメリンの胸には一片の迷いもなかった。
どんな危険が待ち受けようとも、エリノアならきっと、命を懸けて彼を守ってくれる。そう信じていた。
当初の計画は、実にシンプルで堅実なものだった。
ラフィルは危険な狩りには関わらず、エリノアと、もう一人のハンターであるアクセルが側で彼を守る。
アメリン自身も、彼女たちの豊富な経験と実力があれば、大抵の黒潮の脅威は対応できると考えていた。
――だが、現実はいつも計画よりも残酷だった。
今回現れた黒潮は、かつてないほど強大で狡猾で、すべての想定を上回る存在だった。
エリノアは村に希望と温もりをもたらしていた。
任務から戻るたびに、食料と玩具を満載した馬車で村に帰ってきた彼女は、生活物資を供給するだけでなく、子どもたちに笑顔と歓声を届ける存在だった。
彼女は、村の子どもたちにとっての英雄だった。
エリノアが村に帰ってくると、子どもたちは歓声を上げながら彼女のもとへ駆け寄った。
だが、今回帰ってきたのは彼女ではなかった。
トムリンが手にしていたのは、彼女の遺品――この重々しい大剣だった。
葬儀の間、アメリンの顔にはほとんど表情がなかった。
だが、その固く握りしめた拳と、かすかに震える唇が、彼女の深い悲しみを物語っていた。
アメリンは大剣をそっと墓穴へと置いた。
その動作は、まるで今も剣が生きているかのように、限りなく丁寧で、静謐なものだった。
金属の表面が、落日の最後の光を受けて淡く光った。それはまるで、剣がまだ別れを拒んでいるかのようだった。
「あなたは、私が最も信頼したハンター。あなたのような優秀なハンターを育てられたことを、私は誇りに思う。」
アメリンはかすれた声でそう呟いた。
その言葉には、抑えようのない哀しみと、深い敬意が込められていた。
やがて土が一掬いずつ、大剣を覆っていく。
村人たちは静かに頭を垂れ、それぞれの胸の内で祈りを捧げた。
エリノアの名は、この土地に永遠に刻まれるだろう。
彼女の恐れを知らぬ精神とともに――故郷を見守り続けるその魂とともに。




